スレッタに抱き締められるのは、興奮するよりも先に安心感が来る。
華奢だけど筋肉質な肉体は、過酷な水星の環境を生き延びる為に鍛えたものだ。リプリチャイルドである彼女は、純正の肉体を持つ私とは違って、危険な現場に送り出される事も少なくない。エアリアルの高機動で意識を飛ばさない為にもトレーニングを積み重ねる。汗で湿った彼女の身体が好きだ。陰茎を挿入したまま、両手で腰を支えられて、私の背中を壁に押し付けられる。乱暴にされるのは好きだけど、筋肉質な彼女の肌に頬を添わせるのは好きで、彼女の湿度ある胸元に顔を埋めるのも好きだった。
舐めると、しょっぱい味がする。たぶんきっと、水分補給は、暫く望めないので、彼女の汗を懸命に舐めとる。
意識は半ば飛んでいる。ただ勢いよく突かれていることは分かるし、肉体は頭がおかしくなるほど達していた。お腹に精液が注ぎ込まれる度に頭がパーになる。たぶん何度か意識が飛んでるし、何度も死線を超えている。子宮に収まり切らなくて、おまんこから溢れ出すザーメンがもったいない。白濁とした水溜まりに舌を這わせたいけど、そんなこともさせてくれないくらいにスレッタは腰を振り続けている。
額に前髪を張り付かせたスレッタが顔を近付けて来る。
口先を尖らせた彼女を見て、本能的に両腕をつっかえに距離を開ける。
スレッタはミオリネと結婚するのだ。私とは肉体だけの関係を維持しないと世界が取り返しの付かない事になるかも知れない。百合の間に挟まる女になってはいけないのである。もう手遅れだっていう考えは、意識的に排する。このままではいけない、と分かっていながら流され続けた私が引いた最後の防波堤。スレッタには、幸せな家庭を築いて欲しいという想いでもある。
口から舌が零れる。犯され過ぎて、興奮し過ぎで壊れた頭では、まともに思考も出来ない。
正直、性処理の道具として扱われている時が一番、気持ちよくなれる。原作なんて気にせず、性欲に溺れる事が出来る。余計な事なんて何も考えたくないから、何も考えられなくなるくらいに犯して欲しかった。優しくしないで欲しい、不安になるから。私のせいで原作が変わって、世界が救われませんでしたってなったら怖くて夜も眠れなくなる。
気絶するまで犯されて、そうしてやっと気持ちよく眠れる。
◆
メリーは、私が望んだ分だけ身体を貸してくれる。
だけど私の想いは受け取ってくれない。頑なに拒絶し続ける彼女に毎日やきもきする。
セックスだけ求めていても関係が進展しない事は分かっている。
だけどメリーは誘惑する。
御無沙汰だった日はメリーが挑発してくるし、翌日まで我慢しても朝に私の陰茎を咥えている。
口淫も、騎乗位も、我慢してた分だけ、我慢が利かなくなるのだけど。
だけど私が達する直前で、彼女は意地悪な顔で手を止める。
「そろそろ起きる時間だね」
と小さな舌をチロッと出して、朝の身嗜みを整えに部屋を出る。
実際、彼女の言う通りなのだけど、陰茎を限界まで勃起させたまま部屋に取り残された私は怒りを我慢できなくなる。だけど私の仕事は、人の命に関わることなので投げ出すこともできず、股間を苛立たせたまま一日を過ごし、寝室で待つ彼女を問答無用で抱き締める。気付いた時には、気絶するまで犯していることが大半だ。
駅弁の姿勢でメリーを壁に押し付けている。
何度か射精を終えて、私は息を大きく吐き出した。
メリーの身体に陰茎を収めたまま、彼女をベッドまで運んで仰向けに寝かせる。乾いた笑い声、欲情した目で私を見る。精液で膨らんだ自分のお腹を両手で愛おしそうに撫でる。亀頭は、子宮に収まっている。精液を絞ることに特化したような彼女の膣は、私お陰茎に吸い付いてくる。これだけ彼女の身体は私を求めているのに、私の想いを拒絶し続ける理由が理解できなかった。
もういっそ、一度、壊してしまった方が手っ取り早いかも知れない。
「えりぃ♡ ……えりぃ♡」
彼女が正気を失った時、私の顔を見て誰かの名前を彼女は呼んだ。
エリクトという名前は聞いた事がない。何処か親しみのある名前であり、だけど憎しみを抱いてもいる。
苛立ちのままに頬を叩いた。感情を抑え切れず、思っていた以上に大きな音がなった。
「……あれ、スレッタ?」
ぽかんとした顔を浮かべる彼女に対して、パンッと分からせるように腰を打ち付ける。
悲鳴を上げる彼女の喉に両手を添えて、ゆっくりと力を込める。生存本能によるものか、彼女は私の両手を掴んだ。だけど力はほとんど入っていなかった。酸欠で顔を赤くした彼女が口の端から泡を吹き出し始める。そして彼女の顔色が赤から青に変化を始めた時、メリーは初めて愛を込めた目を私に向けてくれた。
殺されても良いくらいに想ってくれてるのに、どうして私の想いを受け取ってくれないのか理解が出来ない。
怒りのまま、私を愛してくれる彼女のままで居てくれる為に更に力を込める。
「ま、待ちなさいスレッタ! 本当に死んじゃうわよ!?」
ミオリネの言葉に、ハッとして手を緩める。
想い人の噎せる音が部屋に響く。喉を絞める時、メリーは自分の意思で抵抗しなかった。
全身を弛緩させて、股下から黄金水を垂らす。
大きく胸を膨らませて、呼吸を整える彼女は、光悦とした顔を浮かべている。
愛したい私では、彼女を満足させる事なんて出来ないのかも知れない。
分かっている。
彼女が私に愛されたい訳ではない事は分かっている。
気持ちが萎える。
彼女の股間から引き抜いた亀頭には、彼女の子宮が食い付いている。
身体から抜けた子宮から、傷付けないように丁寧に陰茎を外し、子宮を彼女の身体の中に戻す。
気持ちは萎えている。
だけど勃起は治まらなかった。
性欲が満たされた訳ではなかった。
彼女が求める肉体だけの関係というのが私には理解できない。
だから、そうだ。
もっとメリーの事が知りたいから、私は性欲を満たす為のセックスをしてみたいと思った。
視線を、ラバースーツで全身を包んだ少女に向ける。
「元々そのつもりで誘ったんですから、良いですよね?」
彼女の身体に興奮しなかった訳ではない。
性欲は感じていた、自分に人並以上の性欲がある事も理解している。
心の内で我慢していた部分がある。愛している相手だから踏み込めない領域がある。
本心、嫌なのだ。愛する人を傷つけるのは、嫌なのだ。
溜め込み続けた性欲は、心の檻に獣を飼っているようなものである。
それは本来、制御できた感情だ。
メリーが一言、認めてくれるだけで満たされた。満足できた。
仮に選ばれなかったとしても、私の事を、ちゃんと見てくれた上でなら心の整理も出来ていた。
だけど、中途半端なメリーの態度が、根源を塗り替える。
人間、誰しも少なからず、破壊衝動は抱えている。
現実に不満がなければ、発露されることのない感情だ。
長年、想い続けた。
拗らせた恋心、彼女からの好意は感じていた。
のらりくらりと避けられる。だけど諦め切れなくて、愛想を尽かす事も出来なかった。
八つ当たりのような感情をペットに向ける。
鬱憤と一緒に性欲を発散する。
それだけの為に勃起した肉棒は、過去一のサイズと硬度を誇った。
「ミオリネさんも手伝ってください」
ビクリと身を震わせた彼女に「大丈夫です、ミオリネさんに乱暴するつもりはありません」と笑顔を向ける。
「ただ、ちょっと、今日は、我慢が利かないみたいです」
舌なめずりをする私にミオリネは呆気なく、子犬を生贄に差し出した。
◆
真っ暗な視界の中、フェルシーはベッドの上に転がされる。
耳をも覆うラバー素材のマスクの下に彼女は耳栓を付けさせられていた。微かに音は聞こえる、音の質は分かる。だけど音の詳細までは判別できない。全身を包み込んだラバースーツは肌感覚を鈍らせる。四肢を折りたたんで拘束ベルトで縛り、クッション付きの膝と肘を使って立つことでしか移動できない。嵌めた喉ディルドの口枷は味覚と言葉を奪い取り、五感で、まともに機能しているのは嗅覚だけになっている。
スレッタの汗の臭いは直ぐに分かった。気になるのは、自分の隣で寝転がる存在。知らない臭いだ。嗅いだこともない生臭いにおいを漂わせている。スレッタは私を力強く抱き締めると何故か股間のチャックを開く、スーツの中は意外と暑くて汗で蒸れている。本来は排泄用の穴、晒された恥部に冷たい空気が当たって身震いする。
ラバースーツを着た状態で抱き締められるのは気持ちが良かった。
五感を制限された状況下、全身の感覚が敏感になっているようで撫でられるだけでも気持ちが良かった。お腹とか、もっと撫でて欲しくて四肢を大きく開く。スレッタが身体を離す。股間に熱い何かが宛がわれる。ずっと暗闇の中に居た私は、思考力が低下していた。
何をしているんだろう? と思った次の瞬間、ブチッと身体の内側から引き裂かれる感覚。股間から頭の先まで貫く激痛に全身が反り返った。
「────ッ!?!!?」
自分の身に何が起きたのか理解できない。
お腹の奥まで貫いた何かが、ゆっくりと引き抜かれて、ズンと身体の芯まで響くほど抉った。
自分は今、犯されている。
最初に感じた激痛は、処女膜を失った時のもの。理解した時、フェルシーは四肢を振って暴れ出した。
それはグエル先輩の為に取っておいたはずのものだった。
取り返しの付かない状況に陥っている事に漸く、彼女は気付いたのだ。
目を逸らし続けていた事でもある。
マスクの中で流す涙は、外からでは分からない。
暴れる自分を抑え込むように強く抱き締められて、肉棒は膣を突き続ける。
悲鳴すら上げる事も出来ない。
洗練された五感は、自分の腹に収まる陰茎の先が膨らむのを感じた。
嫌な予感がした。
全力の抵抗は、可愛らしいものだった。
抵抗虚しく、勢いよく吐き出される温かい何かが子宮口を破って奥の壁を叩いた。
大切な部屋を穢される感覚。長い吐精は、一発で胎を満たす。
終わった、と思った。
お腹の中で跳ねる陰茎に、自分はもう先輩に好かれる資格を失った事を漸く自覚する。
性欲処理の役目を果たして、性行為が終わった事に全身を弛緩させる。
ゆっくりと引き抜かれる。だけど吐き出された精液は、子宮を満たしたままだった。
想起するのは、愛する先輩との毎日。
自分のせいだと分かっているけど、悲しくなった。
初体験は、痛いだけだった。
膣口まで引き抜かれた肉棒が、ズンッと子宮口まで貫いた。
不意の一撃、完全に終わったと考えていたフェルシーは膣から感じた甘い感覚に困惑する。痛いだけのはずの性行為、確かに感じた未知の快感。理解できないまま、勢いよく腰を打ち付けられる。数分としない内にまた陰茎は膨れ出し、子宮に精液を注ぎ込んだ。今度こそ終わりだ。男が連続で何度も出来ないことは性知識に乏しい彼女でも知っている。だけど一度目とは違った感覚に、フェルシーは物足りなさを感じていた。性行為は気持ちいいと聞いた事がある。今のが気持ち良いという事だろうか? 絶頂するというのは、お腹の奥を叩いた時に感じた、全身が痺れるあの感覚のことをいうのだろうか。だけど、皆がいうほどではない。処女を失った喪失感の方が強い、と思った時、ズンッと再び陰茎が膣の奥を叩いた。まだ射精しているはずだった。だけど彼女の肉棒は全然、衰えなかった。射精しながら疲れる感覚に脳の奥がパチリと痺れる感覚があった。何かが昇り詰めて来る。身体の奥で何かが蓄積される感覚、突かれる度に脳が痺れて、全身がビクリと跳ねる。何かが来る、何かが来ている。恐怖にも似た予感、この味を知ってしまったら戻れなくなる確信。先輩を愛する心が、快感で塗り潰される錯覚。心が白濁に染められる。
フェルシーは暴れた。だけど四肢を動かすだけでは大した抵抗にもなっていなかった。
陰茎が大きく引き抜かれて、膣口の限界まで引き絞ってから全体重を乗せた一撃が膣を抉る。
子宮口だけでは受け止めきれず、内臓を押し上げられる感覚。同時に電流が背骨を走り、快感が脳で弾けた。肉棒から吐き出される欲望が自分の子宮を満たす。ミシミシと背骨が折れる程に抱き締められて、嗚呼、とフェルシーは涙を流して実感する。自分の肉体は、スレッタ専用に作り替えられてしまった。身体が認めている、子宮が受け入れている。心はまだ先輩を想っているけど、身体の方が先に折れてしまった。
スレッタは陰茎を入れたまま、身体を持ち上げて膝に乗せる。
対面座位の姿勢で、力強く抱き締めた。まだ彼女の肉棒は硬度を保っている。
ほどなくして四回戦、性欲だけをぶつけられる性行為に心が堕ちるのも時間の問題。
先輩との思い出が快感に塗り潰される。
暗闇の世界。気付いた時には、チンコに与えられる快感だけが自分の全てになっていた。