シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
あと出費も激しい……お盆休みにすることもないので、その間に書き溜めたいところでございます。
では本編!
《樹下誠二》
後日、兵藤邸宅の地下で会議が開かれることになった。
根城にしているオカ研以外、つまり呼び出されたのは俺達桃山警護事務所と、シトリー眷属。また堕天使と教会の代表としてアザゼル先生と雨宮司教が来ている。
で、問題はヴァーリチームがいるということだ。
「……で、なんでこんなことになってんだよ?」
匙が警戒心満載でこっちに聞いてくるのも当然だろう。
バトルジャンキーであるヴァーリ・ルシファー相手に一発かまして撃退に貢献している為、結構見られている。心臓に悪いのは認めるほかないだろう。
もっとも、あいつらの言いだしたことに対しての方が大問題なわけだが。
「恥知らずなことに共闘を強要してきたのさ。俺達が協力すればロキとフェンリルも打倒できるが、しないのならこっちの好き勝手に介入するなんてな」
本当にこう、恥知らずというか。
よくもまぁ、趣味の延長線上で裏切っておきながらそういうことを言い出せるな。禍の団に協力を募れ。
今すぐ叩き切ってやりたいところだが、不本意ながら窮地を救われているのでそこは我慢。
さて、その答えをアザゼル先生が受け取っているはずだからな。もっとも、サーゼクス様の性格を考えると無碍にすることもない気がするが。
「とりあえずヴァーリ。……悪いが先手を打たれた、さっさと帰った方が身の為だぞ」
……あれ?
なんか凄いことを先生が言ってないか?
ヴァーリも目をぱちくりしている。
「正気かい? 自分で言うのもなんだが、この申し出はありがたいところもあると思うけどね」
「残念だが大王派に先手を打たれた。今の冥界ではお前との共闘は極めて難しい……これ見ろ」
ヴァーリに応えながら、アザゼル先生はモニターを操作する。
そしてそこに移し抱かれたのは、四人の若き悪魔が民衆の大歓声を浴びながら壇上に立つ姿。
リンカさん達、サリアローズ達の眷属となっている魔王の血を引く者達だ。緊急発表らしいが、民衆の大歓声はサクラか?
『……皆様。我々は連名で、冥界の方々にお願いを申し上げるべく集いました』
代表としてリンカさんは声を上げる。
『三大勢力の和平は、各神話勢力にも広がっています。大敵たる禍の団はおりますが、その荒波にも負けず和平の輪は広がるばかり……ゆえにこそ、私達はそれを阻む怨敵を許すわけにはいきません』
そう演説のように告げるリンカさんは、その上で他の三人も立ち上がってから口々に告げる。
『そして最も許すべからずは、その三大勢力の和平を壊そうとした裏切り者』
『聖書の神が作りし神器の究極、神滅具の一角を宿す者』
『魔王ルシファーの血を直系で引く、若き神童』
『そこにアザゼル総督の薫陶を受けた教え子でもある、和平の象徴ともなりえた存在』
四人が次々に言い、リンカさんに一周して回ってくる。
『にも関わらず、趣味の延長線上なふざけた理由で裏切り、正しき現魔王様達の命を脅かすほどの事件を引き起こした悪鬼、ヴァーリ・ルシファー! 和平を守り広げるに辺り、その初動から砕きにかかった恥ずべき血族の裏切り者を……許しては陰りが見えるというものでしょう!』
拳を握り締めるリンカはその上で胸を張って宣言する。
『ゆえに我々は、そしてルシファーの末裔たる私めは、旧魔王血族の名において宣言します! 我ら三大勢力の忌むべき汚点、ヴァーリ・ルシファーとその配下を討ち滅ぼす存在。おぞましき白き光を喰らいつくす闇の精鋭、
………あ~。
「完璧に正論だわ。人間視点だと出てきても全くおかしくねえよ」
俺は素直に言いきった。人間世界なら十分あり得ることだ。
そもそも、三大勢力の和平が出鼻からくじかれかけた元凶が、魔王で神滅具な総督の教え子とか信用問題にもほどがある。
提唱されたら燃え上がるだろう。ルシファーの血族が現ルシファーの命すら危うくした(風に見える)ルシファーの血族を怨敵として打倒する為に動くだなんて、メディアも派手に動くだろうし。
「……つーわけだ。サーゼクス達も世論が向かい風になりすぎて、鎮火させるので手いっぱいでな。正直下手に庇うと堕天使の信用問題にもなるから、俺も討伐部隊が来ると止めきれねぇぞ」
アザゼル先生も頭痛を堪えているが、まぁそりゃそうなる。
「……民衆に都合のいい夢を見せる、傀儡の灯風情がよく言ってくれる……っ!」
「ピキってるところ悪いが、ほぼほぼお前の身から出た錆だぞ。個人的にはむしろ協力したいぐらいだ」
とりあえず逆切れかましているヴァーリに、俺は一言言っておく。
いや、普通に懸賞金懸けられるぐらいにはやらかしているだろうに。そりゃ字面だけ見たら99%アウトだ。人間社会で見れば今まで結成されてない方がおかしいレベルだろう。
大王派が都合のいい魔王血族を持っているなら、都合が悪いうえに普通に敵な魔王血族はそりゃ邪魔だ。こういうことをしても驚かない。おそらく魔王様やアザゼル先生に配慮して準備に留めていたが、今回の動きを察知してもめごと覚悟で強行したな?
「え、ちょ、どうするんですか!? っていうかコレ、サリアローズさん達来るんですか!?」
「かもしれん。というより、同時タイミングであの四人直属の特殊部隊がいくつか結成されてな。一気に仕掛けてくる可能性は消しきれないな」
慌てるイッセーに先生がぼやくが、これ本当にどうしたものか。
ま、言うべきことは言っておこう。
「とりあえず借りはあるから、討伐軍に敵対はしないが協力もしないぞ……30分は」
「短いな!? 守ってくれよ、ヴァーリに助けられただろぃ!」
美猴が反論してくるが、その肩にスティラが手を置いた。
「いや、待ってくれるだけ温情あるって。テロリストの無理やり押し付けてきた借りを、こんな形でも返してくれるだけめっちゃ優しいよ?」
もぐもぐとパフェ食べながらシビアな意見をありがとう。どこで買った?
「スティラ!? おまえはどっちの味方なんだぜぃ!?」
「一応テロリストの自覚はあるから。テロリストの押し付けた借りなんて、普通ないも同然扱いで無視されるよね?」
スティラはとりあえず、自分がテロリストの自覚はあるようで何よりです。
っていうか、これ絶対準備万端で来るだろうに。
のんびりしないで帰った方が安全だと思うぞー?
俺なら来ると分かっているこういった手合いに対して容赦はしない。絶対にすぐに部隊を引き連れてくる。
まぁ、人間世界を巻き込むことを考えると多少は配慮するだろうが、それも多少だ。旧王族の末裔が、現政権の大一番に趣味の延長線上でとんでもないことをしでかしたんだ。むしろ早いうちに殺さないと後々面倒になる。傀儡を別途で用意しているなら尚更だ。
大王派、こと擁立したサリアローズ達にとってヴァーリの存在は百害あって一利ない。純血ならともかく混血の魔王血族はもう必要ないどころか権威が分散されうるし、それがテロリストをやっているのなら当然有害だろう。
対処を見てみれば納得だ。そりゃ積極的に排除に動くだろう。むしろ今まで、サリアローズが積極的に動いていなかったことの方がおかしいともいえる。
タイミングはぎりぎりだったが、まぁ当然ではある。
「趣味の延長線上で、世界を大混乱に導きかねないような真似するために、恩人が死にかねないテロに加担した。字面だけ見たら99%以上アウトだからな。人生を数日伸ばしたいのなら早く帰ったほうがいいぞ?」
「言ってくれるね。この奇跡を体現した明けの明星たる白龍皇に」
俺の嫌味に苦笑で流しているところ悪いが、本当に早く帰ったほうが身のためだと思う。
というか、だ。
「この町に来ることがわかってるんだから、俺だったら精鋭引き連れて殺しに来るぐらいするからな? 正直この街を巻き込むのは忍びないから、さっさと帰ってほしいんだが」
「まぁ正論ね。このレベルの強敵に戦力を集中できる好機だもの。多少問題になってでも殺しに来る価値はあるかもしれないわ」
海砂さんも同意見のようだが、しかしどうやら遅かったようだ。
「……悪いがもう来ている。結界を張ってくれると助かるね」
その声とともに、リンカさんとマリヤさん含めた数人を引き連れた、サリアローズが姿を現した。
あ、これ手遅れか?
俺もさすがに警戒するが、サリアローズ・バアル殿は片手をあげて落ち着かせる。
「まぁ待ってくれたまえ。こちらとしてもアザゼル総督の手前もあるし、むやみやたらと被害を増やすような戦いは避けるべきだとは思っている。白喰闇団の本格的な編成も間に合ってないしな」
苦笑すらしているサリアローズに、ヴァーリもまた冷笑をぶつけている。
「言ってくれるね。部隊の編成が済めば勝てるほど、俺たちが弱いと?」
「勝算が十二分にある戦力でなければ、打倒のための部隊を編成する意味がない。……対ヴァーリチームに特化した部隊編成をする予定なのでな?」
視線がバチバチとぶつかり合っているが、こっちまで寒気を感じるレベルだ。
これ、うかつに刺激すると俺達にこそ死者が出るか? 黙っていた方がいいかもしれないな。
「個人的にはサイラオーグ・バアルを打倒した君の方が興味はあるさ。まあ、相当の一発芸だったようだが」
「貴様と相まみえるなら別のものを用意してやろう。そしてそのまま始末して、格下に討ち取られたことを末永く語ってやろうではないか」
本当にバチバチやりあっているんだが、これ、この場で殺し合いにならないだろうか。
最悪の場合は覚悟した方がいいだろう。なにせヴァーリは正真正銘テロリストであり、本来なら生死問わず無力化がすべきことだしな。
「まぁ、被害度外視ならお前達をここで殺すことはできる。被害覚悟でそれをするのも立派な選択肢なので、精々あの時殺しておけばよかったと後悔させてみろ」
「面白いことを言うね。飼い犬に成り下がった魔王血族二人と、狡い勝ち逃げで当主となった女風情がよく吠える」
更にバチバチとやりあっているが、ヴァーリの言い分にサリアローズは寒気を増した。
……あ、これマジ切れしている。
「……なるほど。そんなにここで殺し合いがしたいと見える。……貴様は今、逆鱗を二つ踏み抜いたぞ、
「…………なんだと?」
そしてヴァーリの方も寒気を増している。
そしてそれを分かったうえで、サリアローズは嘲笑まで浮かべてきた。
なんかアザゼル先生がやべって顔になっている辺り、先生は心当たりがありそうだが?
「オイ待て待て。流石にそれは言いすぎだろ?」
「現実的に見て言われても仕方がない評価でしょう。ルシファーとして至高だの最強だのを名乗っておきながら神滅具を主力にしている時点で、ルシファーの格ではなく相性で負けているだけだという言い訳作りと思われても反論などできるわけがない。それで最強を謡ったところで、滑稽だと言わると思ってないのなら……救いようのない馬鹿だ」
アザゼル先生が止めに入るけど、サリアローズは言い返している。
そしてその上で、明確にヴァーリを鼻で笑っている。
「少なくとも、その程度の小物に勝つ為に幾重もの準備をして札を適切に叩きつけた私も、魔力持たぬバアルの欠陥品でありながらバアルの私にそこまでさせた兄上も舐められる筋合いはない」
あ、やっぱりサリアローズ・バアル殿は、割と怒っている。
「精々取り繕った最強という欺瞞で自慰に耽るがいい。怨敵に勝てない形でしか強さを得られない虚言癖は、言い訳と共に自分を騙して醜く老いるのがお似合いだなぁ?」
「……そうか。遺言はそれでいいな?」
あ、一瞬でヴァーリが禁手通り越して覇龍になった。
俺との戦いで掴んだ一瞬だけの覇龍。間違いなく最高峰の札を躊躇なく切りやがった。
というか待て待て。それされるとこの屋敷が吹き飛びかね……いや違うな。
「そこまでしてろ下郎」
「匹夫風情がほざくな」
フードを被った二人の男女が前に出ると共に、一瞬の覇龍を食い止める。
瞬間、その補佐を受けたサリアローズは踏み込むハルバートを取り出して仕掛け、しかしそこにアーサー・ペンドラゴンと美猴が獲物をもって介入。
しかしそこにリンカさんとマリヤさんが素早く絶大な魔力を凝縮してブレードとして振るい、そこに黒歌の仙術が介入して状況が揺らぐ。
そして次の瞬間、互いに仕切り直すようにヴァーリチームとサリアローズ達が睨み合った。
「………なるほど。いうだけのことはあるようだ」
「お互い様だ。覇込みなら兄上を倒しうる戦士ではあるようだ」
互いに評価を修正するヴァーリとサリアローズ殿。
その鎧とハルバートにはかすかに傷がついており、どうやらあの一瞬の交錯でやりあってはいたらしい。
ただまぁ、これ以上やられるとこちらが困る。
「……申し訳ないが、これ以上の戦いは別のところでやっていただきたい」
俺は星辰光を発動しつつ、間に入って牽制する。
上手く殺気や気配を殺して割り込んでおり、周りの連中も反応が一瞬遅れている。仙術で悟るだろう美猴と黒歌に対しては、一瞬で悟っていた秀華とコナユキが牽制の殺気を放っている。
持つべきものは長年の相棒と同期の桜といったところか。さて、それはそれでだ。
「俺達桃山警護事務所は、
「そういうこと。問題の無い場所でやってくれるなら止めないけど、ここでやらないでもらえません?」
秀華も鋭く指摘するし、リアス部長もため息をつきつつ同意の姿勢だ。
「この地での狼藉はよしてもらえるかしら? ヴァーリチームが討伐されておかしくないテロ組織であることは事実だけれど、そのヴァーリチーム相手に穏便な解決を望んでいる魔王ルシファー様の意向を無視する気はこちらにはないの。……少なくとも、私の縄張りで勝手に殺し合いをしないでもらえるかしら?」
「ふむ。確かに横紙破りに近い真似をしている以上、ここから先はきちんとした権限を持って挑むべきか。自衛ができるならいいのだがな?」
片目を閉じて若干挑発的にヴァーリに告げるサリアローズ殿だが、自発的に仕掛けはしないのだろう。
ヴァーリもヴァーリで相当ピキピキしているが、とりあえずここで仕留める気はないようだ。
「いいだろう。どうせこちらの手を取らせない以上、そちらがロキとの戦いで助太刀するのだろう? ならロキごと叩けばいいだけだ」
「……申し訳ありませんがサリアローズ様。ヴァーリチームをただ見逃すようなことがあれば、サリアローズ様の沽券に関わるのでは?」
余計なことを言って割って入ってくる奴がいるが、そこで割って入ったのはアザゼル先生だ。
「いや、ヴァーリには対ロキにおいて最低限協力してほしいことが一つある。こっちでお前さん達に別途対価を用意するから、それが終わるまでは待ってから帰してやってほしい」
対ロキにおける一手か。
白龍皇ヴァーリにどんな形で協力を求める気か?
いや、ヴァーリの星なら亜種禁手に至ることもできるだろうし、対神特化型の禁手にさせてデータを取るとかか?
「ちなみに匙を呼んだのはそっちに協力させる為だ。俺もファーブニル持って関わるし、協力を表明したタンニーンが準備をして待っている」
「……良いでしょう。かの最上級悪魔であるタンニーン殿や、なにより堕天使総督である貴方の面子を潰せば、大王バアルの名に傷がつきかねません。仕留めるのは、やはり部隊の編成が済んでからにしましょうか」
サリアローズはどうやら折れたようだ。
ヴァーリの方が不安だが、まぁ後でしっかりカタをつけるタイプだからまぁいいだろう。
対立派閥がテロリストと潰し合ってくれるのは好都合。そういう風に考えるべきかねぇ?
「………あれ? 俺ってそんなレベルで凄い奴だったっけ……?」
「凄い奴にする余地はある。ま、とりあえずはそっちを終らせてだ」
若干困惑している匙に対し、先生が肩を叩きながら言う。
……さて、これからどうなることやら。
《空本麗夜》
とりあえず、アザゼル総督のいう仕込みが終わるまでは待機した方がいいだろうね。
ただまぁ、この街が吹き飛ぶような事態が起きなくてよかったよかった。
「……お姉ちゃん、大丈夫なのか? その、貴族の堅苦しい生活とか、不向きではないだろうか……?」
「そうでもないわ。やることをきちんとやっていればそれなりに自由な時間もあるし、言われたことをきちんとやれるように教えてもくれるから」
麗華は凛華さんと会話を試みているが、凛花さんはあまり積極的に話を広げる姿勢を見せてない。
とはいえ、俺が入ると更にややこしそうだけどどうしたものか。
麗奈と星斗さんが補佐の為に先生の呼び出されたのもあるし、困ったな。特に星斗さんがいないのが厳しい。
「空本麗夜……だったかしら?」
と、アスモデウス様の方がこちらに声をかける。
「これはマリヤ・アスモデウス様。その節はどうも」
俺は一礼すると、マリヤ様は苦笑しながら手を出して俺をとどめる。
雰囲気が凛花さんと似ているね。もしかすると、気も合っているかもしれない。
「体調はいいのかしら? そちらもそちらで色々大変で、私達とは別の意味で健康が必須でしょうけれど」
「給金含めて、それなりにいい待遇なので健康にも気を使えていますので、大丈夫です。……その、凛花さ……まは、どんな様子で過ごしておられますか?」
相手の立ち位置もあるから、ちょっとやりづらいかもね。
そう思いながら探っていると、マリヤさんはどこかほっとした表情で凛花さんをちらりと見る。
その視線に一瞬で気づいたのか、凛花さんも小さく微笑んでいる。
どうやら、二人は結構仲が良いらしい。
「私と同じように頑張っているわ。私達が成果を上げれば上げるほど、サリアローズ様の栄光につながるもの」
満面の笑みで言われると、色々どうしたものかと思うけどね。
間違いなく対立派閥なので思うところはあるけれど、ここまで笑顔で過ごせているのは良いことなんだろうか。
とりあえず、眷属の魔王同士は仲が良さそうだからそれは良いことなんだろうか。
そう思うとちょっとは笑ってしまうけれど、それを見たマリヤ様は嬉しそうに微笑んでいた。
「貴方みたいな子が楽しそうに過ごせる職場みたいね。レヴィアタン様の部隊もいい所の様ね」
「………ソウデスネ」
素直に頷くのは何かが絶対に違う気がしてしまい、俺は一瞬本気で視線を逸らすほかなかったけどね。
《兵藤一誠》
なんか知らんけど、龍王ミドガルズオルムっていうすっごい眠りたがりのドラゴンから色々聞けた。
どうもロキの関係者みたいで、色々知っていたから接触したかったらしい。
でもまぁ、神様が和平に反対して襲撃ねぇ?
「アイアンローズもそうだけど、そんなに平和になるのが嫌なのかな?」
戦争するよりは絶対にいいと思うけどなぁ。
ただ、帰る準備を万端にしていたヴァーリは小さく肩をすくめていた。
「君にとっての平和を苦痛に思う誰かはいるということさ。……個人的には退屈ではあるけどね」
「そこは同意見だ。そも、戦争というものを悪とする風潮が世界的に広まったのは歴史的には最近だしな」
なんか、監視で来ていたサリアローズまで同意してるんだけど。
「また、アースガルズという信仰体系にとって、戦死こそ世界で最も尊い死に方とする風潮がある。その観点で言うのならば、オーディン殿達主流派が戦争回避の為に各神話と積極的に和平を結ぶという方が違和感があるかもしれないな」
マジかぁ。
「そうなんですか?」
「極論ではあるが、強国同士の全面戦争が人類滅亡に繋がりかねなくなってから本番に入った思想だからな、平和主義というのは」
サリアローズ様は俺にも分かり易く教えてくれるみたいだ。
「歴史的観点から見れば、むしろ戦争で勝ち国土や領民を増やす拡張政策の方が長い思想といえるだろう。長い年月を生きている神々からすれば、敵と仲良くする為に和平を結ぶ方が不本意ともいえるだろうさ」
そう教えてくれたサリアローズ様は、ヴァーリに対して冷たい視線を向けた。
「そういうわけで、精々戦いを楽しんで戦死してくれたまえ、ヴァーリ・ルシファー。どうせこれからの世界は、お前達のようなものに不都合になっていくだろうからな」
「フフフ。なら俺の覇道をもってそれをひっくり返すだけと言っておこうか」
凄いバチバチ言ってるんだけど!? 第二ラウンド始まりそうなんだけど!?
ちょ、ここ俺の家!? 俺の住んでる街!! 俺の主の縄張り!!!
「帰ってくれよ頼むからぁあああああああああっ!!」
こんな調子でロキとの戦い、大丈夫なのかぁあああああああああ!?
サリアローズ側からすると「傀儡の魔王血族は確保したのだから、テロやってる連中は鏖でいいだろ常考」みたいな感じで準備はしていましたが、トップ陣の意向もあるので本格的には動いてなかった形です。
あとサリアローズはリゼヴィム当たりの情報もそこそこつかんでいるので「ルシファーとしての格云々言っておきながら、相性最悪の神滅具中核で強くなろうとか馬鹿なの? あ、チンピラって形だけの敵対姿勢を取ってプライド守っている気になるよね?」的な感じだったりします。
あとサリアローズ的にサイラオーグは「バアルとして欠陥品でありながら、バアルである自分が勝負投げ捨てた勝ち逃げ戦術をとるほどの相手」として評価しているので、忠臣二人を馬鹿にされたことも含めて「底の浅いチンピラ風情が。被害前提でやはりここで殺してやりたいが、手を出すのはあいつの方にしないとさすがに仲間たちにいらん被害が出るな」という感じでブチギれてます。