※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 どうもー。最近興味があったブランドの新作ゲーム体験版をダウンロード。結果として寝不足なグレン×グレンです。

 連休は三日ですが所用で火曜日も自分は休みなので、その間に寝不足を調整します。


第十三話 ありふれた悲劇

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤバイ。俺は完全に膠着状態になってる。

 

 俺を狙ってきているコンラと戦っているけど、コンラの禁手が厄介だ。

 

 コンラが持っている神器は、確か闇夜の大楯とかいう奴だ。影を操る神器で、影そのものがなんていうか転移ゲートみたいになって攻撃を別の方向に飛ばしたりができる。

 

 それを全身で纏っているあいつは、こっちの打撃や砲撃がすり抜けちまう。

 

 最もコンラの攻撃も俺は捌けているから、今すぐどうにかなるようなことにはならないけどね。

 

 秀華さんと雨宮さんは大丈夫かと思っていたけど、あっちはまだまともな戦いになっているからましか。

 

「逃がすと思うか、波柴秀華! 波柴一族が潰れてこっちはほんとに苦労したんだぞ!!」

 

「うわぁ、一族関係者!?」

 

 というか、秀華さんの相手は波柴一族の関係者らしい。

 

 杖みたいなものから魔のオーラを纏った刃を伸ばして槍にして切りかかるけど、秀華さんは捌いている。

 

 雨宮さんの方もまともな戦いだな。

 

 相手は聖なる刃を伸ばしたこっちも杖みたいな神器で、雨宮さんはエクスデュランダルのレプリカでそれを凌いで、左腕の銃で反撃してる。

 

「どうした赤龍帝! よけるばかりじゃ俺は倒せないぞ!!」

 

 こっちはこっちで集中するか。こりゃ厄介だ。

 

 だけど簡単にやられるつもりはねえ。

 

 今までだって何度も困難を乗り越えてきた。そして仲間達も今頑張って戦ってるんだ。

 

 俺だってやられやしねえ! そう簡単には負けるかよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 敵は相応の手練れのようだが、やりようは十分にあるレベルだ。

 

 というより、現状における問題はやはりシュテルン・フランメだな。

 

 振るわれる灼熱の攻撃は、明らかにかつて戦った波柴矢城を越えている。

 

 改造により相当のポテンシャル上昇を会得しているようだが、判断も正確になっている。

 

「かつて倒した敵が強化されて復活とは、ロマンが溢れるが私以外には勘弁してほしいぞ!?」

 

「アンタブレないな!?」

 

 麗華さんは麗華さんで、困りながらも喜んでいるのに思わずツッコミを飛ばさざるを得ない。

 

 とはいえ、だ。

 

 この調子なら撃退は可能だ。だが同時に、しぶとい。

 

「させるか! 曹操達を……英雄を……っ!」

 

 敵の英雄は構成員だが、誰もが死力を尽くしている。

 

 それほどの価値を曹操に感じているのか? 見た感じ、洗脳されている側ではないようだが。

 

 いや、それは今はいい。

 

 とにかくここを切り抜ける為にも、敵戦力の基点となっているシュテルン・フランメを潰すべきか。

 

 そして、その準備は大体整っている。

 

「では頼んだ、ご主人様!」

 

「ああ、奴は俺が潰す!」

 

 青蘭から力をつけ、相乗効果で向上した星をもって一気に駆け抜ける。

 

 小玉は防護加護だよりで無視し、大玉は切り捨てて無力化。一気に奴の間合いからこっちの間合いに移った。

 

 それに対し、シュテルン・フランメは灼熱のブレードを形成する。

 

 俺はそれに魔剣をぶつけたその瞬間、灼熱のブレードは俺の魔剣を断ち切った。

 

 ……なるほど。一見すると灼熱をブレード状に固めたみたいに見えるが、実体としては爆発を文字通り一線に集中させる形成炸薬なのか。

 

 発想としてはコナユキの星辰光のそれに近い方法だろう。爆圧を一線に集中させることで断ち切るというのは、軍でも破壊工作などでよくやる手法だ。

 

 が、甘い。

 

「躱した!? 読んでたのか!?」

 

「強度に欠ける魔剣創造でつばぜり合いなんてするか、間抜け」

 

 創造系神器は基本的に、同格の神器に対して強度で劣る。星辰光でいうなら収束性に欠けることが基本と言えばいいだろう。

 

 そんな神器でつばぜり合いは避けるに越したことはない。数を用意できるのだから、使い捨てで受け流す程度が十分。

 

 おかげで初見殺しも回避できた。これでしまいだ。

 

 俺は躊躇することなく反粒子を叩き込み、シュテルン・フランメの胴体を吹き飛ばす。

 

「てめ……道連れッ」

 

「させるわけがないだろう?」

 

 それでも抵抗を試みるが、その頭部を麗夜さんがパイルバンカーで打ち抜いた。

 

 見れば、他の戦闘もほぼほぼ終了している。

 

「……動きはだいぶ良かったな。武器の戦い方が習熟しているが、教えがいいのか?」

 

「でも、剣術とか槍術は旗本さんのそれに近いわね。……あ、でも斧とかもあったし違うかしら?」

 

 警戒をしつつも、ゼノヴィアとイリナが思い思いに口にする。

 

 優れた武芸者による指導があると踏んでいるようだが、斧の使い手もいたことから違うのではないかと思っているようだ。

 

 だが、それは違う。

 

 流花さんも、首を横に振ってそれを否定していた。

 

「旗本流は斧も扱ってるよ。メイス系は杖術の応用だろうね」

 

 ああ、俺もある程度は教わっているからそこは分かる。

 

 英雄派の武の動きは、旗本流のそれがそこかしこに宿っている。

 

「日本って、斧は戦場の主要武器としては使ってなかったのではないか?」

 

「武器がない時とかを想定した武芸が旗本流にはあってね。鉞は割と使われているから」

 

 ゼノヴィアにそう応える流花さんは、視線を二条城へと向ける。

 

「……鏡夜……っ!!」

 

「……凛音も、いるのかしらね」

 

 信子さんもだが、やはり色々ときついものはあるか。

 

 遠ざけることも選択肢だが、それを二人は望まないだろう。無理に推しとどめるより俺達がいる状況下で向き合わせた方が、二人にとっても踏ん切りはつけれるはずだ。

 

 それを踏まえて、動くしかないだろうな。

 

「麗奈から通信来たよ。どうやら、向こうも乗り越えたらしい」

 

 麗夜さんから、秀華たちの無事も伝えられる。

 

 あっちはあっちで切り抜けられたか。なら、こっちも急いだ方がいいだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……所長、麗夜達と話しましたが合流は二条城だそうです」

 

「オッケー。じゃ、速足で急ごうか」

 

 雨宮さんと秀華さんが今後について話しているけど、俺はちょっと精神的に疲れてるな。

 

 コンラ達は何とか倒せた。俺がちょっと危なかったけど、九重の行動で突破口が見えたので何とかなったよ。

 

 ただ、やっぱりちょっとな。

 

「イッセー君大丈夫? なんか悩んでるけど」

 

「大丈夫かイッセー? まさか、先ほどの戦いで怪我でもしたのか?」

 

 秀華さんと九重に心配されたけど、怪我らしい怪我はない。

 

 ただ、さ。

 

「コンラの最後の言葉が気になって……」

 

 あいつは本当に、最後まで曹操達の為に戦おうとしていた。

 

 俺のことを悪魔だと、自分達を人間だと言ってだ。

 

 神器を持つことが良いこととは限らない。というか、聖書の神様が人の為に作ったのだとしたら上手く行ってないと言ってもいい。

 

 だからかな。ちょっと気になっちまったよ。

 

「イッセー。とりあえず一つだけ言っておくわよ」

 

 そんな時、雨宮さんが先頭を歩いたまま、俺に向かって口を開いた。

 

「あんなこと、神器の有無に関わらず世の中腐るほどあるわよ」

 

 ……マジ?

 

「日本も色々面倒ごとや問題だってあるけれど、世界的に見れば高水準で過ごしやすく平和な国だわ。世界中の国家換算で問題が大きい方だと言われるようなものがあるなら、少子高齢化問題だけど、神代晃星後のポテンシャル増加で出産ブームも起きてるからそれも減ってるしね」

 

 雨宮さんはそう言いながら肩をすくめる。

 

「小さな子供が浮浪者になって、それを助けようとすれば大の大人が迷惑行為と見て妨害してくる。そんな所、世界中を見ればいくらでもある。人類の歴史や異形達の社会を含めてみても、あいつらの悲劇はそこかしこにある悲劇のたった一つに過ぎない。……気になるのは良いことだけれど、それをもってして英雄派の行為を肯定するような理由にはならないわ」

 

 そう言うと、雨宮さんはため息をついた。

 

「とはいえ、そんな悲劇の渦中にいる身としては納得いかないのも当然。テロを肯定しろとか乗り越えることをするのが当然とか、そういう両極端なことは言えないわ。耐えて乗り越えるには()()()()()()()()()()しね」

 

「……だよね。波柴もそれ突いたりしてるし、曹操は狙ってか天然か……それを人に与えているからあそこまで動けたってことかな」

 

 しんみりしながらため息をつく雨宮さんと秀華さん。

 

 ……そっか。そういうもんか。

 

 俺にとっての平和を苦痛に感じる誰かがいるって、そういうことなんだろう。

 

 俺達にとって当たり前のことが当たり前じゃなく、俺達にとってあって当然のものを持ったことがない。

 

 俺にとっての、夢やリアス部長達愛する人や樹下みたいな仲間達に、子供達の笑顔。そういったものみたいになるものがない人にとって、そりゃ耐えられないこともあるんだうな。

 

 そう思うと俺も俯きそうになるけど、雨宮さんと秀華さんは元気づけるように力強く歩き出し、俺の方を向いた。

 

「ま、気になるなら興行収入で福祉事業も進めてみなさい。アンタはリアス様から領地貰ってるんだし、そこで浮浪児の保護と育成の施設でも作って悪魔が絡んでる企業に就職させてみたら? 子供の相手は得意でしょ?」

 

「確かにそうだねー。波柴一族みたいな連中は少ないけど、末端の連中と同程度の奴なんて世界中に腐るほどいるしな~ホント」

 

 秀華さんも雨宮さんに同意しながら、こっちを振り向いて小さく笑う。

 

「ま、今回は世界に未だにある問題を知ることができたって感じで受け止めなさいな、少年。大事なのはそれを知ったうえで、自分にできる範囲で無理なくどうするかだよ~♪」

 

「……ウッス!」

 

 おかげでちょっと、気持ちも切り替えれた。

 

 悪いなコンラ。俺はお前らのやり方を認めねえよ。

 

 俺はやっぱり、冥界の子供達や俺の愛する人達の為に戦うぜ。

 

 リベンジマッチは受け付けてやる。負けねえけどな!!




 個人的に、「頑張ることは大変」で、そのためには頑張れるだけのなにかは必要だとは常々思っています。

 目先にぶら下がる餌になるものがないと、嫌なことを頑張れないのは当然。全肯定しろとは言いませんが、そういうことがあるのは理解しないといけませんし、完全にできなくても頭の片隅になるべく置き続けて生きたいと思っています。

「自分はこうなんだから全人類こうだろ?」というような無意識の考えは、自覚的に戒めないと実に不快になりますしね。せめて少しぐらいは意識して立ち回れるようになりたいところです。
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