シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
有給ギリギリなので何とか乗り越えたいところです。元気を満たすためにも感想とか求!!
では本編!!
《空本麗夜》
俺達はシトリー領の、ある治療施設に来ていた。
所長や麗華の魔王としての活動の一環として、ある種の慰問活動を行っている関係だ。
それもあり、二人は共にドレスを纏って優雅に微笑んでいる。俺達も今回はSPに近しい立場なので、半分ネタといえる執事服やメイド服は着ていない。
……うん。今失礼な感想が浮かんできた。
「馬子にも衣裳ってこういうことを言うのかしら」
「せめて花魁とかそういう方向にしてあげよう?」
麗奈、はっきり言っちゃ駄目です。
そもそも王族だから馬子は駄目だよ、聞かれたらヤバイ。……花魁も方向性としてはどうなんだろうか。
ただまぁ本当に、俺達からすると凄い違和感を覚える時もある。
「立場によって仮面って使い分けが必須ですから。……えらくなるって大変なんだよ、ダーリン」
「そっかぁ。俺、上級悪魔まで目指すの躊躇するよ……」
責任って重いってことなんだろうね。
美子ちゃんの説明に納得だし、美子ちゃんも小笠原一族だとそれなりに凄い立場らしいからね。……俺、彼女をお嫁さんにして殺されないだろうか?
まぁ、それはともかく護衛は一通り完了。今度は小休止タイムだ。
「ふっひぃ~……。昔取った杵柄って重要だね」
「流石ではないか秀華。名誉顧問として鼻が高いぞ」
二人揃って、人があまりいないところで息を抜いている。
「あまり油断しすぎないでくださいよ所長。麗華も、結構人いる療養施設みたいですし」
麗奈がそうたしなめるけど、そんなにだろうか?
星辰奏者とレヴィアタンの二重強化を受けている俺の感覚でも、この辺りは人があまりいない雰囲気がするけどね。
特に殺気とか気配も感じないんだけど。
ただ、麗奈は周囲を確認しながら軽く肩をすくめた。
「多分要人の療養もしている関係ね。練習も兼ねてレーダーやってみたけど、電子機器まで使った防諜・警備体制は厳重みたいよ。……簡単に見つけられたのは粗が多いのか囮なのか牽制の為なのかは分からないけど」
便利すぎるね、麗奈の星辰光。
操縦性が高いから精密制御ができるので、多芸になるってことなんだろう。
「ちなみに、英雄派の星辰奏者相手にしたのってどういう絡繰りだったのさ」
そういえば流していたけど、あれって結構凄いことだよね。
あの凄腕の星辰奏者、絶大な星辰光を相手によくもまぁ。
ただ、麗奈は麗奈で肩をすくめている。
「裏技みたいなものよ。星辰奏者は基本的に発動体である
そういうことか。
最上位レベルの星辰奏者は、上位レベルの神器と感応して自動的に星辰奏者になる。だけど大半の星辰奏者はそこまでではなく、発動体との感応が必須。
これは外付けの臓器レベルでそれぞれに合わせて調律する必要がある。精密機器を使ったり、微弱な感応を利用して調律する職人芸といった形でだ。
つまり、感応する媒体や感応する当人の調子を多く乱すことができれば……その調子は大きく乱される。
「ま、どっちも神器が発動体になるタイプだったから嫌がらせ止まりだったけどね。……ぬいぐるみ使いの方は、骨格としてアダマンタイトを採用していたみたいだから楽だったわ」
肩をすくめていう麗奈だけど、大概やばいな。
理論上できることと実際にやることは、大抵の場合別問題だけどね。
絶対口で言うほど簡単じゃない。いくら性能的に可能とは言え、それができるようになるのは簡単では断じてない。
それが分かっているからだろうね。美子ちゃんもリーナちゃんも、目を見開いて思わず拍手をしているよ。
「お姉様、マジ凄いです!」
「流石麗奈お姉様ー!」
あ、麗奈が照れたのか視線を逸らした。
「こ、これぐらいなら兄さんでもできると思うし……あれ?」
と、急に麗奈が首を傾げた。
その視線の方向を見ると、そこにはリアス嬢とイッセー君がいた。
「あれ、イッセー君達に……サイラオーグさん?」
秀華所長が首を傾げるけど、確かに一緒にいるのはサイラオーグ殿だ。
え、どういう組み合わせ?
《樹下誠二》
「信子さん。やっぱりまだ後にした方がいいんじゃないか?」
もの凄く顔面蒼白になっている信子さんに、俺は一応確認を取る。
凄い顔色が悪いし、涼しくなってきているにも関わらず汗がだらだらと流れている。完璧に不調だ。
とりあえず頬の汗をぬぐいながら確認するが、信子さんは首を横に振った。
「駄目。このタイミングを逃すと、何年後になるか分からないから……っ」
そういう信子さんは、もの凄く震えている指でインターフォンを押す。
そして十秒ほど経つが、泡を吹いて倒れるんじゃないかってぐらい動揺しているんだが。
俺は俺で動揺しているが、隣でここまで動揺している者がいると冷静さを取り戻せてしまうな。
「……青蘭。念の為後ろに倒れた時支えられる位置をキープしてくれ。俺は前を担当する」
「承知した、ご主人様」
力強く答えてくれる青蘭には感謝するが、TPOがまずい。
「当分ご主人様は呼称で使うな」
「じゃあ誠二様で」
それはそれであれかもしれないが、まぁ説明の過程で俺がレヴィアタン化していることも込みで伝えるから誤魔化せるかもしれない。魔王の血族万歳。
そんなことを言っている間に、インターフォンから声がかかって信子さんが伝え終った様だ。
そしてもの凄くドタバタした音と共にドアが開かれ、俺は信子さんの右前辺りに立つ。
「「信子っ!?」」
「来てたの、お姉ちゃん……っ」
……その心配していたのがよく分かる言葉に、信子さんが泣きそうになっているのが何となく分かる。
その上で、俺は機先を制してあえて言葉を放つ。
「お久しぶりです、松森さん。……樹下誠二です、覚えておられますか?」
信子さんのフォローは必須だろうと付いて来てみて正解だった。
あと、意外なことに青蘭もこっちに住んでいたことがあるので連れてきたのもありだろう。
素早くフォローをしており、信子さんの肩に手を置いて信子さんを落ち着かせてくれている。
ありがとう。後はご主人様発言をうっかりしないでくれれば合格だから頑張ってくれ。
どうやら松森一家も俺のことを覚えてくれている人が大半だったらしい。驚いているけれど、思い出してくれているようだ。
「君は……誠二君!? 昔あそこにあったアパートに住んでた……っ」
思い出してくれて助かった。
そしてちらりと視線を向けるが、そこには比較的新しいマンションが建っていた。
流石にぼろかったからな、あのアパート。
ちょっと寂しさを覚えながら、俺は笑顔と共に向き直る。
信子さんが、改めて一歩を踏み出す為の力になろう。
「かなり長いお話になります。……お時間、いただけますか?」
さて、一段進めるか……っ
《空本麗夜》
中々にヘビーな事情を聴かされたね。
「
リアス嬢達がここに来ていた事情を聴いたけれど、中々にヘビーな話だ。
ミスラ・バアル。ヴァプラ家の生まれで、現バアル当主の正室……つまりはサイラオーグ殿のお母さんだ。
サイラオーグ殿の事情は知っている。バアル本家に生まれながら魔力すらひとかけらもなく、一族からは欠陥品として扱われている。
それでもへこたれずに己を鍛え上げ、戦闘能力においてはバアル家でも上澄みの域に到達しているが、サリアローズ殿との継承者争いに負けてかなり大打撃を受けている。
そして、ミスラ様は悪魔がたまに患う不治の病に侵されている。
通称、眠りの病。発症すると眠りが長くなり、やがて植物状態のように眠り続けてしまうという病だ。
今回、サイラオーグ殿の執事さんが、独断で藁にも縋る思いでイッセー君を呼んだらしい。
……乳語翻訳を使えば、もしかしたら何かが起きるかもしれない、と。
別の意味でヘビーだ。闘戦勝仏殿が八坂姫の洗脳を解く為に乳語翻訳を利用したことから発想したんだろうけどね。
「……これ、レーティングゲーム前とかだったら番外戦術になるんじゃない?」
麗奈がちょっと思考停止気味になってる。
まぁ乳語翻訳とか、一般的な日本人水準ならトンチンカン状態だよね。冷静に考えると頭が悪すぎる。
それが大活躍だからなぁ。読心術スルーするし、洗脳も解くのに使えるし。
ただまぁ、割と精神的にインパクト上がりそうな気もするけどね。タイミング次第では凄い精神攻撃に使えるというか。
ただ、サイラオーグ殿はからからと笑う。
「そんなことには使わんし、そんな気の使い方はよしてもらいたいな。もしゲームで一戦交えるというのなら、まごうことなく全力をもってぶつかってほしいぐらいだ」
おお、凄いこと言っているな。
「そう。例えば兵藤一誠の女を裸にする技や、さっきの乳語翻訳も存分に使ってくれ。その上で乗り越えてこそ勝利する意味があるというモノだ」
「い、いいんですか……?」
さらりと麗奈が戦慄しているけど同意見。
あれ、女性メンバーがいるチーム相手だと圧倒的に有利になるんだけど。実際、レーティングゲームでは公式使用が禁止されるはずだし。
「貴殿らにもお願いしよう、レヴィアタンにルシファーの末裔よ。挑むというのならば勝つ気で行くが、勝敗に関わらず全力の貴女方と戦いたい」
麗華や秀華所長にも、堂々と胸を張って告げる。
うん。カッコいい人だな、この人。
必ずしも良い事とは限らないだろう。不器用な生き方と言われるとそれまでだろう。
ただ、こういうのをかっこいいということは間違いないだろう。
「オッケー! ま、レーティングゲームはあんまりしない方針だけど……遠慮も容赦もなしで行くよ」
「いずれは、私もゲームに参加してみたいのでな。ぜひとも貴殿のようなものと戦いたいところだ」
所長も麗華もノリノリでいいね。
それを微笑ましく見ていてくれているリアス嬢だけど、ふと何かに気づいたのか首を傾げていた。
「そういえば、誠二はいないの? こういうのって、秀華の補佐なら誠二が動くイメージがあるけれど」
「そういやいないですね……なんでだ?」
首を傾げるのも当然だろうね。
誠二は年季においてもスキルにおいても、波柴秀華という女傑を補佐するのに長けている人物だ。
事務所での立ち位置も所長補佐であり、誠二はある意味で事務所のナンバー2。側近的立ち位置なので普通はついていく。
ただ、今回はちょっとね。
「今はちょっと里帰り中って奴。信子が、家族のタイミングもあってるから実家に顔を出すみたいで、サポートで付いて行っているんだよ」
所長が苦笑しながらそう答えるけど、リアス嬢の顔が真顔になった。
「その、大丈夫?」
「ま、ダメでも一度はやっておいた方がいいからね。一度はやっておかないと、誰も踏ん切り憑かないでしょ」
苦笑いで言うけれど、所長も色々大変だろうね。
少しは家族関係問題も解決させないとね!!