義兄の会社に着いた。
義兄の会社は自宅のマンションから自転車で20分の距離。
義兄は運動不足解消目的で、自転車通勤をやってるんだけど……
正直、緊張する。
僕は短期のバイトはやったことがあるけどさ……
こんな大企業の研究室なんて初めてで。
出る前に義兄から預かっていた社員証をカードリーダーに通し、僕は義兄の職場に入った。
更衣室に行き、義兄の作業着を着る。
義兄は僕より大きいので、ちょっとサイズが合わなかった。
そして職場の研究室へ
「主任おはようございます」
「おはよう」
部屋の研究員の朝の挨拶に、挨拶を返す。
皆に信頼されている。
それを肌で感じて僕は理解する。
「主任、昨日の実験結果なんですけど」
部下の研究員がパソコンの前に僕を手招きしたので覗きに行くと。
文書作成ソフトで作った実験結果まとめを示して来た。
僕はそれを見て
「……粘度のスペックが目的のところまで伸びて無いな。悪くもなって無いけど。……溶剤の種類を変えるのはあまり効果無いか」
そんな言葉がスラスラ出たし、自分が何を言っているのかも確実に理解できていた。
……不安だったけど、僕が社会人としての義兄の役割を果たすのは無理では無いらしい。
ただ
「……やっと終わった……」
仕事が終わったのは、夜9時近かった。
ここから急いで帰っても、9時過ぎになる。
……なんか、部屋の研究員の反応を見る限り、これでも早い方らしい。
普通、9時を回るみたいだ。
……義兄は高給取りだけど、それだけのことはあるわけか。
僕は義兄さんの男としてのレベルの高さに、悔しいけど感服してしまった。
自転車を漕いで、家に戻る。
早く戻りたい!
家では妻になった姉さんが待っている!
暗い中、自転車のライトの光を頼みに一心不乱。
自宅を目指した。
「おかえり。守」
家に帰ると姉さんが出迎えてくれた。
エプロンを付けている。
夕食を作ってくれたのか。
……まあ、今更だけどね。
夕飯は姉さんが作るんだ。
義兄が帰って来る時間の方が後だから。
僕は義兄の帰宅時間について気にしてなかったから、色々今更なんだけど。
嬉しかったんだ……!
疲れて帰って来たところに、愛する人がご飯を作って待っててくれる。
その環境が。
「ただいま姉さん」
そう挨拶を返すと、また姉さんは近づいて来て。
チュッと、僕の唇にキスをしてくれた。
……死んでもいいくらい嬉しかった。
そして夕食。
深夜近いから、量は軽めだったけど。
とても幸せで
入浴の後。
僕は夫婦の寝室に入った。
時間は夜11時少し前。
姉さんはすでに青いパジャマ姿で部屋で待っていて。
鏡台の前で髪の手入れをしている。
僕は思った。
いよいよだ、と。
ドキドキが止まらない……!
次回、本番