【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
その晩、夕飯を食べ終えた俺は、自室のベッドで寝転がりながらクリスマスのデートスポットを検索していた。
「イルミネーション。スケート。ベタに水族館なんてのもいいな」
指折り数えて、あれこれと妄想が膨らむ。ただ、悲しいことにバイトをしていない身分なので懐具合はやや心許ない。
俺はそれなりに恵まれた家庭で育っている。大学の学費は親が出してくれたし、日々の交通費や食費とは別に、交際費として月に3万円ほどの金も支給してもらっている。
学生のうちは息抜き程度の遊びと勉学に集中しなさい、という親父からのありがたい気遣いによって金銭的な面で苦労することはほとんどなかった。
だが、月末になると財布の薄さに悩むことはある。
というわけで、クリスマスと年末はなるべくお財布に優しい場所を選びたいところだ。月初には新たに小遣いが支給されるので、年始は神崎さんとパァッと羽目を外せる。
「うーん……」
しかし、デート費用の捻出を小遣いに頼る彼氏か。
冷静に自分を客観視すると、滑稽というか非常にダサい。バイトはしなくていいと言われているが、せめてデート代ぐらいは自分で稼ぐべきなんじゃないか。
日雇いとか短期バイトなら、社会経験と称すれば両親も反対はしないだろう。まあどの道、今からでは間に合わないので来年からの抱負になるが。
そんなことを考えながらスマホをいじっていると、ぴろんと軽快な音が鳴った。メッセージアプリの通知音である。
『大変なことになりました。夕飯時に申し訳ないのですが、大至急、ウチの最寄り駅まで来ていただけないでしょうか。なんでしたら、私がそちらに伺っても構いませんが』
メッセージの送り主は神崎さんだ。しかし、内容が漠然としていて要領を得ない。それぐらい状況がひっ迫しているということなのか。
今日大学で会ったときは特に変わった様子はなかったけど……。
なんにせよ、俺の中で神崎さんからの連絡を無視する選択肢はない。文に起こすのは面倒だったので、とりあえず電話をかける。
「えっ」
ワンコールで切られた。神崎さんが間違って切ってしまったのかと思い、折り返しの連絡を待つ。が、電話は来ない。代わりにメッセージが届く。
『すいません、今は出られないんです。とにかく会ってお話を』
やはり要領を得なかったが、考えていても仕方がない。こちらから向かう旨を伝え、身支度を整えて家を出た。
――そして現在。
神崎さんの家の最寄り駅に辿り着いた俺は、改札を抜けてから駅前をぐるりと見渡した。神崎さんらしき影はない、と思った矢先に背後から両目を塞がれた。
「だーれだ」
その声を聞いて、自分が騙されたことを悟る。
この声は――。
「お姉さん⁉」
「あったり~!」
解放されて振り向けば、そこには絶世の美女が立っていた。
亜麻色のロングヘアと大きな瞳。白いコートの下に体のラインが浮き彫りになったニットを着ていて、豊かなバストが窮屈そうに収まっている。下はスキニーデニムを穿いていた。
色気ダダ漏れの、超セクシーなお姉さん。
「神崎さんは……」
大方予想はつくが、わかっていながらも尋ねずにはいられない。
「ちょーっと用事があるらしくって。私が代わりに来たんだよん」
「嘘……ですよねそれ。俺がやり取りしてた相手は、そもそも最初からお姉さんだったんじゃないですか?」
睡眠薬かなにかで自由を奪ったあと、神崎さんの携帯から俺に連絡を取ったと考えるのが自然だ。これが自然な考えになること自体かなり異常だが、神崎さんの話を参照すると、この人は性のためなら他人の弁当に薬を混ぜることも厭わないような人間なのだ。
まあ、神崎さんも似たようなことをしていたので、この姉にしてあの妹ありといったところだが……。
「ありゃりゃ、ばれちゃったか」
てへっと戯けたように舌を出す。人によってはウザいだけの仕草だが、この人はそれを嫌味なくこなしてしまうのだから恐ろしい。
「なにが目的なんですか」
「それ聞いちゃう?」
「まあ、一応……」
「じーっ」
下半身に熱い視線を送られ、ごくりと唾を飲む。
「つまり、そういうことですか」
「うん!」
いい笑顔で即答されてしまった。
「君の穴になりたい! ぶっちゃけ一目惚れってやつ! 結婚を前提にセックスしてもいいぐらい!」
「俺は帰りますね。神崎さんによろしく伝えといてください」
「待って待って!」
お姉さんは身を翻した俺の腕に縋りついた。強引に引き留められる。
「ちょっとだけ! ねっ⁉ 先っちょだけでいいから! 1回お試しで!」
「無理ですよ……神崎さんから言われてるんです、お姉さんに会ったらすぐに逃げろって」
「もうひとりいた女の子ともエッチしてたじゃん! 君たち、どうせ爛れた関係性なんでしょう? ひとりぐらい増えても変わんないって」
どういう理屈だよ……。
「とにかく、無理なものは無理なんです。他を当たってください」
「ふうん……そういうこと言っちゃうんだあ……」
懇願するような態度から一転、お姉さんの声に挑発的な響きが混じる。
「……なんですか?」
「君が言うことを聞いてくれないなら、君たち3人の関係を大学とか両親に告げ口しちゃおうかなーって」
「――ッ」
絶句する俺を、お姉さんは嗜虐的に眺めた。美貌に浮かぶ妖しい笑みはまるで淫魔のようだ。
「困るよねえ、そうだよねえ。でも安心して、私を君たちの仲間に入れてくれれば秘密は守るからさっ」
「神崎さんの……、妹の尊厳を脅迫の道具に使うんですか!」
「女の子ふたりに中出しするような男に言われてもなぁ」
「それはでも……合意の上で」
「世の中ってのはね、事実よりも印象の方が大事なんだよーん」
もっともらしい台詞を口にしてウインクするお姉さん。
「それに脅迫なんかじゃないよ。私も気持ち良くなって君も気持ち良くなる、お互いウィンウィンな関係を築くための提案なんだから」
実際、こんな美女と肉体関係を持てるのは男にとって夢のような話ではある。だが、その結果として失うものが大きすぎる。具体的には神崎さんという最高の彼女を失うかもしれないので、割に合わないというのが実情だった。
ただ、俺はこの人のことを深く知らない。本当に俺たちの関係を吹聴しそうな危うさがあるのも、また事実ではある。
付き合っているのだから神崎さんとの肉体関係は最悪バレてもいいが、そこに何故か混ざっているサキの存在が話をややこしくしていた。
変な解釈をされて大学で噂になったり、親にこんな状況を知られたりしたら……。
クソッ……どうすれば……。
「ほらっ、エミには私から言っといてあげるから! 素直に受け入れて楽になっちゃえ!」
悩んでいるうちに、あれよあれよと話は進んでしまう。腕を強引に引っ張られ、俺は結局お姉さんの車に乗せられてしまった。