シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
ストレスたまると食に走るタイプだから、悪循環になりそうで大変だ。……痩せるためにも筋トレで基礎代謝上げながら適度にウォーキングをせねば……!
それはそれとして本編!!
《木場祐斗》
「おーい、皆ー!」
イッセー君達が僕達に気づき、声をかけて手を振ってくれた。
これで合流できたね。全員無事なのは嬉しいことだ。
「イッセーさん!」
「イッセー君!」
アーシアさんとイリナさんがイッセー君に駆け寄る中、雨宮さんが小さく笑いながら空本さんと雲川さんに微笑みかける。
「お互い無事で何よりね。ま、手古摺ったけどこっちは無事……そっちは?」
「うむ! 矢城さんは確かに強くなっておったが、麗夜達の敵ではなかったな!」
「間違いなく性能は上がってたけどね。十分対応できる範囲内だったよ」
二人そろってそう評しているけれど、実際そうだったね。
波柴矢城……シュテルン・フランメは確かに脅威だったけれど、そんなに酷いほどでもない。今の僕達なら一対一でも十分勝算のある範囲内だった。
ただ、今の僕達でも勝算がある止まりにまで喰らいつけていたのは事実だ。
明らかに段違いの進化だ。名前を変えている辺り、相当の改造でも施されていたのかもしれない。
ただ、僕達がそこに対して注力する余裕もない。
この空間、どうやら疑似的に作られた京都のようだ。英雄派に属するオリジナルの絶霧使いは、結界装置を霧から作り上げる禁手に目覚めたと聞く。それの応用かもしれない。
そしてそれは危険だ。
「どうする皆。この空間が結界である以上、脱出が困難とみるべきだ」
結界の神滅具である絶霧。その禁手で出来た空間ならそれも結界だ。
簡単に出ることはできない。これでは八坂様を助け出しても、戻ることは難しいだろう。
そして、青蘭さんと雨宮さん、更に秀華さんが渋い顔をしている。
「最悪はそこじゃないよ、祐斗くん。……態々なんで京都をここまで模してるのかってのがヤバイ」
秀華さんがそう言うと、雨宮さんも頷いた。
「私はそういうの慣れてないから分からないけれど、龍脈とかの流れとかも模してたり、偶像崇拝的なアレで京都そのものの形代とかだったりするとまずいわよね。……専務、どう?」
「私の仙術では断言はできない。だが、感覚的には京都のそれと近いだろう……つまり、ここの二条城が本当の儀式場である可能性は大きい」
青蘭さんの言葉に、僕達は軽く寒気を覚えた。
「道理で、八坂様が見つからないわけです。……京都と龍脈すらリンクさせている此処に籠っているのなら、京都の地が霊的に乱れることはないでしょ……ぉえっぷ……っ!」
ロスヴァイセさんがえづきながら言うけれど、それなら確かに納得だ。
霊脈との繋がりまで含めて再現できるこの空間と繋がっていれば、京都の霊脈を乱すことなく八坂様を隔離できる。ここまでのことができるとは、絶霧と、英雄派のポテンシャルは底知れない……!
「ということは、本当の京都側にいるのは囮? それにしてはかなり厳重だったけれど」
「……仮説を立てるのなら、現地の二条城とより正確なリンクをさせた方がいいってことなんだろう。現地側の二条城を抑えればここにもかなり影響は出そうだしな」
旗本さんと樹下君が意見をすり合わせているけれど、なら厄介だ。
僕達は緊張感を増すけれど、イッセー君は髪をガシガシをかきながら首を少し傾げていた。
ただ、すぐにそれも元に戻る。
「よく分かんないけど、やることはそんなに変わってないですよね? 八坂さんを助けて離脱するんじゃなくて、助けが来るまで凌ぐかもう全員ぶっ倒すかって程度の違いじゃ?」
……………
ふふっ
思わず僕ら全員が小さく笑ってしまう。
イッセー君はきょとんとしているけれど、こういうところが彼の良いところだ。
「そうだな。敵が立ちはだかるなら切り捨てるだけ、シンプルだ」
「全員ぶちのめせるならそれが一番ではあるわな。確かにシンプルだ」
ゼノヴィアと樹下君が頷き、僕達もそれに続く。
そしてそれに呼応するように、まだ少し離れていた二条城の門が開く。
どうやら、僕達を招待してくれるらしい。律儀なことだ。
「よっし! じゃぁ全員、舐めた真似してくれた英雄派に一発ぶちかますぞ……エイエイ、オー!」
『『『『『『『『『『おぉーっ!!』』』』』』』』』』
秀華さんに合わせ、拳を突き上げ声を上げる。
さて、それじゃぁ戦いを始めようか!
《空本麗夜》
二条城の中に入り、俺達は英雄派の姿を発見する。
曹操にコハヤ・リバー。更に周囲をジークフリートを含め数人。木曽義仲達もいるね。
少し離れたところには、ゲオルグとか言われていた絶霧使いもいる。
「ふふふ。シュテルン・フランメ含め、君達に送りつけてきたのは俺達の中でも中堅レベルなんだけどね。相手にならないとはやはり強いよ、君達。……よくもまぁ、旧魔王派の連中は彼らを馬鹿にできたもんだ」
「バカだよねぇあいつら。自分達が昔偉い血筋だからって、それだけで自分達が強くてえらいってわけじゃないだろうに。……馬鹿って人間にも悪魔にもいるもんだね」
曹操もコハヤも、こっちを評価しつつカテレア・レヴィアタン達を馬鹿にしている。
どうやら仲は良くないらしい。シャルバはまだ生きているって話だけどこれなあたり、つけ入る隙になるんじゃないだろうか。
「自分達がかつて上だったことばかり見て、下から昇ってくる奴がいるって発想に欠けているんだろうさ。で、すぐ始めるかい?」
ジークフリートにそう言われ、曹操は首を横に振った。
「ゲスト全員が到着したわけじゃない。とはいえ、もう来たみたいだけどね」
そういう曹操の視線の先。そこには十数人の悪魔がきびきびとした動きで姿を現していた。
というか一人はリンカさんで、中央の人はサリアローズ殿じゃないか!?
「……やってくれたな、英雄派の曹操。数百は投入して押し潰すつもりが少数で仕掛ける羽目になるとは」
「そっちに送った方を壊滅させておいてよく言うよ。まぁ、俺達英雄派としてはそういう強者とこそ戦いたいんだけどね」
鋭く視線をぶつけ合う二人だけど、サリアローズ殿も転移させられていたのか。
御崎さんやマリヤさんもいる辺り、これはまたピンポイントで中核が狙われたらしい。
「サリアローズさん!? 大丈夫だったんですか?」
「赤龍帝か。まぁ、こちらも伊達にバアル本家の次期当主ではないということだ」
イッセー君に応えるサリアローズ殿は、そのまま曹操を真っ直ぐ見据える。
イッセー君も曹操を睨みつけて腕を突き付けた。
「やい曹操! てめえ、一体何が目的だ! この二条城が術式の本当の基点みたいじゃねえか!」
「……地脈と共鳴させる形で儀式を行うということか。これだけの大ごと、貴様らの真の目的があるとみていいのだろうな」
サリアローズ殿も、イッセーの言葉にすぐ事情を悟ったようだ。
そしてサリアローズ殿の意見も確かな物だろう。
首魁とサブリーダー、更に虎の子であろう神滅具保有者二名。精鋭を投入しすぎていると言っていいだろう。
これだけの作戦。ましてや京都でその要といえる妖怪の長を誘拐してまでするんだ。
結果次第で彼らにとって最高のメリットがえられるようなものだと考えていいだろう。
問題は、それがなんだということだ。
「俺達の理念は既に語った通りだ。……ま、今回の儀式はそこに基づくある種の実験でね。シンプルに言おう、グレートレッドを意図的に呼び出せないかってものだ」
その言葉に、俺達全員が気を引き締める。
オーフィスと並び、この世界で段違いの強さを持つ二強の一角。赤龍神帝グレートレッド。
黙示録の龍を、意図的に呼び出す?
グレートレッド打倒を目的としているオーフィスを頂点に置く禍の団にとって、確かに有効な作戦だろう。英雄派の理念である「人間がどこまで異形に通用するか」においても、最強の存在を呼び出せるというのは確かに有効だ。
だが、呼び出してどうするつもりだ?
「その為に、九重からお母さんを攫ったってか!? ふざけんな!!」
「大真面目さ。本当なら龍王クラスを儀式の格に据えるのが一番だけど、それは中々難しくてね。だから同格の存在である九尾の狐に、リンクしている京都を使うことで代用できないかというのが今回の実験。……それにまぁ、
龍喰らいか。気になる情報はあるけれど、大体必要な情報は分かった。
「……なるほどね。大体分かった……つまる所、アンタ達が人の迷惑考えないろくでなしってことがね」
秀華所長はため息をついたうえで、一歩前に出てビシリと指を突き付ける。
「だったらこっちも容赦はしない! 京都と妖怪と私達に多大な迷惑をかけているんだ、邪魔されても殺されても文句は受け付けない……もちろん分かってやってるんだろうけどね……っ!」
「それは構わないさ。俺達としても、君達レベルの余興は欲しい所だった」
曹操達は、所長の割とガチ目の殺気をぶつけられてもさらりと向き合っている。
胆力も相応にあるようだ。これは間違いなく手強い。
「俺は訳分かんないけど、まぁそこはいい! そしてその八坂さんはどこにいるんだ!! 教えないならぶっ飛ばすぞ!」
「ぶっ飛ばしあいなら歓迎だけど、もちろん出すから安心してくれ。じゃ、頼むよ」
イッセー君に軽く答える曹操は、そのまま木曽義仲の近くにいる少女に視線で促す。
って、あいつらは!?
「麗奈、麗華。彼女達は……あの時のだ」
「……あ、あのカレー屋で入れ違いになった奴らではないか!?」
麗華が真っ先に思い出す中、その少女はこっちに注目されるように手を振りながら前に出てきた。
「ウィ~っす! スーパー心寧ちゃんタ~イム! 見やがれ異形共、アタシの出番をなぁ!!」
うわぁ。ちょっと痛い配信者みたいな子だった……。
ただ警戒は必須だろう。というより、おそらく星辰光を発動している。
そして姿を現すのは、まるで着ぐるみのような人形に連れられた、和服を着た美女だ。
あの姿は、現身で見た八坂姫か?
「母上! 私です、九重です!!」
九重嬢が声をかけるけど、八坂姫は反応しない。
高度な術で意識を封じられているな。明らかにまともな状態じゃない。
「儀式に使う為に攫ってんだつってんだろ、ガキンチョ! 抵抗されないように魔法かけまくってだから聞こえねえよ!」
「ま、そういうわけさ。そして……龍王クラスの力を発揮してくれないと儀式ができないから―」
心寧と呼ばれた少女の切れ味の鋭いアオりに苦笑しながら、曹操は指を鳴らす。
その瞬間、八坂様の姿が巨大なキツネのそれへと変貌していく。
「どうする、波柴秀華? 万が一にでもグレートレッドが呼ばれると、京都にもある程度の影響が出かねんぞ?」
「だよねー。それに、儀式が完成するまでは英雄派も八坂姫に手を出せないって言ってるようなもんだし……そろそろ潰すか」
そしてトップ二人が冷静に怖いことを言っている。
とはいえ、曹操達を潰すのには賛成だ。
龍神相手に何かしらの勝算があるようだし、グレートレッドが万が一にでも滅ぼされるのはこちら側としては避けるべきことだ。それをしていいのならオーフィスと交渉してこっちについてもらう余地もあるんだしね。
「まったくだ。こいつらは敵で、さっさと吹っ飛ばした方がいい。難しい話をする必要はなかったな」
そして相当溜まっていたのか、ゼノヴィアちゃんがエクス・デュランダルを構えている。
後すいません。聖なるオーラが柱のように天に伸びているのですが。
「では開戦の号砲だ。消し飛べ!!」
そして遠慮なく叩きつけた!?
「鏡夜ぁああああああっ!?」
「凛音ぇええええええっ!?」
流花と信子さんが大絶叫しているけどこれまずくない!?
いや、敵だけど。敵だけどこれ跡形もなくならない!?
「……やはりまだまだだな。イッセーの最大火力で放つドラゴンショットを目指しているのだが……私もまだ未熟だ」
「ゼノヴィアちゃん、冷静に言わないで? 流花と信子さんの深い付き合いが跡形もなく吹っ飛んだかもしれないからね?」
もうちょっとその辺りは考えてほしい。そこは気を使ってほしい。
どうなのこれ? ちょっとこれ、どうなの!?
「……残念だけど、一人もやれてないわねこれ」
と、麗奈がため息をついた。
結構強烈な一撃だったけれど、人間の身で耐えるとか何者だよ。
いや、むしろ当然と考えるべきか。
旧魔王血族を差し置いて、人間の身で禍の団のかじ取りを行っている。
武闘派は全員、下手な最上級悪魔を超える猛者達だと考えるべきだ。
「これは、気を引き締めないとね……っ!!」
さぁて、本番の戦いがついに始まるぜー!!!