シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
ただこの数年、夏は自棄に早く目が覚めるせいで若干寝不足気味。睡眠状態が執筆に影響が出るタイプなので、投稿頻度はちょっと来週から落ちるかも……?
《兵藤一誠》
思った以上に、お金の受け渡しは簡単に済んだ。
どうも前から何度も来ていたみたいで、あっさりと話が済んだよ。
どうも異形にも縁がある人が多かったみたいで、ロザリオ聖教国の事情も知ってるから相手の方がびっくりしてたみたいだ。でも、小笠原長官が間に入ったのでそこもあっさりと済んだ。
で、終わったんだけど―
「……えっと、あと五分大丈夫ですよね?」
「厳密には六分まであと十秒といったところですねぇ」
―若干困り顔の小笠原長官が見れるぐらい、こっそりと安城さんと霞城さんは孤児院の庭を見ていた。
この孤児院、教会の出資らしいけど十数人ぐらいの子供達が住んでいる。
で、今は休日だったこともあって子供達同士でボール遊びをしている感じだ。
しっかし、男も女も、俺ぐらいの歳の子もいるんだなぁ。
孤児院ってのを俺はもっと知った方がいいかもな。いっそのこと、冥界で孤児院を出資するってのもいいかもしれない。
ゼノヴィアやアーシアは教会の施設で育って親の顔を知らないらしいし、木場もやばい組織に引き取られた所為で苦しんだけど教会の施設育ちではある。小猫ちゃんは両親に先立たれているし、ギャスパーに至っては捨てられている。朱乃さんも家族との仲は悪いみたいだしな。
そういう子達は俺が思っているよりたくさんいるみたいだしな。そういうことに少しぐらいお金を使っても罰なんて当たらないだろうし、少し使ってたくさん支えられるぐらいに出世したいかもな。
けど、二人はいろんな子達を見てるな。
幼稚園から小学校前半ぐらいの子を見ているけど、結構いろんなことを見ている。
「……えっと、そういえば二人の子供ってどの子だったり?」
ちょっと気になったので聞いてみたけど、急に二人は肩をビクリと振るわせた。
あれ? 俺って余計なこと聞いた?
ちょっときょろきょろと辺りを見るけど、樹下も秘書さん達もよく分かってないみたいだ。
ただ、小笠原長官は分かったのか少し苦い顔をしていた。
「……あえて、誰がとは知らないようにしているんですねぇ?」
え?
えっと、あそこにいるのは二人の子供が何人かいるって話だったはずだ。
それが、誰なのかあえて話さないって……マジで?
思わず俺達が二度見すると、二人とも苦笑しながら頷いていた。
「生まれてきた子に罪はないし、人間の子なら尚更環境でだいぶ変わる。……でも、あいつらの子をそうだと知って愛せる自信が無くてね」
霞城さんはそう言うけど、そういうもんなのか。
こればっかりは俺はよく分からないよな。父さんも母さんも俺のこと愛してくれているってことぐらいは分かってるし。
親が子供を愛さない。そういうことは、俺にはあまりピンとこない。
だから俺が何か言えるかっていうと、多分何も言えないんだろうけどさ?
「その、それってつまり……あの子達の誰がそうだって分からなければ愛せるってことなんですよね?」
これはちょっと聞いておきたい。
「そう……だね。誰がどの子か分からないからこそ、私達はそこをあまり考えないでいられるから」
安城さんがそう言うけど、なら良かった。
「そっか。じゃぁ、自分の子達を愛したくて、そうでない子供達も愛せるってことッスよね。つまりあの子達のことを愛してくれる親がいるって感じでいいじゃないですか」
そういう意味だと良いことなんじゃないだろうかな。
アーシアは聖女として祭り上げられたけど、聖女として崇められて友達がいなかった。なら、親の様に親身になってくれる人も多分いなかったんだろう。
だから、あの子達はまだ良かったよ。
そうだと分かったうえで愛せる自信はないけど、断言できないなら愛せる。それはつまり子供を愛したくて、そうでなくても愛せる人だってことなんだし。
それはそれでややこしいだろうけど、愛してくれる親といえる人がいるのは良いことだと思う。
……あれ?
なんか、全員ちょっとほっこりしている感じだったりするんだけど?
「……はっはっは。問題点はありますが、基本的どころか間違いなく善良な少年の様ですねぇ。なろうともってなれるものではない好漢のようで何よりです」
「そういうわけです。面倒は多いですが面倒の見がいはあるやつでしてね」
なんか長官さんと樹下が分かり合っているけど、一体なんだよそれ。
「……こういう男がいるのは、救われるな」
「うん。こんな子達ばっかりだったらね」
霞城さんも安城さんもどういうことかな!?
「悪いことだと分かればできる範囲で改善もするから、指摘のし甲斐もある奴ではあるか。まぁ、覗きを我慢するのに何度頭をぶつけて流血して倒れて介抱する羽目になったか……っ」
「今言うことじゃないよな!? よく分かんねえけど今言うことじゃないよなぁっ!?」
なんで今それ言ったぁあああああっ!!
《空本麗夜》
今現在、摘発はスマートに進んでいる。
ブラック・クロスは所詮半グレ集団。何人かは神器持ちもいる武闘派ではあるが、戦いのスペシャリストが準備と人員を作戦をきちんと用意したうえで仕掛ければそこまで苦労はしない相手でもあった。
まぁ、一応箔付けの相手だしね。他のメンバーも今のところ問題なく、それどころか全方面で非常用リソースどころか予測されたリソースに余裕があるぐらいだ。
このレベルだと気が抜けすぎて変なところでしっぺ返しを喰らわないように意識的に気を付けた方がいいレベルだろう。というより、流石に戦力を多く用意しすぎている気がする。
余裕を大量に持って挑めばその分失敗するリスクは減る。だが余剰を多く投入すると予算も資材も多く消費する。これは経営的な観点で言うとロスが多すぎるという点で懸念点となる。それぐらいの経営観念は経験によって得て入る。
だからまぁ、本当はもうちょっとリソースを少なくしてスマートにした方がいい任務だろう。当初の予測材料が間違っていたのでなければ、これはかなり過剰戦力となる。
それほどまでに、俺達が冥界で権威を持つことに価値を持っているんだろう。まぁ、コネのある相手が名門であればあるほど、いざという時に貸してもらえる力は強くなるだろうしね。日本政府としても内情を理解しやすい相手が権力を持っているに越したことはないのかな。
とはいえ、だ。だからこそ失敗するなんてヘマはできないだろう。
それを考えつつ、俺はかゆいところに手を届かせるように動き回っている。
ただ、その時だ。
『こちら第十三班! 緊急伝達!』
何の通信だ?
『最重要対象であるリーダー及び、戦闘担当の幹部は新しい事業の為に担当班と共に各対象地点のどこにもいない! 現在追加で尋問中だが、広域捜査の必要あり!』
……こういうことがあるわけだ。
『こちら指揮所。新しい事業というのは何かを問え、送れ』
『こちら第十三班。今尋問対象が素直に答えているが、情報をあまり聞かされていないのか要領を得な……くそったれ!!』
なんだ? 会話の様子がおかしいぞ!?
『こちら第十三班! こいつら、海外に対する人身売買を始めようとしてやがる!! それも、将来性を考えて星辰奏者適性があるかどうか図る為に、医者を薬漬けにしてやがった!!』
質が悪い状態だ。
それに星辰奏者適性を狙った子供狙いの人身売買? 懸念する識者がテレビで話していたしそれは俺も納得だけど、碌でもない!?
口車や洗脳教育を仕掛けやすい年代の子供達から、高い星辰奏者適性をある者を狙って誘拐する。星辰奏者が先天的な才能かつ、日本人が優秀であることが多いのと併せ持っているという点から理解できるのが糞ったれだ……っ!!
やっぱりこの過剰戦力はぴったりだよ。最低でも幹部クラスは絶対に何とかしないといけないね。
『可能な限り情報を引き出すが、時間がない! 最優先で聞くべき情報を求める、送れ!』
これは有象無象はさっさと終わらせるべきだろう。
安全第一とか言ってられない。多少のダメージと消耗は覚悟で急いでいくか。
「まったく。矢城を思い出すレベルのクソ案件だよ……っ!!」
思わずぼやきながら、その時ふと気づいた。
そういえば、今誠二達は孤児院に向かっている。
馬鹿だと「孤児なら親がいない根無し草だし、行方不明になっても真剣に探したりしねえだろ」とか考えるんじゃないか?
小笠原長官もいるなら連絡はすぐに行くだろうけど、あっちに行っているんじゃないだろうな……!
《樹下誠二》
そっと様子を窺っている二人に、「早く帰れ」とは正直言いづらい。
だがいつかは言わないといけないし、なら俺が言うべきだろう。
というか、こういうのをこの場でトップとなる小笠原長官や、子供達に人気爆発となるだろうイッセーにさせるのもあれだ。別の誰かが言わないといけないだろう。
だがそれをしない理由はシンプル。
「……いい加減にあいこはやめたいのですが。もう俺にさせてくれませんか?」
「いえ、最年長としてそういったことは私がするべきことです」
「いやいや、将来の政治家や子供がこういうことするのはあれだろ?」
「そうそう。ここは俺達にさせなさい」
それ以外の面子が自分がやる自分がやるといった結果、じゃんけんをして決着をつけようとしているからだ。ちなみに現在二十回あいこになっている。
もうコイントスによる脱落制とするべきな気がしないでもない。
そう思った時、秘書の人が急にスマホを取り出した。
「私だ。……なんだと!?」
なんか緊急連絡のようだが、一体なんだ?
思わずSPの人達と共に身構えた時、秘書の方は慌てて長官の方を向いた。
「長官、緊急です! ここにブラック・クロスのトップ達が来る可能性があります!!」
は、本当か?
「理由と推定人数を簡潔に」
即座に要点だけを問う長官に、それにすぐ頷いている秘書も仕事ができる人物だ。
「ブラック・クロスは海外活動を行う犯罪組織に、「才覚のある少年少女」を提供する人身売買事業に手を出そうとしていた模様。そして神器保有者が交渉役として派遣された結果、この孤児院の情報が漏れたことから、最有力候補となっていることまでが分かっております」
なかなかに厄介な情報がありそうだな。
と、聞こえていたイッセー達も慌てながらも警戒態勢に入っている。
「……気づかれたのか、あの子達の秘密に……っ」
霞城が歯噛みするが、一体どういうことだ?
「その、なんであそこの子達が才覚あるって分かるんですか!? 神器保有者限定とかそんな感じで?」
「……ううん。あの子達に才能があるのは神器のおかげだけど、神器を必ず持ってるわけじゃないの」
イッセーの質問に答えるのは安城の方だ。
「私と霞城さん、そしてあそこに住んでいる子達の親の片方は、ある下位の神器を持っているの」
「
小笠原長官がそれに続き、そして俺はそれに気づいた。
……まずいな。気配の隠し方は三下以下だが、だからこそ力量が高いのが分かってしまう。
人数は精々が十人足らず。だがそれは、それだけの数で孤児院の子供達を全員誘拐させれる自信があるということに他ならない……っ!
「全員警戒! このタイミング、対象であること前提で動く!!」
ああ全く、忙しいことになったもんだ!!
さて、そろそろ盛り上がってまいりましたぁ!
まぁこの章は短めで終わる予定なので、そろそろクライマックスといってもいいですね。