【2巻11/14発売!】ずっと好きだった幼馴染にフられて始まる淫らに一途なハーレム生活 作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!
楽しい時間というのは、得てしてあっという間に過ぎ去っていくものだ。
2泊3日の旅行も残すところは帰り道のみで、お姉さんが運転するレンタカーは俺たちの地元へと向かっていた。
「あーあ。終わっちゃったねぇ、旅行」
後部座席の端で、サキが窓に頭を預けながら力なくつぶやく。
「結局、私は1回も青姦できなかったし。神崎さんばっかり岩陰でスッキリしちゃってさ。格差社会を感じるよ、私は」
「ありゃ。幼馴染ちゃんは不完全燃焼だったんだね」
キョウカ先輩が気だるげに相槌を打った。
「そりゃそうですよ! デカチンポ1回も分けてもらえてないんですよ? 収穫らしい収穫といえば、一番搾り権ぐらいですし」
「あたしは大満足だったけどなー、今回の旅行。すごくいい刺激になった。ねっ、ミニポくん」
真ん中に座るキョウカ先輩が、サキの反対隣に座る進藤を流し見る。
「俺の夏はあんたのせいで全部台無しになったんすけど……」
「どんまいどんまい。何事も山あり谷ありだよ」
「言葉遊びでまとめないでもらえます? 割とガチで恨んでるんで」
「ゾクゾクするねぇ。その憎しみがいつか愛に変わる瞬間を、あたしは楽しみにしてるよ」
怖い怖い……。
進藤には悪いが、対象が俺たちにならなくて本当に良かった。いや、その毒牙がいつこちらを向くかわからない以上、油断は禁物なのだが。
「――イベントの帰り道ってちょっとセンチメンタルな気分になりますよね」
後ろの混沌をフル無視しつつ、隣のエミちゃんが黄昏れるように語る。
「でもまあ、それだけ充実してたってことじゃない?」
「いいこと言うねー、デカチンポくん」
ハンドルを握るお姉さんが声色を落として言った。
「来年もまたみんなで来れたらいいね。エミの気が変わって、私たちの関係が禁止になってなければ、だけど」
たしかに、このハーレムじみた異常環境が永遠に続くとも限らない。エミちゃんが優越感をたらふく味わったら、サキたちとの肉体関係にもいずれ終わりが来るだろう。
ただ、男女関係がイコールで色恋に繋がるわけではない。
「それならそれで、普通に友達として旅行すればいいじゃないですか。いやまあ、今回の旅行だって俺は最初からそのつもりでしたけど」
結果として俺視点では、搾り取られ続けるだけのセックス旅行になってしまったが……。
「峰くんは、男女の間に友情は成立すると思ってるんだね」
「まあ、一応は」
「お子ちゃまだねぇ」
「うんうん。男なのに男を知らないね、峰川くんは」
最後列から否定の声が飛んでくる。
「男なんてチンポでしかモノを考えられない生き物なんだから。友情の裏には、いつだってあわよくばの挿入願望が隠れてるの。それがオスの本能でしょ?」
「それはサキが膣でしかモノを考えていないから、周りもそう見えるだけだろ」
「……マジか。返す言葉ないや、まさか峰くんに言い負かされる日が来るなんて……」
よし。勝った。
……勝ったのに全く嬉しくないのはなぜだろう。
「いやいや、なに迎合しちゃってるのさ、幼馴染ちゃん」
と、キョウカ先輩は食い下がった。
「あたしは成立しない派に票を投じるよ。セックスチャンスをチラつかせないと男はすぐに離れていくからね。これは持論なんだけど、男女で成立するのは色恋と互助だけだよ」
色恋はわかるが、互助とは果たして。仕事とか業務とか、つまり打算を目的とした関係性ということだろうか。
なんにせよ、偏見もいいところだ。
「じゃあ、キョウカ先輩と俺の間にあるのはなんなんですか」
「色恋半分、互助半分かな。あたしの欲を満たすための相手だからね、君は」
「……。じゃ、じゃあ進藤との関係は……」
「互助。あたしの欲を満たすための相手だよ、ミニポくんは。過去に接したあまねく男全員、友情を抱いたことは一度もないよ」
「言い切りますか」
「言い切るね」
こうなると、友情とはなんぞやという哲学的な話になりそうだ。先輩の言う互助関係だって、解釈によっては友人関係と捉えることもできるわけだし。
なんだか難しい話になってきたな。
「――まあ、来年の私たちはほとんど夫婦みたいなものになってると思いますが、それでも、リョウタくんの貸し出しは継続してると思うので」
そう前置きして、エミちゃんは話を元に戻した。
「また、皆さんで楽しい夏を過ごしましょう♡」
しかし夫婦ねぇ。まあ、同棲なんて結婚生活の練習みたいなものだろうし、同棲が実現するのであればその表現もあながち間違いではないけれど。
「もっとも、私とリョウタくんの夏はまだ終わっていませんが」
えっ。
「それ、どういう意味?」
「そのままの意味ですっ」
ふふっと笑い、エミちゃんは窓の外に目をやった。
意味深だ。その意図を読み取れないのが彼氏としては悔しいところだった。
*
地元に到着したのは15時頃だった。
「みんなお疲れ様〜!」
お姉さんの明るい声と共に、車は目的地のターミナル駅へと滑り込み、ロータリーの端に停車する。
2泊3日の旅行もこれでついに終わりだ。
「んぅー、長時間移動は老体に応えるねぇ。峰くん開けて開けて!」
サキに促され、ドアをスライドして俺から外に出る。次いでサキ、キョウカ先輩、進藤が車を降りていく。
荷物が詰め込まれたトランクから各々自分の分を取り出して、改札へと向かう準備を整えていく。
俺も自分のキャリーバッグを降ろして取っ手を伸ばした。
「峰くん。一番搾りのこと忘れないでよ。溜めに溜めた極太のやつ楽しみにしてるんだから!」
サキがボストンバッグを提げながら、恥じらいもなく叫ぶ。
「わかってるから、人前で淫語を撒き散らすなって……」
続いて進藤が大きめのリュックを肩に担いだ。
「……俺はしばらく、女という生き物を信じないことにするよ」
死んだ魚のような目をしている。可哀想に。キョウカ先輩に与えられた傷が深く刻まれているようだ。
「また遊ぼうね、ミニポくん」
キョウカ先輩は嫣然と微笑み、満足げにくるりと背を向けた。
さて、ここで解散か。俺はキャリーバッグの取っ手を握りつつ、運転席のお姉さんに目を向けた。
「お姉さん、運転ありがとうございました。本当に助かりました」
「いいのいいの。私もデカチンポくんと繋がれて楽しかったしっ♡」
そして最後に、後部座席に残ったままのエミちゃんを見やる。
「エミちゃんもありがとね。楽しかったよ。また改めて連絡するから」
そう伝えて、他の3人と同様に駅の方へと足を向ける。と、そのとき。
「リョウタくん?」
背後から声がかかった。
「どこへ行くつもりですか?」
「どこって……。自分の家に帰るんだけど」
「まだ帰っちゃ駄目ですよ? このあと、とっても大事な用事があるんですから」
「用事……?」
キョトンとする俺に、エミちゃんは俺の足元にあるキャリーバッグを指差した。
「ほら、なにを呆けているんですか。早く荷物を入れてください」
「……車に?」
「そうです。置いていくわけにもいかないでしょう」
「いやいや、俺もここで解散じゃないの!?」
エミちゃんは無言の圧力を送るように笑顔を浮かべていた。
拒否権はないらしい。
この場で問答を続けても、周囲の迷惑になるだけだ。
「はぁ……」
俺はキャリーの取っ手を縮め、再びトランクへと押し込んだ。一部始終を見ていたサキが、腹を抱えて笑い出す。
「あははは! 大変だねぇ、峰くんも。じゃあ、神崎さんとお達者で~!」
「搾り殺されないようにね」
「じゃあな、峰川。強く生きろよ」
3人は言いたいことだけ言うと、手を振りながら駅の改札へと消えていった。
「ささっ、乗ってください。時間が惜しいです」
エミちゃんに引き寄せられ、俺は再び車内へと戻る羽目に。
一体どういうことだ。そういえば、夏はまだ終わっていないとか言っていたけれど。
まさか……場所を変えて、まだセックスするつもりなのだろうか。
「今から私の実家に向かいます。お母さんも今日は家にいるはずですから」
「実家!?」
それにお母さんって!?
「善は急げ、鉄は熱いうちに打てと言います。同棲すると決めたでしょう? お母さんに挨拶してください」
「決めたけど! 普通はもっとこう、アポを取るなり段階を踏むなり……!」
旅行帰りの足でご挨拶とか無謀過ぎる!
ただ、エミちゃんは俺の狼狽なんてどこ吹く風だった。
「そんなの待ち切れません♡ 悠長に構えていたらリョウタくんの気が変わってしまうかもしれませんし、1秒でも早く一緒に住みたいんです。早くリョウタくんを私の管理下に♡」
「…………」
ウチの彼女は本当に……。
「大丈夫だよ、デカチンポくん」
お姉さんはバックミラー越しに楽しそうにこちらを見ていた。
「マザーもきっと喜ぶから」
「お姉さんまで!」
「そんなにビビんなくていいって。お母さん、デカチンポくんのこと気に入ってたしね」
だとして、じゃあお父様はどうだ。
そんな俺の懸念を察したのか、エミちゃんが補足するように話し始めた。
「父は基本、仕事で夜までいないはずですから安心してください」
なるほど、それなら少しだけ肩の荷が下りる。もっとも、緊張することに変わりはないのだが……。
本音を言えば、親への挨拶はもうちょっとフォーマルに、念入りに準備をしてから行いたかった。
しかし――というか、
「とりあえず、神崎家のトップであるお母さんを味方につけて外堀を埋めちゃいましょう♡」
乗り気になったエミちゃんを過去に止められた試しがない。一度の例外もなく。
とはいえ、エミちゃんの勢いに流されているこの瞬間が、俺は案外嫌いじゃなかったりする。
本当、我ながら絆されてるな……。
「わかった、腹括るよ。……括ればいいんでしょ」
「よろしい。素直なリョウタくんは大好きですよ♡ ――姉さん、車出しちゃって」
「おっけ〜!」