シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
カレー粉、ハーブ塩、ガーリック……なんにでも合いそうだと思いません?
それはそれとして本編!!
《空本麗夜》
さて、こういう時は大人がなるべく背負うのが筋だよね。
「とりあえずコピーしていい資料はコピーして貰ってきたけど、どうする?」
「うむ! 強権はいるか? ルシファーがいるぞ?」
俺も麗華も協力する気満々だけど、こういう事態となるともっとも動けるのは麗奈だろう。
実際、色々と資料を取り寄せて既に考え込んでいるし。
「……下手人が誰か分からないけど、気にするべきは「どこに隠れてるか」よね」
麗奈は既に、色々と思慮を巡らせているようだ。
ただまぁ、そこは納得だ。
九重嬢達の言い分とかを踏まえると、京都で妖怪を修める九尾の狐である八坂姫が誘拐された。そして下手人は高確率で禍の団であり、最低でも絶霧の恩恵を得れる形で動いている。
いわゆる2W1Hに照らし合わせると、
無意味な破壊活動の可能性は薄い。英雄派による拠点へのテロは静まっており、禁手到達のメソッドは確立したと思われるからだ。ここから先は意義のあるテロに集中した方が、色々なものが有利になるだろう。
態々政治的な要人を誘拐しておきながら、交渉や要求が一切なし。何かの生贄にするにしても、もうちょっとレベルが低いのを複数確保した方が色々楽だし安全だろう。
そして、麗奈は一つ仮説を出したらしい。
「仮説だけど、彼女が誘拐されたのは質が理由じゃないかしら。それも、京都で事を起こす気で動いている」
「というと?」
促すと、麗奈はルーズリーフに要点をまとめていた。
「八坂姫はこの京都において一種の要石に近い立ち位置となっているそうよ。となると、既に死んでいたり強引に遠くまで連れて行かれたのなら何かしらの異常が発生している。逆に、京都で何かしらの儀式を起こすのなら彼女を利用できた方が都合がいい」
……なるほどね。
つまり京都込みで八坂姫を利用して何かをしたい。それが理由だということか。
ただそれにしても大胆不敵というか怖いもの知らずというか。とんでもないのが出てきたものだよ本当に。
よほど自分達の能力に自信があるのか。テロリストらしい怖いもの知らず……いや、明確な自負があると考えるべきか。
「ただの馬鹿なら楽なんでしょうけど、そんな楽観論は避けた方がいいわね。流石に矢城レベルとかいう現場リーダーレベル止まりじゃなく、それこそ所長級の大物が参謀やってる可能性も考えた方がいいと思うわよ」
「ふむ。矢城先生は確かに優秀だったが、波柴の中では下位どまり。……禍の団の幹部となれば……いや、しかしなぁ……」
麗華が納得しかけたけどすぐに首を傾げる。
まぁ、旧魔王派のトップ三人とか……矢城レベルだったよなぁ。
あれはあれで能力もある方だったけど、もっとちゃんとした大物を知った今となるとねぇ?
「「「………」」」
思わず三人揃って沈黙して、つい天を仰ぐ。
あれに人生大きく捻じ曲げられたのもきついけど、裏を返すとあいつレベルで捻じ曲げられる程度の関係になってしまっていたのが当時の俺達だし。
「……ちょっと小休止で何か食べに行きましょう。蕎麦辺りがいいわね」
「「……賛成」」
ここは、気分転換を……っ!!
《樹下誠二》
「金だぁあああああああっ!!」
「ゼノヴィア、喜んでるな」
「銀閣寺が銀じゃなかったの、そんなにショックだったんだなぁ」
狂喜乱舞しているゼノヴィアに、俺とイッセーはちょっと苦笑いだった。
銀閣寺が銀じゃないって、意外と知られてないんだなぁ。
ま、それが金閣寺で感動の後押しになってるのはいいことなのか?
「ま、色々あったけど楽しめるのなら良いことだよな」
……イッセー。被害者のお前がそれを言うのか?
ちらりと、イッセーが持っている袋を見ながら俺はそう思う。
まぁ
とりあえずそこのフォローは俺がしてやるか。友人の美点をむやみやたらと駄目にするのもあれだ。目をつむれるところはそれなりにつむるとしよう。
とはいえ、だ。
「お……ぱラッバっ!?」
「俺は男だぞ……?」
「いややりすぎだって。昨日もそれでやばいことになった奴がいたじゃねえか!? すいません後はお任せしますぅううううう!!!」
「待って離して! この外道はもうちょっとぼこぼこに……」
……痴漢が多いな。
既に三件。それも、全員おっぱいおっぱい言ってるんだが。
何かの精神攻撃か? いや、異能を使っているにしてもこの方向性はどうなんだ?
ただ俺も似たようなことになりかけていたからな。精神そのものを直接操作する星辰光は、神器を再現するといったある種の間接的な要素無しでは出てこないはずなんだが……いや、やっていることがおかしすぎるな。
ただでさえこっちは京都でトラブルに巻き込まれているというのに、なんだこの痴漢大発生。たまたまエンカウント率が高いにしても、一泊二日でそろそろ片手の指が埋まるぞ。
そんなことを思いながら、俺達は茶屋で休憩を挟んでいた。
「おっぱい……おっぱいぃいいいいいいいい!!」
「また痴漢が出たぞぉおおおおお!!」
「誰か取り押さえろぉおおおおおお!!」
「「いや本当に多いな」」
俺も元浜も呆れるぐらい、痴漢が多い。
「そういうお前も似たようなことになってただろうが。女子達がお風呂に入っているという事実に耐えるのがきついからって、俺に迫ってどうすんだ」
「大変だよなー。おっぱいが、おっぱいがそこにあるのに……っ」
松田は元浜に呆れるしイッセーは脱線するし。まぁ、困惑案件際なりないのは分かるんだが。
というか、俺も大概やばかったな。なんだったんだあれは。
「しっかし実際多いみたいね。ちょっと見てみたけどスレ建てされるぐらい痴漢が頻発してるみたいよ? ここ二日だけで京都市の年間痴漢摘発件数を越えそうとか越えたとか」
桐生がそんなことを言っているが、真偽不明の噂止まりにしても痴漢が多いのは間違いないだろう。
しかし異能を使った犯罪にしても奇妙だし、一体なんだというのか。
そう思っていると、急に足音がやけに響いた。
「見つけたぞ、兵藤一誠に樹下誠二。これは都合がいい」
……サリアローズ殿か。
こんなところで堂々とどういうことだ。
ゼノヴィア達も怪訝な表情で警戒するし、何も知らない桐生達はちょっと困惑しているし。
と、サリアローズ殿は桐生達の方を向くと微笑んだ。
「お初にお目にかかる。私の名前はサリアローズ・バアル。彼等オカルト研究部の部長、リアス・グレモリーの母君の兄の娘……いわば従姉妹だ」
さらりと関係性を説明したうえで、更に小さく苦笑する。
「実は実家の取引相手、その縁者が集団で兵藤一誠と樹下誠二に迷惑をかけていてな。二人が別行動している時の行動をぼかしてなかったか? 学校側と相談して、修学旅行を中止させないよう示談に近い解決を図っているのだ」
と、盛大に頭痛を堪える様にしながら首を横に振った。
それとなく上手く嘘をつかずにぼかしているな。その辺りは俺達もぼかしていたからタイミングがいい感じだ。
「そ、そうだったのか。凄いことになってたんだな」
「ただでさえ痴漢が多発してるのにそれって、京都も大変ね」
元浜と桐生が同情しているが、さてどういう流れだ?
そう思っていると、サリアローズ殿は御付きの人に目で指示すると、おつきの人が近くのリムジンのドアを開いた。
「本来は直接そちらに詫びに行かせるべきだろうが、相手も相応の立場でしかも目立つ。……よければそちらの者達も込みで、相手持ちで最高品質のお茶と茶菓子を堪能しないか? 土産物に関しても注文を付けさせるといい……国際問題級の不祥事なのだからその程度で済ませてもらうことに感謝すらしてもらうべきだしな」
……お、おお~。
そう来たか。これなら異能で下手に記憶を操作するより、的確か?
そして何より、最高品質の日本茶や抹茶に茶菓子のセット。
これは、楽しみだ!
「樹下さん、よだれが出てますよ?」
「樹下君って結構イッセー君側よね」
アーシアとイリナがなんかうるさい。
《空本麗夜》
緊急連絡で合流したのは、もう目に見えて分かるぐらい豪華なビルだった。
で、応接室に先に連れられていると誠二達も合流してくる。
「すぐに合流できて何よりです、皆さん」
ロスヴァイセちゃんが立ち上がってイッセー君達を迎えると、既にお茶で一服していた先生は片手をひらひらと振って挨拶する。
「楽しんでる最中悪いな。ま、このビルは土産物関係の大手が関わってるから、もう土産物はこっちで注文して郵送しとけ。費用は全部
ちなみにこっちの分も用意してくれるらしいので、何品か買っておいた。
美子ちゃんとリーナちゃんは勿論、事務所のみんなにも用意しないとね。
「とりあえず、私達が選んだのはリストアップしといたから。なるべく同じ相手にかぶらないようにして頂戴」
「分かった。今のうちに目を通しておこう」
麗奈の渡したリストをゼノヴィアちゃんが確認しているが、さてここからが本番だろうね。
「先生。それで話はついたんですか?」
イッセー君が心配そうに尋ねるけど、そっちは安心していい。
一応こっちは話は聞いているしね。そこは穏便に肩がついている。
「安心しな。誤解はきっちり解けてるし、サリアローズがこっぴどく叱ったから猛省してるよ。……しすぎて寝込んでる奴もいるがな」
アザゼル総督が苦笑いをしているけど、麗奈も苦笑するレベルでギリギリなところだからね。
「許可証出しておきながら勝手な勘違いで袋叩きを敢行したわけだしね。大王家がガチで討伐軍出して傀儡政権作りそうな案件だけど、先手を打ってサリアローズ様が問題行動したおかげで、賠償金といくつかの取引の圧倒的有利な締結でバアル家も手を引いたわ」
お茶を一口飲んでから要点を麗奈が説明すると、空いていたままのドアからサリアローズ様が姿を現す。
「本当に感謝してもらいたいな。初代殿が思ったよりやんわりたしなめてくれた程度で済んだとはいえ、半日ぐらい説教されそうなことをする羽目になったのだから。……この手の取引で、タダより高い物はないぞ、九重嬢」
「……はい。本当に、本当に……ありがとうございます……」
そしてそんなサリアローズ様にビビりながら、連れられて入ってきたのは小さい女の子。
キツネ耳の辺り、妖狐の類だろう。八坂姫は九尾の狐だというし、相当の素質を持っているだろうね。
立ち振る舞いには幼いながらも気品がある。きちんと成長すれば才色兼備の女傑となりえるだろう。
ただまぁ、相当お灸をすえられているのかサリアローズ様にビビっているけど。
サリアローズ様はそれに対してあえて数歩距離を取り、落ち着いた九重嬢はイッセー君と誠二に対して深くお辞儀をする。
「この度は……本当に、本当にご迷惑をおかけして、申し訳ない……」
そのまま土下座の流れになりそうだったけど、それより先にイッセー君が動いて肩に手を置いた。
「……事情はちょっとは聞いてる。お母さんが誘拐されたんだって? ……大好きなんだな」
イッセー君はそういいながら、九重嬢の顔を上げさせる。
「俺もそんなことになったら、訳が分からなくなりそうだしな。大してやばくなかったし気にすんな! ……めっちゃ怒られた後みたいだし……さ?」
そう言いながらちらりと誠二の方を見るイッセー君に、誠二もため息を吐きながら頷いた。
「まぁ、俺もマザコンの気はあるし、何より死別した身だ。……相当絞られたうえで色々代償も払っているだろうし、こっちから蒸し返すのは野暮か」
「そうしておけ。その辺りについてはそちらにも多少は流れるよう取り図っている」
サリアローズ様が怖いことを言うけれど、かなり色々とやっているようで。
これは本当に流すべきだろう。これ以上つつくのは両親が咎めるレベルな気がする。
そしてその上で、九重嬢は涙目で頷いた。
「本当に、本当にありがとうなのじゃ……っ」
泣きじゃくりかける九重嬢をなだめながら、イッセー君は強い決意を秘めた目を見せている。
思い出すのは、ヴァーリ・ルシファーとの一件だ。
あの時、家族を出汁にされたイッセー君はガチ切れしていた。それほどまでに彼は情に厚い好漢であり、そして他者に思いをはせることもできる。
……地味にキレてるね、これは。
「というか、俺もなんつーか許せねえよ。……こんな小さな子供泣かしておいて、偉そうなことしてる奴がいるんだからよ……っ」
これは、下手人もついてない。
ま、俺達も手を貸したいからさほどは変わりないだろうけど……ね。
書き溜めはかなりあるので、当分投稿には苦労しなさそうです!