シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
だいぶ眠れてすっきりした感じですねー。やはり適度な睡眠こそ創作活動の力となりますねー。徹夜はあくまで最終手段です。
あと最近手に入ったハーブを使った料理にも凝っております。今後も少しの間は供給が続くので、魚料理にも手を出したいです!
では本編!
《樹下誠二》
超遠距離から投槍を投射して、やばい速度で命中しかけるような化け物を狙い、急行していてようやく到着。
そこには数名の女がいた。
そして、麦吉子と思われる黒狗を纏う女が警護役のようだ。更に周囲に鉄の槍が大量に浮かんでいる。
槍は投擲に使っている物だろう。だが、あの超々音速精密投擲だけでも普通の星としてはおかしいだろうレベルだ。更にここで大きな能力を持つとは思えない。……間違いなく別の奴の星だ。
わんこそばの要領で投槍を供給できるようにしていると、そういうことなんだろう。
つまり連携を封じれば……勝てる!
「一気に仕掛けるぞ、皆―」
視線を向けて声を飛ばした時だ。
「………っ」
顔面蒼白になって、着地体勢を取り損ねているコナユキが見えた。
何があったと考える暇もない。既に殺気がこっちに向けられている。
「カバーします、前方に集中して!!」
コガネさんがすぐに声を飛ばし、俺と青蘭は即座に戦闘態勢を取る。
同時、放たれた投槍を条件反射で蹴り砕く。
投槍は心臓が止まりそうな速度で加速していったが、距離の問題からか反応はぎりぎり間に合った。
そして連続で投擲しない。投槍が壊されてから次の投槍に移っていく。この流れを見て、俺は完璧に悟れる。
おそらく槍を浮かべているのは給弾担当で、投げているのが砲撃担当。コンセプトとしては二人一組での運用を考慮した遠距離支援モデル。
となると、こうして接近してもだ。
「うわっと!?」
給弾担当が応用でこっちを攻撃してカバーしてくるわけだ。
そして次の瞬間、投擲担当が接近して俺に接触を試みるが、そうはいかない。
投げられたら詰みかねないからな。そういう能力を考えるべきだ。
そしてそこを回避したとたん、襲い掛かってくるのは黒刃を纏った女の攻撃。
回避して捌くが、こいつ波柴案件だな。動きが俺達に近い。
そして気づけば放たれる、雷撃・灼熱・暴風・氷雪。
素早く対応する魔剣を選択して捌いていく。こういう時手数が多い魔剣創造は便利だが、出力の関係から流していかないと攻撃が入るな。
そして素早く蹴りが放たれ、俺はそれを回避して懐に潜り込んでの膝蹴りを敢行。
だが相手はそこに足を乗せ、勢いを利用して跳躍して回避。そこで更に各種属性をつるべ打ちする。
手数の切り替えで翻弄することを諦め、氷雪と灼熱を交互に放つ熱衝撃にシフトしている。そしてその際の動きから、やはり波柴案件だと確信している。
投擲担当に牽制の魔剣を投げつけながら、俺は気を取り直す。
コナユキが信じられないほど動揺している上、コガネさんも様子がおかしかった。
……嫌な予感がひしひしと感じるんだが。
だが、他にも問題はある。
「どういうことだ、吉子!! お前、テロリストなんて大それたことができる奴ではなかっただろう!?」
周囲の牽制をしてくれている青蘭が、動揺しながらもそう問い質す。
麦吉子は青蘭の親友だった。基本的には青蘭が引っ張る関係性で、青蘭が依存対象を必要とする精神状態になってから疎遠になったと聞く。
そして青蘭は俺の従者となったわけだ。下僕と言っていいし、そうであろうと青蘭自ら望んで行動している。
それがショックでないということはないだろう。ある意味で変わり果てたところもあるだろうし、衝撃を受けるのも当然だ。
だが、それが巡り巡ってテロリスト。青蘭にとってもショックが大きくなって当然だろう。
だが同時に、麦吉子からは冷たい雰囲気の拒絶が返される。
「分からないよ……ううん。分かるでしょ、青蘭……!」
矛盾する言い回しで、麦吉子は青蘭を糾弾する。
「見る影もなく支配される貴女なら分かる。分からないのは、私を見てない証拠だよ」
悲しみすら感じさせるその糾弾は、真正面から青蘭を打ち据え―
「そんなに立派なご主人様がいるなら、私から
―なんか妙なこと言ってないか?
一瞬こっちの動きが乱れるが、すぐに戻す。
だがその一瞬をついて、素早く麦吉子を纏う女が仕掛ける。
俺はそれを迎撃してつばぜり合いに持ち込む中、呆れ半分の様子を見せる。
「ようは二重の意味で嫉妬しているのよ。自分のご主人様が奪われたうえに、そのご主人様が素晴らしいご主人様をゲットしちゃってることに」
「想定できるか! いや、圧倒的上位想定外に苛まれた直後だが、それでもこれを想定しろとか無理だ!!」
思わず反論するが、そう来るか。
え、ちょっと待て。そういうことか!?
「他に指摘することはないのでしょうか麦さん!!」
つい全力で突っ込んだが、突っ込むだろこの展開は。
想定外すぎる。え、怒っているところってそこなのかと言いたい。
「ないよ! なにこのスーパーマスター……! そんな、そんなのないよ……っ!」
反論が涙声であることに困惑している。いやこれどうしろと。
「いや、ご主人様が素晴らしいのは私の自慢でもあるが、そこなのか!? 他にその、もっと言うことがあるだろ!? 絶対従僕状態とか」
青蘭も度肝を抜かれてる状態だし。
後自覚がきちんとあるのはありがたい。そこはこれからも忘れない方向でいてください。
「なんで? 青蘭も分かるでしょ? 全部支配してくれるって、預けさせてくれるって……とっても楽で、嬉しいでしょ?」
「そ、それはそうなんだが!!」
いかん従者根性が極まってる二人でボケ倒しになっている。
オイちょっと待て、この流れは勘弁してほしいというかどこから突っ込んだらいいんだ!?
「それでいいのか! というかなんだこの展かぁっとぉ!?」
十数本ほど投槍が振るわれるのでそっちを回避。
更に投擲された槍を回避しつつ念の為に乱数入れたら、一瞬で戻ってきてこっちを貫通するコースを取ってきた。危ない。
「うっわ、反応早! どうするタルウィーラ?」
「おちつこザルチェール。私達って特化型だし」
お互いに声を掛け合う奴らだが、投槍側のコンビはどことなく幼いな。
見かけは俺と同じぐらいだが、精神年齢が明確に下といった感じだ。何かしらの人工的な生命体か……?
とはいえ考察をしている余裕はない。
このままだとまずい。コナユキが一気に不調になったのが致命的過ぎる。
そこまで考え、俺は……寒気を覚えて仮説を思いついた。
コナユキは重篤なPTSDを患っている。一生ものになって当然なレベルでトラウマを背負っている。
それは、外部から異能によって自分の異能を振るった結果、目の前で友達二人を凍結粉砕されたことだ。
結果的に心を封じ込め、絶望的な域に堕ちなかったところはある。だがそれをもってしてよかったなどと考えるのは、あまりに他を見なさ過ぎている。
俺とコガネさんを助ける為に振り切って使うことはできるようになった。だがそれは無理矢理であり、精神の負荷を和らげることを主目的とした専用の聖剣を振るってなお、乱用は吐くレベルの負荷がかかっている。
仮説だ。仮説でしかない。
だがもしも、その死骸を利用してろくでもないことをした結果が目の前にあったとすれば?
……あまりの事態に寒気を感じるのと、敵が態勢を整え直して一斉攻撃の体勢に入ったのはほぼ同時。
「ごめんね青蘭。……でも、今の私を支配してくれるのは青蘭じゃないの」
そう告げる麦吉子の言葉を引き金に、攻撃が放たれた。
《兵藤一誠》
曹操、こいつ……強い!
「やるね、赤龍帝! これで歴代最弱とは恐れ入る!」
「全部躱しといてよく言うぜ……っ!」
称賛されても嬉しくねえよ。本気にも思えない。
曹操。俺達の中で一番戦い方が近いのは木場……いや、雨宮さんか。
木場達魔剣創造組ほどは手数が多くないけど、いくつかの手札を基に的確に使って俺の攻撃を捌いていく手腕が似ている。間違いなくテクニックタイプだ。
「躱さないと死ぬからね! 俺みたいな弱っちい人間が、赤龍帝の拳なんて喰らったら一発で終わる!!」
確かにな。
当てれば一気に形勢をひっくり返せる自信はある。少なくとも、蛇で強化されていたとはいえディオドラの方が頑丈だろうさ。
ただ、当てることができないならそんな言葉に意味はないんだよなぁ!
これに当てるのは苦労するぞ。しかもだ。
「さて、なら今度は遠距離攻撃だ!」
そういうなり、放たれるのは多種多様な攻撃。これがまずい。
落雷が落ちる。竜巻に包まれる。水や氷の絨毯爆撃。灼熱の投射。雷撃の放出。凍えるような暴風の発生。
これあれだ。話に聞くデュリオ・ジュズアルドの神滅具……
天候を操作しているし、あらゆる属性を放ってるし……嘘だろ!?
確か煌天雷獄って……二番目に強い神滅具じゃん!? 最強の神滅具持っている奴が、更に二番目に強い神滅具使う!?
多分星辰光だろうけど……反則じゃね!?
「ねー曹操ー? そろそろ雑魚のサポート以外に暴れてもいい? 雑魚相手に暴れるのもちょっと気分じゃないしさー?」
「もうちょっと楽しませてくれよ、コハヤ。俺だって折角の赤龍帝なんだ。ヴァーリがご執心の神髄という者を味わいたい」
ちゃっかりサブリーダーのコハヤと一緒に和やかに会話しているしさぁ!?
コハヤや手勢を差し向けて、サリアローズさんの護衛相手に大立ち回りをしている。
更にコハヤ自身鋼の魔獣を創り出しており、その所為でマリヤさんやリンカさんも押されている形になってるぐらいだ。
大概だな、英雄派のサブリーダー!?
「私の
「……仕方ないね。雑務や書類仕事の多くを捌き、運営資金も数割出してくれた君の頼みだ……二人でやろうか」
しかも来るのかよ、これって―
「いえ、私が相手をするわ!!」
―やばいと思う間もなくアルトリーネさんが来てくれたぁあああああ!!
曹操の連続攻撃を拳で捌いて、アルトリーネさんが俺と並び立ってくれる。
「追いつくのの時間がかかってごめんなさい! ここから巻き返すわ!!」
「百人力です! 一気に決めましょう!!」
アルトリーネさんと頷き合い、俺達は拳を構えて曹操達と対峙する。
そして曹操の後ろのコハヤ・リバーは、笑いながら指を鳴らした。
「ならやって見せてよ……まずは小手調べのスコールコメット!!」
そう言うなり、瞬く間に小さいミサイルがどんどん出てきて襲い掛かってきやがる!?
ドラゴンショットで撃ち落とすけど、一発一発の威力も結構あるな……それがあっという間に何十発も出てくるからなぁ!!
っていうかあれ、創造系神器か!?
「……おそらくは
「あれか! やばいじゃないですか!!」
アルトリーネさんが推測してくれてるけどやばいって。
雨宮先生があれだけのことをしてるってのがやばいだろ。しかも正面戦闘でできるってのか!?
研究に特化して色々造っている雨宮先生も凄いけど、前線で暴れられるコハヤもやばいなおい!!
後物量がやばいなオイ。そろそろ百発越えてるだろ!?
「物量って凄いよねー。大抵の数ならあっさり返り討ちにできるし。戦略核つるべ打ちにしたら神様の世界だって大変なことになると思わない?」
にやりと笑ってくるコハヤもむかつくけど、ちょっとそっちに行ってる余裕がない。
というか、絶妙に乳語翻訳が届かない距離から仕掛けてきやがる。俺のことをきちんと警戒していてあまりなめてかかってないな。
そこに曹操が流れ込むように突撃してくるから厄介だよ!!
「舐めないでもらえる?」
「おっと失礼。アイアンローズのトップエージェントだった貴女を舐めた気はないんだが……若さってのもあれなものだね」
素早く割って入るアルトリーネさんがいるから助かってるけど、正直一発でも貰ったら死にそうだ。
「聖槍のオーラはやばそうですよね? 正直、一発直撃したらやばそうなんですけど?」
「普通に私達なら致命傷ね。一刺しで即死もあり得るわよ」
そこまでかぁ。俺は曹操を舐めすぎてたかも。
っていうか人間であれって大概だろ。サイラオーグさんとタイマンできるんじゃねえか?
いや、だからって負けてやるわけにはいかねえよな。
「アルトリーネさん……どうしますか?」
「私が隙を作るわ。その隙を逃さず一気に決めなさい」
オッケー。それでいこう。
僅かにだけど、呼吸すら聞こえそうな静けさになる。
次の瞬間、曹操がコハヤのミサイルを援護にして仕掛けてくる。
俺は動かない。倍化を溜めつつ、一撃を入れる準備を入れる。
ミサイルの雨嵐をアルトリーネさんが人工神器の結界で無視する。
曹操の聖槍を、星辰光を併用してアルトリーネさんが迎撃する。
そして曹操は蹴りを入れてアルトリーネさんを俺の方に向けて飛ばし―
「―文明舐めたら駄目よ、人間が」
そうアルトリーネさんが言った瞬間、アルトリーネさんと曹操の間で爆発音と閃光が響いた。
同時に、アルトリーネさんが親指を立てる。
この一瞬は、逃さない!!
「もらったぜ曹操!!」
「スタン、グレネード……っ!?」
なんかよく知らんけど、映画とかで出てくるあれか。
曹操が無理やり動いて槍を振るい、俺の右腕を弾き飛ばす。
だけど、それは俺の狙いどおり。
俺だって、フェイントぐらいできるんだよ。
「……アスカロン!!」
そして咄嗟に伸ばしたアスカロンが、曹操の右腕を切り飛ばす。
そしてその隣に、なんか手榴弾っぽいのが投げ込まれた瞬間、炎が巻き起こって曹操の右腕が燃え盛る。
「フェニックスの涙が裏ルートで流れてることは知っているわ。……治す隙は与えないわよ」
復帰早いっすね、アルトリーネさん!!
《樹下誠二》
「……それは、ダメッ!!」
真っ先に投射された槍が凍結され、次いで迫る槍が霧の結界に阻まれる。
投射された槍は蹴り上げによって縦に割られ、その勢いに耐え切れず粉砕される。
俺の冷静な部分は、投擲を担当する星辰奏者は投擲した物体の軌道をコントロールしているのではなく、どう飛んでいくのかの事前登録を徹底させる類の星だと確信した。
癖の強い星だが、その分他の性質が優秀だ。少なくとも拡散性はずば抜けており、星辰光としては破格のポテンシャルを持っているだろう。
だが問題は、そこではない。
「コナユキ!? お前大丈夫か!?」
この出力の凍結は今まで見たことがない。
しかも、出した瞬間にえづいている上顔面も蒼白だ。
明らかに無理をしている。助かってはいるが、これは無理をしすぎにもほどがある。
状況は分からない。だが、短期決戦が必須だ。
「「……あれ?」」
二人揃って困惑している槍投げコンビ。こいつらが原因だとするなら、さっさと無力化するほかない。
躊躇をする時間はなかった。遠慮をする余裕もなかった。
故に、即座に反粒子を展開。一撃でケリをつける体制を取り―
「させると思う?」
―その俺の眼前に、反粒子が映る。
俺じゃない。麦吉子の狗刃を纏う女が、反粒子を纏っている。
……冗談だろう、オイ。
驚愕するが、しかし行動は止めない。
もはや躊躇をしている余裕はない。
俺は反粒子を反粒子でぶつけ、相殺を試みる。
だが相手も相当力を込めており、その破壊力は絶大で―
具体的に言うと、大爆発が起きた
まさか麦吉子の怒りの理由がこっちだとは、予想できなかったでしょう。