シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
まぁちと厳しい展開ですが、場合によってはもっとひどいことになってたよなコレと思ってちょっと書いてしまいました……。
では本編!
《樹下誠二》
走って一分断たずに到着し、俺は魔剣を連続投擲。
イッセーの周囲を囲むように魔剣を叩きつけ、囲んでいる妖怪達の牽制を行いながらその中に飛び込む。
手練れのようではないが、一体どういう了見だ。
「……何のつもりだか知らないが、俺達は正式に許可をもらって京都に立ち入っているものだ!! それに対してこれ以上狼藉を働くというのなら、対禍の団の自衛を許可されている者として、同系統の敵と判断して正式に討伐させてもらうと思え!!」
糾弾と警告をするが、動きから見て統率があまりとれてない。
しかしそれにしては人数はそこそこ多い。影響力の高い考え無しが暴発したか?
勘弁してくれ。冥界政府が仲立ちとなる形で会談するって話だろうに、そのタイミングで妖怪の偉い関係者がイッセーに手を出すとか、下手すると冥界現魔王政権と京都の妖怪で全面戦争になりかねない。
もちろんサーゼクス様は戦争までは行かさせないだろう。だが巻き込まれたのが大王派だったりすれば、最悪大王派だけで報復活動を取るぐらいのことはするだろう。よくて何人か京の妖怪でお偉いさんがさらし首になる。
これ以上介入してくると流石にまずいし、そもそもこうして堂々と許可証を見せているんだ。よほどの馬鹿でもない限りは大丈夫だと思うが。
「ほざくな!! いいから母上を返すがよい!!」
……あ、まずい。
今の吠える少女で大体悟った。あの子に引っ張られて動いていると見た方がいい。
いさめてない辺りただの腰ぎんちゃくか、それとも同等レベルの考え無しかもしれない。それとも、いさめられないほどのお偉いさん……だとしたら最悪だ。
下手をすると国際問題になる。これ以上ことが大きくなるとまずいし、こうなったら腹をくくった方がいいか。
「樹下。変に怪我を与えたら駄目だと思うぞ?」
「いや、こっちが一方的に全員半殺しにしておいた方が向こうにとってはマシかもしれないぞ?」
イッセーの言い分も分かる。ここで事を荒立てることで、更に連鎖反応で騒ぎになるのはリスクがある。
だがしかし、これ以上大騒ぎになると大王派の耳のも入りかねない。そうなると後がいろいろと騒がしい。
「大王派の老害の耳に入ってもみろ。これ幸いと魔王派側の俺達の失態扱いにしつつ、わざと派手な討伐作戦を起こして恩を押し売り、今日の妖怪相手に数百年単位のマウントを取りかねない。多少こっちが責任を負うレベルで過剰防衛しておけば、最低でも京都の妖怪でお偉いさんの首が大王派の傀儡に物理的に挿げ替えられる事態は避けられる」
「……そういう気の使い方がいるレベル……だよなぁ、あいつら」
イッセーも悟ってくれてありがたい。
まぁ、それができないならいいんだが。
ただ、この規模の京都だ。最悪の場合は想定しよう。
「万が一にでも大王派に知られるとまずいから、何とかここで決着を―」
「すまんが、既に聞いている」
俺が作戦を練る前に、聞き覚えがありすぎる声が響いた。
そして次の瞬間、妖怪を率いている少女が地面に踏みつけられた。
こっちが天を仰ぐ間に、今日の妖怪たちはあっけとられて反応ができない。
そして次の瞬間、盛大に吹っ飛ばされた。
……血反吐吐いていたり腕があらぬ方向に曲がっていたりと、致命傷にならない範囲で盛大にぶちのめしているな。
そして、絶妙な力加減で少女を踏みつけながら、ハルバードがその眼前に突きつけられた。
「まったく。実家と縁深い京の術者一族と引継ぎのために顔合わせをしにきて、少しだけ観光をと許可証をもらっていたにもかかわらず襲い掛かってくるとはどういう了見だ? 貴様たちは裏京都を血の海に沈めたいと見えるが?」
そうげんなりした顔で、サリアローズ殿が魔力を展開して周囲をけん制しつつ、刺さるか刺さらないかギリギリのラインで穂先でツンツンとつついている。
少女は顔面蒼白だ。まぁそれはそうだろう。
「ちょ、サリアローズさん!? 相手が誰か知らないけど、小さな女の子相手にそれはまずいですって!!」
イッセーが流石に見てられないので止めに入ろうとするが、サリアローズ殿は手を出してそれをとどめる。
「誰か、ではない。
あ、やっぱり。
巫女服を着た少女は、態度と立ち振る舞いに高貴な雰囲気があった。
そういったものは中々に隠せない。つまり、超お偉いさんだ。
だからこそ、サリアローズ殿も表情に頭痛が感じさせているのだろう。面倒ごと確定だ。
「彼女は、この京都にて妖怪達異形をまとめる九尾の狐たる八坂姫……の実子である
あえて九重嬢に聞こえるようにはっきり言っているのは、周囲の者達にも含めた説教だ。
これ多分、現大王にもう知られている可能性があるな。だからこそ、あえて派手に動いているという感じだろう。
「間違いなく国際問題であり、既に父上の耳に入っている以上国際会見レベルで非難声明が京都の妖怪に向けられても当然だ。民意次第では大軍を率いて裏京都を占領することになるだろうし、そうなれば民間人の被害も気を使ったうえで多数発生するだろうなぁ? なるべく出さないのが理想だがかなり出てしまうのが、戦争における民間被害という者だからな……?」
うわぁ。怖い笑顔。
周囲で鎮圧した部下の人たちも軽く引いている。京の妖怪たちに至っては、自分たちが火薬庫に放火しかけたことにようやく気付いて顔面蒼白だ。
当然、九重嬢もかなりまずいことになっていると気づいたらしい。泣き出す寸前だ。
「父上はバアルが面子の為ならどれだけの犠牲を産んでも構わない類だ。ここで私がやりすぎなぐらいに独断専行で貴様らに誅を下して心理的な枷を作らねば、一体どれだけ京都妖怪要職の首を物理的に切断させようとするか分かったものではないぞ……?」
「……ぇ……ぁ………ぁぁ……っ」
もう泣きそうになっているけど、彼女に同情はしない。
まぁ実際問題それがありえたしな。子供のしたことだからと流してくれるほど、大王バアル家がお優しいわけがないし。
むしろここで過激なことをあえてすることで、大王バアル家に非難を向ける余地を作ることである程度相殺を見込むという、ものすごく親切なことをさせているわけだし。
「子供は無邪気で無知で無思慮なものだが、それが許されない立場というものがある。感謝してもらおうか? 当事者を痛めつけるだけで手打ちにする余地を態々作ってやっていることにな?」
「本当に感謝しとけー。間違いなくその人、あとで「余計なことをしたものだ」的な嫌味をお偉いさんに言われるからなー?」
俺は助け船を出しておくことにする。
いや、絶対大王バアル家は「京都の姫君が馬鹿なことをしたので、これを理由に支配下においてやろう」みたいなことを考えているだろうし。サリアローズ殿が過激な報復を独断でしたから、これである程度相殺できるはずだしな。
「……というわけだ。この地の妖怪の為にも、彼女達にはこの三倍は
「……秀華に頼んで、今度祓魔庁と現魔王政権での晩餐会が開けないか長官に相談します。魔王派との比率は半々にできるようにするから、加減してくれませんか?」
「お、おっぱいドラゴンと大王バアル家でタイアップ商品とかどうでしょうか」
俺もイッセーも即座に、独断で出せるだろう餌を提示しておく。
流石にちょっと同情する。サリアローズ殿も不本意だろうしな。
「……マグダラン兄上が品種改良したリンゴを使った食品ブランドでも立ち上げさせるか。CM出演料はちゃんと払わせることを約束しよう。それと長官殿にはこちらが交渉するから、繋ぎだけ取ってもらえるよう頼んでくれ」
しかもしっかりまけてくれたし。やっぱり彼女、悪人ではないよなぁ。
《木場祐斗》
「「……そんなことがあった……」」
「とんでもないことになってるね」
二人が揃って疲れた顔をしており、話を聞いたらこれだ。
何があったかはわからないけれど、須弥山との会合を反故にした状態で大王バアル家次期当主やグレモリー本家次期当主が婿、さらに正統たるレヴィアタンの末裔が懐刀に危害を加えたわけだしね。本当にバアル家が京都相手に殲滅作戦を行いかねない。
サリアローズ様が積極的に加害行為を働いていなければ本当に行っていただろう。あえて過激な報復行為を幼子に対して行うことで、周囲の心情操作の観点でバアル本家を抑えにかかっていると言ってもいい。出ないと本当に虐殺レベルで妖怪たちが報復行為を受けかねない。
「しかしどういうことだ? 私達が修学旅行に来ることも、それなりの立場なら知らされているだろうに」
「そこまで考えが回ってないんだろう。九重嬢は外見通りの人間年齢なら小学生レベルだしな」
ゼノヴィアに樹下君がそう答えるけど、その上でお茶を飲んでから息を吐いた。
「もっとも、いうなれば王家の姫君だからな。国際問題を起こしている以上、年齢を理由に許されていいことでもない。大王バアル家にまで危害を加えているのならなおのこと、両成敗の形である程度の相殺するにはあれが必要不可欠だ」
「そうですね。寄りにもよって大王バアル家の、それも次期当主まで襲撃しているのですから。術師経由で京都にも連絡が言っているようですし、人間世界でも同等の事態が起これば戦争が起きかねません」
ソーナ会長も、事情を聴かされて納得している。それが答えと言っていいだろう。
同情はするが、しでかしたこともことだしね。
「それで、今はどうなっているのかしら?」
イリナさんが首を傾げていると、樹下君もイッセー君も遠い目になっていた。
「大絶賛説教中らしい。サリアローズ殿、某栄養ドリンクを某栄養ドリンクのテーマソング歌いながら飲んでたし、徹夜コースだろうな」
「あえて徹夜にして説教しているんだろうなぁ……。でっかい液晶パネル用意してたし、多分後ろでカウントするんだろうなぁ」
ユーモアを解する貴族というべきか、どこか凄いところでズレがあるようなというべきか。
とはいえ、流石にこれは面倒なことになっているね。
本当に揉め事になりそうな気がするね。
「そういや樹下、アザゼル先生からリアス部長達に報告は止めるように言われたけど―」
「―駆けつけてる段階で緊急事態発生のメールは送ってるから手遅れだ。そもあの段階で小笠原長官にもショートメールは送ってる」
樹下君が視線を逸らすけど、これは大事になりそうだね。
「そっか。それはそれとしてあとどれぐらい時間をかけられる? 正直、今俺達のすぐ近くで女子達がお風呂に入ってると思うだけで体が少しずつ女湯の方に滑りそうなんだ」
あとイッセー君、ブレないね。
「……えっと、京都、ソープランド、年齢審査緩め……」
樹下君もその手段はどうなんだろうか!?
と、そこでドアがノックされた。
「おうお前ら、いるならついて来い。セラフォルー達と情報交換だ」
「めっちゃ助かります、アザゼル先生!!」
イッセー君が真剣に喜んでいるよ。
《イッセーSide》
「……ち、痴漢だぁああああ!! 死ね、マジで死ね女の敵は竿から腐って死ね!!」
「おば!? ぱっびぃ!! ぐれっべぇ!?」
「……とりあえず警備員に相談しておくのよん」
なんか外で痴漢が出ているけど、むしろ痴漢が殺されるんじゃないか?
セラフォルー様の動きも、そっちの方を心配してる感じだし。
多分襲われた人が武闘派なんだろう。で、思いっきり殴り倒されてると。
「「「……どこかで聞いたような……?」」」
あと空本さん達三人がなんか困惑している。
「とりあえずそのレベルは人間に任せとけ。で、話を戻すぞー」
アザゼル先生が注意をこっちに引き戻したうえで、肩をすくめている。
「ごめんねー。なんか更にややこしくなってる感じで」
と、ポニーテールのお姉さんが部屋に入りながら謝ってきた。
「……あれ、御崎さんですか?」
「あ、その節はどうも御崎さん」
木場や樹下は知り合いなのか?
「初めましての人の方が多いね。私は、サリアローズ様発案で結成された、魔王末裔直属戦闘部隊「ロイヤル・ピース」の一角、「アクス・ピース」の御崎海音って言います」
サリアローズさんの部下ってことになるのかぁ。
「久しぶりね海音ちゃん♪ ロキとの戦いではソーナちゃん達がお世話になったわねん?」
「いえいえ、現レヴィアタン様からの感謝は恐れ多すぎです。それと振袖がお似合いですね」
あ、セラフォルー様相手にちょっと恐縮してる。
ま、セラフォルー様ってお偉いさん過ぎるからな。対立派閥なのもあるかもしれないかな?
アザゼル先生は先生で、興味深そうにしげしげと見てるし。
「お前さんが例の星辰奏者か。確か、ロイヤル・ピースは得意分野ごとにハルバートの部分名を冠してる……アクスってことは、主力か?」
「いえいえ。どっちかというと……露払いですね」
アザゼル先生に恐縮している御崎さんだけど、樹下はともかく木場が軽く引いている。
多分それだけの実力者なんだろう。そりゃ凄い。
「……それで、その、九重はどうなりました……?」
俺は気になることを聞いてみる。
小さい女の子が酷い目に遭うのはやっぱりだしな。そりゃやらかしが酷いかもしれないけど、やっぱさぁ?
ただ、御崎さんは遠い目になっている。
「カフェイン大量投入で続行させられてますね。まぁ、気を使ったのかサリアローズ様も緑茶で提供してるけど」
変な薬で強制覚醒はしてないのって、気遣いの内なのか……?
「御崎さん。カフェイン含有量は緑茶の方が多いです」
樹下、指摘するところはそこじゃない。
「あともうおまるを最初っから用意してましたね。トイレ休憩の時間も出さない構えでした」
「ま、危うく戦争開始レベルの国際問題を起こしてるもの。二度目が無いようトラウマ刻み込む程度で済ますのは穏便じゃないかしら」
雨宮さんはそれでいいんですか!?
ちょっとツッコミを入れるところが多いけど、サリアローズさんも疲れておられるのですか!?
「……ま、そこはいい。問題は今回のトラブル、思った以上に大ごとになりそうでな」
と、アザゼル先生が懸念を告げている。
「お嬢ちゃんの騒ぎのおかげで話はだいぶ入って来てるんだが、最悪の場合は上位神滅具保有者が関わっている可能性がある。コガネの星が再現する
……え、ちょっと待って?
コガネさんが再現している絶霧って、俺は別のことでも知っている。
アーシアを拘束した結界装置も、その禁手で作られたって話じゃなかったっけ!?
「ちょ、つまり禍の団ですか!?」
「確か、現最大派閥の英雄派に保有者がいるはずだな」
「わ、私を捕まえたあの霧のことですか……?」
俺もゼノヴィアもアーシアも驚くけど、アザゼル先生は頷いていた。
「ま、簡潔にまとめると霧型の転移装置兼結界って感じの星だ。理論上は都市一つ丸ごと包み込んで生物を異空間に転送して滅ぼすなんてこともできる、上位神滅具の一角でもある」
やばいじゃないですか、アザゼル先生!?
「……英雄派が絡んでるとなると、流石に厄介だな。ま、そっちは大人連中で当分対処するから、お前達は修学旅行を楽しんでろ」
「今の流れでそれはきつくないですか!?」
凄い適当な言い方しないでください先生。ツッコミが止まらねえよ!?
「禍の団なら私達の敵ですよ、先生? 成敗するのがミカエル様のAたる者の務めです!」
イリナが気合を入れて反論するけど、今度はセラフォルー様が首を横に振る。
「皆はまだ学生なのよん。色々あって大事に関わってるけど、学業をしっかり楽しめる時に楽しまないと駄目よ? 此処は基本的に大人の仕事」
「ま、大事になると戦力として必須なわけだがな。……だが、それが確定してねえって時に修学旅行中の学生を巻き込むわけにはいかねえよ」
「せ、先生……」
俺が大人二人にちょっと感動していると、そのまま先生がニカっと笑う。
「大人だけで何とかできるところは大人が何とかする。巻き込まないといけない時は素直に言うから待っときな」
そんな先生に、三崎さんが苦笑していた。
「うちはちょっと関わらせてくださいねー。あ、サリアローズ様が説教終わらせた後で休憩させたら、そちらにお詫びをさせる予定だそうなのでその時はお願いしますね?」
あ、そこまでしっかりやるんだ。
ま、そういうことした方がいいってことかな、うん!
突っかかった相手がイッセーだったからよかったものの、相手によってはこれマジでやばいことになってたよなぁと思ったので、まあ一つ書いてみるのはありだろうと九重に厳しめの展開に。
むしろあえてやりすぎ気味にして実家のほうがごり押ししてこないように予防線を張りつつ、どうなっていたかをしっかり教えている当たりサリアローズは温情ある部類ですが。あの実家だとマジでやらかしかねんからな、挿げ替えての傀儡政権かとか……。