シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
同時に昼食を主に見直したり、基礎代謝を上げようと空気椅子などで筋肉をつけたりもしています。そのせいで疲れているので執筆速度が低下気味だったり……。
それはそれとして本編!
《Other》
英雄派の幹部格は、それぞれが一騎当千の猛者であり、最高幹部はそれぞれの独立部隊をそれぞれに合わせた強みで保有する。
だが、それ以外にもある種の派閥や独立した存在がいないわけではない。
分派というべき勢力は少なからずあり、また独立チームが別途に存在することも多少はある。
その名を木曽分隊。
ある理由で多大な貢献を果たした、木曽義仲。彼を中心とする二人の女傑に、更にスカウトされた三人で構成される独立部隊。
そんな木曽分隊を保険として連れてきた英雄派最高幹部達。総じて、彼らは最高峰の強者である。
「いよっしぃっ! 映像記録して帰ったら負けた連中にあおり散らしてやるぜぇえええええ!! 心寧さま、大活躍の物量シーン、スタート!!」
「うるさいわよ、ホント!!」
「ノリが、ノリが迷惑系とか炎上系とかみたいな感じね!!」
物量戦術という土俵において、それを成す少女を相手に多くの者達が手を出しあぐねていた。
吹本海砂に。面制圧や対軍勢には比較的長けている二人に対し、心寧は単独で真っ向から戦えている。
心寧が扱っているのは星辰光。既に何度も撃破していることで、それが綿人形を操る者だと二人は悟っている。
問題はその条件さえ満たせば割と自由度が高いという点だ。
表面は防火素材を利用して燃えにくく作られており、また綿を筋肉のように扱うこと前提で金属や樹脂を用いた骨格を組み込んでいる。
結果として挑んでくるわ、多連装型のロケットランチャー二門持ちや魔法で加工された弾丸を放つ対物ライフル、果ては重金属で作られたメイスで襲い掛かる綿人形の軍勢。盾持ちまでいるのが地味に厄介。
それらが少なくとも百体。それも倒された瞬間に補充される始末で消耗戦となっている。
厄介なのは、その武装は多くが第三世界のそのまた反政府組織のゲリラが運用するような武装だという点だ。
対装甲火器とはいえ、性能が低い旧式故に安く調達できる。つまり数を揃えられる。
結果として千を超える人形を吹き飛ばしながら、即座に補充された人形によるロケット砲弾や大口径弾丸による猛威を仕掛けられており、消耗戦を強いられている。
「……確か大量にものを格納して取り出せる神器があったらしいけど、それかな!?」
「星辰光の人形操作と相性がいいわね。私達だと大技がないから消耗が酷いったらありゃしない……っ」
げんなりしている海音に海砂も同意するが、実に脅威だろう。
安価な人形を操作して、物量で押し潰す。露払いとしては十分すぎる脅威だ。
いわゆるRPG*1やらデグチャレフ*2やらで襲い掛かるが、古い兵器を参考にして調達しているのだろう。
これはまさしくチープキルだ。かなり広範囲に回り込むようにして飽和射撃を仕掛けており、凌げていることが賞賛されるべきことだろう。
「数が多すぎてこっちが援護に行けないってのが酷い!! 皆大丈夫かな……」
「気持ちは分かるけど、まずはこっちに集中よ」
舌打ちしたくなる気持ちはわかりながらも、海砂は海音を叱咤する。
「私達は私達にできることをする。それが仲間達の負担を和らげる……そう、信じて乗り越えましょう」
「……そうね。なら、こっちも気合を入れるかな!!」
そう頷くなり、海音は四挺の砲撃で敵を薙ぎ払う。
それを援護するように、人形による結界と剣戟で乱れた戦線を蹂躙。海砂は一歩を踏みしめる。
「巴御前はこっち来ないし……こっちだって結構イラついているのよ!!」
多種多様な武器が多種多様な戦い方と共に振るわれる。
一対一の戦闘でそれを成しながら、旗本流花と旗本鏡夜は激突する。
薙刀、刀、槍、棒、弓、手裏剣と、流れるように切り替わる武器によって二人は戦闘を続ける。
それは相手の手札を見た瞬間に、戦い方を切り替えて隙を狙う戦闘。それを成すのは、二人の異能。
旗本流花は星辰光でそれを成す。星辰体により虚像を投影し武器とするものであり、複雑すぎるようなものは無理だが、ある程度なら複合素材も再現可能。
そして強化の槍を薙刀で払い、その反動で距離を取った流花は手裏剣を多数投影し投擲。
周囲にあえて散らして逃げ場を奪うが、鏡夜はそれを統べてみ切って直撃コースの手裏剣だけをはじく。
だが次の瞬間、地面に突き刺さった手裏剣が炸裂した。
その光景を見つつ、流花は呼吸を整える。
これはある種の切り札だ。
流花の星辰光は、操縦性と干渉性の二点が優秀。だからこそ、投擲した手裏剣を基点にシンプルな爆薬を投影し、あえてすぐに炸裂するような不安定なものにすることで爆破させたのだ。
ある意味で切り札で奥の手。目的は、爆圧による酸欠。
残心を崩さず、爆風を逆手に取った奇襲に対応するべく二刀流で防御特化の構えを取る。
それに対し、爆風が風圧で内側から吹き飛ばされる。
くるくると槍を回転させて爆風を飛ばした鏡夜は、着流しこそボロボロだが体に傷は見当たらない。
そしてその暴風を見て、流花は手の内をある程度把握できていた。
「その武器は神器……それも、至ってるんだね」
「ああ。俺は曹操達に会う前から至っているんだ……君のおかげだよ」
そう苦笑して返す旗本鏡夜は、獲物を自在に切り替えていく。
打刀、槍、薙刀と切り替え、火縄銃を思わせる銃に切り替えた瞬間、抜き打ちのように素早く放つ。
それを最小限の動きで躱した流花は、薙刀を構えて突貫する。
薙刀は主戦場に出ない女の武器というイメージがあるが、厳密には「日本の合戦と合わなくなった武器」というのが正しい。
集団戦が多くなるにつれて、薙刀は相性が悪くなったことで前線から離れていった。それは裏を返せば、集団戦でないなら薙刀は十分に強力な武器足りえるということである。
鏡夜もまた薙刀を中核とした近接戦で、流花と渡り合い……明確に推す。
「神器っていうのは面倒だよね。相性が悪いと途端に使い手に悪影響を与えるんだから」
「……そういう、こと……!」
その自嘲に流花は悟った。
旗本鏡夜は本家の跡取りでありながら、虚弱体質という武芸者として致命的な欠点を抱えていた。精神的にも荒事を好まない点があったが、これは気の持ちようでいくらでもカバーできる範囲内だからだ。
だが、この神器のオーラを感じることでその運命の悪戯としか言いようがないものに流花も笑ってしまいたくなる。
鏡夜が持っている神器は魔の属性を持つ。呪いの属性と言っていいそれは、相性が悪ければ宿主だって呪ってしまうだろう。体が弱る程度で済んでいたのが奇跡だ。
そしてそれを克服した。今の鏡夜の動きは師範代には確実に到達するレベルであり、彼がなんだかんだで鍛錬や組み手を見てきたからこその技術の高さといえるだろう。当主になることも家柄抜きで可能になってきているといえる。体が追いついて数年でこれであるとは、間違いなく卓越した才能があるからだろう。
だからこそ、神器によってそれが阻害されていた。皮肉が効きすぎており、またそれを掌握したことが特に酷い。
「……私の所為?」
「まぁそうだね。あの言葉は本気で効いたよ」
その返答に、流花は内心で絶叫すらしたくなる。
あの頃、心まで墜ちていた流花は鏡夜を守ることに意識が向いて無くなった。
自分に快楽を与えてくれる人達こそが守りたい人達となっていて、そんな人達と結婚して死ぬまで快楽を味わう為に自主鍛錬の密度を高めている始末。何もかもが反転していた。
だからこそ、逆に自分を守ろうと無理をして頑張っている鏡夜に苛立った。その所為で鏡夜が
だから、言ったのだ。その直後に失踪している以上、それが最後の一押しになるだろう言葉を。
「もう守らないから邪魔しないで。迷惑だから引き籠ってて。……そう言ったんだよね」
「あれはショックだったよ。長い間守ってもらっていたことに気づいてなかったこっちも悪いけどね」
そう言いながら、鏡夜は薙刀を囮に蹴りを放つ。
それを受け流しつつ、流花はあえて踏み込んで脇差を構える。
仮にもレヴィアタン化しておきながら、体格はともかく膂力で劣っている。それを危険視しての対格差を逆手に取りえる懐狙い。
だが次の瞬間、鏡夜は近くに落ちていた鉄パイプを踏み込んで飛ばし、視界を一瞬塞ぐ。
それを瞬時に危険と判断してあえて地面に垂れた流花のすぐ目の前を、鎖鎌が通過する。
次の瞬間、鎖鎌を引きながら飛ぶ鏡夜に振るった脇差は、彼の脇を深くえぐった。
致命傷には程遠いが、あれは深手だろう。
そう思いながら体勢を立て直し、流花は目を見開く。
鎖鎌を戻して着地した鏡夜の脇腹。着流しが切り裂かれたそこには、大量の血はあっても傷は一つとしてない。
それを見て、流花は悟る。
「怪我を治癒する系統の星辰光!?」
「ああ。これでも元々、最高峰星辰奏者部隊の流星衆に属していてね」
そう答える鏡夜は、あえて自分の目を薙刀でえぐる。
だが次の瞬間、潰れて飛んだはずの眼球を見せつけながら鏡夜は微笑む。
「能力は
「………っ」
泣き叫びたくなるのを、流花は寸前で堪える。
資格もないし余裕もない。そしてこの責任から逃げたくもない。
おそらくだが、鏡夜は至ることで星辰奏者として覚醒した。
最上位の星辰奏者足りえる者に、上位クラスの神器が宿っている場合自動的に星辰奏者に覚醒する。だが、鏡夜は星辰奏者に自然発生はしていなかった。
つまるところ、神器そのものはそこまで絶大なものではないのだ。下位よりであり、それだけでは星辰奏者に覚醒しない。
私の所為だ。私の心無いなどという次元でない言葉が、そこからもたらされる絶望が、彼の神器を至らせることで、星辰奏者へと自動覚醒させた。
それが英雄派の禁手到達メソッドの確立に大きな恩恵を与えている。この事実を無視するわけにはいかない。
擁護する者はいるだろう。君は正気ではなかったんだと、悪いのは君ではないと。
だが、彼から目を逸らして逃げ出したくない。
そう思える程度には、彼女は正気に戻っている。
その一念で踏ん張り流花に、鏡夜は……否。
「じゃぁそろそろ仕切り直しだ。というより……本気を出してくれ」
英雄派木曽分隊、木曽義仲は侮蔑すら見せて切先を突き付ける。
「昔の君はもっと巧みだった。技の冴えが見る影もない……情けなさ過ぎて泣きたくなるよ……っ!!」
その本気の憤りを声に出し、木曽義仲は切りかかった。
木曽分隊所属の心寧は物量担当。こいつ一人で有象無象の足止めができる反則級の星です。
また旗本鏡夜こと木曽義仲は、聖杯再現型の星辰奏者。本来は中の下レベルの神器に適合しなくて虚弱体質だったのですが―
1:流花の発言によるショックなどが原因で、一足飛びに至る。
2:至ってレベルが上がることで、聖杯再現能力持ちの星辰奏者になる。
3:星辰奏者になって身体能力が大幅に上がるプラス聖杯パワーで、至った神器を制御可能になり虚弱体質も回復
―によりめっちゃ強者になっております。
また聖杯再現能力なので、英雄派にとってもかなり貴重な存在です。欠損すら回復できるのは反則級ですし、死者蘇生すら可能なのでより無茶も効く。本作で英雄派が犠牲者少な目で禁手メソッド確立したのはこのおかげだったり。
ちなみに、次も話も木曽分隊主体となっております。