シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
少しずつ締めなおさないとと思いつつも本編!!
《樹下誠二》
「曹操!?」
ジャンヌ・ダルクが慌てるが、その顔面に反粒子魔剣を投擲して牽制をかける。
イッセーの奴、こっそり九重に譲渡したうえで連れてきていたのか。
イッセー自身の謎進化が強力すぎたが、それを逆手にとって九重を隠したわけだな。中々考えるじゃないか。
「……九重さんを隠し玉ですか。……京都側が心労で倒れそうですね」
「こいつ、思った以上にやる……っ!!」
素早く二股になった槍で魔剣を地面に抑え込みながら、コガネさんがジークフリートを舌打ちさせつつ感心している。
二本ほど同様に魔剣を縫い留められていることもあり、ジークフリートは引き抜きたいがコガネさんに妨害されて足止めを喰らっている状態だ。
更に大量に突き立てられた武装群が邪魔になり、ジェームズ・ブラックの攻撃にも対応できている。
ハマれば圧倒的に強く、ハメる為の準備が肝となる。奇襲暗殺に特化して活動してきただけあるな。ハメれる相手の足止めに長けすぎている。
そして俺は他の奴らをけん制しているが、さてどうなる?
「……はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
「やったぜ、九重! 一発かませたな!」
息も絶え絶えな九重を庇う様に立ちながら、イッセーが親指を立てて彼女を誉める。
そして、吹っ飛ばされた曹操は息を整えながら立ち上がっていた。
盛大に喰らったのか皮膚が焼けただれているうえ、今度は左腕がへし折れている。
「ふ、ふふふ……! なめてかかっているつもりはなかったけどね。シャルバのことを笑えなくなっているよ……」
そして楽しそうで何よりだな。
まぁいい。向こうも動揺しているしここで大将首を取った方がいいだろうか。
俺は魔剣を創造して切りかかる体勢を取ったが、その瞬間舞い降りる黒い刃が割って入った。
そして姿を現すは、麦吉子を纏った使い手。
そしてカバーするように、さっきいた連中も間に並んで割って入る。
「ご無事ですか、曹操様? ……やはり援護だけとはいかないようです」
「悪いね。思った以上に意外性を見せつけられたよ」
曹操が立ち上がりながら礼を言うのは、一人の女性だ。
濃い色の髪を伸ばした女性。若干憂い顔というか虚無を感じさせるのが気になるが―
「……嘘でしょ……?」
それ以上に、衝撃を受けているのは秀華だ。
こいつも波柴案件か。今日は波柴が多いなおい。
そして、そんな秀華に女が向ける視線は若干恨みがましいものだった。
「お久しゅうございます、お嬢様。……よもや、波柴を裏切りお潰しになられるとは思いませんでしたよ……っ」
「……美奈……っ」
面倒ごとになりそうな予感というか、運命が螺旋の如くから待っているというか。
ここ最近、俺達と因縁のあるやつが多すぎないか?
「大丈夫、リーダー? 不本意じゃないの?」
「この際そうも言ってられません。それに、貴女も顔ぐらい見せてあげては?」
麦吉子を纏っている女にそう言い返すと、女も納得したのか肩をすくめる。
そして麦吉子を狗神として離しながら、女が姿を現した。
……そこにいたのは、銀髪の少女。
問題はそこではない。というか、別の問題が大きすぎる。
その鋭い瞳。そして立ち振る舞い。
何故か秀華のような銀髪になっていることが特に気になってしまうが、問題はそこではない。
「菊花……? お前、左豊菊花か……っ!?」
「……え、菊花も……!?」
コナユキも衝撃を受けて顔を上げるが、冗談きついぞ。
俺やコナユキのいた、波柴の育成機関でのグループ分け。
そこにおける、俺に次ぐ成績ナンバーⅡ。それが、目の前の女だ。
波柴壊滅後は保護されて、親戚の元に引き取られたと聞いていたはずだが、なんでこんなところに……?
「……ま、そういうこと。お互い色々あるでしょうけど……まぁ、残念ね」
勘弁してくれ。同窓会かこれは。
……頭が痛くなりそうな事態だが、このままってわけにもいかないだろう。
こっちが圧倒的に不利である以上、敵が仕掛けてくる前にこっちで可能な限り倒しておかないと―
「……曹操。どうやら上手くいったようだぞ?」
―その時、霧使いのゲオルグが声を上げる。
それに反応して上を見れば、疑似京都の空から何かが転移してきそうになっている。
「グレートレッドが引けたかな? なら、
「……いえ、外れですね」
曹操に対し、美奈と呼ばれた女性がそれを否定する。
そして同時に、転移してきた物体を見て俺もそれを理解した。
あれは東洋系の龍だ。グレートレッドの西洋系統とは違う。
ただ、オーラがただ者ではないな。相当のドラゴンを呼び寄せることはできたということ……か?
『おいおいおいおいお~っい! 曹操の坊主じゃねえか! しっかも九尾の狐が操られてるとか大騒ぎじゃん!? 帰っていい?』
……気品がないんですが。
俺はそのドラゴンの言い草に呆気にとられそうになっているが、曹操は若干面倒ごとの気配を悟っている様子だった。
「寄りにもよって
「そういうこった。オイタが過ぎるぜぃ、坊主」
曹操に応える声の主が、玉龍から舞い降りて俺達を庇う様に着地する。
……ただ者じゃない。オーラもそうだが、その動きは心技体全てが揃った勤勉な天才のそれだ。
「……お久しぶりですね、闘戦勝仏殿」
曹操がとんでもない名前を言ったんだけど。
「………誰?」
「速攻で誰でも分かる別名を言ってやる。孫悟空だ。美猴のご先祖」
イッセーが困惑しているので分かりやすく簡潔に伝えるが、とんでもないのが来たな。
美猴のご先祖である、正真正銘の孫悟空。
これほどの方が増援ということでいいのか……良いのか!?
本当に詳細を伝えろよ先生も!! いきなり出てこられたらこっちが困惑してついていけねえわ!!
「よう頑張った坊主達。あとは儂らに任せとけ。……玉龍、九尾の御姫様はそっちに任せるぞ! 京料理食わせたるから気張れぃ」
『分かったよ糞ジジイ! 頑張りたぃ!』
麗夜さんが回っている八坂姫のように玉龍が回るようだが、つまり初代殿一人でどうにかするつもりか?
「……ご老体、失礼ながら相手は神殺しまでおります。こちらもまだ動けますよ?」
「そうだよ爺さん。流石に一人は危ないって!」
俺と同じようにイッセーも止めるが、イッセーは相手を考えろ。
「イッセー。お前のそれは相手の器の大きさが必要不可欠な問題行動だと何度言えば……いや今はそこはいいんだが」
「仲が良いのぅ、お前さん達。ま、結界の所為で遅れに遅れたんでな、老いぼれにも出番をくれってことで頼む……ぜぃ!」
「がっは!?」
「ぐ……ぅ!?」
俺達の方を向いたまま、奇襲をかけてきた木曽義仲と巴御前をあっさりと弾き飛ばす。
更に絶霧が包み込んで拘束を試みるが術を展開したのか弾き飛ばし、グラムと聖槍の攻撃を器用に棍の両端で受け止めて弾き飛ばす。
……強っ!?
「うっわぁ。こっちも結構疲弊してるし、レイドボスだね……とりあえずテスト」
げんなりしている藤花だが、そう言いながらも数十発のミサイルを創造して発射する。
文字通り四方八方に散ってから闘戦勝仏に迫るミサイルを、藤花は真剣に観察する態勢で見ている。
「全部神殺しだけど当たるとどうなるかな……?」
「当たっちゃぁやれないねぃ」
そしてその瞬間、闘戦勝仏の毛が散り分身となってそれら全てを迎撃する。
あ、圧倒的だ。
俺達が反粒子まで使って苦戦していた英雄派を、総出で仕掛けられながらも余裕を持って対応している。
年季と格の違いが……デカい……っ!
「……曹操、美奈さん。儀式も失敗のようだし、引き際とみるべきだわ」
「そのようだね。ゲオルグ、まずは外側のみんなを転移させてくれ」
菊花にそう言われ、曹操は肩をすくめて矛を収めたようだ。
正直逃がすのは不本意だが、これ以上の戦闘はこっちに被害者が出るか。
だが、このまま逃げられるのも癪に障る。
……一瞬の視線の交錯と共に、俺は反粒子を身に纏う。
「さんざん暴れて簡単に逃げれると? なめるのも大概にしてほしいな!」
俺があえて大降りに一歩を踏み出せば、そこに割って入るのは菊花だ。
彼女もまた、反粒子を纏ってこっちを見据える。
やはり反粒子……麦吉子ではなく、菊花の方が振るえるということか。
そして、菊花は俺の狙いも看破している。
「こいつは八割囮よ。奇襲が来るから気を付けて」
ご明察。
露骨に反粒子を纏っているのは、同じく反粒子を使える相手を引き付けるのと同時に俺に気を引かせる為。
菊花が反応に遅れれば俺がやるが、本命は俺ではない。
そう。俺のぎりぎりを掠める様にオーラを放ったイッセーだ。
「お土産だ、貰っとけ!!」
「させると―」
「―思う?」
間に入るようにジェームズと山吹御前が間に入り、ヘラクレス達も曹操のカバーに入る。
だが次の瞬間、ドラゴンショットは曲がって曹操を横から襲う。
曹操もギリギリで反応して身をひるがえすが、その一撃は片目を盛大に抉っていた。
「……赤、龍帝ぃいいいいいい!」
歯を向いて笑っているところ悪いが曹操。肝心なのを一人忘れているぞ?
「隙だらけですね!」
既にコガネさんが後ろに回り込み、攻撃を仕掛ける。
曹操は咄嗟に反応するが、奇襲が決まった時点であいつの方が圧倒的に不利。
すれ違いコガネさんが転移でこちらに戻る頃には、曹操はわき腹を深く切り裂かれていた。
あの一瞬で潰れた目の方から切りかかる辺り、この人暗殺者の才覚本当にあるな。
だが、それに頼ってしまうのはこっちの落ち度か。
「悪いコガネさん。嫌な事させたな」
「……いえ。今は、悪くはないです」
苦笑しながらコガネさんがそう返す。
そして俺達は迎撃態勢を取るが、曹操は矛を収めるようだ。
「……
「引くよ曹操。治療は後だ……まだまだ僕達も未熟ということだろうさ」
ため息をつく曹操に応急処置をしながら、木曽義仲もため息をついた。
……流石にもう逃がすほかないが、中々面倒なことが多いもんだ。
英雄派の曹操、か。
警戒に値する敵だ。ここでどうにかできなかったことを後悔したくはないんだが……な。
《空本麗夜》
「つ、疲れた……最後の方は、人工神器も壊れるし……っ」
「お疲れさん。後始末は任せてしっかり休んどけ」
へたり込み気味の匙君をねぎらったアザゼル総督は、こっちを見て肩をすくめた。
「九尾の嬢ちゃんが付いて来てたらしいな。役に立ったんだろうが大変だったな」
「まったくです。なまじ成果を上げているので、説教がしづらいのがあれですね」
苦笑いで同意するけど、ここからが疲れるね。
戦後処理ぐらいは大人組がやるべきだろう。学生まで戦場に引っ張り出してしまっている以上、こっちが全部できるところはやっておかないと。
終わるの朝方になりそうだなぁ。睡眠不足で倒れそう。
「……総督、麗夜もちょうどいいわ」
と、麗奈が眉間にしわを寄せながらこっちに駆け寄ってくる。
見る限りタブレットPCを持っており、データが映っている。
とはいえ、あまりいい話でもなさそうだね。
「どうした、麗奈?」
「八坂様ですが、制御下に置く為に重度の洗脳を受けています。戦闘行為は止まってますから後方に搬送して治療となりますが、おそらく相当の時間が掛かるかと―」
麗奈がそう言いかけた時だ。
「……母上ぇええええええ! よかったぁああああああ!!」
なんか、九重嬢の歓喜の泣き声が聞こえたんだけど。
「……重度の洗脳じゃなかったっけ?」
「……………そのはずなんだけど」
麗奈がもの凄く困惑している中、俺達の視界に駆け寄ってくる麗華の姿が見える。
「麗奈に麗夜! 凄いぞ初代孫悟空殿は!!
………………。
「「はい?」」
マジで分からないよぉ!?
真剣に困惑して俺とはもった麗奈だけど、どうやら一旦おいておくことにしたようだ。
「それで総督、そちらの方はどうなりましたか?」
切り替え早いなぁ。こういう時すっごい頼りになるよね。
そう思っている中、アザゼル総督は苦い顔になっている。
「こっちはこっちで逃げられたな。魔獣創造のレオナルドをこっちに置いていて、引き際におとり用のアンチモンスターを出しまくった。あと、もっと面倒なことにもなっててな」
アザゼル総督は相当苛立ちの籠った顔になっている。
「英雄派の幹部の一人が、相当ヤバイ能力をもってやがる。即席で特攻上等の殉教野郎を作れるみたいでな。自爆する洗脳された奴らの所為で、こっちもだいぶ引っ掻き回された」
その説明で、俺達も苦虫を噛み潰したような顔になっているだろう。
「なんということだ。……助けられなかったのですな?」
麗華が聞くと、先生はため息をつく。
「自爆前に止められた奴もいるがな。ただの洗脳とは違うみたいで、異能による精神干渉の痕跡がねえ。かといって薬物中毒ってわけでもねえのに、まるで廃人になったみたいにうんともすんとも言わねえ状態になったままだ」
なんなんだろうか、その状態は。
英雄派、碌でもない奴が多すぎるね。
それ以外にも色々とありそうだし、本当に大変なことになってるよ。
俺達も、このままってわけにはいかないだろうね。
まだ学生の所長や誠二達が、体を張っているんだ。俺達が頑張らなくてどうするんだって話だ。
……思わず空を見上げながら、俺は一つだけほっとしたことがある。
なんか復活した波柴矢城が死んだのは不幸中の幸いだ。もうアイツに引っ掻き回されるのはゴメン被るよ。
ただ、本家がポップしているから始末に負えないけど。あの一族、本当にしぶとい……!
《Other》
「畜生が! 俺は強くなったんじゃねえのか? あっさり倒されてるじゃねえか!?」
「落ち着いてね、シュテルン・フランメ。敵が強くなってないとは言ってないよ」
「ざけんな大将! 何が悲してくて蘇ってすぐに同じ奴らに殺されなきゃならねえんだよ。すぐに乗り換えられたからよかったけどよぉ?」
「そこは安心していいよ。残機はいくらでも用意できるしね。同期駆動も可能になりそうだし、更なる追加も十分可能さ。……君の出番はこれからだよ」
「ならいいけどよ。……酒飲んでくるわ」
「お代はこっちで持つから領収書貰ってね~。……で、どうかな?」
「あの兄ちゃんを素体にしてよかったぜ。データがとっても取りやすいったらありゃしねえ」
「そしてそれをベースに、俺が更なる強さを得ると。ありがたい話だぜ」
「ふふ。シュテルン・フランメが用意できたのは好都合。あそこまで
「だな、大将。性能でいやぁずば抜けてるってわけでもねえが、人造惑星としての生産性整備性信頼性がずば抜けてやがる」
「だからこそ、多少の我が儘には寛容でないとね。……試作武装のテスターには優先的に選んであげて。あと、フィードバックされたデータの一部は美奈ちゃんにも回すこと」
「美奈嬢ちゃんも優秀なこった。まだまだ未熟な実験用を再調整して、長持ちするように視点だからなぁ」
「シナジー抜群らしいな。俺もそういった相方になる手合いが欲しいんだが、流石に我が儘か」
「ま、補佐担当に何か用意できないか考えとくよ。で、だからこそ―」
「―ダンバーズに招集をかけつつ、シュテルン・ゲヴェーヴァの本格製造を開始しよう。そろそろこっちも準備をね?」
「で、いいのかい曹操? 目の方は治さなくて」
「ああ。俺はどうも油断しやすいみたいだし、教訓の代金としておくよ。……で、そっちはどうなんだい?」
「流花のことかい?」
「ああ。旧交との激突とは何とも英雄譚みたいで滾るじゃないか。話に聞く限り、俺にも匹敵する才能の塊が己を磨き上げているって聞いたけどね」
「……十で神童、間を飛ばして、二十歳過ぎればただの人ってことだろうね。見る影もない」
「そこまで言うほどかい?」
「腕が落ちたというより、陰ったと言った方がいいんだろうね。性能は上がっているけれどそれだけ。通用する武器さえあれば、旗本流の師範代クラスなら誰でも勝算があるんじゃないかな?」
「それは残念。旗本流の強さは嫌というほど知っているから、是非ともその神童と戦ってみたかったんだけどね」
「まぁ、それは置いておいていいだろうさ。……で、これからどうするんだい?」
「そうだね。グレートレッドの呼び出しは失敗したしね。なら俺としては、もう片方になるだろうけれど、タイミングは見計らわないと」
「世の中は本当に大変だね。……まぁいいさ。ここからが本番だ」
「ああ、まったくもってその通りだよ、義仲」
「英雄譚には好敵手が付き物。兵藤一誠に樹下誠二は、俺達の好敵手足りえて幸いだ……ね」
兵器としての優秀さとは、必ずしもカタログスペックを意味しない。シュテルン・フランメとはそういうパターンです。
作りやすいというのはある意味で兵器として重要なところ。そしてモンタギューたちが開発している人造惑星は、第一世代の正統発展形としてこれがかなり重要になるやばいのとなっております。
今後もシュテルン・フランメは面倒な準中ボスとして暴れてくれることでしょう!