【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
エスカレーターで2階に上がり、俺たちは水着コーナーのあるブティックへと向かった。
店内には夏を思わせる水着が並んでいて、当然というか、お客さんの大半は女性だ。
……居心地が悪い。進藤がいてくれたら心強かったけど、今日は予定があるらしく男は俺ひとりだった。
女性陣は早速ハンガーラックを漁り始めた。
サキとお姉さんは、同じデザインのワインレッドのビキニを手に取ると、服の上にそれを重ねた。
「峰くん見て見て! どう?」
「勃ちそう?」
「さ、さぁ……」
ふたりに問われ、俺は誤魔化すようにそっぽを向く。
近くではエミちゃんが見ている。余計なことを言えば、思わぬ矢が飛んでくる可能性もある。
「釣れないなー。まっ、いいや。どうせ現物見たらおっ勃てるんだし」
「下半身は嘘つけないからね~」
「シズクさん、あっちも見に行きましょ!」
「おっけ~」
サキとお姉さんが揃って向かいのコーナーに移動していく。
一方、キョウカ先輩は胸元にフリルのかかった露出控えめな水着を体の上に重ねていた。
「あたしはこれかな。どう思う? 峰川くんは」
「なんでみんな俺に聞くんすか……」
「君しか男いないし」
「男のために着るもんなんですか? 水着って」
お洒落している女性がネイルだの整形だのと揶揄されたとき、これは自分のためにやっていることだから男ウケとか気にしてないと弁明することがあるけど、キョウカ先輩はその部類には当て嵌まらないのだろうか。
「海で着るやつだしね。狩り場に出向くんだから武器は吟味しないと」
「逆ナンでもするつもりですか……」
「適当なカップル見つけてちょっかい出そうかなーって」
ナンパより質が悪い。キョウカ先輩の毒牙にかからないよう、この夏はエミちゃんとの結束を強く保たなければ!
「キョウカ先輩ならなんでも似合いますよ。お好きにどうぞ」
適当にいなして、俺はエミちゃんに意識を向ける。エミちゃんは顎に手を当てて、マネキンの横に吊るされた水着を見上げていた。
「良さそうなのあった?」
「うーん。リョウタくんの意見が聞きたいところですね」
「じゃあ……これとか」
飾ってある中からぱっと似合いそうなのを選び、それを指差す。
スカートみたいな布とセットになった、淡い水色のビキニだ。
目を閉じると、それを着たエミちゃんが脳内に浮かび上がる。波打ち際で微笑みながら、迫る水飛沫に手を翳していて――。
そんな妄想に耽っていると、エミちゃんに脇腹を小突かれた。
「――リョウタくん。今、すっごく情けない顔をしてましたよ?」
「ごめんごめん、ちょっと考え事してて。それよりどう? めっちゃ似合うと思うけど!」
「水色ですか」
「とりあえず合わせてみたら?」
水着だから試着というわけにはいかないけど、重ねるだけならみんなやっている。
「ふむふむ」
俺の提案に、しかしエミちゃんは水着から目を離した。そして観察するように、じーっと俺のことを眺め始めた。
えっ。なに……?
「エミちゃん?」
謎の間に耐え兼ねた俺は、窺うように声をかける。すると、その口元が弧を描いた。
「これにしようと思います」
「えっ。試さなくていいの?」
「やたらと薦めますね。見たいんですか?」
「そりゃ……」
「では、当日までお預けです♡」
水着を持ったエミちゃんが、俺を挑発するように片目を閉じる。
……ああ、またこれだ。
俺を焦らして楽しむ、小悪魔モードのエミちゃん。
「殺生なことするなぁ……」
「たくさん欲求不満になってくださいね♡ その分、反発を期待してますからっ」
彼氏彼女という関係性でも、完全に主導権を握られている俺であった。
当日までお預け、か。期待が膨らむ一方で、それを人質に取られたような気分だ。
海に行くまで、俺はこの焦らされた状態を維持しなければいけないらしい。……拷問である。
「ふふっ♡」
エミちゃんは心底楽しそうだ。
俺が内心で呆れていると、背後から賑やかな声がした。
「お待たせ〜」
「そっちは決まった?」
サキとお姉さんが、それぞれ水着を片手に戻ってきた。
サキが持っているのは、先ほど見せびらかしていたワインレッドのビキニ。そしてお姉さんが持っているのは、サキが選んだやつと同じデザインの黒ビキニだ。
色違いのお揃いにしたらしい。
赤と黒。巨乳と爆乳。
……なんとなくだが、ディープな雰囲気がある。
このふたりが並んで砂浜を歩いていたら、さぞかし目を引くことだろう。
「私は大丈夫。姫野先輩は――」
お姉さんの問いに応じたエミちゃんが、最後のひとりを探そうと店内を見渡す。
キョウカ先輩は、全身鏡の前で自分の水着姿をチェックしていた。4人で先輩のもとに向かう。
「先輩は決まりました?」
「やっぱりこれかな」
キョウカ先輩が掲げたのは、最初に俺に意見を求めてきた胸元にフリルがついたタイプの水着だった。
「結局それにしたんですね」
「まあ、ここは無難なところで。あんまり気合入れ過ぎてもね」
――というわけで、女性陣各々の水着が決定した。
サキとお姉さんは露出大のアダルトなビキニ。
キョウカ先輩は胸元にフリルがついたタイプの、やや控えめな白ビキニ。
そしてエミちゃんは、パレオとセットの淡い水色のビキニ。
サキ、キョウカ先輩、お姉さんとエミちゃんの順で会計を済まして、俺たちは水着売り場をあとにした。
ショッピングモールの中央通路に出ると、今度はみんなで和服ショップに向かう。その道すがら、先を歩いていたサキが思い出したように俺の方を振り返った。
「そういえば、峰くんは水着いいの? さっきから見てるだけだけど」
「俺はいいよ。家に海パンあったし」
いつ買ったのかも覚えていない海パンがタンスに入っていた。少しぐらい小さくてもゴムで伸びるだろうし、それで十分だろう。
「デカチンポくんはもちろんブーメランでしょ?」
「はい?」
ぶーめらん? 投げて遊ぶ……?
お姉さんの発言に首を傾げていると、サキが「あはは!」とおかしそうに手を叩いた。
「たしかに! 峰くんに絶対似合うよ! 世界一ブーメランが似合う男かも!」
ブーメランが似合う?
どういうことだ。話が掴めなくて困惑していると、ニヤニヤ顔のキョウカ先輩から肩を叩かれた。
「水着の種類の話だよ」
トランクス的な名称のことを言っていたのか。初めて聞いたかもしれない。
「調べてみなよ」
「はあ」
キョウカ先輩に相槌を打ちながらスマホでチェック。『ブーメラン 水着』と入力して画像検索をタップする。
ヒットしたのはビキニのように――いや、ビキニよりも布面積が少ない、競泳選手が身につけるような水着だった。
V字に切り込まれた、股間に密着するタイプの水着。
俺がこれを……?
「着れるわけない!」
「あっはは! 反応ウケる!」
「絶対デカチンポくんに似合うのになー」
お姉さんといいサキといい、このふたりはいつも俺をオモチャにして……。
こんなとき、進藤がいてくれたら矢面を分散できたのにな。
一連のやり取りを、隣でクスクス笑いながら聞いていたエミちゃんが囁くように言った。
「リョウタくんのブーメラン姿、楽しみです」
「エミちゃんまで……! 着ないから!」
「まあ、脱ぎやすい形状ならどんな水着でも大丈夫ですよ♡」
「いやいや、脱がないからね?」
「え?」
「えっ……?」
不穏な会話をしているうちに和服ショップの前に到着する。
店に入り、俺たちは各々浴衣を見繕った。そんなに値が張る物でもなかったから、せっかくなので俺も甚平を購入することに。
余談だが、浴衣を選ぶ際にもエミちゃんは衣装合わせの姿を見せてはくれなかった。水着と同様に、当日になってからのお楽しみということらしい。
夏への期待は募るばかりだった。
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