シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
というわけで夜に投稿です! 給料日なのでちょっと酒入ってますが、書き溜めたくさんなので無問題です!
《木場祐斗》
戦闘は非常に激しくなっている。
乱戦になっている為、敵味方が入り乱れて同じ相手との戦いを長時間続けるのも大変だ。
アーシアさんやギャスパー君が心配だね。二人は基本サポートタイプだから、単独での戦闘になるとめっぽう不利になる。
そして僕自身、そこに意識を割ききれない部分がある。
と、いうのも……っ!
『まったく。例の二人を見失ったと思ったら、音に聞こえし聖魔剣』
謎の兵器群に狙われているからね。
一糸乱れぬ連携による波状攻撃で、詰将棋のように逃げ道を潰されそうになれば、こっちに集中せざるを得ない。
数の暴力だけでなく質もいい。更に接近戦を一撃離脱戦法に留めつつ、遠距離からの波状攻撃を主体としているのも厄介だ。
防御担当数機に近接担当一機の組み合わせで、縫うように攻撃を叩き込んでくる。多少は密度が薄くなるけど、それも無駄がない為察知が難しい。
これがロキ配下の戦闘能力、凄まじすぎる……っ!
『通用するだけの質がある場合に限るが、世の中は基本質より量だ……このまますり潰す……っ』
まずいねこれは。まだまだ数に余裕があるということだろう。
このままだと押し切られる。できれば何とか隙間を作ってこじ開けたいところだね。
……そして、その準備は整っている。
「待たせたわね!」
その声と共に、仕掛けてきた機械兵器の一体が弾き飛ばされる。
……戦闘が激しい為救援を求めるのも難しい……が、それなりの手段はある。
聖剣と魔剣を配置を切り替えておくことで、図式になるように立ち回っていた。そして僕はその図式を常に作れる形で、援護が受けられる可能性は作るために備えていた。
駆けつけてくれたのはアルトリーネさん。この局面では本当に助かるかただ。
「面倒な敵ね。これは、誰かが制御しているということかしら?」
「そのようです。中々に厄介な敵です」
互いにカバーしながら迎撃を繰り返すが、それでも敵は中々に揺るがない。
だいぶ楽にはなったけれど、向こうもこちらも決定打を討てない状態だ。
これはこれで役に立っているだろうけれど、できることならもう行ってほしい。
『流石に今のままでは倒しきれんか……なら、多少損耗は増えるがごり押す……っ』
敵も決定打が討てないことに業を煮やしたのだろう。
そもそも、会談が成功してからオーディン神を殺しても戦略的には敗北だ。長期戦は本来、彼らにとって避けるべき事象。
ならば損害が多少増えたとしても、短期決戦を挑むのは彼らにとっては十分正当な一手。
だが、その対応は一手遅かった。
「……あらあら。こんなところに私向きの相手が……ね!」
その声が上から響くと共に、瞬く間に数百を超える光弾が上から放たれ、兵器群を瞬く間に破壊していく。
思わぬ増援といえる動きだったけれど、このチャンスを見逃す僕達ではない。
ここが好機とみいだし、僕もアルトリーネさんも無言で対応。
かき乱された敵の陣形を更にかき乱すように突貫して各個撃破を敢行。連携を大きく崩した敵兵器群は、更に荷電粒子によって撃破されていく。
それでも連携を取り戻して体勢を立て直す兵器群だけれど、見えている範囲では二割ほど削れている。
普通なら撤退を考慮するような大損害。だが、相手は徹底抗戦の構えを崩さない。
『やってくれる。大王派の連中か……?』
「あ、分かる? ま、こっちもサリアローズ様達に恥はかかせられないものね」
着地しながら相手に応えるのは、四挺の銃を構えて着地する女性。
四挺を同時に構えているのは、背中から一対の鎧の腕が生えているから。おそらく亜種の神器なのだろう。
「援軍でいいのかしら? こちらは桃山警護事務所の富士野アルトリーネよ」
「噂のレヴィアタン軍団だったっけ? 私はサリアローズ様の命により派遣された、転生悪魔の
アルトリーネさんに対して朗らかに答える御崎さんは、油断なく四挺の銃を構えながらにやりと笑う。
「一応、実力だけなら最上級に通用するって言われてるんで……頼りにしていいよ!」
「ありがたいです。なら、思う存分力を借ります……!」
この場を抑え込むことで、僕達は僕達がなすべきことをしよう。
さぁ、まだまだ終わらないよ!!
《樹下誠二》
戦闘が無駄に激しい……いや、本当に激しい!
音成光珠の戦闘能力が本当に洒落にならない……なっていない!
魔力や雷撃といった搦手まで使ったんだが、音成が放つ炎はそれすら燃え上がらせる。
あれはただの炎じゃない。なんだあの火力は。
だが、海砂さんも仕切り直せたことでそれに対応している。
「なるほどね。こういうことができるのなら、雑魚ではないわね」
「一応、所長に恥ずかしくない自分を目指してるもの」
音成光珠に海砂さんが胸を張るほどに、立ち回りが上手いといえるだろう。
海砂さんの魔剣創造による戦術は、己の星辰光を併用した結界術だ。
人形に大量の魔剣を携行させて陣を形成することで、高性能の結界空間を生成。要は結界を作る際に使用する道具として魔剣を使うことで、本来もっと手間暇のかかる結界をあっさりと作るようなものだ。
海砂さんがこの業界に来てからまだまだ新参者ではある為限度はあるが、反則級のやり方でショートカットができている。これがあるからこそ、海砂さんは他のメンバーに比べると戦闘面でのポテンシャルに差がありながらも肩を並べられているところがあるからな。
そして、海砂さんの新兵器もびっくりだ。
一対手袋と、それを繋ぐ鳴子をつるしたチェーン。そしてその力は鳴子型のパーツから魔剣創造の拡張といえる人形を製造することだ。
肝心の人形を輸送する手間をこれでカバーするばかりか、慣れれば人形そのものに特性を与えることで更なる拡張も可能だろう。これは非常に有効な新兵器だ。
その結界を対炎に特化して調整することで、音成光珠の炎はだいぶ弱められている。
……それで充分脅威なんだから、勘弁してほしいもんだよ。
「あっさり殺せたらそれはそれで思うところがあったけど、歯応えがあるってのもそれはそれでむかつくわね……」
そうぼやく音成光珠は、ごそごそとポケットを探ると何かを取り出した。
……パイプタバコ……いや、煙管か?
器用に片手で丸まっている煙草を煙管に入れ、己の星辰光を利用して火をつける。
そして器用にこっちを警戒しながら煙を吸ってから、残った灰を携帯灰皿を取り出して器用に片付ける。
「……貴女、確か今二十歳ぐらいじゃなかったかしら?」
「兄さんが死んでからストレスが溜まってるのよ。発散しないとやってられないわ」
海砂さんにそう冷たく返し、音成光珠は炎を纏った聖剣を構える。
「まぁいいわ。アンタを心で殺せればこっちも少しは割り切れるでしょ……だから殺―」
「あ、ゴメン」
なんか吹っ飛ばされた?
剣を突き付けたそのタイミングで、壮絶な勢いで飛んできた信子さんが激突した。
あまりの展開に想定が足りなかったんだろう。いや、反応してガード体制に移っていたが、成立し切れなかった所為で吹っ飛ばされた。
そして信子さんはその衝撃で体勢を整えているけど、かなり動揺しているようだ。
あの展開で素直に謝っているのが、逆に困惑している証拠といえるだろう。
そして次の瞬間、信子さんの後ろに何者かが転移して剣を振りかぶる。
そしてそんなことを許す俺ではない。
「させるか!」
あえて声を張り上げつつ魔剣を投擲。反応して迎撃している隙に被弾覚悟で信子さんのところに割って入り、黒刃で蹴りを仕掛ける。
相手はそれを迎撃するが、俺だけではなく海砂さんがいるので信子さんのカバーを預けて更に連撃。
そして、そこに来るのは我らが所長。
「外野潰してきたけど何やってんのー!?」
魔力を纏った跳び蹴りで、相手を吹っ飛ばした。
ここに至るまで僅か数秒。そして信子さんも調子を取り戻したらしい。
いや、調子は取り戻したのだろうが……様子はおかしい。
「なん、で……なんで、そんなところにいるの!?」
絶叫する信子さんの様子を見れば、彼女が衝撃を受けていることは想像に難しくない。
ということはあれか。信子さんの知り合いか何かか。
「……それは、冥界の時に言ってほしかったわね」
そう返すのは、小柄な少女。
長髪を伸ばしながらも一房ずつ左右を束ねている。いわゆるツーサイドアップといった形の髪型で、うちの事務所では美子がしている髪型だ。
そしてそんなことをしている間に、吹っ飛ばされた音成光珠が戻ってくる。
「痛いわねまったく。っていうか山吹御前じゃない、どうしたの?」
その言葉に、俺達は全員息をのんだ。
山吹御前。確か英雄派の一員がそう名乗っていて、それも木曽義仲こと旗本鏡夜と共に活動していた。
いや、ある意味で納得だろう。
旗本鏡夜が流花さんを狙ったことを考えると、巴御前と山吹御前がそれぞれ海砂さんと信子さんに因縁のある相手であるのは納得ができる。
そしてこの場合、信子さんの関係者であることの疑う必要もない。
「……改めまして、自己紹介」
そう前置きしながら、山吹御前は剣を突き付ける。
聖なるオーラを纏う剣を突き出しながら、山吹御前は信子さんを真っ直ぐに見据えて宣言した。
「英雄派、木曽分隊所属。山吹御前……いえ、全然気づかなかったしあえていうわよ、
勘弁してほしいとはこのことか。
この人、信子さんの知り合い昔馴染みだろ、多分会ったことあるぞ!?
まったく。因縁のバーゲンセール過ぎるだろうが……っ!
《空本麗夜》
状況が流れ続けていて、このままだと話が進まないだろう。
というより、敵も味方も多すぎる所為で戦闘が流動しすぎている。
ただ、こっちもそろそろ味方と合流して態勢を整え直したいのが本音だね。
特に気になるのが、徹底的にサポートタイプのアーシアちゃんやギャスパー君だ。
……いた!
「二人とも、無事……か……あ」
二人を同時に発見し、そして無事だった理由は単純だった。
「あ、麗夜さんこっちです! 手伝ってくださぁ~っい!」
こっちに気づいて手を振りながら、素早く迫りくる敵をぶちのめしているリーナちゃん。
彼女が奮闘していることは、メイド服がボロボロになっているからよく分かる。
「空本さん! 来てくれたんですね?」
「た、助かりましたぁ~! 僕達、特にリーナちゃんが頑張ってくれましたぁああああ!!」
アーシアちゃんはギャスパー君の負傷はなく、服もさほど破れていない。
それほどまでに、リーナちゃんが頑張ってくれたのか……!
なら、ここからは俺も気合を入れないとね。
「よく頑張ったリーナちゃん! 二人も、とりあえず休める時間は俺が作る!」
こういうところで年長者が頑張らないとね。
俺は素早く三人のところに集まると、魔剣と雷撃で敵をけん制しつつ、人工神器も併用する。
回復と停止という別ベクトルで有効なサポート系の二人もいたおかげで、こっちはだいぶ楽になっている。
更に乱戦で近づいている他の味方に遠距離攻撃を近くで着弾させる形で集め、十分も経つ頃にはある程度の陣地ができていた。
「……どうやら、貴重な回復役を守ることができているようだな。これは実にありがたい」
何時の間にかサリアローズ嬢も来ており、合流した部下に水を渡していた。
「こちらも切り札を二つほど用意しているが、残念なことにロキに当てても効果があるとは言い難い。あのしぶとさの種を見出せないかね?」
「そこについては心当たりが。ただ、だとすると対応できる面子が一人ぐらいしかいないからまず彼と合流しないといけません」
年長者として応対しながら、俺は一番重要なメンバーを思い出す。
神祖の不死じみたあの謎の無傷っぷり、多分誠二や所長も気づいているだろう。そして対神祖を考慮に入れると、誠二は必要不可欠だ。
……もう殺さずに強引に封印することも考えないとだけど、それはそれであのレベルが相手だと殺すより大変なんだよなぁ……。
「とりあえず、ヴァーリとぶつけあわせて弱らせるのが妥当でしょう。いい感じに戦っているわけだし、今のうちにこっちは体勢を立て直すことに徹底して―」
そう言いかけた時、寒気を感じた。
そして振り返った時、とんでもない光景が見えてしまった。
「……よくやった、我が子よ。まずは白龍皇からぶっ殺しだな」
「……これは、中々にきつい……っ」
これはヤバイ。
フェンリルが、解き放たれた……っ!!
くるぜぇ……そろそろ……奴が来るぜぇ……っ!!