【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
砂浜の上にレジャーシートを広げて、パラソルを斜めに立てて日陰を作る。風で飛んでいかないように重りを置いて完成だ。
女性陣が来るまで特にすることもないので、俺は何気なく裸足になって砂浜の上に立った。
眼前に広がるのは、抜けるような青空と見渡す限りの海。じんわりとした砂の熱が足裏から伝わってくる。
素足で砂を踏んだのって、最後はいつだったっけな。たぶん、公園で遊び回っていた幼少期まで遡ることになると思う。
大人になっていくにつれて、こういう自然体験はどんどん遠い存在になっている。
ちょっとセンチメンタルな気分になりながら、俺は風を感じるように腕を大の字に広げた。
「なにしてんだ?」
「自然を感じてる」
「男のスピは結構キツいぞ……。洒落ならやめとけ、引かれるから」
パラソルの下であぐらを掻いていた進藤が呆れたような眼差しをこちらに向けている。
自然を堪能するだけでスピリチュアル扱いされるとは。感受性の乏しいやつめ。
と、その瞬間だった。
「やっほー」
「お待たせ〜」
やや遠くから、サキとお姉さんの声が同時に聞こえてきた。
振り返って、最初に目に入ったのは巨大なリンゴだ。真っ赤なビキニに覆われたサキの乳房が、こぼれ落ちそうに暴れている。よく見ると髪型も変わっていて、サキにしては珍しくツインテールにしている。海に濡れてもいいようにしたのだろう。
次に目を引かれたのはお姉さんの黒ビキニだ。歩くたびに胸がバインバインと揺れていて、すれ違う男たちの視線を根こそぎ奪っている。お姉さんも先ほどまでとは違う髪型をしていて、長い後ろ髪をお団子っぽくまとめていた。
……素直に眼福だ。ふたりとも、髪型を変えるだけでこんなにも印象が変わるのか。
「どうよ! 似合ってるでしょー?」
サキは合流するなり、腕を頭の後ろに回したポーズを取って谷間を突き出すように腰を屈めた。
「まあ……、それは否定しない」
「勃起した?」
「しないから」
勃たせろ、と言われればできるぐらいの威力はある。が、猿じゃあるまいし、理性で留められる範疇だ。
「私も感想欲しいなー、デカチンポくんの」
「……綺麗だと思います」
「照れちゃって。可愛いのー♡」
「んむっ!」
そっぽを向いたのが良くなかった。
視線を外した途端、体を引っ張られてほっぺたに至福の感触が宿る。谷間に抱き込まれ、俺はおっぱいの中で窒息しそうになった。
「――姉さん。私のリョウタくんをオモチャにしないで」
エミちゃんの声!?
「来るの早いよー。飲み物買いに行ったんじゃないの?」
「姫野先輩にお任せしました」
早くこのおっぱい地獄から抜け出さないとエミちゃんの機嫌を損ねてしまうかもしれない。
俺は強めに体を捻って、「ぷはぁっ」と、水面から顔を出すみたいに谷間から抜け出す。
「――ッ!!」
顔を上げるとそこには、ビーチバックを携えたエミちゃんが立っていた。
水色のビキニに、パレオのスリットから覗く真っ白な太もも。普段は前髪を下ろしているのに、今日は大胆におでこを晒した無造作風のボブになっている。
「どうですか? 私の水着は。似合ってますか?」
俺のもとに天使が舞い降りた。
「かっっわぃぃぃ~っ!」
年甲斐もなく、俺は叫んでしまった。
「エミちゃんマジ天使! さすが俺の彼女!」
「えらいですよ、リョウタくん。ちゃんと言いつけ通り私を一番に褒めて」
「言いつけとか関係ないって! 海来て良かった〜!」
ずっとエミちゃんの水着姿を妄想していたから破壊力が凄まじい。思わずその場で足踏みしてしまうほどだ。
「もっと褒めてくれてもいいんですよっ♡」
微笑む顔も強力だった。
「私の方がおっぱい大きいのになー」
「ねー」
俺たちのやり取りを横で見ていたサキとお姉さんが、同調するように肩を竦め合う。
「クソ……峰川ばっかり……」
パラソルの下で、進藤が恨めしそうにこちらを見ていた。
「いいさ! 俺だって今日中に彼女作ってやるから!」
「やめときなって。よしんば付き合えても、ミニポで萎えられるのがオチだよ。自分から傷を作りに行くことはないって」
「うるせえ! 今に見てろよ……!」
サキに煽られ、意気揚々と立ち上がった進藤は更衣室がある方へと消えていった。
あいつ、出待ちでもするつもりだろうか……。
まあ、あのルックスなら通報されることはないだろうけど。
「――あれ、ミニポくんどこ行ったの?」
遠ざかっていく進藤の背中を眺めながら、入れ替わる形でキョウカ先輩が合流した。
胸元がフリルで隠された白色のビキニに、上からパーカーみたいな薄着を羽織っている。他の女性陣に比べて肉感はあまりないけど、繊細な脚がセクシーさを醸し出していた。
髪はバイトのときみたいに一本に結んでいる。
「ナンパしに行きました」
「えー。だったらあたしも一緒に行きたかったのに」
男女でナンパしに行くとか文脈が破綻している気もするが、キョウカ先輩ならさもありなんか。
「適当に買ってきたから好きなの持ってってね」
そう言って、キョウカ先輩は抱えていた缶をレジャーシートの上に置いた。
ちょっと歩いた先に海の家があったから、そこで買ってきたのかな。宿には夕方にチェックインだから、昼飯は海の家で食うことになると思う。
「あっ、そういえばスイカとかも売ってたよ。目隠しと棒もセットで」
ほう。スイカ割りをしろと言わんばかりのラインナップだ。
「用意がいいですね」
「でも、そうやって用意されると買いたくなくなるよね。ビジネス臭が透けて見えると言うか、下に見られてる感じがして」
捻くれてるなぁ……。
「そんなこと思うのはキョウカ先輩だけですよ……」
なにはともあれ、これで全員揃った。
進藤は当分戻ってこないだろうし、男ひとりになった今、ここは俺が場を取り仕切るべきだろう。お姉さんばかりに頼っていられない。
海に来たならまずは――。
「どうします? とりあえず、ひと泳ぎしちゃいますか!」
気合を入れてみんなに提案すると、
「馬鹿だなー、峰川くんは」
しかし、それは間延びした声に遮られてしまった。キョウカ先輩である。
「泳ぎたくて海に来る人なんて1割もいないって。海に来る人なんて、ナンパ目的の男かナンパ待ちの女ばかりなんだから。あとは見せつけたいカップルとか、水着を着たいだけの女とか。なんにせよ、みんな本音を隠してる、海水浴っていう建前の裏にね。だから、海で泳ぐとか子供のすることで――」
ネガティブ屁理屈を垂れていたキョウカ先輩の言葉が途中で止まる。俺たちに構わず、サキとお姉さんが砂浜を走り出したからだ。
「夏だー!」
「海だー!」
波打ち際に立ったふたりは、見渡す限りの海に向かって叫びを上げる。そして、『せーの!』と息を合わせるように目配せすると、
「「セックスだー!」」
人目も憚らずに再び叫ぶ。
あのふたり、マジでいつか捕まると思う。
「よーし! 泳ぐよサっちゃん!」
「はーい!」
子供のようにはしゃぐふたりを前に、キョウカ先輩はポカーンとした表情を浮かべていた。
「あたしって荒んでるのかな」
それに対し、エミちゃんがぴしゃりと言い放つ。
「今さらですか。姫野先輩は昔から荒んでますよ」
「ズバッと言うなー、神崎ちゃんは。あたしだって傷つくこともあるんだよ?」
「だとして、散々過去に人を傷つけてるんですから文句は言えないでしょう」
「人聞き悪いなぁ。ちょっかい出してるだけなのに」
「悪女への憧れでもあるんですか、姫野先輩は……」
「なわけないでしょ。好きでやってることだよ」
それはそれでどうなんだ……。
エミちゃんが処置なしとばかりに肩を落とす。俺も同感だった。
「じゃ、あたしはその辺ぶらぶらしてくるよ。そろそろ人も増えてくる頃だろうし。またあとでねー」
狩人の目を宿しながらシニカルに笑うと、キョウカ先輩も進藤が歩んでいった方に消えていった。
みんな勝手に独断行動ばかりして……。
せっかくグループで来たんだから、もっとこう、ビーチバレー的な集団で楽しめることをしたかったのに。事前に細部を詰めなかった、予定の甘さが原因ではあるけれど。
「リョウタくん」
「ん?」
「海もいいですけど、その前にひとつ大切なことがあります」
なんだろう?
「海といえば、まずはこれですよ」
ビーチバックからプラスチック容器を取り出すエミちゃん。
「なにそれ?」
「日焼け止めオイルです。塗ってくださいっ」
ぐはっ。まさかそう来るとは。
たしかに日差しは刺すように強い。女性にとっては必需品だろう。
「でも、こういうのって更衣室で塗ってくるものなんじゃ」
「他の3人はそうしてますよ。ただ、私はリョウタくんに塗ってもらいたくて」
「めちゃくちゃ人通りあるけど……ここで?」
「はい。ちょっと興奮しちゃいますね♡」
「…………」
油断すると忘れそうになるけど、エミちゃんもエミちゃんで大概でおかしいんだよなぁ……。
ただ、彼女の頼みを断れるはずもなく、
「わかった。わかりましたよ……」
なんだかんだで流されてしまう俺なのであった。