【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
バーベキューが終わったあと、俺たちは着替えを取りに一度客室へと戻り、そのまま大浴場に移動した。
女性陣4人は女湯と書かれた赤い暖簾の向こうへ、きゃいきゃいと騒ぎながら消えていく。
「俺たちも行くか」
「おう」
進藤と共に男湯と書かれた紺色の暖簾をくぐる。
脱衣所のカゴに脱いだ服を放り込み、タオル1枚の姿になる。
チラチラとこちらの様子を窺いながら、進藤は不自然な角度で体を捻ってタオルを巻いた。まるで秘宝でも守るような必死さだ。
「誰も見ないって……」
俺は呆れてため息を吐いた。
ガラス戸を開けると、もわりとした湯気が立ち込める。見たところ先客は老人ふたりのみで、ほぼ貸し切り状態だ。
まずは洗い場に向かう。ただ、隣の進藤がやたら遅い。タオルを股間に押し当てたまま、カニのような歩き方で進んでいる。
「いつまで隠してんだよ」
「うっせ。エチケットだよエチケット」
「もういいだろそれ。別に馬鹿にしたりないから観念しろって」
「お前のその怪物と横並びになる俺の身にもなれ」
結局、進藤は最後までガードを崩さなかった。
洗い場に並んで腰を下ろす。シャワーで汗を流し、備えつけのシャンプーを泡立てて髪を洗う。石鹸が肩に染みてピリッとした感覚が走った。海で予想以上に日焼けしてしまったのかもしれない。
体を清め、いざ湯舟へ。
進藤は立ち上がる瞬間も即座にタオルを腰に巻いた。
徹底してるな……。そこまで隠されると、そっちの気があるわけでもないのに興味が湧いてしまう。
進藤はカニ歩きスタイルを継続したまま、俺に秘部を見られないよう背中を向けつつ湯の中へと体を沈めていった。
「「はあぁぁぁ……っ」」
肩まで浸かると情けない声が漏れた。
1日の疲労が溶け出していく――と同時に、肌に刺激が走る。やはり日焼けしているらしい。
「ちょっと沁みるなこれ……。焼けたかも」
湯の中で自分の腕を見る。薄っすらと赤くなっている。そのついでにお湯越しに進藤の股間を注視してみるが、屈折が酷くて鮮明には見えなかった。
「……峰川」
「ん」
「お前もよくやるよな」
湯船の縁に背中を預けて、進藤はボーッと天井を見上げた。
「あんな化物たちを制御できるのは、たぶん世界で峰川だけだよ」
「できてないけどな。振り回されてばかりだし」
「それでもだよ。まあ、なんだ。頑張れよ」
なぜか応援されてしまった。現状エミちゃんとは円満だから頑張ることは特にないんだけど。
「悪いが俺は、一足先に一般人に戻る。明日には彼女を作るからな」
「まるで俺たちが一般人じゃないみたいな言い方だな。えっ……てか彼女? 連絡先交換しただけじゃないの?」
「実は明日、海で会う約束を取りつけてる。祭りは夕方からだしな。それまで俺はまた海に行ってくるよ」
「ふーん」
明日の夕方までこれといった予定はない。エミちゃんと近くを散歩するもよし、部屋でダラダラ過ごすもよし。
祭りの時間まで、俺はのんびりと余暇を楽しむつもりだ。進藤はその間、海に行ってくるらしい。
「成就するといいな」
「ありがとな、師匠」
「思い出したようにその呼び方するのやめろよ……」
「ははっ」
ペニスにコンプレックスを抱えてるのは相変わらずだけど、なんだかんだで進藤とはいい友人になれた気がする。
ルックスはS級の男だ。サキはああ言っていたけど、常識の通用しない異世界じゃあるまいし、女性がみんなチンポに重きを置いているはずもない。
会う約束をしているというその女性と上手く行くよう、俺は内心で健闘を祈った。
*
芯まで温まって満足したら、脱衣所で旅館の浴衣に着替えて歯磨きを済ませる。浴場前の共有ロビーに戻り、ソファに座ってスマホをいじりながら女性陣が戻ってくるのを待つ。
しばらくすると、暖簾の向こうから賑やかな話し声が。
「いい湯だったねー!」
「ですねー!」
お姉さんとサキが談笑しながら顔を出した。4人とも旅館の浴衣を着ていて、風呂上がりなのも相まって妙に色っぽく見える。
ソファーに座る俺を見つけると、エミちゃんが小走りで近づいてきた。
「お待たせしました」
「全然待ってないよ。ゆっくりできた?」
「はい。お肌すべすべです! リョウタくんがオイル塗ってくれたおかげですねっ♡」
日焼け止めに美肌効果なんてあるのだろうか……。
まあ、あるということにしておこう。
エミちゃんの機嫌がいいのは良いことだし。
「はいはい、イチャつくのは部屋に戻ってからね」
お姉さんに茶化され、俺たちは客室へ。
部屋に戻ると、すでに6人分の布団が綺麗に並べられていた。
「おっ! いいねこの合宿感!」
サキが上機嫌に跳ねる。
「大勢で寝るのって修学旅行以来かも」
「俺もっすね」
キョウカ先輩と進藤が浮足立ったような声で話している。俺を含めた他の4人はそれこそ年初にみんなで寝ているため、そんなに新鮮味は感じなかった。
「ちょっと緊張するなー」
「なに言ってるんですか。ただ寝るだけでしょうに」
「そっ?」
「そうですよ」
最初こそ共同部屋でびっくりしたが、今は逆にその方が良かったのではないかと思っている。下手に男女で部屋が分かれていたら、夜中に誰かが夜這いをかけてくる可能性があるから。
エミちゃん。サキ。キョウカ先輩。お姉さん。
この面子だとマジで誰が来ても驚かないな……。
それを考えると、全員の監視下にあるこの大部屋は俺の貞操を守るための要塞となり得る……はずだ。
「布団どうするー?」
サキの問いかけにエミちゃんが一目散に声を発した。
「私はリョウタくんの隣です! 絶対に譲りません!」
場所決めでエミちゃんが彼女特権を発動する。
というわけで、壁際から俺、エミちゃん、お姉さん、サキ、キョウカ先輩、進藤という並び順になった。
「どうする? 明日はのんびりできるし、夜更かしでもしちゃう?」
「賛成賛成! 枕投げとかしましょ!」
サキとお姉さんがワイワイ盛り上がる。それを盛り下げるようで悪いが、俺は注意することにした。
「他のお客さんに迷惑だろ。枕だってホテルの備品だし」
「峰くんって変なところで常識人ぶるよね。中出しとか青姦は平気でするのにさ」
「青姦……?」
進藤が信じられないような目でこちらを見ている。かつてサキと青姦していたことも、本日エミちゃんと青姦したことも進藤は知らない。初耳ならドン引きしても無理はないか。
「どっちも求められてやってることだし……。俺だけがおかしいわけじゃないだろ」
「子供の理屈だね。まあいいや、枕投げが駄目なら――」
サキがリモコンを操作して部屋の電球をオフにした。暗闇になった途端、スマホのライトを点けて自信の顔を照らす。
「夏だしさ。怪談話とかしちゃう?」
ガサッと俺の隣で衣擦れの音が鳴る。エミちゃんだろうか。
サキはすぐに部屋の電気を点け直した。
「私、とっておきのがあるよ」
「結構です……!」
エミちゃんが猛烈な勢いで布団に包まる。
意外な弱点発見だ。遊園地とかに行く機会があったらお化け屋敷に連れ込んでみよう。
ともあれ、この場でその弱点を見逃すハイエナたちではない。エミちゃんの様子を目の当たりにして、サキとキョウカ先輩の目つきが鋭くなった。
「へえ。神崎さんって怖い話苦手なんだ」
「あたし、ホラーには一家言あるよ。たくさん聞かせてあげるね」
ふたりが蛇のようにエミちゃんの布団へと滑り込む。
サキはニヤリと笑って声を潜めた。
「今日の海でさ……水平線に白いのがプカプカ浮いてたの覚えてる?」
「なんの話ですか……!」
「最初はビニール袋かなって思ったんだけど……波に揺れるたび、手みたいに指が開いてたんだよね。でさ、夕方帰るときに軽く見てみたらぁぁぁぁ――」
「ひぃっ……!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
大袈裟な身振りと声のトーンに脅かされ、エミちゃんは布団から這い出て俺の体にダイブした。ブルブル震える小さな体を胸の中で受け止める。
小動物みたいだ。かわええ……。
あれ。でも今、もうひとつ他の悲鳴が聞こえたような。
そこで俺は、気になる光景を視線の先に捉えた。
「……ッ」
唐突な雷に怯えるかのように、お姉さんは耳を塞いでギュッと目を瞑っている。
「あははっ。お姉さんも怖い話とか駄目なんですか?」
「っ……! ま、まさかーっ。余裕だよ余裕、ぜーんぜん余裕!」
全く余裕じゃなそうだ。姉妹揃ってホラーが苦手とは。血は中々争えない。
俺は手元のエミちゃんを宥めるように擦った。
「大丈夫大丈夫」
「で、でも……なんか押し入れとか急に怖くて感じてきて……」
布団などが収納されていたであろう押し入れを指差すエミちゃん。
たしかに、和室の押し入れって独特のホラー味はあるけど。
「なにも出ないって。出たとしても、俺のでかちんぽで追い払ってあげるから」
「意味がわかりませんっ……!」
エミちゃんの好きそうなジョークで笑いを誘うつもりだったのだが、逆に怒られてしまった。
「わ、私はもう眠いので……! 皆さん明日に備えて寝ましょう……!」
エミちゃんが裏返った声で強引に会話を打ち切った。顔を真っ青にして、逃げ込むように頭から布団を被ってしまう。
「あんたらは好きにやってくれ。俺は寝る。明日は朝から忙しいんだ」
進藤も、興味なさげに背を向けて布団に入った。
「まっ、泊まりは明日の夜もあるしね。今日は早めに寝よっか……!」
お姉さんが場を締める。明るく振る舞ってはいるが、その笑顔は引き攣っていた。これ幸いとばかりに話を終わらせたいのが透けて見える。
「ちぇーっ、シズクさんまで。みんな釣れないのー」
「まあ、無理強いしても楽しくないしね。しゃーなしだ」
サキに同調するようにキョウカ先輩が肩を竦める。
多数決的に会談は中断の方向へ。
スマホを充電器に繋いだり、トイレに行ったりと各々が就寝の準備を始める。俺も枕元のコンセントにケーブルを差し込み、自分の布団へと潜り込んだ。
「じゃあ電気消すよ。おやすみー」
サキの声を最後に電球が落ちる。やがて、どこかの布団から誰かの寝息が聞こえ始めた。
「……リョウタくん。起きてますか」
「うん」
隣のエミちゃんが、こっちを向くように寝返りを打つ気配がした。
薄闇の中、俺も体を傾けてエミちゃんと向かい合う。
「……手、握りながら寝てもいいですかっ?」
暗くて表情はよく見えないが、声色には心細さが滲んでいた。恐怖が抜けていないのだろうか。
「もちろん。朝まで繋いでよ」
「ありがとうございます……♡」
掛け布団の隙間から左手を伸ばす。
布団と布団の間――畳の上で俺たちは指を絡ませる。
俺は静かに目を閉じた。明日の夏祭りが最高の1日になることを祈りながら。