シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
ここ数日、どうも体調が悪いですが、朝はだいぶ楽なんですよねー。その分夜にクるという形でして。
まぁピークは過ぎたっぽいのでぼちぼちと行きます!
《樹下誠二》
とにもかくにも、空気が重い中頑張ったぞ俺は。
何せ信子さんは四年間行方不明。追加で言うと反グレの情婦兼戦力。そこから人間をやめて国家機関を経由して国際機関のメンバー。人生が二転三転しすぎている。
動揺もしているだろう。だが、話をすることができてよかった。
とにもかくにも苦労しながら、何とか話を少しずつ進めていくことができた。
「……と、このように娘さんの罪状に関しては極秘裏の対応で執行猶予がついています。また保護責任者として悪魔の王族がついているので、よほどのことがなければその点で問題は起きないでしょう」
そして頼りになる我が従僕、楽青蘭に心から感謝している。
人情面ではこちらがフォローしつつ、論理的な部分は青蘭がフォロー。更に部外者よりの青蘭をあえて置くことで、親御さんに心理的なセーフティを設置することにも成功。
そしてなにより!
「さて、補足説明は任せたぞ誠二様!」
目をキラキラさせて俺に話を振る青蘭の、指摘を許さない問答無用のインパクトは非常に大きい。機先を制するのにもってこいだ!
その分俺のメンタルとかおじさん達からの評価が下がりそうだが、所詮この身は汚れた体だ。覚悟はできている!
「……言葉を選んで言うが、君も本当に大変な人生を送っているんだね」
「……まぁ、世界的に見てもかなり低い部類の人生送ってますね、四年ほど」
そして同情の視線を向けてくれるだけ良い人だよ本当に!
あ、涙出てきた。
「修学旅行、結局純度100%では楽しめなかったなぁ……」
「これ、使って?」
おばさんありがとう。ハンカチ助かります。
「いや楽しかったけど、楽しかったけど! 同時進行で親友の不可抗力大量痴漢発生と自分探し系国際テロ組織とのガチバトルとか、どう考えても……っ」
「大丈夫。大学でも楽しいイベントはあるから……あるから……っ」
信子さんが俺をそっと抱き寄せてくれるけど、信子さんが言うと説得力がちょっと足りない気がする。
でもまぁ、大学にもイベントはあるよな。うん、あるよな。
「その通りだ誠二様! 大学は大学で楽しいことがいっぱいだぞ! それに社員総出で高校生組は大学はきちんと出ろとなっているだろう!!」
青蘭もフォローありがとう。
うん、確かにそうだな。
「頑張る。そして、所員の学歴平均値を上げて見せる……っ!」
「「「「……その、大丈夫?」」」」
松森家の人達がもの凄く困惑している……いや、心配している!
「大丈夫! 下手な大学生よりよっぽどデスクワークの出来る専務補佐もいるから! 学歴は学力の保証をするだけで、それ以上のポテンシャルを持っている中卒もいるって知ったもの!!」
「信子さんそれ墓穴!?」
あの専務補佐は本当に頼れるけど!
頼れるけど最終学歴中卒ってのは限度があるぞ!? 後それだと一応大学行っている信子さんにダメージが!?
《木場祐斗》
学園祭の準備をしつつ、更に冥界で行われる大捕り物の準備もする。
忙しいけれどたいしたことではない。そもそも、学園のイベントとこういったことが重なるのはここ最近だと多いからね。
球技大会の直後にコカビエルが動き、公開授業と続ける形で駒王会談。体育祭の直前レベルでディオドラが動き、修学旅行では同時進行で英雄派と戦った。
いい加減少し慣れているよ。事前に話が通って準備も進んでいる以上、マシと言ってもいい。
まぁ、色々と言いたいことはあるけどね。
「……妙なところで気を使ってますね」
「ええ。こちらにも似たような手配がされてました」
ソーナ生徒会長と共にため息をつくけれど、まぁ助かりはするね。
名義はサリアローズ・バアル一派で、傀儡の四大魔王も署名している。で、それはからの小切手だ。
「学園祭に必要だという言い分の物資調達にかかる費用は全部持つとのことです。こちらが忙しくなる分、予算についての考えを省略させようという考えなのでしょう」
「何に使うかを考えないでまず限度額いっぱいまで引き出そうとしたり、どさくさに紛れて別件の予算もそれで獲得しようって人はいますからね」
そういう申請を見極めてハネるのも仕事の内。
それだけでも省略させることで、せめてもの気遣いをするといったところだろう。
「そこまでしてでも僕達を関与させたいのですか、彼女達は?」
僕はそこが気になっている。
バアル次期当主の立場に成っている彼女なら、その気になれば相当の人員を投入できるだろう。大王派重鎮としても、魔王派の僕達を態々関与させることに抵抗はあるはずだ。
にも関わらず、サリアローズ・バアルは僕達に協力を要請し、その対価までこうして払っている。
若干気になるね。政治的な立ち回りならもっといい手上がるような気もするんだけど。
「……魔王派だけでなく大公も巻き込んだ立ち回る。一つ大きなメリットはあるでしょう」
と、会長はおっしゃる。
「魔王派や大公側にまで参加者がいる腐敗の廃絶。大王派だけでやるとどうしても両者から苦情は来るでしょう。また、被害者も大王派からだけ出てくることになります」
確かにそうだ。
自分達だけで動けば、その責任や代償も自分達だけで集まることになる。
会長はそれを告げて、そしてため息をついた。
「それを抑える方が得だと考えたのでしょう。地位や名誉を独占することを欲する、大人の方の大王派では取れない手段と言えます」
「実利重視ということですか、厄介ですね」
地位や名誉は大事にしているだろうけれど、それに囚われて実利を放棄しない。
ある意味で現実的な視点だ。中々にやりづらい対抗馬がおられるようで、部長と会長には心から同情する。
これは、本当に厄介だよ。
そして同じような苦労を秀華さんもするわけだ。
僕達もそうだけれど、樹下君も苦労しそうだね……。
《樹下誠二》
ふぅ……故郷の近くにあるスーパー銭湯……いい……っ
「一仕事終えた後の風呂、最高! さ、二人は呑んで呑んで、酔い潰れても俺がタクシー拾うから!!」
俺は真っ先にパフェを頼んでから、二人にも息抜きを誘う。
とりあえず、信子さんの問題はひと段落ついただろう。
少なくとも、家族との関係はある程度修復できた。とっかかりができただけでもいいだろう。
それに他にも、興味深い話も聞けたからな。
「ご命令とあらば喜んで。……まぁ、明日からも忙しいだろうし、今日ぐらいは呑んだ方がいいか」
「ごめんなさい、専務。その、色々と大変なことになりそうで」
若干苦笑している青蘭に、信子さんがすまなそうにしている。
俺達が信子さんの家族に会いに行ったのは、一つは信子さんとの関係改善だ。
そしてもう一つの問題。それが信子さんの神器関係だ。
アザゼル先生でもよく分からないほどに、信子さんの神器は目覚めない。イッセーとは異なり暴走する可能性すらない。それも、ただ目覚めないのではなく膜のようなものが張っている感じで抑え込まれているらしい。
その原因を探るべく、念の為に心当たりがないかどうかを確認するのも一環だ。まぁ望み薄だと思ったが、ところがどっこいそれが違った。
というか調べてみたところ、信子さんの実家にはそこかしこに異能の痕跡があった。
一つ一つは小さなおまじないのようなもので直接探らないと分からないが、それらが的確に重なり合っており一種の結界として機能している。
ある程度の情報は先生達にも送っているが、ロスヴァイセ先生が芸術的と評するレベルだった。なんというかピタゴラスイッチとか計算された落ち物パズルのように、重なり合った加護をもって幽霊や呪いといったものから家に住む者を守るようになっているらしい。
反面、そこまで手間をかける必要性も薄い。これだけのことができる術者なら、もっと簡単で強力な術を用意できるからだ。
今回のようなことをする理由としては、異能者によるものだと感づかれないようにする用心深さの類と先生は見ている。で、その家については信子さんのお祖母ちゃん筋……曾祖父母が色々頑張っていたらしいと来ている。
ちなみに小笠原長官にも調べてもらった結果、その曾祖父母の戸籍は裏ルートで購入した類の可能性がでかいとも出ている。世界大戦敗戦後の混迷期を利用した物ではないかとのことだ。
つまり、信子さんのお祖母さんから上にガチの異能者がいるのではないか……という疑いがある。というかほぼ確実だろう。
問題はどこの異能関係であるかであり、それが分かれば膜の正体も分かるのではないかという感じになるだろう。明日から青蘭にはその辺りもやってもらうことになる。
「……お祖母ちゃん、そういえばオカルトとかに造詣が深かったわね。そのくせ、日本系の呪術関連には触れさせないようにしてたわ。信心深いからこその危険視だと思ってたけど……」
信子さんが言い淀むのも仕方がないだろう。
「ガチの、それも有力者だとするなら遺伝で凄い結果を出すことを警戒したのかもしれない。だがもっと悪いのが―」
「―元を辿ると大手寄りで、それも脱走したケースだな。戸籍の偽造なんてしている以上、そちらの可能性が大きいだろう」
俺も青蘭もそう結論付けるほかない。
なにせ現在探っている途中の段階で、戸籍偽造の疑いが濃厚だからな。
こと、日本の異能最大手たる五大宗家の老害は、大王派のそれに匹敵するレベルだ。戦後のどさくさを狙って脱走する奴がいてもおかしくない。
更に神器を意図的に封印した物である以上、その辺りも絡んでいるだろう。朱乃さんを始末しようとした連中もいる以上、神器保有者が一族から出てきたら過剰な排斥を考えてもおかしくない。
ま、その辺りはこれから調べるべきことだ。
俺は熱燗を手に取ると、信子さんにお酌する。
「ま、それはこれから頑張ればいいさ。信子さんはおろかおじさん達も知らされてないみたいだし、問題にはされないだろうしな」
道義的にはまぁ問題ないだろう。不条理なことをする連中がいるなら、大義名分はこっちにあるから容赦なく張り倒せばいい。ありがとう、魔王血族という超絶大手の血筋。秀華を後で拝んでおこう。
だから、俺が言うことは一つだ。
「今度秀華に、信子さんに休暇が出せないか相談する。流石に簡単に駒王町から何度も出せないだろうけど、おじさん達を招待して食べて帰るぐらいは問題ないさ」
本当に、それは嬉しいことだ。
流花さんは絶縁されているし、俺のように天涯孤独になっている者もいるのが家の事務所だ。特別顧問の麗華さんも、両親が離婚してそれぞれ再婚しているから話しづらいだろうしな。
だからこそ、関係が改善されそうなのは良いことだ。
「とはいえ大丈夫か、ご主人様。間違ってないとはいえ、貴方と信子の関係は悟られているようだが」
「……どちらかというと問題は、お前のそれが明確にインパクトを与えている点だがな」
とりあえず、小笠原長官がフォローしてくれていたようなのである程度は理解してくれるだろう。
最悪タコ殴りにされる覚悟はしている。そこまで踏まえてのが責任だ。
だから、信子さんが何か言う前にこれは言っておこう。
「大丈夫だ信子さん。俺はそうなってでも信子さんのことを愛せると断言できる」
「………その、よろしくお願いします……」
めっちゃ顔が赤くなっている信子さんが可愛い。
……ま、問題が他にあるとすればだ。
俺はおじさんとおばさんから、信子さんに知られないようにとこっそり渡された封筒をこっそり確認する。
その中にあるのは、ある人物の詳細情報。
既に小笠原長官が調べているとはいえ、直接二人から渡されると重く感じるその内容は、シンプル。
今彼は、日本の警備会社で広報課に努めている。主な仕事は広報用映像の制作関連であり、まだ入社二年目だが、割と評価されている。
既にある程度は乗り越えているのか、社内恋愛をしているとのことだ。なんでも中学時代の同級生で、高卒で入社している人だとか。
……これもタイミングを見て伝えないといけないんだが、中々大変だけど頑張るか。
信子あたりの設定についてはだいぶ完成していますが、異能面の明かすタイミングがなかなかつかめず今まであまり活躍させられませんでした。
本章でいっきに化けるのでお楽しみに!!