シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
日々の睡眠はポテンシャルの源ですので、しっかり寝ておきたいです。
では本編!
《兵藤一誠》
ふぅ……疲れたー……。
「お疲れイッセー。ここの入浴料とこの牛乳代は俺が持つから堪能しとけ。フルーツ牛乳派だったな」
「ありがとな、樹下。おかげでちょっと時間が取れたよ」
レイヴェル歓迎会の後、悪魔稼業までの間に樹下に誘われてスーパー銭湯に来てた。
ちなみにこのスーパー銭湯、スポンサーがハーブの育成や販売もしていることから、薬草風呂が人気らしい。今日は精神的な疲労回復が見込める配合だとか。
樹下なりの気遣いだな、マジ助かるぜ。
ま、樹下は樹下で堪能して、今はハーブティーを堪能しているけど。
ただ、こういうところだからこそ聞けることを聞いた方がいいのかもな。
「樹下。まさかと思うけどレイヴェルって……」
「ほぼ確実にお前にホの字だ。実家も最終的に嫁入りを目論んでいることは間違いないだろう」
マジか、いつの間にそんなことに……。
なんだこれ。俺がハーレム王になる日も近いというかほぼなってるよなコレ。
おかしい。今年の春までまったくもてなかったのに、このモテ期はなんだよ、俺死ぬのか……死んでたな。
「そっか。俺って、もうハーレム王になろうとしていたのか」
「気づくの遅すぎないか? とはいえなり切るには手綱を握ることが重要な気もするけどな」
樹下、呆れてくんな。
思わずジト目を向けるけど、その上で樹下はため息をついてきた。
「それに、ハーレム王を真面目に目指すのならある意味でケジメはいるだろ? ……まずはリアス部長相手だな」
リアス部長と?
なんかよく分からんけど、何が問題なんだ?
よく分かんないでいると、樹下はハーブティーを一口飲んでから俺を見る。
「お前の立場上、ハーレムを作るにしても本妻はリアス部長だ。というか、そうでないと色々とややこしいことになる」
……た、確かに。
俺はリアス・グレモリー眷属の兵藤一誠だ。それなのに主の部長を側室的な感じにすると、ややこしいことになりそうだなおい。
やっべえ。確かに樹下の言う通りだ。
で、でもどうすればいいんだ?
「ぶ、部長に対してどう接すればいいのかって感じか?」
「まずはそこだな。まぁ、覚悟というか心構えをきちんと変えさえすればやりようはあるだろうが……今の発言が大きな問題になると思っとけ」
え、今のが?
さっぱりわかんないでいるけど、樹下はそのまま指を突き付けて念押ししてくる。
「俺の私見だが、彼女は割と乙女で恋愛に夢を見るタイプだ。自分がそういう女でお前を彼氏にしたいと思っている時、どう思うかについて思いをはせろ。……相手の立場に成って考えるのは対人関係におけるある種の気遣いだぞ?」
……。
ちょっとまだよく分かんないけど、真面目に考えたことを言っているんだってのは分かる。
なら、俺もしっかり考えないと……な。
《樹下誠二》
「とまあ、そんなこともあったわけなんだが、麗奈さんやアルトリーネさんはどう思う?」
「ちょっと危険ね。親しきに仲にも礼儀ありで、そういうのに過度に甘えるとまずい……私達みたいにね」
学園祭に備えて秀華や美子のツッコミ関連を詰めるついでに、俺はイッセーとの話をして相談してみた。
こういう時、キチンと相談することが重要だ。相手の意見を聞いて有用な物や理があることをきちんと取り入れて修正する。これによりよい結果に導けるからな。
麗奈さんはその辺りを考慮して考えているが、しかし苦笑はしている。
「案外、仲が良いからこそきちんと向き合う機会は必要だしね。……私がそれであまりにやらかしてるわけだし」
それは確かに。
結果として高校除籍で少年院に叩き込まれたわけだしな。かなりやらかしている。
それはある意味で、幼馴染同士で仲が良いからこそ礼儀が欠けていたところもある。お互いに意識して向き合っていれば、避けることができた可能性はあるだろう。
まぁ、そこに波柴矢城が絡んできた所為で盛大に爆発した形にはなるんだが。
死んだと思ったら人造惑星で復活してきたし、迷惑極まりない奴だ。
それを麗奈さんも思い出したのか、微妙な顔になっている。
「……第三ラウンドはちょっとイヤね」
「流石に復活させる必要性ないだろうし、大丈夫では?」
結構あっさり返り討ちにできたしな。
戦力として運用する分において、そこまで考えて更に復活させる意義が薄いだろう。正面戦力以外の視点があるのなら話は変わるが、そこまでしてまで用意するほどの優秀さがあるとも思えないし。
所詮波柴のちょっと聡いモブだ。よりずば抜けた要素があるならともかく、そうでないなら態々復活させる意義がない。
ま、そこは置いといてだ。
「イッセーはどうもその辺りの認識が曖昧だからな。かといって手取り足取りで誘導するのもちょっと違うし」
「イッセーって公私の区別があまりないものね。多分リアス嬢のことを部長呼びすることに問題を感じてないでしょうし」
その辺りが微妙にネックだからな。
公私の区別をあまり付けないのはイッセーの微妙なところだ。その辺りが鷹揚な人に囲まれているから気づかれ難いが、普通は国家元首クラスに公式会談で舐めた口を利くと大問題だ。
その辺りはドラゴンってことなんだろうし、それが却って良い方向に回る時もある。だがそれが悪い方向に傾くことだってたくさんあるわけだ。
相思相愛の相手に、プライベートですら部長と敬称のように言われることに、気にしてしまう奴は多いだろう。リアス部長はその辺り、どうも年相応の乙女っぽいし。
かといってピンポイントに指摘して修正させるのもあれだからな。俺達外野が手取り足取りで誘導していい所でもない。
「ま、こっちでも気にかけておくわ。暴発しない限りはそれまでにしておきつつ、それとなく誘導ができるようにしておく……ってのがぎりぎりでしょうね」
「ま、そうなりますか。……となると、秀華や美子にも話しておいた方がいいと」
俺一人だとカバーに限界もあるしな。メインは同じクラスの俺としても、部活においては二人にも協力してもらわないとな。
そう思って言えると、麗奈さんも小さく苦笑してこっちの方を励ますように叩いてきた。
「ま、今後は私も
「え?」
突拍子もないことを言われて困惑するが、麗奈さんは苦笑いをしていた。
「兄さんから言われたんだけど、「最近物騒なことを考えて、桃山警護事務所に用心棒的な形で駒王学園の警護を依頼することを提案している」ってさ。結界張ってるにしても限度はあるだろうってことで、保険の戦力を用意したいみたいね」
なるほどな。それは考えたな。
桃山警護事務所メンバーは、事実上の波柴秀華眷属。だが殆どのメンバーが事務所の所員として活動しているから、学園内に入るのにはひと手間掛かる。
だがその手法を組み込めば、ある程度は楽に顔出しできるわけだ。本当にことになった時の対応も簡単になるだろう。
「中等部は中等部で色々あるみたいだしね。なんか日本側の大物が動いているし、元七十二柱の子がトラブルメーカーらしいし」
「中等部は中等部で色々あるからなぁ。……生徒会長には気を付けてくれ、桃山警護事務所は微妙に目をつけられている」
五大宗家のやらかし案件で、あおりを喰らった大手がいるからな。第三勢力化している祓魔省には思うところを持っている奴らが多いんだよ、あっち。
そこまで話しながら、俺はふと気が付いた。
そういえばアルトリーネさん、さっきから何も言ってこないな。
麗奈さんも気になったのか俺と視線が合い、そして二人揃ってアルトリーネさんを見る。
「……え、ぁ……」
顔真っ赤のアルトリーネさんとか珍しいのが見れたな。
そういえば、アルトリーネさんはイッセーに対して好感度高かったしな。
「悪いアルトリーネさん。アルトリーネさんに振る話でもなかったな」
「……え!? あ、別のいいのよ、ただそのね?」
俺の謝罪に我に返ったアルトリーネさんは、訂正しつつちょっと視線を逸らした。
「私もその、デートとか……申し込みたくなってね」
「「ああ~……」」
そういえばモーションあんまりかけてないんだよなぁ。
ま、その辺りも色々あるんだろうさ。
《空本麗夜》
「……ねぇ秀華。イッセーって少し酷いと思わない?」
「何々急に? どうかしたの?」
所長とリアス嬢のお茶会で、リアス嬢はそんなことを言ってきた。
俺は祐斗君と顔を見合わせるが、祐斗君も苦笑している。
こういうのは犬も食わないんだろうけれど、だからこそ人に聞かせたいってことなんだろう。
本人からすると真剣な悩みだろうし、年長者としてアドバイスできることがないか考えた方がいいかもしれないね。
「イッセーって、いまだに私のこと「部長」か「リアス部長」なのよ。それも……エッチをしている時だって……っ」
すいません。男が二人もいるところでうら若き乙女が言うことじゃないです。
まずこれを指摘するべきなんだろうけれど、秀華所長はちょっと同情心を見せていた。
「あ~、それは乙女心的にきついときあるよねぇ」
「私の処女をもらっておいて、なんでいまだに部長なのかしらね。……私は確かにオカルト研究部の部長だけれど、同時にリアス・グレモリーなのに」
乙女心的にはそこはとっても気になるんだろう。まぁ、恋愛している関係で過度に畏まられるのは、男の側でも気になる時はあるだろうし。
ただまぁ、俺もだいぶ彼には慣れているからね。
「僭越ながら、そこは壁を作ってるのではなく意識をしていないだけではないでしょうか?」
一応、その辺りは指摘しておくか。
イッセー君に対するフォローにもなるし、リアス嬢達からしてもそういうものだと理解するのは関係性に大きな要素があるだろうさ。
「彼は、良くも悪くも公私の区別が曖昧ですから。敬っているとか壁を作っている意識がないかもしれませんよ」
「あ~……それはあるね。その辺り深く気にしてないかも」
所長もそこは納得なのか、うんうん頷いてくれている。
ホントそこなんだよね。イッセー君、あまりそういうのに深く考えたりしないから。
もう彼の中では「リアス部長」で一人の少女が固定されているって考えるべきだろう。むしろ下手に意識させる方が困惑させるかもしれないね。
「……それはそうかもしれないけど……」
「まぁまぁ部長。イッセー君のそういうところは困りものですけど、きちんと理解さえすれば彼なり頑張れますよ」
祐斗君がフォローを入れているけれど、さてどうしたものか。
多分誠二も気づいているだろうけど、こういうのって色々とピーキーなところがあるからなぁ……。
イッセーの恋愛方面も、比較的マシなのが本作です!