【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
第1話『告白、そしてフられる』
「ずっとサキのことが好きだった!」
昼下がりの大学図書館裏。木漏れ日が落ちた物陰で、俺は彼女――西宮サキに告白をした。
明るめの茶色に染まった、ふわりとウェーブのかかったセミロングの髪。身長は160cm後半で、垢抜けた美貌と凹凸のハッキリした体は、すれ違う男を一度は振り返らせるほどの色香を放っている。
白いブラウスにスタジャンを羽織り、肩にトートバッグを提げて、サキは冬も近いというのに太ももが露出した黒のスカートを穿いていた。
――幼稚園から高校までずっと一緒だった幼馴染。小学校を卒業するまで、彼女のことはただの幼馴染としか認識していなかった。ただ、中学生になった辺りから気持ちに変化が芽生え始め、高校生になった頃にはひとりの女の子として意識するようになった。
結局、3年間の高校生活で進展はなかったが、俺たちはふたりとも地方の同じ大学に進学した。学部こそ違えど今でも交流はたまにある。駅のホームで顔を合わせたり、教養科目の授業で一緒になったり、勇気を出して昼食に誘い、大学の食堂で飯を共にしたこともある。
しかし、小心者の俺はあと一歩をずっと踏み出せずにいた。そうしてあっという間に日々は過ぎ去り、気づいたら来月には大学生になって初めてのクリスマスだ。
俺は焦っていた。このままだと、サキが他の男に奪われてしまうのではないかと。
11月の中旬。キャンパス内ではカップルの姿が目立つようになり、否でも応でも恋人の存在を意識させられる日が続いた。サキが彼氏を作るのは時間の問題だろう。
もう、悶々と過ごす日々は終わりにしたい。だからこうして告白に踏み切った。
「――俺と付き合ってくれ!」
頭を下げ、手を差し出す。
俺たちは10年来の仲だ。少なくとも嫌われてはいないはずだし、家族ぐるみでも付き合いはある。サキならOKしてくれる、本気で俺はそう信じていた。
顔を上げ、サキの目を見つめる。だが――。
「うわぁ、マジか……」
困ったように苦笑いしながら、サキはこう続けた。
「ごめんね、峰くんとは付き合えないよ」
「そんな……」
ショックと羞恥で膝が崩れそうになるのを、奥歯を噛み締めて耐え抜く。震えながら問う。
「なんで駄目なんだ? 他に好きなやつがいるのか?」
サキは首を横に振った。
「ってわけじゃないけど……ほら、峰くんってチ……、背ちっちゃいし、一緒に歩いたりするの恥ずかしいなって。だから彼氏にするのはちょっと」
「っ……」
今の心境を一言で表現するなら絶望だった。
たしかに俺は背が低い。まだまだ伸びると信じたいところだが、少なくとも現状は160cm前半で、つまり、俺の目線はサキより下にある。
無意識に考えないようにしていたコンプレックスを、一番言われたくない相手から容赦なく暴かれ、
「あぁっッ……」
今度こそ耐え切れず、俺は地面に膝をついた。
「ご、ごめんね! けど、峰くんのこと嫌いじゃないから! 友達としてはすごく好きだし、これからも仲良くしたいっていうか……ほ、ほら、峰くん優しいし、私なんかより他にいい人が見つかると思うよ?」
取り繕うようにフォローを入れられるが、まるで救いにならなかった。優しいから――そんなの褒める箇所がない男を持ち上げるための定型句じゃないか。
「自分より背がちっちゃい子選びなよ。なんだったら私が紹介するからさ」
クソッ……クソッ!
なにが紹介するだよ。俺は他の誰でもない、サキのことが好きなのに。
悔しさで涙が滲むのを目頭で感じ取る。そんな俺を見て、サキは迷惑そうに顔を歪めた。
「ちょ、めんどくさっ……。チビで泣き虫とか救いようないんだけど」
声音から温かみが失われていく。俺を見下ろす表情は、冷厳なものへと豹変していた。
「サキ……?」
俺の知らない幼馴染がそこにいた。いつも明るく快活で、可愛らしさを振りまいていた女の子の面影はない。そこにいるのは、無慈悲な目を持つ冷徹な女だった。
「いやさ、私のこと気になってるのかなあっとは薄々気づいてたよ? 峰くん会うたびに胸とかジロジロ見てくるし。まあ、それだけなら他の男と変わんないから別にいいんだけど、チビのくせにガチで告ってくるとか……そういうの、コクハラって言うんだよ」
口を挟む隙もなく罵声を浴びせられる。侮蔑的な眼差しと共に吐き捨てられ、俺は言葉を失った。
「勘違いしないでね? 峰くんのこと嫌いじゃないのは本当なんだよ。ママたちも仲いいし、腐っても幼馴染だし。でも、だからこそ、死ぬほど迷惑」
「…………」
「心の中に秘めといてよ、そういうのは。こっちが気まずくなるじゃん」
「なんだよその言い方……俺はただ、サキのことが好きで……」
どうにか言葉を紡ぐが、それは逆効果だった。
「だから、それが迷惑だって言ってるの。普通に考えたら自分が恋愛対象にならないことぐらいわかるでしょ? 170cm以下の男とか、ふふっ、論外でしょ」
口元に手を当て、サキは鼻を鳴らした。
身長が低いと恋心を露わにすることすら許されないのか。
サキがこんな……こんな人間だったなんて……。
同じ街に生まれてから19年間――その間、俺が見ていたサキは彼女のほんの一部分でしかなかったらしい。
俺に向けてくれた笑顔が、記憶の中にある過去の出来事が、ガラスのように砕け散るイメージを脳内で見た。
「なんだよ……、なんだよそれ……」
「ああもう……めんどくさいな」
舌打ちに加え、サキは苛立たしげに髪を掻く。
はあ、と大きくため息を吐くと、煩わしそうにこちらを見据えた。
「じゃあ、お詫びってわけじゃないけど、1回だけタダでヤらせてあげるよ。それで今日のことは全部チャラ、お互いただの幼馴染に戻る。どう?」
「……は?」
今、サキはなんて言った?
「ヤらせるって……なにを」
反射的に聞き返す。するとサキは、極々当たり前のように言い切った。
「セックスに決まってるじゃん」
…………。
一瞬の間を置いて理解するが、返事が思いつかない。押し黙る俺に、サキは淡々と言った。
「ヤッたらそれで満足するよ。男の好意なんて9割性欲でしかないんだから。ピル飲んでるし、特別にナマナカでヤらせてあげる」
ナマナカ。聞き慣れない単語だったが、文脈で意味はわかった。
しかし、どうしてサキがそんな言葉を使うのか。
「まさか嫌とか言わないよね? 最高の思い出になってあげるからそれで妥協してよ。峰くんと友達でいたいのは、本当に本心だから」
冷淡さを孕んだ鋭い双瞳には、有無を言わせぬ威圧感がある。
一度きりのセックス。それで私のことは綺麗さっぱり諦めろ――サキの目はそう語っていた。
それはつまり、この申し出を受け入れてしまえば、俺の恋は確実に終わりを迎えるということ。未来永劫、サキと恋仲になることは叶わなくなる。
本格的に異性として意識し始めたのは思春期を迎えてからだが、多分、俺は物心ついた頃からずっとサキのことが好きだった。百年の恋には程遠いが、10年以上の恋ではある。そして長年想い続けた初恋でもある。
それを、こんな形で終わらせるのか……?
「悩んでないで早く決めてよ。私のアソコ、見たくないの?」
サキはスカートの裾を片手で摘まみ上げた。艶めかしい雪の太ももが面積を広げていく。その光景に、視線が釘付けになる。
「……っ!」
そして純白の下着が露わになった。股の部分が僅かに盛り上がった、フリルのついたパンツ。サキの陰部を連想させる輪郭がやけに生々しい。
「はい、終了」
ぱっと手が離され、スカートの裾は一瞬にして落ちた。
「ママとパパ、今夜は外食に行くって言ってた。今日はもう授業入れてないから、ヤるなら今からウチ来なよ。どうする?」
申し出を受け入れれば、サキと恋仲になることは叶わなくなる、か。
――馬鹿馬鹿しい。どの道、チビと一蹴された俺にチャンスなどないのだ。ならば、サキの言うように、最後に最高の思い出を作って華々しく散るのも悪くない。
あるいは、俺は恵まれている方なのかもしれない。恋は実らずとも、ずっと好きだった女の子と一度でも体を重ねられるのだから。
「……行く」
選択肢など、あってないようなものだった。