シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
自炊は意外と楽しいですね! 思いついた料理や作ってみたい料理を、自己責任の範疇内で作るのはこれはこれで楽しい! まとめ買いと冷凍作り置きを駆使すれば一色300円もしないし!
インスタントや冷凍食品も適度の補佐に組み込むと結構楽です。具体的にはまとめ買いの時に保冷剤代わりに冷凍食品買ってその日の晩御飯に使ったりとか!
それはそれとして本編!
《木場祐斗》
緊急事態が起きたということで、僕達が助っ人に派遣されたのは数分前。
本来秀華さん達が依頼を受ける形で動いていた犯罪組織の一斉摘発だったが、寄りにもよって大規模な人身売買に動いているタイミングだったことからなりふり構わず阻止の為に戦力を集めているとのことだ。
そして今僕達は、それだけの戦力が動けなくなるような事態に直面している。
「慣らしを兼ねて、規模だけでかい雑魚を潰して経験詰ませようとしてみたら……手練れたっぷりなんて超びっくりだわ~」
そう呆れたような声を上げているのは、学生服のような格好に身を包みながらも軽装の鎧と槍を構える女。
二十歳より少し下と思わせる海外の女性は、しかしその槍が発動体となっている時点で無視できるものではない。
何より彼女が率いる同様の意匠の制服に身を包んでいる者達は、その大半が神器保有者。更に大量の異形の魔物を引き連れている時点で、ただ者ではない。
そんな存在が一斉に転移してきたことで、呼び出されてミーティングを受ける予定だった僕達は乱戦状態に持ち込まれた。
更に厄介なのは、明らかに異能による洗脳が施されている者が大半だと判明したこと。
洗脳で戦わされているだけとはいえ、命が掛かっている戦場で余り容赦をかけすぎることはできない。だが同時に、それは異形の理論であり人命最優先となる日本政府主導では対応がかみ合わず後手に回りやすいのも実情だ。
そして更に―
「ぐぅ……ぉおおおおおおおおおっ!!」
―今転移させられた少年が、僕が至った時のようなオーラの奔流を放った点。
同様に少年少女が転移前にあの状態になっている辺り、どうやら何らかの手段であえて追い詰められた状態で戦わされているようだ。それにより、強制的に禁手に至らせていると考えてもいいだろう。
つまり彼らは、禁手に至らせる為の人体実験を受けさせられているということになる。
「下種な真似を! 若気の至りで済む内容じゃねえぞ!!」
「トップだ! トップを捕らえればまだ何とか!」
警察官や自衛隊が動くが、この場のトップといえる女性はそれをあっさりと捌いていく。
明らかに強い。僕やゼノヴィアでも、一対一では後れを取るだろうレベルの力量を相手は持っている。
「甘い甘い! この、英雄派が流星衆のサブリーダー! メイヴ様を倒すには数も質も足りてないってねぇ!!」
英雄派。文字通りの英雄の末裔達が中心となって構成されている、人間の神器保有者を主体とする禍の団の大規模派閥。
旧魔王派が一旦主導権を手放してから、主導権を握っている大敵。それがここに現れるか!!
と、何時の間にか回り込んでいた旗本さんが槍を構えて突き出す。
だがその瞬間、近くにいた一人が楯となって代わりに受ける。
そして気づいた時には、爆発した……!?
「正気!? いくら何でも洗脳でここまでのことが簡単に!?」
驚きながらも、旗本さんは槍を手放した瞬間に今度は二刀を構えて警戒する。
それに対し、メイヴもまた警戒心を見せていた。
「金属……いや、武器を創り出す能力ね。たださっきの反応から見て……収束性は低い方かしらね」
あの一瞬で手札まで見抜くとは、これは本当に厄介だ。
イッセー君、樹下君。悪いけど僕達はまだ当分助けに行けそうにない。
なんとか乗り切ってくれ……っ!!
《樹下誠二》
気づいた時には結界が張られていた。
いや、明らかに俺達の力が削られていっている。
そしてその削れ方を悟り、俺は瞬時に魔剣を創造。その力をもって弱体化を吹き飛ばす。
「樹下! これってまさか―」
「ああ。どうやら質が悪い星辰光の使い手らしいな」
あいつと戦っているイッセーも、すぐに分かったようだ。
ああ、この力はあれだ。
「「白龍皇再現能力……っ」」
おそらくは神滅具である光翼の方だろう。
感覚から言って半減のポテンシャルは本家ほどではない。これはもはや星辰光の限界だろうからまぁおかしなことではない。
だが、視界に映る全ての者達が半減の影響を受けているのが見え、そういう意味では厄介だと確信する。
おそらく、拡散性に特化した広域結界型の亜種発現。面倒極まりない広域デバフ……っ
となれば、さっさと元凶を探して止めを刺すのが最適解。
周囲を即座に警戒し、そして気づけた。
何人かいるな。それも、強大なオーラの持ち主が……っ!
舌打ちをし警戒態勢に入る。そして方向を向いてすぐに気づけた。
「……あらあらあら?
真っ先に声をかけたのは、光る翼を散らしている眼鏡の女。
こいつが白龍皇の再現をしている奴か。
問題は、こちらの誰かを明確に知っているという点だろう。
一体誰がと言いたいが、視線の動きから察するに霞城か。
「……比企野か……っ!」
やはり知り合いらしいな。
となると俺が動いた方がいいだろう。当人の意思次第ではあるが、旧知の知り合いとわざわざ殺し合う必要性はまずないしな。
まぁ、比企野とやらの表情から見て容赦せずぶちのめして問題ない相手でもあるんだろうが。
とはいえ、面倒なのは他に数人ほどいる男ども。
一人に至ってはブラック・クロスのトップだ。となると隣の二人は側近か用心棒。
おいおい。箔付けのはずがとんだ任務になったもんだな。
内心でぼやきながら、俺は呼吸を整えつついつでも仕掛けられるように動き―
「おっと動くなよ? 特にそこの執事服の兄ちゃん」
―何のためらいもなく、男の一人が銃を孤児院に突きつけた。
同時に現れるのは、数十を通り越して数百に届く銃を構えた存在。
確か、準神滅具の一つだったな。一個大隊規模の小銃部隊を具現化する準神滅具、
更に確か、黒野駆とかいうあいつは厄介らしい。潜入した公安警察や捜査員の類が、瞬くまに正体を察知されて殺されたり薬物叩き込まれたりとかしていたそうだ。おかげでプランを変え、内部に侵入するのではなく外側に包囲網を敷いて大規模に抜け出ることを阻止する方向で絡めとるしかなかったとか。
おそらく星辰光の性質なんだろうが、直接精神をいじくる形式はなかったはずだ。神器を再現する方向性か……?
「いいから敵意を向けんじゃねえよ。こっちは何時の間にか組織が潰されてて困ってんだ。……別に全員攫うつもりじゃねえが、高跳びになるから数人殺しても構わねえぞ?」
黒野の奴はそうほざくが、あいつらだって馬鹿ではない。
一人でも殺せばその時点で一線を越える。そうなれば本格的な殺し合いになることは分かっているだろう。即殺は……ない。
「ちょ、待って樹下。これは考えた方が―」
「考えて動いているから大丈夫です。駆け引きに慣れてない子は落ち着いてくださいねぇ」
イッセーは長官がなだめてくれるからすぐにはないだろう。さて、どうしたものかだがな。
「比企野……。信じたくなかった、信じたくなかったが……その挙句そのザマなのか……っ」
霞城は相当信じられないようで、歯を食いしばりながら比企野を睨みつける。
それに対して比企野とやらが浮かべるのは、明らかな嘲笑。
「こっちのセリフですよ、会長。折角あんな無様な姿になり果ててくれたってのに、どこかの誰かが大手の方々を壊滅させたとばっちりで、そんなとこにいるんですから」
とりあえず比企野とかいう女に容赦をする理由はないな。
ディオドラレベルの糞だということが何となく分かった。まぁ情報源にはなるだろうから、殺すのはなるべく避けた方がいいんだろうが。
分かり易く外道であることを態度も表情も隠すことなく見せつけてくる。多分外面をよくすることもできているディオドラタイプで間違いないな。
細かいことを聞く必要はない。だが、容赦をする必要もない。
問題は数が多すぎる所為で、孤児院を守りながら戦うのが大変ということだ。そこは既に
「……一応言っておきますが、出頭するのなら法に基づいて対応しますよ?」
「聞くわけねえだろ。こうなりゃ手土産用意してから亡命だ。そっちでのし上がるしかねえだろうしなぁ」
小笠原長官の最後通牒に、黒野はあっさりとそう切り捨てる。
……最悪殺しても問題なさそうだな。まぁ、仕事が仕事だし、捕まえた方がいいのは事実なんだが。
まぁ、あからさまに分かり易く悪党かつ外道なのが分かり易い。
というより、比企野とやらの方は本当にえげつない悪党なのが分かるというものだ。
「まったく困ったものですねぇ、会長も。……今更、信徒になってまとも面ですかぁ?」
霞城を徹底的にあざけるように笑うその姿は、まごうことなく邪悪のそれだ。
波柴の連中も匹敵する奴が、意外とそこかしこにいるってのが世の中に質の悪い所だろう。
俺は呼吸を整えつつ、既に策を講じながらもう少し時間を稼ぐ為にもあえてしゃべらせることにする。
万全を期すにはそれぐらいは必須だ。正直ストレスが溜まるが、後でぎゃふんと言わせる為にも思う存分語ってもらうことにしよう。そう割り切るしかないだろう。
「そもそもあなたはもう泥水なんですよぉ? 清濁併せ呑むとか言いますけど、そんなことをすればもう全部濁った水なんですからぁ。とっくの昔に汚れたくせして、今更綺麗なふりなんて、ちゃんちゃらおかしいですねぇ?」
その言い草に、霞城は反論しない。
おそらくだが、本人もそう思っているところがあるのだろう。
そして、だからこそ言い返すことを選択しない。真面目な人ではあるんだろうな。
ただまぁ、こっちとしてもいい加減苛立ちが大きくなるのが分かる。
分かっているが、立ち回っている者達はそれを言い返すことはしない。
……ならまぁ、あと少しの時間に関しては。
「……ぎゃあぎゃぁうるせえな。全裸にするぞ、オイ」
立ち回ってない、我らが愛すべき馬鹿に頼むとしよう。
《兵藤一誠》
さっきからさっぱり分かんないことばかりだけど、とりあえず目の前の眼鏡かけた女がマジでむかつくことばかり言ってんのはよく分かる。
「なんですかぁ? 部外者は引っ込んでもらえますぅ?」
「ざけんな。目の前で犯罪行為見たら、警察に通報するのが国民の義務なのと変わんねえよ」
無関係な他人なら、何の理由もなく理不尽な目に遭っても何かしたらいけませんなんてこたねえだろ。
つーか、さっきからなんか滅茶苦茶なことばかり言いやがって。
「俺はバカだけどよ、アンタがもっと馬鹿なことだけはよく分かるな。……泥水呑んだら全部泥水とか、そんなことねえだろ」
「……本当に馬鹿なんですかぁ? 混ぜたことあるなら分かるでしょ?」
……いや、これは本当に分かんねえ。
マジで意味が分かんないっていうか、やったことねえのはそっちだろって言いたい。
「汚れた水に綺麗な水入れたら、綺麗な水の分だけ汚れてるのが薄まるだろ? なんでそんなことも分かんねぇんだよ?」
マジで何言ってんだろうな、あの女。
仮に汚れの度合いを0と100で分けて、50ずつ入れたら単純に汚れが50ぐらいになった水が100できるだろ?
そりゃ汚れた水ばっかり何度も入れ続けてたら話は別だけど、なら綺麗な水入れたらいいだけのことじゃねえか。綺麗なだけの水にはならないかもだけど、汚れただけの水にもならないと思うんだけど。
「つーか、汚れたなら綺麗にすればいいだけじゃねえか? 知らねえのか? 水は炭や砂利を使えばろ過できるし、泥水もほっとけば沈殿するんだぜ?」
俺はそれをよく知ってる。
水は綺麗にできるんだよ。俺が冥界の山で一体どれだけ生水の処理をしたと思ってやがる!
人間だって、汚れが酷かったら洗ったりするし、日本人ならほぼ毎日風呂入ってるだろうに。
マジで何言ってんのか分かんねえし、霞城さんが反論しない理由も分かんねえ。
え、これ俺がおかしいの?
「……ふふふ。完璧に論破してくださいましたねぇ、兵藤君」
あ、小笠原長官さんが声をかけてくれた。
なんか呆れてるような感じもするけど、嫌味な感じじゃない笑顔だしいいのかな?
「まったくもって正論です。一度汚れた手段を知れば今後もその選択肢を考えざるを得ないのは真実。しかし現代は綺麗ごとだけを背負い続けられるわけでもなく、時として汚れ仕事といった選択肢を選ばないと成し遂げられないことも数多くあります」
長官さんはそういうけど、その上で眼鏡の女に鋭い視線を向ける。
「だからこそ、汚れてはいけないものを汚さず、汚れすぎないように身を清めることは必須。何より清濁併せ呑むとは清水と濁水をそれぞれ飲むこと。濁水だけばかりを飲んで汚れきり、清水で薄めてない馬鹿だと、自己紹介してどうするのですか?」
「……な……この、ジジイ……っ」
眼鏡の女はかなりキてるようだけど、小笠原長官さんはため息をついた。
「まして汚れた水を綺麗にするなど、ローテクハイテク合わせていくらでも手段があるのが現代ですし、衛生観念上適度に身ぎれいにして清潔さを保つのも常識でしょうに。少なくとも綺麗な側に配慮しようとしている者たち相手に、その程度のこともできないほど汚れたままにしている不衛生かつ非常識な物が偉そうにほざいてどうするというのですかねぇ?」
おー、言ってる言ってる。
「て、てめえらさっきから脱線しやがって!! こっちは人質を取ってるって分かってんのか、ああ!?」
えっと、黒なんとかいう半グレのボスがキレてるな。
そういや、あいつが孤児院を人質に取ってるような感じだったんだ。
やっべ。キレてぶっ放すんじゃないだろうな!?
「いえいえ。おかげで人質の安全は確保できましたから」
長官!? なんか自信満々に言っておりますが大丈夫ですか!?
「そういうわけで、もう好き放題しゃべらせる必要もないな。……じゃ、やってきます」
「お願いしますねぇ。まぁ、私達も援護ぐらいはしますけどねぇ」
樹下も長官さんもあっさりな感じなんだけど!?
え、いいの!? めっちゃ大変な気がするんだけど―
「だったら一人ぐらいぶっ殺して……なぁ!?」
―キレてぶっ放されたけど、あっさり弾け飛んだぁ!?
な、なんか思いっきり吹っ飛んだっていうか、結界が張られている!?
「……私達を舐めてもらっては困りますねぇ。これでも私、魔王や天使長との折衝を担当しているので」
はっはっはと笑う小笠原長官だけど、目が……笑ってない!?
「特にまぁ、汚れたままにするしかできない手合い如きにとやかく言われる筋合いはありません。大切なものを汚さないように気を使い、場合によっては身を清める程度のこともできない馬鹿には……ねぇ」
そう言うと同時に、小笠原長官の後ろに鋼の巨人が具現化する。
く、雲川さんの準神滅具にも似てるけど、気配が全然違う。
これ、なんていうか―
「
―俺が呟くと、樹下がうんうん頷いていた。
「初見は大概驚くよな。もっとも、お前は何度も見てきているわけだが」
え、どういうこと樹下!?
《空本麗夜》
こっちはこっちで忙しいけど、向こうも向こうで大変だろう。
大捕り物の最中に禍の団まで絡んでやばいことになっているけど、今こっちはもっと大変だ。
なんたって―
『くたばれ雑魚どもがぁあああああ』
―今俺達は、準神滅具を敵に回している。
麗華が振るっている準神滅具と同型。巨大な鋼の巨人を具現化して操る
巨体に比例して動きは鈍いが、でかいこともあってかなりの脅威。回避なしという条件下なら近接戦闘で最上級悪魔クラスすら打倒可能な、準神滅具になるだけのことはある神器だ。
英雄派の彼をどうにかしたいけれど、中に入っている星で手古摺っているし、乱戦だったので大混乱だ。
ただ、それももう大丈夫だろう。
「美子ちゃん、有象無象はこっちで薙ぎ払うから任せたよ!」
「まかせてダーリン! 頑張りま~っす!」
そう告げると共に、美子ちゃんは神器を開放する。
美子ちゃんは特殊な形で神器を保有しており、本来はその真価を発揮できない。
ただ条件を付けることでそれは克服可能であり、今回は小笠原長官と共にそれをクリアしている状態である。
故に具現化されるは巨大な鋼の人型。
されど、それはただの巨人ではない。事実、反応して振るわれた鉄槌要塞の拳を喰らってびくともしていない。
……それは、神代晃星によって発生したイレギュラーの一つ。極めて特殊な形で対象に宿る神滅具。
小笠原一族の住まう本拠地たる
それこそが―
「さぁ、久しぶりに使えちゃうし暴れちゃうよ!
―小笠原一族が日本内閣にすら食い込み、五大宗家の代わりを見込まれる最大の理由だ。
……俺、この子の旦那様するんだよねぇ。大丈夫だろうか?
「頑張りなさい。ま、こっちもなるべく手伝うから!」
「まとめて可愛がってやるから安心せい」
幼馴染の声援がありがたいなぁ、もう!!
「……おぉ~。すっごぉ……」
あとリーナちゃんは感心しすぎないでね!? 戦闘中で乱戦だから!!
たいていの詭弁は一理しかないというか、臨機応変とか適材適所とかそういう概念をガン無視してごり押しするのがあれですよね。「それとこれとは別」で切って捨ててもいいような気がします。
そしてようやく出せた美子の神器……というか神滅具。
以前活動報告でのせたアイディアの「亜種禁手で大量生産された300本黄昏の聖槍」の時に思いついていたアイディアの一つで「日本の某やんごとなき一族」が至ったことで地脈と繋がる形で一族共有の独自神滅具へと変貌……的なネタがあったのですが、さすがにちょっとうかつにやれないネタであり、活動報告とかで探ってみたけどやはりヤバイとの結論になったので、こんな形でネタの発散をしてみました。
小笠原一族が異能方面担当とは言え日本の要職についているのは、この神滅具の存在が大きいです。五大宗家も神滅具保有者が一族単位だとごり押しは難しいので、対抗馬として非常に助かるという判断ですね。