シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
《樹下誠二》
と、途中から置いてけぼりにされたけど……とりあえず俺達が助っ人になってレーティングゲームをすることになった。
で、俺達は夜になって作戦会議になった。
「……所長、気持ちは分かるけど大丈夫ですか?
「御免ねぇ? なんていうか、これはちょっと我慢できなかったから……さ?」
海砂さんがジト目で非難するけど、秀華が謝ると息を吐いた。
「ま、女として気持ちも少しは分かるからいいですけど」
海砂さんはそう言うが、さて問題はどうなることやら。
「……なんというかごめんなさい。本当なら私個人の問題で、眷属でもないあなた達まで巻き込むべきじゃないのに」
リアス先輩はかなり責任感を感じているようだが、それは違うだろう。
「八割以上秀華が悪いのでお気になさらず。ちなみに、残り二割以下も大半は乗っかったライザーですから先輩の責任はほぼないです」
「っていうか、俺ってば絶対に勘違いされてるよね? リアス部長の処女をもらった男と思われてるよね? 殺されない? 殺されない?」
俺がフォローをしていると、イッセーがちょっと顔を青くしていた。
まぁ、童貞のままで処女を奪った罪を理由に殺されるとか理不尽だろう。後で事情はしっかり説明した方がいい気がする。
とりあえず手紙書いておこう。俺がイッセーの立場ならこんな事情で殺されそうになったら泣きたくなる。ライザー・フェニックスも事情を知ったら留飲……精液掛けたのは事実だしなぁ……無理か。
「レーティングゲームは、死ぬ前に転移されるようになっているから大丈夫だよ。死亡事故はあるけど、意図的に死なせたら反則になるしね」
木場がフォローするが、死亡事故があるっていうのが大きいと思う。
かなりキレてたからな。下手をするとマジで死人が出るぞ。
ま、それはともかくだ。話を進めないとな。
「とりあえず、一週間みっちり鍛えるにしてもどうするの? 相手が経験豊富だと、相当綿密にしてもやっぱりリスクはあると思うよ?」
流花さんがその辺りを指摘するが、まぁ確かにな。
一週間程度の短期特訓でどこまで伸ばせるかが問題だ。経験値が少ないイッセーならだいぶ伸ばせる可能性はあるが、それにしたって時間が足りない。
学生生活や仕事を含めてやる場合、どうしても限界があるだろう。その辺りをどうするかが問題だ。
「とりあえず、こうなったら強化合宿だわ。皆には悪いけれど、学園に対しては私から話を通しておくわ」
「なら、こちらも以来として前金でフェニックスの涙を貰っているから本腰を入れませんとね。大丈夫、近接戦闘なら一通り教えられます」
流花さんがリアス先輩の提案に合わせる形で指摘してくれるが、まぁそれでいいだろうな。
とにもかくにも、連携も踏まえてある程度は準備しておかないと。レーティングゲームという慣れない土俵で戦わされるわけだし、それなりの手段は必須だろう。
あと、もう一つ確認しておきたいこともある。
「リアス先輩。一つ伺いたいことがあります」
俺は一つ気になっていることがあった。
リアス先輩はグレモリー本家の次期当主。また、そういった立場にはノブレス・オブリージュというべき価値観がある。
高貴たる者には相応の責任がある。もちろん意に介さない奴がいることは事実だが、そういった貴族が蔓延すれば国難に繋がることは歴史が証明している。
リアス先輩は、少なくとも立場に見合った責任は果たそうとする意識がある。そのうえで見合った権利を行使する側だからこそ、我が儘と言われる時はあってもそこまで嫌悪されることはない。
だが同時に、貴族ともなれば婚姻関係はその責任のまっしぐらだ。そもそも悪魔に限らず、血統を気にする連中は高貴な立場であればあるほど多くなりやすいところがある。
リアス先輩がそれを一切理解していないわけでもないだろう。相手がハーレム野郎なのが不満なら、眷属のハーレム形成を応援するのもおかしいし。
「ライザーのどの辺りが不満なのかが分からないです。イッセーを可愛がれるのなら、ハーレム野郎であることはそこまで不満になるとも思いづらいので」
「……そうね。その辺りは、伝えた方がいいのかもしれないわ」
リアス先輩は少し沈黙してから、吐き出すように告げる。
「私はグレモリーなの。「グレモリー本家のリアス」という、その大前提が常に付きまとう人生を生きているわ」
そう語るリアス先輩の表情は、実に複雑だった。
「誇ってもいるわ。でも同時に重荷でもある。だからかしらね……私は、結婚相手にグレモリーの看板をつけていない「
プラスに感じていると同時にマイナスにも感じている。ジレンマという奴だろう。
だからこそ、夫となる者にはそれを感じさせないことを欲している。まぁ、理解もできる。
なるほど。確かにライザーは無理だろうさ。
フェニックス家の看板を誇り、フェニックス本家であることを自分の大切なものとして認識している。
そんな人物では、「リアス・グレモリーという個人」ではなく「グレモリー本家のリアス」という認識を外せまい。外そうという考えすら持ち得るかどうか。
「……身もふたもないこと言いますけど、愛人囲うことを認めさせるってのは? 入り婿ハーレム野郎なら流石に断れないでしょう?」
「……最終手段としては考えておくべきかしらね。その発想はちょっとなかったかもしれないわ」
ふと思ったことを言ってみたら、案外悪くなかったかもしれない。
ただまぁ、それは次善策だろう。
最善はこの事態を切り抜け、適合しそうな人を探すことなわけだが。
最も、貴族社会でそれを探すって不可能ではなかろうか。
そんなことを思っていると、よく分かってないっぽいイッセーが首を傾げていた。
「……よく分かんないですけど。俺は、リアス部長のこと大好きです!」
………。
思わず、全員が呆気にとられた。
イッセーはそれに気づいておらず、にかっと笑う。
「グレモリーとか貴族とか、そういうのはちんぷんかんですけど、リアス部長って人のことは大好きですよ? ハーレム王になる夢がおかげで道も見えてきましたし、優しくて綺麗ですし! 厳しい時もあるけど、それでも俺は大好きっす!」
………。
思わず、全員が呆気にとられた。
いや本当にこれはその、凄いな。
「……拍手!」
「「「「「おぉ~」」」」」
秀華の号令に、思わず事務所メンバー全員拍手だった。
「あらあら。これは意外なところから思わぬ伏兵ですわね」
「う、うぅ……っ。部長さんは強敵です……どうすれば……っ」
朱乃さんとアーシアも気づいているが、これはかなり来たのではないだろうか。
「赤龍帝ってかなりネームバリューあるからいけるかもね」
「グレモリー家、部長以外にも跡取りはいますし」
木場と塔城も中々にノリがいいな。
いやまぁ確かに、これは一気に稼いだとは俺も思うけどな。
「……よし! なんか希望も見えてきたし、とりあえず一週間は特訓に当てよう! 具体的には、戦闘経験がろくにないイッセー君とアーシアちゃんの対策ね?」
「そうね。なら……勝ちに行くわよ!!」
秀華とリアス先輩のダブルリーダーが声を上げる。
なら、俺達が言うことは決まっている。
「「「「「オーケー、所長!」」」」」
「「「「「はい、部長っ!!」」」」」
さて、気合を入れるとするか!!
《Other》
『……というわけだ。悪いがいつもの三人を雇わせてもらうぞ』
「それは構いませんが、レーティングゲームの助っ人枠ですか。報酬についてはどうしますか? ライザー様」
『俺の権限の範囲内で、フェニックスの涙を提供しよう。前金で二つ、俺達が勝ったら成功報酬で三つだ』
「とてもありがたいです。フェニックスの涙は悪魔以外が入手するとなれば、信じられない額が飛び交いますからね」
『なら、細かい詰めは後日行う。……だが、一週間前であいつらを本当に呼べるのか?』
「それについてはご安心を。お得意様には多少サービスをするのは当然です」
『そうか。本当に助かるな。……では、切るぞ』
「はい、ありがとうございました。……さて、フィーニクスの方達に連絡をしなければいけませんね」
「どうしたの? またライザー殿案件?」
「ええ。どうやら許嫁と揉めてレーティングゲームをするそうなのだけれど、フェアにする為に色々あるみたい」
「そっかぁ。でもフィーニクスの人達もラッキーだよね。あの人達、
「ええ。その為訓練でも給料は得られるけれど、やっぱり仕事をした成果があるに越したことはないものね」
「うん。これでまた一歩、現魔王政権とお近づきになれるでしょうね」
「堕天使と神をどうにかするなら、それなりの戦力は必要だもの。大王派はあれだけれど、だからこそ魔王派と手を組める余地があるわ」
「その為に色々動いているもの。それを知れば、現四大魔王も感謝してくれるからね」
「その為にも頑張らないと。私達は星辰奏者適性がないけれど、だからこそできることで手伝っていかないとね」
《兵藤一誠》
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」
「よく頑張ったイッセー。慣れない山道、それだけの大荷物を抱えてよく上ってこれた」
息を整えるので必死な俺の背中を、樹下がなでて落ち着かせてくれる。
ライザーとのレーティングゲームに備えた特訓の為、俺達はグレモリーが保有する山にある別荘までやってきていた。
山道は転移を使わず、トレーニングも兼ねてみんなで荷物を持って移動だ。特に前線で動くメンバーは、他のメンバーの荷物や道具なども持って移動している。
ロリっ子の小猫ちゃんや優男の木場の方がぴんぴんしているのがちょっと納得いかないけど、これが成りたて転生悪魔の限界ってヤツか。
あと樹下にしろ旗本さんにしろ空本さんにしろ。俺と同じぐらいの荷物を持っている人間なのにぴんぴんしている。荒事を担当する仕事をしてるっていうだけはあるんだよなぁ。
「さて、荷物を下ろして着替えたら特訓開始よ!! 前衛組は旗本さんが指導を担当するわ!」
「安心して。私これでも、武術に関しては人に教える立場だったこともあるからね」
リアス部長が激を飛ばし、旗本さんもちょっと自慢げに胸を張っている。おっきなお胸が張られてちょっと元気出てきた。
しかし武術家だったのか、旗本さん。なんていうか女武芸者って雰囲気があったけどマジでそういった人だったりするのだろうか。
いや、それはともかく頑張らないと。
俺は特に、一番弱いからな。ここで何とか成長して乗り越えないとな。
「じゃ、まずは少し休憩してから集合。適度な休憩はより良いポテンシャルに繋がるからね。いきなりは駄目です」
「……ダメなの?」
リアス部長がいきなりはしごを外された雰囲気になっているけど、旗本さんは頑として撤回しなかった。
で、とりあえず冷房も利いている別荘の部屋でちょっと休憩。水分を取りながらゆっくり着替えている。
「……できれば、女の子と一緒の部屋が良かった……っ」
男部屋なのが残念だけど!!
「やめとけ馬鹿。酒池肉林になって必要な体力まで削れるぞ」
樹下は汗拭きシートでさっぱりしながら、なんかため息をついていた。
なんていうか実感が籠ってるんだけど。え、どういうこと?
いや待て。そういえばあの三人は……エロい。三年間頑張れば童貞を食べてくれる女性を紹介するって話の女性だった。っていうか、俺はレイナーレに殺されかけた時、状況次第で見捨てることになっていたお詫びにWパイズリ&フェラをしてもらっている。
つまり、そういうことなのか!?
俺の強い視線を浴びて、樹下はそっぽを向いた。
ただ、隣の空本さんが苦笑していた。
「三人揃って性的に奔放でね。……不良を締めて体で篭絡して更生させるとか、割とやってたり」
なんだとぉおおおおおおお!?
凄い羨ましい! マジで羨ましい!!
なんで俺達は更生してからの報酬になってるんだ、マジで!?
なんか絶望するんだけど!?
俺が凹んでいると、樹下は割と呆れていた。
「不良って言っても、筋金入りで悪事働いている奴じゃないからな元覗き常習犯」
「本格的に道を踏み外さないうちに、餌でつって軌道修正する形かな? ガチ目の悪党には容赦しないよ、あの三人」
あ、そうなのか。
覗き常習犯だったのは事実だしなぁ。まさか、それだけで女子にとって殺意が湧くぐらい不快になることだったとは思ってなかった。
……おかげで時々発狂するけど。世の男達はなんで、エロ本を見るのを我慢して発狂しないんだろう?
「お前の性欲が過剰すぎるだけだ」
「心読むな!? お前は小猫ちゃんか!!」
樹下のツッコミにツッコミ返すけど、俺も頑張るか。
頑張って成果を上げれば、繰り上げ的な感じで今年中に挿入させてくれるかもしれない。
ただでさえレイナーレで嫌な思い出ができてるんだ。いい思い出で中和したいもんだぜ。
その為にも、そしてリアス部長の望まぬ婚姻を阻止する為にも。頑張るぜ!!
「よっしゃ! 気合入れて特訓するか!!」
なんとしても、この特訓で戦力になって見せる!!
イッセーは本当に、スケベがひどいのを除けばいい男だと思う。マイナスとプラスを別に考えられる人間なら理解してくれるのではなかろうか。