シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
本当は第三話の一部も入るのですが、「内容的に一話にまとめたほうがいいんじゃないかなコレ?」と思い直して切る部分を仕立て直したのでこんな感じになりました。
《樹下誠二》
冥界のでかい膿出しねぇ。
サリアローズ・バアルが動くというのなら、適当抜かしているわけではないだろう。
それに、そこの業界も規模がでかいのなら暗部や淀みだってある。あることを前提に定期的に探って出すのは必要だろう。
波柴一族しかり、五大宗家の老害しかりだ。当然大王派は勿論、魔王派にだってアレな連中はいるだろう。
とはいえこのタイミングで大事にするとなると、相応の代物かもしれない。本当なら英雄派に注力した方がいいだろう時期だしな。
「先生、どういった厄ネタですか?」
もうさっさと聞いて腹をくくろう。
俺が指摘すると、先生も乾いた笑いを浮かべていた。
「簡潔にまとめると風見鶏だ。大王派は勿論魔王派にも仲間達を潜り込ませ、更に反乱分子となる犯罪者組織とも繋がってるみたいでな。状況に応じてそれらを動かしたり自分達で潰すことで、上手く甘い蜜を啜っている連中だとよ」
先生はそう言いながら、プロジェクターでリストを映し出す。
……俺も一応、秀華直属なので冥界の事情にも探りは入れている。入れているが、俺で知ってる顔も結構いるな。
リアス部長や生徒会長も険しい顔になっている辺り、そこそこ目立つ連中も潜り込んでいるようだ。
「中には戦奏教団とコネを結ぼうとしている連中もいるらしい。この情勢下であいつらにまで介入されると収拾もつかなくなるんで、俺としては積極的に協力して潰した方がいいと思っている」
「今の異形情勢において、戦奏教団が関わってこないのは奇跡的な幸運と言えますからね。こちらとしても全面的に協力して、さっさと叩き潰して繋ぎを断ち切るべきだと判断します」
雨宮先生もそう言い切るほどのことだろう。
戦奏教団。神代晃星を尊ぶある種の宗教団体ともいえる、人間世界を揺るがす大規模組織。
秀華のように星辰体を結晶化させた
星辰体を操る存在としての格が違うといえるアイツらは、更にそれを基点に不死となる。
頭を潰そうが翠星晶鋼に包まれて再生。粉々に砕こうものならテレポーテーションのように完全復活するような奴らだ。更に直属の配下にもこの不死特性を与えられるみたいなのが始末に負えない。
「神祖やその使徒と殺し合いをした経験がありますけど、あいつらが出張ってくると絶対にややこしいですよ? ゾンビアタックのごり押しで神滅具の禁手相手に勝ち目有りますから」
秀華が説明をすると、美子ちゃんもげんなりをした表情になる。
「あの時は本当に大変でしたよねー……」
桃山警護事務所の初期メンバーはその恐ろしさをよく知っているだろう。
「具体的にどれぐらい不死なの?」
リアス部長がそれを訪ねるのも当然だが、本当にヤバイ。
「正攻法で殺すのは諦めた方がいいです。あいつらの不死は「死なないことが
殺し合った経験があるからこそ断言できる、あの反則さ。
「フェニックスの上級悪魔と使徒がノーガードデスマッチをしたら、絶対使徒が勝つね。神祖なんてもう反則というか、神滅具でも特攻持ちじゃないと不死を何とかできないから押し負けるよ」
秀華もはっきりと断言する。
「現状断言できるのは、その不死はどうも何かしらの繋がりを持っている点。この繋がりを断ち切れる手段がないと不死を突破できなくて、実際にできたのは誠二の反粒子と狗神再現の二つだけ」
「……つまり、この面子でもタイマンで何とかできるのは誠二と朱乃ぐらいだってことか」
アザゼル先生も秀華の説明に、冷や汗を垂らす。
本当にそれだから始末に負えない。
波柴一斉摘発後に波柴一族を経由しようとしていた神祖と戦うことになったが、本当にやばかった。
ヤケクソの反粒子に動揺したおかげでそれを突破口にしたし、反粒子が一発勝負よりなのに調子に乗った馬鹿神祖の発言を基に「黒刃の狗神ならワンチャンあるのでは?」とためした結果成功したから良かったものの……勘弁してほしい。
「厄介だな。サリアローズの情報を基に一斉摘発する予定だが、神祖が一人でばるだけで形勢がひっくり返りかねねぇ。最低でも二か所に参加してほしいと要望されてるんだがな」
「具体的にどことどこなの?」
リアス部長が促すと、先生も頷いた。
「冥界アガレス領及び、日本にある地方都市が一つずつだ。そいつらは基本的にどっちかの別荘を拠点にし、領地の田舎に定期的に戻って代官に指示を出す形で領地運営を行っている。おそらくそれを逆手にとって情報共有をしているんだろうな。……各個撃破を狙うのが困難なレベルで常時気を使ってるみたいなんで、いっそのこと集まっているタイミングで一気に片付ける算段のようだ」
それはまた、中々剛毅なことだ。
まぁ、下手に逃げられて潜伏されてもあれだろう。血の粛清なんてものは、大義名分が徹底的にこちらにあっても連発すると民意が離れるからな。なるべく一発で決めるのが大事なわけだ。
「サリアローズ達が調べた限りでは神祖どもは手を組もうとはしてないみたいだが、油断はできねえ。サリアローズ達も色々と戦力を送るようだが、こっちにも協力要請が出てきている。……サーゼクス達はいい顔をしなかったが、あいつが若手をなるべく前線に出させないのを逆手にとって若手主体で仕掛けるつもりみたいだな」
資料を確認するが、サイラオーグ殿やシーグヴァイラ殿は誘われているようだ。
最も冥界側の拠点がアガレス領にある以上、シーグヴァイラ殿が動かないわけがないか。サイラオーグ殿も、
「でも、戦力はどう送り込むんですか? 人間界なら日本政府に協力を要請すればある程度は可能でしょうが」
俺がその辺りを質問すると、先生は苦笑していた。
「サリアローズはおっぱいドラゴンのイベントを作って、それを囮に別動隊を分散で配置させるようだ。例のロイヤル・ピースをほぼ全員投入するつもりらしいしな」
「となると、グレモリー眷属は全員冥界に行った方がいっかぁ。なら日本側は当然、
秀華がさらりと判断するがそうなるだろう。
朱乃さんは一応、俺と同じで黒刃の狗神を再現できるからな。万が一の神祖対策としては分散するほかないだろう。
「教会側からも人員が派遣できないが要望してみましょう。悪魔の不穏分子を打倒することは、和平による明確な美徳として教会にも広められるでしょうしね」
「こっちも念の為戦力を用意するつもりだ。本家本元の黒刃の狗神にも話を通しとくさ」
雨宮先生とアザゼル先生が話し出すが、さてこれからどうするか……だな。
《Other》
「さて、戦奏教団と繋がろうとするとは愚行の極みだ。もっとも、おかげで神祖と使徒の警戒からか日本政府がかなり積極的なのはありがたいがな」
「かなりお疲れですね、サリアローズ様。湯あみの手配をいたしましょうか?」
「お前の湯あみはお前が堪能しろ、マリヤ。傀儡とは言え魔王の湯あみを次期大王如きが先取りするのは問題だぞ?」
「ですがサリアローズ様、ここ数日の睡眠時間は普段の三割減です。その、お体に障りますし女子としてのお肌が」
「その心配こそ無用だ。まぁ、実感が足りないから仕方ないだろうが……私は不老には自信があるぞ?」
「……無理強いはしませんが、サリアローズ様でなければならない仕事以外はこちらにお任せください。リンカはリンカで忙しいですが、その分私が動きます」
「忠臣を持てたのは幸いだ。リンカの方は大事ないのだな?」
「仕事が忙しいのは事実ですが、サリアローズ様の為になることですから。……主の為に尽くせるのは従者の喜びです」
「ふふっ。私としても貴様達に出会えたのは僥倖だ。……さて、ではそろそろ本腰を入れるとするか……っ」
ちなみに戦奏教団。初期の初期から出しているのに本編にろくに絡んでこないのには理由があります。
とはいえ神祖にしろ使徒にしろ、間違いなくやばい脅威ではあります。フェニックス毛を遥かに超えるだろう不死性によるごり押しができるのがヤバイ。
滅奏眷属+黒刃再現のダブルコンボな主人公な誠二の能力も、メタ的な要素として「神祖殺せる能力」を持たせる意味がないでもないです。「仮に神祖を殺す手段をD×Dで出すなら何があるかな?」みたいな考えが多分あったと思う。