性義?そこに無ければ…あっ、あるみたいです 作:うにうにうにう。
未だかつてないほどの文字数になってしまいましたので分割しました。
エロの力はすごい。
時系列は本編終了後かもしれないしそうじゃないかもしれない。
ソレとの邂逅は、突然だった。
休みの日に一日中部屋の中にいるのも不健全なので、適当に校内を散歩していた時のことだ。
「ん?本の落とし物かな…うわっ、わわっ、ちょ、何コレ…!」
本を手に取り表紙を見たら、金髪の女の子と黒髪の女の子が半裸で艶かしく抱き合ってるイラストが描かれていて、ビックリして思わず懐に隠してしまう。
多分、押収品を運んでるときに落としちゃったんだろうけど……またここに置いとくのはマズイし、ボクが持っていくのも…な、なんか嫌だ!押収品も記録をつけなきゃいけないから、人がいるうちに返しに行ったらボクが持って来たってバレてしまう…しかも担当はコハルちゃん。となると…
『えっ…先輩、コレ…』
『ち、違うよ?落ちてたのを拾ったから持ってきただけで』
『先輩がそんなえっちな人だったなんて…わ、私やみんなのこともえっちな目で見てたんでしょ!えっちなのはダメ!死刑!!』
みたいな展開になりかねない…ど、どうしよう…!
『そ、そんなぁ…あっ、先生助けて!コハルちゃんを説得して!』
"くっ…スズランが他の子をえっちな目に合わされるくらいなら、私が身を挺してスズランを…!"
『せ、先生…?なんでボクの服を脱がそうとするの?恥ずかしいよ…』
"私は先生だから。生徒の不安を取り除くのも私の役目だよ"
『せ、先生…?』
"スズラン、目を瞑って…"
「おバカッ!!」
妄想ごと壁を殴りつけてなんとか正気に戻る。
バカか!?バカだな!?バカだよな!!*1
先生でなんて妄想してるんだよ!内容も意味わからん、死にたい!穴があったら埋まりたい…っ!なんか今日のボク、変だ…!
まずい、今の物音で何人かこっちに来てる。
流石に隠し持ってるのがバレたら言い訳のしようもない…えーと、えーと…に、逃げろ!
バレないように逃げた果て、1番のセーフルームは自分の部屋だと気づいたボクは自己嫌悪に陥っていた。
「……自室に、えっちな本を持ち込んでしまった…」
なんだか一気に疲れたし自分で墓穴を掘ってる気がする…部屋にえっち本持ち込んだら落とし物を拾ったって言い訳すらできなくなるじゃん…
「はぁ…」
懐から取り出した薄い本を机の上に放り投げる。軽い音を立てて着地したそれは、やはりどこからどう見てもえっちな本だ。
未成年がこういうものを見てはいけないのはわかってる。わかってるのだが…なんとなく目が離せない。
「……ち、知的好奇心…あくまで知的な好奇心だから…えっちじゃない…えっちじゃない…」
自分自身に言い訳しながら、机に向かう。
意を決して本を手に取り、表紙をまじまじと観察する。
黒い制服を着た2人の女の子。
金髪の女の子は、黒髪の子に仰向けに組み敷かれて、手は恋人繋ぎで押さえられてる。口はだらしなく開かれ、瞳孔がハートになって、蕩けた顔をしてて、すごく…えっちな感じの顔になってる。
黒髪の女の子は、その金髪の子を見て愛おしそうに目を細めているのに、舌なめずりをしていて…ほんのりサディストっぽさを思わせる色っぽい顔をしている。
……なんか、イチカに似てる…?いや、ないない、失礼すぎるって。実在の人物を元にえっちな本書くなんて流石にありえないでしょ。肖像権とかあるし許可するとも思えないし。
とりあえず、絵が上手な人がえっちなものを描いてるという事実だけがわかった。
そして、読むのを後回しにしていたタイトル、ポップな字体で書かれているソレを読み取る。
無知な同級生をふたなり
「……意味はよくわかんないけど、あたま悪そうなタイトル…?」
いや、見方によってはタイトルで内容がわかるから手に取られやすいという利点もあるのかもしれない。タイトルであらすじを説明してしまうのは風情が無くてボクは好きじゃないけど、時間に追われる現代人にはむしろ合ってるのかな?
ただ、ふたなりと理解らせックス、この二つがわからない。
ふたなりに関してはヒントが無ければわかる気がしないのでスルー。
理解らせ…
わからせる、を
わかった!と理解った!では、漢字が用いられてる後者の方がパッと見の印象で理論的に理解できたと見えなくもない…?
そして理解らせックスのックスの部分……エックス?変数なの?変数を理解らせるの?
えっち本に見せかけた数学本…?
一度考えを中断して表紙のイラストを見る。
「それは…無理があるよね」
どこからどう見てもえっちな本だ。
えっちな女の子が数学を教える本の可能性は多分無い。なぜなら変数を用いた計算は中学生、早ければ小学生からやるからだ。変数を理解らせるのに子供にこんなもの見せちゃダメだ。
なんとかえっちな本じゃない可能性を探そうとしたけどダメだった。だってこんなにも表紙がえっちなんだから。
諦めてえっちな本だと認めなければならない。
認めた上で、好奇心がどんどん湧いてくる。
所詮、人間とは未知を喰らい尽くそうとする獣にすぎないのだ。本能のまま肉を食う動物と、理性を武器に未知を喰らう人間、どちらも違いはない。知らないことを知りたいと思うのは当たり前のことなのだ。あの真っ黒な不審者みたいに人に迷惑をかけるわけじゃなし、悪いことじゃないはず!
「よ、よし…!」
意を決して、表紙を開いた。
…案外、拍子抜けというか、なんというか…普通?
表紙の女の子達が部屋でお菓子を食べたり遊んでる様子が漫画で描かれている。
しかしそれも数ページで終わり、黒髪の女の子が自らの陰茎を金髪の子に押し付けていた。
「……………………はっ、え?」
え、お、男の子だった…?あ、いや、男の子の日ってやつ…か?
……ふたなりってそういう意味なの…?
納得できたところで続けて読み進める。フィクションなのだから、深いことを気にしてはいけないのだ。
その後は、陰茎を金髪の子に擦り付けたり、な、舐めさせたり…
「わっ…こ、こんな…ひゃ〜…」
あ、あんな大きいのが、入っちゃうんだ…すご…
……理解らせックスって、そういう…
えっちな本を読んでるだけで顔が熱いというのに、自分の考察が的外れだとわかってさらに顔が熱くなる。直球でえっちな意味じゃん……
ひとまず、一通り読み終えた。読み終えてしまった。
達成感と妙な高揚感が全身を包んでいる。短編小説をひとつ読み終えた後のような気分で、脳内は勝手に本の内容を反芻し始める。
タイトル通り金髪の子は性に疎く、知らず知らずのうちに黒髪の子を誘惑してしまい、そんなに誘惑したらどうなるのか身を以て理解らせられる、という話だった。
なんというか…す、すごかった…えっちって、あんなふうになるものなんだ…
裏返しに置いた本をひっくり返して、再び表紙を見る。
無知な同級生をふたなり
読了した今、意味が全て理解できてしまう。なんか嫌だ。
そしてカラーイラストの表紙で見ると、金髪の子にどうしても親近感を覚えてしまうし、黒髪の子がイチカのように思えてしまう。
髪の色はもちろん、金髪の子が性に対して疎いところだったり、黒髪の子の話し方だったり…
「もしこの子がボクで、こっちの子がイチカだったら……」
ダメだと思いつつも再び本を開き、黒髪の子のセリフをイチカの声で脳内で再生していく。
『君が悪いんすよ?何度も何度も誘惑してきて…このスケベ♡お仕置きが必要みたいっすね…♡』
イチカの顔が、声が、匂いが、頭の中で再現されていく。
だんだん変な気分になってきた…体がムズムズして、顔が熱くなって息が荒くなってくる。
『あんなに強がってた癖に、もうおまんこトロトロじゃないっすか…♡変態の上にマゾなんて、どうしようもないっすね…♡』
本の中ではボクがイチカにお股を触られて、気持ちよさそうな顔で体を強張らせていた。こんな顔になってしまうなんて、どんな感覚でどれだけ気持ちいいんだろ…
なんとなく、本の真似をすれば変な気分が晴れるんじゃないかと思って、自分のお股に手を──
「スズランー、入るっすよー?」
ドアが開く音、そして妄想してたはずのイチカの声…じゃない、本物の声!?
まずボクの脳内に浮かんだのは、本をどうにかしなければボクは社会的な死を迎えるということ。
「えっ!?わっ、あっ、うわわっ!!」
急いで立ちあがろうとするが足がもつれる、椅子ごと倒れゆく中で本を手放さなかった自分を褒めてやりたい。
倒れたままなんとか本をベッドの下に放り込み、事なきを得る。
その代わり無様な体制で椅子と一緒に床に転がるボクを、見られてしまったわけだけど。
「ノックと声かけしても反応なかったから入っちゃったっすけど……すごい音したし、何してたんすか?」
「…き、筋トレ……?」
「なんで疑問形なんすか。激しい動きするならちゃんと訓練場使うんすよ?」
「気をつけりゅ…」
「ほら、ハスミ先輩が探してたっすから行くっすよ。立てるっすか?」
「……お、おんぶ…」
本当は全然普通に立てる。確かにビックリしたけど腰が抜けるほどじゃなかったし。体のムズムズはどこかに行ってくれたけど、人肌恋しくてそんなお願いをしてしまう。さっきまでイチカで変な妄想してたのに…少し罪悪感を感じる。
「はぁ…まったく、仕方ないっすねぇ。ほら、どうぞ」
イチカは優しく笑顔を浮かべると、しゃがんで背中を向けてくれる。
その背中に寄りかかって肩に手を回すと、当たり前だけどイチカの匂いと体温が感じられて、すごく安心する。
ボクを乗せたイチカが立ち上がる。
「えっ、軽すぎないっすか?」
「重い方が好きなの?」
「語弊を招きそうな言い方はやめてほしいっす。ちゃんとご飯食べないと大きくなれないっすよ〜」
「別に身長は大して変わらな……お胸のこと言った?」
「そんなこと言ってないじゃないっすかー。あぁ、気にしてたんすか?それは失礼したっす」
「きーにーしーてーまーせーんー!」
仕返しと言わんばかりに、肩に回してた腕に力を込めてグイグイとイチカの背中に胸を押し付けてみる。
「あ、ちょっと、首、首絞まってるっす!絞まってますから!」
せっかく押し付けてみたというのに、そっちの反応は何もなし。そりゃ小さいけど…ちょっとムカつく。
「むー……」
「悪かったっすから、そんなむくれてないで機嫌直してください」
おんぶのまま両手を掴まれてイタズラもできなくなってしまった。
何かイチカにできることはないか…そう考えて目についたのは、イチカの耳。
「かぷっ」
「っひゃあ!?ちょっ、それはナシっすよ!!」
なんとなく甘噛みしただけなのだけど、思っていた以上に効果があったみたいで。驚いたイチカに背中から落とされてしまった。
ちょっぴりお尻が痛い。
「も〜、ビックリしたなぁ…そんなに元気なら自分で歩けそうっすね。ほら、行くっすよ!」
「あぅ、ま、待ってよぉ…ごめんてぇ〜!」
少しムスッとして早足で行ってしまうイチカを追いかける。
「イチカぁ、ごめんってぇ……」
そんな調子で何度か謝るけど、イチカはそっぽを向いて話を聞いてくれない。泣きそうになってきたボクはつい変なことを口走ってしまう。
「無視しないでよぉ…ボクの耳も噛んでいいから…」
「…ふーん、それだけっすか?」
「えっ!?あっ、えっと…」
他に何も考えていなかったので口篭っていると、イチカが笑って頭を撫でてくれた。
「あははっ、冗談っすよ。イタズラもほどほどにするっすよ?」
「うん…ごめんね、イチカ…」
「はいっす。じゃあお返しっす」
不意打ちで正面から耳たぶを甘噛みされる。
それだけでビックリして変な声が出そうになったがそこからさらに、ぢゅぅ〜っと耳たぶを吸われた。その感触と耳元で鳴ったちょっとえっちな音で、背筋に今まで感じたことのないゾクゾクとした痺れが走る。
「んぅっ…♡な、なに今の……?」
「あ、あはは…ちょっと勢い余って…ほ、ほら!ハスミ先輩が待ってるっすよ!」
急げ急げ〜、とイチカに背を押されるまま歩き出す。
ちなみにハスミ先輩の用事とは普通に食事のお誘いで、その日はイチカも含めて3人で夕食を食べに行った。
ハスミ先輩がボクの食べる2〜3倍の量をペロリと食べてしまうのはいつ見ても圧巻だった…。
後編へ続く。
R18じゃない本編はもうちょい待ってください。
いま時計じかけの花のパヴァーヌ2章読んでるところです。最終編が遠い…