まずは健康的な食事だ。
そして勿論適度な運動。
湯船に浸かってマッサージも忘れずに。
食事は果物、野菜中心で。
最低1週間前からはそうした方が良いだろう。
アルコールや脂ものは控える。
水分補給は小まめに。
健全で健康的に健在であること。
それが大前提である。
火傷などせぬよう水温に注意して、もっともコレに関しては経験によって熟知しているのだから今更というもの。
釈迦に説法だ。
その上でゆっくりと3回、場合によっては4回繰り返す。
水が透明になれば良いが心配ならば、念の為に増やすことは問題無い。
身体は清潔に。
何の話なのかは既に察しが付いているだろう。
アナルセックスの準備だ。
下品な言い方をするならばケツマ◯コにチン◯をズポズポしてンホォさせる行為である。
品の良い言い方をするならば、入れるのに適切でない穴に入れるべくして存在する棒を挿入させる不健全にして非生産的な行為。
愛と理解が無ければ出来ないという意味では健全とも言えるので、純愛だよ?
そんな不健全にして健全な行為の為の涙ぐましい努力を、30を目前にした身でありながら、9つも歳の離れた青年(出会った頃は少年)の為に行う女は健気なのか破廉恥なのか。
少なくとも、MEMは強烈な羞恥心と自己嫌悪、そしてそれらを容易く飲み込む程の快楽への期待に表情を複雑な形に蕩けさせている。
「はぁ ────── ッッ」
「背筋、鳥肌立ってる」
「言わなくてもいいよぉ…」
背後からの囁きに、泣きそうな声で訴える。
そんな声を上げれば、背後から自分に覆い被さっている男が更に喜ぶと知りながら。
寧ろ、煽る為に甘ったるい声を上げたまである。
「メム、もっと声出して。我慢するなよ」
「んんぁっ!!」
ずんと、子宮の入り口を圧迫されると、電流のように快楽が背筋を這い上る。
アクアの左手が、MEMの形の良い乳房を搾り上げ、固くなった薔薇色の頂を少し強めに抓るとMEMの喉から何度も甘い声が漏れた。
まるで楽器のように、アクアの手付きに、律動に反応して甘い音色が寝室に広がる。
(アクたんが私の身体に夢中になってる…アクたんから見たらおばさんなのに…)
それが嬉しい。
快楽を吐き出す為の女。
いつでも抱けるだけの女。
刹那的な関係の都合の良い女。
それを理解しつつ、MEMは喜びを抑えきれない。
(でも、かなちゃんが悪いんだよ?)
アクアと有馬は付き合っていた。
そう、過去形だ。
両想いだった2人は周囲の後押しや、様々な試練を経て交際に至った。
映画ならばドラマチックに結ばれた2人のキスシーンでスタッフロールが流れたであろう。
恋愛ものとしてはオーソドックスな結びとなる。
しかし、2人はドラマに出演はするが、ドラマの世界の人間ではない。
そして、劇的に結ばれた2人は平凡で些細な理由で別れた。
アクアの気遣いが足りなかったと言う者もいれば、有馬がわがまま過ぎたと言う者もいる。
MEMからすればどっちもどっちだ。別れるまでの理由と経緯を書けばきっと「何だそんなことか」「よくあることだな」と言われる程度のものだ。
しかし、2人は別れ、アクアにとってある意味で唯一の気の置けない姉のような友人ポジションであったMEMは、彼の愚痴や相談に付き合う内に、なし崩し的に身体を重ねる関係になった。
幸か不幸か、一夜の過ちとするには互いの相手への好感度は高く、そして身体の相性はすこぶる良かった。
(こんな関係ずっと続くわけがない。いつか、アクたんは別の女の子と付き合うよね)
有馬と寄りを戻すかもしれない。
あかねと復縁する可能性もある。
フリルからの好感度も高い。
いずれにせよ、自分とのこんな関係は一過性のものだ。
だが、それでもいい。
今だけだとわかっていても、この金紗の青年が自分に溺れているだけで十分過ぎる。
例えほんの僅かなひと時だとしても、この美貌の青年の止まり木であれた事実だけで宝物のような思い出になる。
半ば自分に言い聞かせるように、しかし半ば本気でMEMはそう思っている。
「アクたん、アクたん、アクたんッッッッッ」
「メム…ッッッッ」
ビクンと強くしなるMEMの小さな身体を抱き潰すようにアクアの身体が強張る。
何度目かの絶頂に、お腹の奥で感じる薄いゴム越しに吐き出された塊の感触に、MEMの肢体が震える。
満足感が広がるが、同時に感じるもどかしさ。
チラリと視線を脇に向けると、普段彼女が配信に用いる機材、部屋の風景の一部と化したそれらが今は居心地悪気に佇んでいるように見えた。
それらが動いていたら、今、この瞬間にも普段通りの仕事をしていたら、自分とアクアの姿が全世界に配信されてしまっていたとしたら。
そんな破滅的な妄想に、MEMの身体を満たす快楽が一層強くなる。
「…ねぇ、アクたん…」
「ん?どうした?」
「あの…しないの?」
「しないって?今したばかりだろ」
「じゃなくて…っていうか、わかってて言ってるよね?」
覆い被さるアクアの表情は見えないはずなのに、MEMにはありありとアクアの浮かべている表情がわかる。
天使のように美しい顔を悪魔のような笑顔に歪めているに違いない。
天使のような悪魔の笑顔。古過ぎてアクアには伝わらないだろう(実際には伝わるのだが)。
何故なら、MEMの感じているもどかしさ、物足りなさ、物欲しさを誘発しているのは当のアクアなのだ。
MEMのおマン…女の子の大切な小部屋をチン…大和魂で合法侵入しておきながら、MEMの未だに張りを失わない美乳を左手で搾り上げながら、右手人差し指はずっとMEMのお尻の穴を嬲っていたのだから。
お尻の穴。
肛門。
菊門。
アナル。
アヌス。
ケツマ◯コ。
入れるのに不適切な穴。
女の子の大切な小部屋のお隣。
秘密の部屋。
セカンドアクメ誘発ホール。
呼び名は多々ある。
そこを彼は程良く刺激していた。
皺をなぞり、穴をそっと押さえてみたり、第一関節まで差し込んだかと思えば第二関節まで一気に入れたりと、弱火でじっくりと炙るように、MEMの快楽のボルテージを丁寧に、焦らず、ねちっこく、20を迎えたばかりの青二才とは思えないほどねっとりと責め続けたのだ。
そのせいでMEMは存分に貫かれ、射精の感触と共に絶頂に達しつつも完全に満足とは行かなかったのだ。
「どうして欲しいのか、ちゃんと言葉にしてくれないとわからないんだけど?」
「嘘吐き」
「嘘吐きなのは否定しないけど、要望は口に出すべきだろ?」
素直に自分の気持ちや考えを言葉にして相手に伝えなければ誤解を招く。
誤解は更なるすれ違いを招き、不和となる。
不和は余計な混乱と無駄な回り道を呼び込む。
話の尺を無駄に取る割に肝心な部分が一向に進展せずに挙げ句の果てに雑に処理されるなんてこともある。
アクアの言葉には説得力があるのだが、まぁ、この場においては単にMEMにエッチなおねだりを恥ずかしそうにして欲しいという純度100パーセント混じり気の無いスケベ心しか無い。
そんなスケベ心を察しつつも、MEMは羞恥に頬を染めながらも意を決したように唇を結ぶ。
コレを拒むと、本当にこの男は気長に焦らすのだ。ひたすらくすぐるだけ、寸止めを何時間も繰り返す。
シーツをびしょびしょにする程快感に身悶えさせられ、とうとう泣きながら懇願した苦い(或いは甘い)経験を思い出し、MEMはアクアに向けておずおずとお尻を突き出す。
健康的で形の良い、しかしツクヨミのような収穫前の固く青い果実とは全く異なる、よく熟し、文句無しの糖度を持ち、爪の先で軽く引っ掻いただけで甘い蜜を溢しそうな食べ頃の果実の如きおヒップだ。
両手を添えると、その中心を見せつけるようにゆっくりと開いて見せる。
綺麗な皺に囲まれ、少しだけ盛り上がった柔らかな穴が微かに開く。
恥ずかしさのあまり、MEMは既に卒倒してしまいそうな心地であったが、そんな主人の意思に反して開かれた穴の真下にある秘所はしとどに濡れている。
刻み込まれた経験からくる快楽への予感にはしたなく涎を垂らすように、溢れた愛液がつぅと腿を伝う。
秘所がびしょびしょである。
ひしょがびしょびしょである。
「…ね?アクたん…お願いだから」
「要望は口に出すべきだって言わなかった?」
鬼かコイツ。
「 ──── あ、アクたんのおちんちんを私のお尻の穴に入れてください」
「もっと下品に」
ちゃんと言葉にしたじゃねぇか。
「うぅぅぅ〜〜〜あ、アクたんのおチンポを、アラサーのスケベなケツマンコにぶち込んで、いっぱいズポズポしてください!!」
まぁ、ここまでがお決まりのやり取りなんですがね。
「わかったよ。本当にメムはエッチだな」
「アクたんの方こそ変態じゃん!!いつも私に…んんっ」
黙れと言わんばかりにアクアがMEMの唇を塞ぐ。
深い口付け。
舌を絡め、唾液を交換する卑猥な水音にMEMの頭の奥が甘く痺れる。
ドMのMEMは9歳下の男に羞恥と快楽を骨の髄まで刻み込まれた自分の卑しさ、浅ましさに罪悪感と果てしない快感を覚える。
うっとりとしたMEMを愛おしげに見つめると、そそり立つ自身の先端に溢れるMEMの蜜をたっぷりと塗りたくると、ゆっくりとMEMのケツマ…秘して然るべき禁断の花園にあてがう。
「んぅ!!」
ビクンと震えるMEMを見やりながら腰を押し付けると、拒むような狭さは一瞬で、すぐにぬるりとMEMの繊細な穴はアクアのモノを迎え入れた。
今まで幾度も使われ、開発され、入念に事前準備もされたそこは、更に十分に解されることにより、アクアの平均よりも太いモノですら易々と呑み込む。
「お゛お゛っっっほっ!?」
MEMの口からは、先ほどまでの甘い嬌声から一転して、獣じみた声が漏れる。
ゆっくりと抽送を繰り返し、MEMの声にも表情にも痛みや拒絶感が無いことを確認すると、アクアの腰の動きが少しだけ早さを増す。
「お゛っお゛っお゛っ、お゛ほ゛ぉぉっっっ!!」
ユーチューバーとして、アイドルとして、ファン達に常に明るく可愛く甘い声を届けてきたMEMが、ケツマンコを抉られて獣のような下品な鳴き声を上げていることに、アクアの中の嗜虐心と征服欲が刺激されていく。
大切にしたい、優しくしたい、愛しいという気持ちと同時に、凶暴な感情がアクアの律動をより荒々しく加速させる。
「メム、メムッ」
MEMのうなじに顔を埋めると、深く息を吸う。
汗とシャンプーと彼女自身の香りが混ざり合った蠱惑的な匂いにくらくらする。
MEMの部屋に、肉が肉を打つ音と、水音混じりに空気が漏れる音が卑猥に響いていく。
暴力的な快楽と羞恥心、屈服する被虐的な悦びにMEMの全身の産毛が逆立つ。
「んぉ゛っ、ぉぉ゛お゛ほぉ゛!おん゛!ほぉ゛、お゛、お゛っ」
きっと今の自分の顔は涎と涙と鼻水でぐちゃぐちゃに違いない。
そして、ドロドロに蕩けきった雌の顔をしているのだろう。
そんな、頭の片隅に浮かんだ思考は、無慈悲に流し込まれる快楽に塗り潰されていく。
MEMの全身が、思考が、ありとあらゆる余白がどろりとした快楽の色によって満遍なく塗り潰される。
それはアクアも同様であった。
隙間無く快楽で満たされた2人は、既に理性の無い快楽を貪るだけの雄と雌でしかなかった。
2匹の獣のまぐわいは、MEMの腹の中へアクアの2度目の吐精がされるまで続いた。
「…ふぅ…」
冷たい水が喉を滑る感覚にアクアが小さく息を吐いた。
夜明け近くになり、2人はようやく眠りに就いた。まだ眠り始めて2時間が経ったばかりだ。
取り替えたシーツに包まれ、穏やかな寝息を立てるMEMの幼い寝顔からは、つい数時間前まで淫靡に妖艶に悶え、獣のように鳴いていた姿は想像が出来ない。
しかし、赤く腫れた彼女の目元が、彼女に繰り返し打ち込まれた快楽の事実を物語る。
冷静になったアクアの心に微かな罪悪感が湧き上がる。
「悪い…」
自分の未熟さに自己嫌悪しながら夜明けを迎えるのも、MEMの寝顔に謝罪の言葉を向けるのもコレで何度目だろうか。
妙に悟ったような、諦めたような、割り切った表情に苛立ち、自分を刻み込む事に我を忘れたのは今回が初めてではなかった。
ちらりと部屋の隅にある自分の鞄に目をやる。
自分の鞄 ── そこにしまい込まれた『小さな箱』が自分を責めているような気がした。
事実『それ』に意思があれば間違いなくアクアを責めていただろう。不甲斐無いと罵るに違いない。
少なくとも自分ならそうするとアクアは思う。
要望は口に出すべきなどと、どの口が言っているのかと自嘲じみた笑みを溢すと、MEMを抱き寄せながら目を閉じる。
「結局渡せなかったな今日も」
そっとMEMの薬指を撫でながらアクアは呟いた。