アバロン宮殿内にて。
ひとりの女性が、伝承法によって皇帝に選ばれた。
美しい金色のロングヘアを三つ編みのようにひとつに束ねた髪型がトレードマークの長身の美女だった。
皇帝らしく水色のマントを羽織っている。
しかし、身体に着ている服はというと、ピンク色のハイレグレオタードと黒のニーハイソックス、そして茶色のロングブーツという姿であった。
高貴かつどこかセクシーさすら感じさせるこの女性こそ、伝承法によって選ばれた最後の伝承者…。すなわち最終皇帝であった。
最終皇帝は即位してすぐ、側近の男からひとつの紙切れを手渡された。
その紙切れには…。
「レオンの封印したダンジョンで待つ クジンシー」
紙切れにはそう書かれていた。
それを一目見た時皇帝は驚愕の表情を浮かべていた。
そんな彼女のもとに、魔導師の女性オアイーブがやってきて、七英雄は不死身であること、そして皇帝が伝承法の限界があり、この代で最後であることを教えてくれたのだった。
オアイーブの言葉を深く刻みこんだ皇帝は、早速クジンシー討伐のための準備を整えていった。
彼女はある男を仲間に加えたのだった。
それは、短い黒髪と屈強な鎧を纏った大柄な体型が目立つハンニバルという男だった。
皇帝はハンニバルを一目見たとき、とても頼り甲斐がありそうだと感じ、仲間に加えたのだった。
「ハンニバル、よろしくたのむわっ!」
明るい表情でそう言いながら、皇帝はハンニバルを仲間として迎えたのだった。
「こちらこそよろしくお願いいたします!」
ハンニバルはそう返事をすると、深く頭を下げた。
こうしてハンニバルは皇帝のお供となったのだが、彼にはあることが頭にひっかかるようだった。
それは、守るべき皇帝の容姿であった。
皇帝らしく美しい容姿が目立つのは確かであった。
しかし、ハンニバルは彼女に、どこかある「感じ」を覚えていたのだった。
それは…。
「う〜む。皇帝となったあの方、なんともけしからん」
そう。ハンニバルが気になって仕方がなかったのは、皇帝の首から下の姿であった。
水色のマントを羽織っていてなんとも女性の皇帝といった出で立ちであったのだが、ハンニバルが気になっていたのはそこではなかった。
それは、あのピンク色のハイレグレオタードであった。
競泳水着のようなデザインのそのレオタードは、レオタードからわかりやすく大きなバストを主張させていた。
推定でもFカップはありそうな見事な乳房であった。
大きくて丸く、まるでメロンのようだった。
腰にはくびれができており、お尻は見事な丸みを帯びていた。
そして脚には黒のニーハイソックスと茶色のロングブーツが履かれており、なんともいえないセクシーさがあったのだった。
「うーん…。いつ見てもアレは…」
ハンニバルがそんなことをぶつぶつ言っていると、皇帝がそんなハンニバルが気になったのか、
「ハンニバル。どうかしたの?」
と声をかけてきた。
そんな皇帝の声にハンニバルははっと我に帰る。
「あっ、陛下!な、なんでもありません…!」
そう慌てながら、ハンニバルは敬礼した。
「そう、ならいいんだけど…。それよりも、クジンシー討伐に向けてあなたも準備を怠らないようにね」
「はっ!かしこまりました!」
そう声をかけてきた皇帝に、ハンニバルは内心ほっとしていた。
しかし、皇帝はハンニバルの視線が先程から気になっていた。
敢えて口には出さなかったが、やけに自分の方に視線が向けられているような気がしていた。
いきなりそのことを言ってしまうと互いの関係に影響が出ると思った皇帝は、合ったばかりということもあり、黙ってあげることにした。
(なんかハンニバル、私の方に目を向けてる気がするんだけどね…)
最初の仲間であるハンニバル。
強くて大柄な彼が何を思い自分をチラチラと見てきていたのか。
もしや一目惚れなのかと思ったが、一見堅物そうな彼がそんなまさかなと考えると、皇帝はなんだかおかしくなってきてしまい、ついクスクスと笑ってしまった。
「んっ?陛下?」
「あっ!ごめんなさい!なんでもないの!」
突然クスクスと笑いだした皇帝に、ハンニバルが不思議そうに声をかけた。
その声でハッと我に返った皇帝の謝罪の言葉に、ハンニバルは
「そうですか…」
と返すのだった。
そして、彼らは再びクジンシー討伐の準備に取り掛かるのだった…。
ピンク色のレオタードに黒のニーハイソックス姿の新たな女性の皇帝について、アバロン宮殿でも男を中心に話題となっていた。
「なぁ、次の皇帝…」
「ああ。なんて股間に悪い服着てるんだ…」
ここアバロン宮殿にいる帝国兵は、露出度がかなり低い服装をしている者ばかりだ。
女性であっても、スタイルがいくら良くても肌が見えない服装をしている者が多数であった。
即位したあの最終皇帝の女性は、実は別に帝国の兵ではない。
他の地方の者が着ている服ではないらしく、最終皇帝はまさに異端であった。
彼女が一体何者なのか、それは誰もわからなかった。
しかし、ひとつだけわかっていることがあった。
それは、最終皇帝が強力な力を秘めていたということだ。
彼女はまだ若くて美しく、そして強い女性であるが、ある帝国兵によると、他の者とは比べものにならない能力を持っていそうだという。
そんな露出度の高い格好が目立つ彼女だが、最後の伝承者ということだけあり、打倒七英雄の希望となる存在なのは確かであった。