【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
自宅の最寄り駅から30分ほど電車に揺られ、神崎さんちの最寄り駅に到着。改札を出ると、すぐに神崎さんの姿が目に入った。
「こんにちは、峰川くん!」
俺に気づいて小走りにこちらへ。
神崎さんはニット素材の白いセーターを着ていた。下はグレーと赤のチェック柄のスカートで、神崎さんにしては珍しくミニ丈。ただ、さすがに生脚だと寒いのか、ストッキングとブーツで足元をガードしている。
「ごめんね、迎えに来させちゃって」
「そんなそんな! お誘いしたのは私なんですから気にしないでください!」
明るい口調の神崎さん。大学での雰囲気と少し違う気がする。
「神崎さん、今日はなんか元気だね」
「あっ、バレちゃいました? 休日にお会いするのは初めてですし、ちょっと舞い上がってたりします」
嬉しいことを言ってくれる。俺は微笑みながら言った。
「俺も、昨日はあんま寝つけなかった。今日が楽しみで」
「そんな大袈裟な」
神崎さんも控えめに笑った。
「立ち話もなんですし行きましょうか。と言っても、歩いてすぐに着きますけど」
神崎さんの言う通り、家は近かった。
大通りから脇道に入り、5分ほど歩くと住宅街にある一軒家に到着した。車こそ不在だが玄関前には4台分の駐車スペースが確保されており、庭もあってかなり広い印象を受ける。
「遠慮なく上がってください」
「それじゃあ、えっと……お邪魔します」
頭を下げて玄関を跨ぐ。
「そんなかしこまらなくても。今は私しかいませんよ」
「まあ、一応ね」
神崎さんのあとに続いて、家の中の階段を上がっていく。ストッキングとスカート越しにお尻をフリフリする後ろ姿が目の前に来る。目のやり場に困って、俺は視線を逸らした。
……この一連の流れに一瞬デジャヴを感じたが、意識的にその記憶は消去した。
2階に上がると扉が3つあって、神崎さんはその中のひとつを開けて、
「私の部屋です。適当に座っててください、私はお茶を持ってくるので」
促されて中に入ると、1階へと降りていった。
「ここが神崎さんの部屋か……」
8畳ほどの広さにセミダブルのベッドがひとつ。勉強机の左側には参考書などが入った本棚があって、部屋の中央には紺色のラグが敷かれている。その上には丸いテーブルとクッションが並んでおり、壁際にはテレビが置かれていた。
脱いだコートをその辺に置く。なんとなくクッションを使うのは気が引けたので、ラグにそのまま腰を下ろした。
「落ち着かないな……」
サキの部屋に入ったときもそうだったが、女子の部屋というのはどうしてこうも緊張するのか……。
そわそわした気分を紛らわすように目的もなくスマホをいじる。そうこうしているうちに、トレーにお茶を乗せた神崎さんが部屋に戻ってきた。
「実は昨晩クッキーを焼いたんです。ぜひ峰川くんに食べてもらいたくて」
「マジで!?」
テーブルの真ん中にトレーが置かれる。湯気の立つティーカップがふたつと、小麦色に焼けたクッキーを乗せた皿。
見るからに美味しそうだ。なにより俺のために作ってくれたという事実が堪らなく嬉しい。
「めっちゃ美味そうだよ! 食べていい?」
「どうぞ。ご賞味あれ」
さっそくひと摘まみ。咀嚼すると、サクッとした食感とバターの香りが口に広がった。
「うん、美味いよ!」
これが胃袋を掴まれるというやつなのだろうか……いや、多分違うと思うが、とにかく人生で食べたお菓子の中で一番美味いと言っても過言ではない。
「神崎さんってお菓子作りとか好きなの?」
「特にそういうわけでは。ただ、ちょっと姉さんが趣味でやってて、道具はひと通り揃ってる感じですね。なので嗜む程度には」
「へえ、女子力高いね」
「素直にありがとうと受け取っておきます。まだまだ下に残りがあるので、遠慮せずにもっと食べてくださいね」
昼飯はカップラーメンだけだったから小腹が空いていたところだ。もぐもぐとクッキーを口に運び、渇いた喉を紅茶で潤す。
そんな俺を、神崎さんは妙に嬉しそうな様子で見守っていた。
「神崎さんは食べないの? 味見済みかもしれないけど、マジで美味いよ」
「いえ、大丈夫です。私には必要ないので」
必要ない? カロリー的な意味合いだろうか。
まあ、女の子なら当然の配慮か。あまり深くは突っ込まないことにした。
「隣、いいですか……?」
テーブルにトレーを置いたあと、神崎さんは上目遣いで俺に尋ねた。
ああ、可愛いな……。
「もちろん」
俺の横に女の子座りして、神崎さんはテーブルの上にあるリモコンを手に持った。
「恋愛かサスペンス、どっちがいいです?」
「どっちでも。神崎さんの好みを知れるいい機会だし、観たい方からで」
「じゃあ恋愛映画で」
テレビに映し出される動画配信サービスの画面。映画を再生すると、神崎さんは意外な行動を取った。
「……ッ」
まるで電車の中でうたた寝するかのように、俺の肩に寄りかかったのだ。だが、今の神崎さんは眠ってなどいない。不可抗力でも偶然でもなく、これは意識的な行為。
どうするか一瞬迷ったが、俺はそれを受け入れることにした。こちらも少しだけ頭を傾けて、神崎さんの髪の毛をこめかみに感じる。
それからしばらくは無言の間が続いた。正直、映画の内容はまったく頭に入らなかったと言っていい。神崎さんの息遣い、匂い、肌から伝わる体温。感覚のすべてが、神崎さんへと集中していた。
しかし、映画を観始めてから1時間ぐらい経過した頃だろうか。
「ん……」
俺の体は違和感に苛まれていた。
「どうかしましたか?」
神崎さんが小首を傾げる。俺の異変に気づいたらしい。
もっとも、その異変がなんなのかを俺も正確には把握していない。ただ無性に全身が熱くて、体が張り裂けそうなほどに疼いて……なんなんだこれは?
熱い……熱い。
「いや、ちょっと……」
紡ぐ言葉が見つからず、目頭を押さえながら誤魔化すように俯いて――気づく。
俺は勃起していた。
しかも半勃ちとかそんなレベルではない。ギチギチのフル勃起で、今にもチノパンを突き破りそうな勢いだった。
なんで急にこんな……我が息子ながら理解不能だ。たしかに神崎さんとそういう展開になればいいなと期待はしていたが、無意識に勃起してしまうほど俺は欲求不満だったのか?
「本当に大丈夫ですか? 顔赤いですよ?」
「別になんでもないから! 気にしないで!」
とにかく、神崎さんに知られるわけにはいかない。特に興奮するようなシーンではないのに勃起したなんて知られたら、絶対に変態だと思われてしまう!
「神崎さん。トイレって――」
苦肉の策だが、ここはトイレに行って毒素を……そう思った矢先だった。
「はっ!?」
神崎さんの素っ頓狂な声。
その視線が、俺の股間に向いていた。
「いや、これは違くてッ!」
膝を立てて前を隠すも、時すでに遅しだろう。
神崎さんには沈黙と硬直が宿っている。それはもう見事なまでの固まりっぷりだった。
「……………………」
神崎さんは無言のまま、そっと顔を上げた。
「その……やっぱりシたいですか……?」
「へッ!?」
予想外の質問に、今度は俺が素っ頓狂な声を漏らした。
「いやいやいや! 全然そういうのじゃないから! 断じてないからね!? これはただの生理現象で!」
「でも、それって私に対して本能的に興奮してくれたってことですよね……?」
「ま、まあ……」
「嬉しいです」
にんまりと締まりのない顔を浮かべ、神崎さんは慈しむように目を細める。初めて見る表情だった。
「あの……、神崎さん? 大丈夫?」
「なにがですか?」
「いや、どう見ても普通じゃないんだけど……」
「至って正常ですよ。ただ、私でもちゃんと興奮してくれるんだなって、嬉しくなっちゃって」
ふふっと笑いながら、神崎さんは繊細な指先で俺の股間に触れた。
え……ちょっと待って。
この子なにしてんの!?
「神崎さん! 一旦落ち着こう!」
「私だって嫉妬ぐらいするんですよ? サキさんとはたくさん体を重ねたのに、私だけお預けなのは不公平じゃないですか」
「それとこれとは話が別じゃ……」
「峰川くん」
白魚のような手が、ズボンの上からそっと肉棒の輪郭を撫でた。
「私も……シたいです」
耳元で囁かれ、背筋が震える。
理性が飛ぶには十分な破壊力だった。
「神崎さんッ!」
「やっ――」
神崎さんの肩を掴んで乱暴に押し倒す。華奢な体はいとも容易く床に倒れ、顔と顔の距離がぐっと近づいた。
ここまでお膳立てされて手を出さなければ、男が廃るというものだ。据え膳食わぬは男の恥――と、どうにか自分の行いを正当化しようとしていたら、
「……んっ!?」
首に手を回され、直後に押し寄せる柔らかい感触。視界いっぱいに可愛い顔が広がって、神崎さんとキスをしているのだと遅れて理解する。
「はぁ……はぁっ……、えへへ……キスしちゃいました」
発情でもしたように神崎さんの顔は真っ赤だった。その煽情的な色香に、俺も我慢の限界を迎えた。
「んむっ!?」
今度はこちらから唇を奪う。舌を出すと、神崎さんもそれに応じて舌を出した。
「あ、ふぇぁ……ちゅっ、んぅっ……」
普段の神崎さんからは決して考えられない積極さだ。
「キスするの初めて?」
「……初めてです」
らしい。キスが初めてなら、もちろんその先の経験だって――。
「…………」
息を呑み、深呼吸する。
冷静になれ、俺。
サキと初めてヤッたとき、がっつきすぎて痛い目を見たじゃないか。優しく……落ち着いて……。
滅茶苦茶にしたい気持ちをどうにか理性で抑え、俺は神崎さんを抱き起こした。
「ベッド行こっか」
神崎さんの目に微睡みが浮かぶ。
「はい……♡」
そこに否定の感情は含まれていなかった。