【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
「サキ!?」
「私もいますよ〜」
そしてさらに、ひょこっとサキの背中からエミちゃんが顔を出した。
サキにしては珍しく露出の少ない格好で、ストリート系のファッションに身を包んでいる。エミちゃんは長いスカートを履いて清楚な装いをしていた。
「どうしてふたりがここに……?」
偶然にしてはあまりにタイミングが良過ぎる。
「神崎さんが教えてくれたのよ、今日ここでふたりが落ち合うって話を!」
「ごめんなさい、リョウタくん。ひとりで来るのは寂しかったので、サキさんを連れて来ちゃいました。姉さんは撮影で空いてなくて」
なるほど、サキがいる理由には納得した。ただ、エミちゃんの回答でまた新たな疑問が浮かぶ。
「なにしに来たの……?」
「また面白いものを見れるんじゃないかと思いまして」
「あー、この前笑ってたもんね」
初めて進藤と邂逅した日のことを思い出す。サキに罵倒された進藤を見て、エミちゃんは笑いを堪え切れずにトイレに駆け込んでいた。今回もその展開が見られると期待したのだろう。
動機についても把握した。残る疑問はあとひとつ、最大にして一番の謎に俺は切り込む。
「で――なんでエミちゃんが今日のこと知ってるの? 俺、言ってなくない?」
サキにこの話が漏れると邪魔される恐れがあったから、今日のことは進藤以外、誰にも伝えていなかった。それなのに、ごく当たり前のように情報を把握されている。
なぜ?
「だってリョウタくん、スマホにロックかけてないじゃないですか。バレンタインの日、寝てるときにこっそり浮気のチェックをしていたら、今日についてのやり取りを見つけたので」
舌を出してお茶目な表情を浮かべるエミちゃん。
可愛いなぁ……じゃない!
「――怖いよ!」
俺のプライバシーはどこにいった!?
「まあまあ。いいじゃないですか、今はそんなこと」
そんな軽く流していい問題なのか……?
「それより、です。……私としてはあちらの方が気になりますね」
エミちゃんに耳打ちされ、視線を横に移す。そこではサキと進藤が睨み合っていた。
「ひ、久しぶりだな、サキ」
平静を装いながら、進藤はぎこちない笑顔を作る。
「峰くんの隣に行ってよ? 私と神崎さんがそっち座るから」
「いいだろう」
サキに促され、進藤はこっち側の椅子に移動する。
――え、なにこの流れ。
このメンツで席を一緒にする感じなのか?
俺が困惑しているうちに、他の3人は左右に分かれた。俺の隣に進藤が、正面にエミちゃんが、斜めにサキが腰を落ち着かせる。ピンポーンと呼び出しボタンを押して、前のふたりが店員にドリンクバーを注文して席を立つ。
「……おい、峰川。サキはわかるが、もうひとりのあの子は誰だ? 可愛い子じゃないか」
ふたりが飲み物を取りに行っている間、進藤が俺の耳元で声を潜めた。
「俺の彼女だよ」
「それは現在進行系でか?」
「ああ」
「いやでも……お前、ついこの前サキとセックスしてただろ。あんな可愛い彼女がいるのに、浮気なんかして大丈夫なのか?」
「浮気じゃない。言っただろ、サキと俺の間に恋愛感情はないって」
「感情の話じゃないだろ。現にセックスまでしてるわけだし」
「問題ないよ。彼女公認だから」
「なんだと……?」
見開かれた瞳が唖然に揺れ動く。
「お、お前ら……まともじゃないぞ……?」
やっぱりそうだよな……この巨根狂いにそれを言われると、いよいよ自分たちが異常なのだと痛感させられる。
グラスを持ったふたりが再着席。最初に沈黙を破ったのはエミちゃんだった。
「初めまして、ですよね。私は神崎エミです」
微笑みと共に丁寧に挨拶をするエミちゃんに、進藤は圧倒されたように背筋を正した。
「あ、ああ。進藤ツトムだ」
「いつもリョウタくんがお世話になってます」
「なに、気にするな。弟子として当然のことをしたまでだ」
注釈しておくが、俺が進藤にお世話になったことは一度もない。
エミちゃんはにっこり笑いつつ、進藤に手を差し出した。
「私とも仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いしますね」
「よろしく」
握手を交わすふたりを前にして複雑な気分になった。進藤は変人だが、一丁前に面は良い男だ。以前このファミレスで進藤の写真を見たエミちゃんが「イケメン」と口にしていたのを思い出し、胸の奥がざわっとする。
――面白くない。
嫉妬と一言でまとめていいと思うが……そう、そんなふうに妬いていた矢先だった。
にまぁぁっと、エミちゃんが口角を上げた。進藤に惚れた顔――などでは断じてない。だって、顔こそ進藤の方を向いているが、その眼差しはしっかりと俺を捕らえていたのだから。
企みが成功したような満足げな表情。それで察した。
また俺を煽ったのか……!
自分はバレンタインの義理チョコ程度で嫉妬を爆発させるくせに、俺には平気でやきもちを焼かせる。
……本当に可愛い彼女だ。
「初対面の自己紹介が済んだところで――」
ふたりの握手が離れると、仕切り直すようにサキがぱちんと手を叩いた。
「進藤くん。途中からしか聞いてなかったけど、私はあなたの心意気を高く評価してるのよ!」
そういえば、感心した様子で会話に割り込んできたのが始まりだったな。
てか、なんで上から目線なんだ、サキのやつは。
「巨根、つまりデカチンポに憧れる気持ちはよくわかる。私もそれに魅了された者のひとりとして」
横のエミちゃんが「うんうん」と首を縦に振っている。
「あなたのこと、ストーカーみたいで気持ち悪いと思ってたけど、私に未練なさそうだし友達ぐらいにはなってあげる! デカチンポを愛する者同士、これからは仲良くしましょ?」
サキは手を差し出した。その手を、進藤はじっと見下ろしている。
あれだけこっぴどく言われたにも関わらず、急に寄り添われては混乱するのも無理はない。案の定、進藤の口から拒絶が発せられた。
「友達だと? 笑わせるな。お前からの侮蔑は今でも夢に見るんだ。友好的な関係を望むなら、まずは謝罪するのが筋というものだろう」
握手を拒むように腕を組む進藤に、サキはムッと眉を寄せた。
「本当のこと言っただけじゃない。ミニチンポにミニチンポって言ってなにが悪いのよ」
「……貴様、俺に喧嘩を売りに来たのか? 女だからって殴られないと思ったら大間違いだぞ」
「ミニチンポぶら下げながら凄まれても怖くありませーん。ネトスト男のくせに」
「ストーカーじゃない。お前が一方的に消えたから連絡を取ろうとしただけだ」
「つまり未練があったわけでしょ? 私に執着してたことに変わりないじゃん。飾りぐらいにはしてあげるから、素直に受け入れればいいのに」
「飾り……!?」
売り言葉に買い言葉、視線の交わる中間地点で激しく火花が飛び散る。
「ふざけるな! お前のようなヤリマン女と誰が友人になるものか!」
「はぁっん……!?」
椅子を乱暴に引く音がふたつ鳴り、テーブルに手をついてふたりは立ち上がる。
周囲の客は何事かと一斉に振り返った。
「おい、その辺にしとけって……」
なんとなく既視感のある光景だ。俺は仲裁に入った。
「そうですよ。他のお客さんに迷惑です」
発言自体は真っ当な指摘だが、エミちゃんの声にはどこか愉快な色が混じっている。意外と加虐性を秘めていたりするのだろうか、ウチの彼女は。
「あったま来た……!」
俺たちの仲裁も虚しく、ふたりの言い争いは加熱していく。
「ヤリマンのなにが悪いわけ!? 他人から求められてる分、粗チン早漏ナルシストのあんたより何倍もマシだと思うんですけど!?」
「ただの穴モテだろうが! 誰にでもケツを振る尻軽女め!」
「その尻軽に腰ヘコヘコ振ってたのはどこの誰よっ!? あー、マジであのとき『無』だったなぁっ! 進藤くん、ほんとに男? 実は女で、アレって勃起したクリトリスだったりしてね! なら納得!」
「お前の膣がガバガバだったんだろ!? ああそうだ、そうに決まってる。俺は短小なんかじゃなかった! 全部お前の膣が悪い!」
「――あの、お客様」
あまりの事態に見兼ねたようで、近くを通りかかったウェイトレスに声をかけられた。見覚えがあると思ったら、以前ここで騒動を起こしたときに対応してくれた店員さんだった。
「なによ!?」「なんだよ!?」
「その、大変申し上げ難いのですが……お会計は結構ですのでご退店願えますでしょうか……」
店員さんが気まずそうに言う。周りを見渡すと、苦笑いだったり嘲笑だったりと、奇異の目に晒されているのがわかった。
「それと、今後この店には立ち入らないようにと店長が……」
店員さんが視線をやった先、レジの奥に青筋を浮かべた中年男性の姿がある。ゴゴゴと擬音が聞こえてきそうなほど、剣呑なオーラを身にまとっている。
――要するに、出禁というやつらしい。
俺たち4人は、追い出されるようにファミレスをあとにした。