シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
さて、アーシアをめぐる戦いも、いよいよクライマックスです!
そろそろ本格的に星辰光も出ていくぜぇえええええ!!!
《木場祐斗》
想定外の事態だった。
本当に、この状況は想定外だ。
敵に複数の星辰奏者がいることは想定出来ていた。その程度のことは当然に想定しないといけないのが今の時代だ。
問題は、その星辰奏者が漏れなく僕達と相性が良いという一点に尽きる。
「利かんなぁ、小娘!!」
「く……こいつ……っ」
小猫ちゃんと戦っている男の堕天使は、彼女の拳を真っ向から受け止めて、それを無視して攻撃を振るっている。
「アッハハハハ! あんたついてないッスねぇ!!」
「なるほど……これは面倒ですわね」
ゴスロリ服を着た堕天使の少女は、朱乃さんの雷撃をたやすくいなしている。
そして僕と相対するスーツを着た女堕天使は、手に持った剣から聖なるオーラを放ちながら切りかかる。
……その剣に強い苛立ちを感じるけど、今は置いておかないとね。
生物として持つすべての機能が大幅に向上するだけでなく、独自の異能である星辰光を扱えることこそが、星辰奏者最大の特徴。
いくつかの性質でパロメーターを作ることができるが、同時に能力の根幹が千差万別。血を分けた肉親ですら能力がが違うことも間々あり、基本的に唯一無二の性質を持つことが多い。
とはいえ、ここまで僕達と相性の良い能力を持つ星辰奏者が揃っていると頭が痛くなりそうだね。
……だけど、甘く見てもらっては困る。
特に僕はなめられたものだ。
悪魔にとって聖なるオーラは天敵。だが、僕は聖なる剣を超えることを目的に己を鍛え続けてきた。
いい機会だ。ここで僕の力量を試すとしよう。
朱乃さんと小猫ちゃんも、そう簡単にやられる戦力では断じてない。そういう意味では、この程度で潰せると思われることが心外だ。
さぁ、そろそろ反撃の時と行こうか!!
《兵藤一誠》
なんか凄い事になってる……いや、凄い戦いすぎる。
俺が階段を上ってアーシアを逃がそうとして、レイナーレが邪魔する樹下を強引に押し込みながら追いかけている。戦いは大体そんな形だ。
問題は、その二人の戦闘が激しすぎる。
「この餓鬼……まさか、アレを再現する星辰光!?」
「このオーラ……そういう星辰光か、また奇遇な!」
振るって全力で斬り合う二人は、どっちも星辰光を使っていた。
レイナーレはやばいオーラの剣を具現化して切りかかっている。
逆に樹下は、足が変化している。
まるで闇で出来た獣みたいな感じだけど、そこから生えた刃がヤバイ。
なんか手に剣を作って戦っている樹下だけど、そっちはポンポン砕かれている。だけど足の刃は真っ向から切り結べていて、明らかに性能が違う。
そんな戦いをしり目に上ったけど、なんか外側もまだまだ激しいな。
これ、うかつに出れないぞ?
「イッセーさん……なんで来られたんですか?」
アーシアがそんなことを言うけど、何言ってんだ?
「友達がやばい目に遭いそうなんだぜ? 助けに来るに決まってんだろ」
当たり前のことだと思うんだけどな。そんなに言われるようなじゃないって。
「そんな……。レイナーレ様に殺されるかもしれなかったんですよ! それに、こんな大ごとに……っ」
アーシアは辛そうだけど、まぁそれはそうかも。
俺も一人で行くつもりだったからな。なんかたくさんついてきたりしてて超大ごとになってるけど。
ただ、そんな言い方はしてほしくないな。
「大ごとなったのはともかく、俺は一人でもアーシアを助けに行くよ。何があっても、誰が相手でも」
そこは当たり前だ。断言できる
もう、アーシアは俺の友達だ。それも、今まで大変なことになっている友達だ。
なのにこれ以上酷い目に遭わせるなんて、絶対に俺は認めない。
「さっき助けてくれた樹下も俺の友達なんだ。あいつ意外と愉快なところがあるし、今度みんなで楽しいところ行こうぜ? ゲーセンやハンバーガーショップ以外にも色々あるんだぜ?」
俺はそう言って手を差し出す。
「だからさ? もういいなんて言わないでくれよ。そんなこと言われる方がつらいからさ」
「イッセー……さん……っ」
あ、アーシアがなんか涙ぐんでる。
これ余計なこと言ったか!? ヤバイどうしよー
「もらったぁああああああっ!!!」
「ぐ……おぉおおおおおっ!?」
―そんな大声が響いて、何かが俺の後ろを思いっきり通り過ぎて近くの椅子をいくつもぶっ壊した。
っていうか今の声、樹下か!?
慌てて振り返りたいけど、其れよりやばい奴がいる。
樹下を盛大に吹っ飛ばしたってことは、今の声から見てもレイナーレだよな!?
だから慌てて階段の方を向いたら、ボロボロのレイナーレが勝ち誇った表情でこっちに近づいて来ている。
「収束性の差でちょっと大変だったけれど、基準値と維持性の差で何とか勝てたわ。さぁ、イッセー君? アーシアを返して頂戴?」
……やばいな、これは。
マジで死ぬかもって思うけど、俺はもう覚悟決めてるんだよ。
気合を入れて、俺は神器を具現化する。
左腕に、赤い鎧が具現化された。これが俺の神器だ。
「……あら、もしかして
レイナーレはあざ笑ってくるけど、おかげでちょっとチャンスがあるって分かったよ。
「いいから覚悟しろよ。俺は、アーシアを苦しめる奴は神様だろうがぶん殴るって決めてるんだ」
「はっ! 元人間の屑悪魔が、調子に乗りすぎよ!!」
レイナーレはそう言うと、魔剣を振り上げる。
俺はそれを受け止めようと左腕を構えて……足に激痛が走った。
「が……ぁあああああっ!?」
「簡単なフェイントに引っかかってくれてありがとう。私、星辰奏者になったこともあって光力の質には自信があるの」
言うじゃねえか。実際超痛い。
フリードとかいう奴に撃たれた時より痛い。
……で、それがどうした!
「舐めんじゃ……ねぇ!」
もう二十秒ぐらい経ったか。もうちょっとほしいな。
気合を入れて踏ん張りながら、俺はそんなことを思う。
ただ、レイナーレは目を見開いていた。
「私の槍を喰らって、下級の転生悪魔風情が立っていられる!? 馬鹿な、あり得ない!?」
そんなに自信があったのかよ。ま、実際めちゃくちゃ痛いけどな。
ただ、あまり舐めるなよ?
「アーシアを守るって決めてるんだよ。リアス部長達に助けてもらってるんだよ。そして……!」
ビビってくれてありがとうよ。おかげでだいぶ力が溜まった。
「今ダチをぶっ飛ばしたお前に、俺もいい加減ブチギれてるんだよ……レイナーレぇええええええ!」
いい加減、本気でぶっ飛ばす。
……転生悪魔になって事情を説明されてから、俺は神器の力を全力で解放しないように言われていた。
そもそも俺の才能がないうえに鍛えられてないから、禁手という段階に体がついていけないっていうのも理由の一つ。更にその神器がやばい奴で、尚更今の俺には使いこなせないのも理由だ。
そして、今回のことで俺の神器について教えられてからも気を付けるように言われている。
本気を出すなら、一発が限界。それもある程度溜めないと本領が出せないくせに、溜める時間も限定される感じだ。
だから、レイナーレが
おかげで一発はいるだろうさ!!
「気合入れろ、
「………なぁ!?」
一瞬だけ、俺の全身を赤い龍の鎧が包み込む。
これが俺の神器。極めれば本当に神様だってぶっ飛ばせる、赤龍帝の籠手。というか、神様を相手に大暴れしたドラゴンを封印したとかいう代物だ。
能力は十秒ごとに己の力を倍加させる。更にその力をフルに使う禁手の赤龍帝の鎧なら、めっちゃ強くなる。
この一発。一発だけが俺の勝ち目だ。
さよなら、俺の初恋! 初めての彼女!!
「ぐ、ぁああああああああ!?」
レイナーレは剣で受け止めたけど、それを砕いて俺はレイナーレの方に拳を叩き込む。
何かが砕けるような感触と、ぐちゃりというような音が響いてレイナーレが吹っ飛んだ。
……決まった。会心の一撃ってのはこういうことを言うんだってよく分かった。
ただ、もう全身がめちゃくちゃ痛い!?
「が……ぁあああああああっ!?」
「イッセーさん!?」
アーシアが駆け寄ってくれるけど、全身が弾け飛びそうなぐらいに痛い。
ヤバイ。反動もでかいって言われてたけど舐めてた!?
死にそう……というか、実際死んでるんだけどね俺。
「しっかりしてください、イッセーさん!」
アーシアが癒しの力をかけてくれるけど、ヤバイなんかごっそり抜けた。
ま、まぁ……これでレイナーレをぶっ飛ばせたんだし―
「……この、クソガギがぁあああああああ!!」
―って戦えるのかよ!?
立ち上がってきたレイナーレは、俺のパンチを喰らった右肩から先がちぎれかけてる。思わずアーシアが顔を真っ青にしているぐらいだ。
「殺す……殺す……殺してやる……!」
やばい目が血走ってる。あと、俺も流石にこれ以上はあの力を使えないぞ!?
……いや、そんなことを言ってる場合じゃないな。
あの女がいたら、アーシアが今後も大変だ。
それはできない。それに、皆を巻き込んだんだから頑張らないと駄目だ。
俺は歯を食いしばって、立ち上がろうとし―
「……よく頑張った。ただ無茶しすぎだぞ、イッセー」
―隣から、頼もしい声が響いた。
「ここまで男を見せたのなら、俺もそれなりのを見せないとな。……あともうちょっと、お互い踏ん張るぞ」
隣で血を流しながら、樹下が立ち上がっている。
「大丈夫か?」
「お互い様だろ」
樹下に答えながら、俺は今度こそしっかり立ち上がった。
「あとどれぐらい行ける」
「一発限定だからな。最終手段をぶちかましたいが時間が少し掛かるのがな」
俺が聞くと、樹下は素直に答えてくれた。
なら、俺がやることはたった一つだ。
「分かった。そこは俺が持ち堪えてやる」
……俺は先に一歩前に出た。
「かましてやれ、樹下!」
「任せとけ、イッセー!!」
あとちょっと……頑張るぜ!!
《樹下誠二》
呼吸を整え、覚悟を決める。
レイナーレが切りかかってくるが、イッセーが根性で籠手を使ってそれを受け止めたのを見たので、そこはあえて切り替える。
そして、俺は
「天来せよ、我が守護星———鋼の
告げるは本来とは全く異なる
「冥府魔道に引きずり込まれ、悪しきを守り善をくじく」
その実態は分からない。何故振るえるかも分からない。
加え、反動も消耗も大きいこの力は、使い方を間違えれば敗北必須の最終手段。
「我が身はすでに悪鬼畜生の刃なれば、永久に業は絡みつく」
だけど、それが俺を助けてくれる力だということだけは分かる。
この力の願いは、俺に悪意を向けてないことは分かる。
「下劣を守り善意を汚す。悪しき刃となり果てながら、されど心が下劣に染まらぬは、
同情か、憐憫か。だけど、俺の未来に幸あれと、どこかで願ってくれている。
それとこの力が宿ったのが別の理由だとどこかで思う。何が何だか分からない。
「もしもそうだというのなら、
だけど、少なくとも「お前なら使ってもまぁいいだろう」という答えだけは聞こえた気がしている。
「
だからこそ、今この場でこの刃を抜くことに否はない。
「その過去の旋律と明日の許しに、響き渡るものを感じるから———ここに
影の獣と化した俺の脚から、俺は闇を具現化させる。
これこそ、俺が保有する最大最強の一手。比喩抜きで神殺しすらできるだろうと確信している最強の手札。
「大海に響け決意の咆哮。——愛を汚す醜悪なりし罪人に、冥途の土産の柘榴をささげん」
「
樹下誠二
基準値:D
発動値:A
収束性:C
拡散性:E
操縦性:E
付属性:A
維持性:E
干渉性:AAA
「……ひぃ!?」
その刃を見た瞬間、レイナーレは絶望を顔に浮かべた。
そうだろうな。俺だって、これを使ったことは数回しかない。
総合的な性能は本来の星より低下するし、消耗も反動も跳ね上がる。はっきり言って、現状一回使えば戦闘不能になる最後の切り札としか言いようがない。
だが同時に、決まれば確実に勝てる切り札中の切り札だ。それを俺は直感的に理解している。
直撃を喰らえば、例え
これが俺の切り札———
覚悟はいいか、レイナーレ。
これがお前の終焉だ。
「辞世の句は思いついたか? さっさと言って死ぬといい」
「く……こんなところで!?」
レイナーレはイッセーとの戦闘を投げ捨てて逃走しようとするが、そうは問屋が卸さない。
「逃がすかよ」
既に追いついたイッセーは、恐怖で隙だらけのレイナーレを掴んで動きを封じる。
「やっちまえ、樹下!!」
「正気か、貴様!? あんなものを比えば、私はおろか下級悪魔程度のアンタなんかチリも残らないわよ!?」
羽交い絞めにするイッセーの正気を疑うレイナーレだが、イッセーは歯を剥いて笑みすら浮かべている。
「俺のダチをなめんなよ? 大体お前だけに当てるぐらい簡単だし―」
そう言ったうえで、イッセーは俺に心からの信頼を視線で向ける。
「ちょっとかすって死にかけても心配すんな! 俺が振り回したんだから気にしねえよ!」
「安心しな、かすり傷すらつけねえよ!」
俺は、反動と消耗で倒れそうになる体に鞭を打って走り出す。
大丈夫。実際問題この距離なら、正確にレイナーレだけを蹴り殺せる。
「そんな……私は、至高の堕天使に―」
なおも妄言をほざくレイナーレに、俺はとどめの言葉を投げかける。
「底辺の間違いだ下種堕天使!!」
その言葉に反応する時間すら与えず、反粒子の蹴りはレイナーレの全てを滅ぼしつくした。
「……じゃあな、俺の……初恋……っ」
イッセーの感傷に満ちた声が聞こえるが、俺はそれに何かを言う余裕もない。
ただでさえ消耗した状態で更なる消耗が重なったことで、俺の意識は一瞬確実にとんだからだ。
決着!
さて、それでは初めての星辰光紹介をもってして終了ということで
樹下誠二
基準値:D
発動値:A
収束性:C
拡散性:E
操縦性:E
付属性:A
維持性:E
干渉性:AAA
樹下誠二が持つ、もう一つの星辰光。
能力は反粒子貸与・斬撃付随。降臨した
反粒子とはあまねく星辰体の天敵であり、必然的に対星辰光において圧倒的。加え環境の急激な変化は物体の破壊につながるため、星辰体が充満する現状の世界において圧倒的な殺傷性能を確立。その殺傷性能は通常の星辰光の非ではなく、圧倒的に劣る出力で本来の黒刃の狗神《ケイニス・リュカオン》に勝るとも劣らない殺傷性能を確立。黒刃の狗神のように切る対象を選べない使い勝手の悪さはあるが、それゆえに問答無用の必殺性では超える可能性を秘めている。
少なくとも百倍以上の圧倒的な出力差が無くては、競り合いの土俵に上がることすら不可能。出力・密度の概念を蹂躙する圧倒的相性差は、龍神でもなければ脅威とみなさぬ道理がない。
問題はほんの一瞬しか使えないというただ一点。長期戦どころか一発屋であり、一撃外せば当面の再使用はほぼ不可能。まごうことなく奥の手であり、外した場合の状況悪化が避けられない札といえる。
これは誠二の精神性が海洋星《ネプトゥヌス》とも冥王星《ハデス》とも異なると誠二自身が悟っているが、その本来の意味を悟るには様々なものが足りない。
故にこそ、冥王の逆襲劇を手にした誠二は意を決してこの刃を振るう覚悟を磨き上げる。
それは、自分に力を託してくれたものの想いが愛であるとだけはわかっているがゆえに。かつての愛に恥じぬため、樹下誠二は神すら屠りし刃を振るう。
★詠唱
天来せよ、我が守護星。鋼の
冥府魔道に引きずり込まれ、悪しきを守り善をくじく。
我が身はすでに悪鬼畜生の刃なれば、永久に業は絡みつく。
下劣を守り善意を汚す。悪しき刃となり果てながら、されど心が下劣に染まらぬは、
もしもそうだというのなら、
その過去の旋律と明日の許しに、響き渡る者を感じるから———ここに
大海に響け決意の咆哮。——愛を汚す醜悪なりし罪人に、冥途の土産の柘榴をささげん。
はーい。シルヴァリオ知っている方ならだれもが知っているだろうチート能力、反粒子登場です。
コンセプトは「一発勝負の切り札」といったところですね。
大雑把な世界観の根幹設定はできており、それに合わせた銀の運命。その片割れが誠二のこれです。
現段階では一撃外すと再使用は現実的でない奥の手中の奥の手。当たればほぼ勝ち確定だが当たらないと負け確定になりかねない、究極の切り札といっても過言ではありません。
そのあたりはかなり後半、其れこそ終盤になるまで明かされないと思うレベルですが、それまで続けられるかどうかお祈りください。自分も続けたいとは思っております。