※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 少しずつ執筆も回復してきているグレン×グレンでっす!

 こうして少しずつ執筆も再会しながら頑張っていきまっす!

 では本編!


第十五話 奇跡の子誘拐事件

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず場所を変えて、ビルから少し離れたところにある喫茶店に連れて行って話を聞くことにする。

 

 そして喫茶店に入った時、声が投げかけられた。

 

「あら、空本君? ……それに秀華さんも」

 

「マリヤさん?」

 

 喫茶店のテーブル席で、マリヤさんが紅茶を飲んでいた。

 

 そして招かれたのでそっちに座ると、マリヤさんはちらりと川野さんの方を見る。

 

「何か急な用事みたいね。いい機会なので終わった後に挨拶するつもりで来ましたが……とりあえず遮音結界を」

 

「お心遣い感謝します」

 

 いやもう、これってどうしたものか。

 

 いやまぁその辺りはとりあえず頷いて答えることにして、だ。

 

「改めまして、川野さん。……本日、本所の者に貴社の者が会いたいという話があり、私達はその付き添いのようなものです。……こちらは波柴矢城の一件に関わる形で貴方が本題と踏んでいたのですが、何も聞かされておられないのですか?」

 

「いえ、まったくもって。……その、もしかして異形の方なんですか?」

 

 今の返答で、なんとなく彼の立ち位置が読めてきた。

 

 異形の存在は知っている。だがその程度どまりの立ち位置。

 

 となると信子さんを名指しで呼んだのは別の人か。小笠原長官も教えてくれればいいものの。

 

「その辺からかぁ。あ、私は一応悪魔の貴族でもあります」

 

「秀華さん。その雑な説明は後が怖いです。……私と彼女は日本でいうなら皇族に近しい存在の血を引いています。そちらの彼は秀華さんの眷属で、後天的に皇族に近しい状態になっていると思ってください」

 

 所長が軽めで説明しようとしているけど、それを良しとせずにマリヤ様が補足説明をする。

 

 とはいえそれはそれでインパクトが多いだろうし、これは後に回しておこう。

 

「貴方のことは多少伺っています。純度百パーセントで矢城のクソの被害者ですね。……あいつ二度死んでいるんでまぁ深く考えずに忘れた方がいいです」

 

「二度!? 人って何度も死ねましたっけ!?」

 

 あ、振る話間違えたかも?

 

「……その、情報によると二度目は死体を材料にした兵器ですので……三度目四度目がありそうですよね?」

 

「あいつにそこまでの価値あるかな……? いや、波柴としても中の上程度だろうし、魔星にするにしたって……う~ん……?」

 

 そして所長とマリヤさんはややこしいことを考えないで?

 

「何がどうなっているんですか?」

 

「話すととても長くなるので一旦おいておきましょう。……とりあえず外道に人生振り回され続けてもあれですが、色々と因縁があるとだけ言っておきます」

 

 ややこしいのでそこだけ言っておこう。

 

 というかどうしたものか。

 

 と、とりあえず信子さんのことを分かってないみたいだからそこはぼかそう。

 

「実は別件でこちらで作戦活動をすることになっているのですが、その際貴社が微妙に関わっていたので話を通したところ、突然我が所の所員が呼び出しを食らいまして」

 

「プライベートに関わるので詳細ぼかしますけど、波柴矢城案件の被害者が呼ばれまして。てっきり貴方が関わっているとばかり思ったのですが……呼んだ人の心当たりあります?」

 

 もうちんぷんかんぷんなので聞いてしまおう。俺と所長は無言の連携で話を振ることにする。

 

 そして川野さんはその質問にハッとなっていた。

 

「……多分、恋人……ゴホンゴホン! 同僚の落野ですね。小学校高学年の時に転校してきた人で、中学含めて全部同じクラスだったので縁がありまして、今働いているのもその縁といいますか……その、……です……ね……」

 

 ちょっとほっとしたというか安堵したというか、でも後半がしどろもどろになっているなぁというか。

 

 信子さん的にはちょっと複雑かもしれないけれど、過去をある程度は乗り越えているようで何よりというべきではあるのだろう。

 

 ただ、そこからがややこしいことになっている気がする。

 

「……波柴矢城案件な女性と?」

 

 所長がそこを切り込むと、川野さんは観念したらしい。

 

「……波柴矢城の取り巻きに、柴本っていう人がいたんです。花美……落野花美の兄だったそうなんですよ」

 

 なるほど。間接的に矢城案件と。

 

「この国で姓が違うということは、離婚されてそれぞれが片親にという可能性が高いですが」

 

 俺がそう話を促すと、川野さんは頷いた。

 

「はい。僕も再会してから知ったんですが、元々二人の父親は女性を食い物にするのが趣味と実益を兼ねているところがあったみたいで。離婚の原因はそれを知った母親の親族の介入なんですが、彼は父親の方を慕ってそのままついていくことを選んだみたいです」

 

 ……もうこの時点で、救いようがない奴だったんだと分かる。

 

 落野花美がどういう人かは分からないが、彼女が小学校高学年で転校したことを考えればその辺りで離婚したんだろう。

 

 ある程度の年齢を考慮すれば、その年の段階から親族の介入を受けてなお父親を選んだ。もうその時点でろくでもない道を自分から選んだようなものだろう。

 

 いるよなぁ。こういう奴。

 

 矢城の取り巻きになるわけだよ。もうなるべくしてクソ野郎になった奴だ。

 

「……そして、大学の事件が発覚したことで間接的に事情を知って助けに来たと」

 

「はい。柴本はその逮捕のどさくさで死んだとは聞いているんですが、僕は情けないことに当時の彼女や長い付き合いの友人も被害者になっていたことを全く気づいていなくて……」

 

 つらそうに語るけれど、これは尚更事情を説明できない。

 

 間違いなくその付き合いのある友人は竹林凛音だ。今現在、変な性癖こじらせてテロリストなってますなんて言えるわけがない。

 

 一瞬のアイコンタクトで即座に相互理解した所長が頷いて、話を促すことにしたようだ。

 

「なるほどなるほど。もしかして、落野さんって人はその友達とも知り合いだったと?」

 

「僕が同じクラブだったことから間接的ですけど。……あの時の彼女は見てられなかったです」

 

 そう答える川野さんは、本当に見てられなかったのか目を伏せる。

 

「まるで自分が罪を犯したかのように、地面にこすりつけるように頭を下げて謝ってきた時は、むしろ慌てて止めたぐらいです。……何年間も会ってないとはいえ、血の繋がった兄の仕業だから分からなくはないんですが」

 

「……血の繋がりって、気にする人は本当に気にしますからね。なまじ意図して得られないからこそ、繋がりとみてしまうのは無理もないですけど」

 

 マリヤ様がそう同情しているけど、確かにね。

 

 血の繋がりを気にしない人はいるだろう。関係性や絆にそれらを関係させない人もいるし、そういったものもたくさんある。

 

 だが同時に、己の血筋を気にする人は多くいる。それは社会通念においても強いところがあるからね。

 

「だから何でしょうか。僕も僕でショックは大きかったんですけど、それ以上につらそうにしている彼女に手を差し伸べ、その縁で彼女が就職していたこの会社に入社してから助け合って……気づけば、結婚も考えています」

 

 そう照れくさそうに、それでいてつらそうに川野さんは言う。

 

「貴方方の所員が波柴矢城の被害者なら、だからこそ罪悪感を感じているのかもしれません。……それぐらい、彼女は兄のしたことを自分の罪のように感じているから」

 

 そう分析しながら、彼は視線を僅かに逸らす。

 

「だからこそ、結婚に二の足を踏んでいます。……僕達のこれは傷の舐めないから始まっていて、決して誰もが祝福してくれるわけではない繋がりでもありますから」

 

 そう語る川野さんの視線は、ここにはないどこかを見ているのだろう。

 

「信子も凛音も……どう思うかって僕も思ってしまいますからね」

 

 ……その言葉に、俺は反射でその手を取っていた。

 

「例えそうだとしても、貴方は落野さんを愛しているのでしょう?」

 

 反射で出てきた言葉だけど、嘘偽りなど一切ない。

 

「なら、業すら背負う覚悟をもって向き合うべきです。裏側を知ろうとしなかったことを、加害者の妹と愛し合うことを罪のように思っていても、それはきっと……貴方にとって大事な荷物です」

 

 どうしてそう思ったのか。そう言ってしまったのか。

 

 言うまでもない。俺は彼に自分を投影している。

 

 美子ちゃんと出会い、僅かながらにでも救われた。そして、だからこそまず罪を償うことを選んだ。

 

 ……その過程で、多くの者に麗奈の罪と麗華の傷が知られたとしても。それをもってして、二人との関係が断ち切られたとしても。

 

 その業を背負うことになっても、まず罪を償うべきだと思ったから。

 

「その痛みを支えてくれる人がいるなら大丈夫です。そして、貴方もその痛みを支えられる人になればいいだけです」

 

 今でもあの決意に後悔はない。痛みがあるだけで、それを背負う覚悟も消えていない。

 

 色々あってその辺りが肩透かしになっていることを踏まえても、これははっきり言っていい。

 

「貴方は落野さんと愛し合うことを、業と思ったうえで成せばいいんですよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぉ~う。なんか休憩で喫茶店入ったら凄いの見た」

 

 

 

 

 

 

 あれ?

 

 今結界張っているはず。というか聞き覚えのある声がする。

 

 咄嗟に振り返って、面食らったよ。

 

「おっすおっすお久しぶり&初めまして弟妹諸君。そして初めましてレヴィアタ~ン。戦闘しないしここのお代持つから、とりあえず隣座ってコーヒー飲んでいい?」

 

「綺羅、星雄……!?」

 

 何でここにこいつがいるんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に兄がご迷惑をおかけしました!! そのくせ永礼さんと結婚すら視野に入り始めている関係を結んでしまい、申し開きのしようもありません!!」

 

「と、とりあえず落ち着いて!? 状況がちょっと読めてないから落ち着いて!?」

 

 信子さんがとても困惑している。

 

 まぁ当然だろう。いきなり土下座で始まり、怨敵の妹が元彼と付き合っているなんて話が不意打ちできているし。誰でも困惑する、俺も困惑している。

 

 ちらりと重役とか長官とかを見ると、苦笑いしている。

 

 ある程度事情は知っているが、その上であえて黙ってたな。

 

 本当ならある程度の説明はした方がいいが、それをすると話し合いに持ち込めない可能性もあっただろう。

 

 結果的に、落野さんの暴走じみた謝罪もあってそういう方向にはなってないしな。

 

 ……秀華達、呼んだ方がいいだろうかコレ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ~。一仕事やっている最中に喫茶店で一息……いい……っ」

 

「それでいいのか聖職者」

 

 勤勉を尊ぶ聖職者が堂々とさぼるのはどうなんだろうか?

 

 まぁそれは置いておこう。

 

 綺羅星雄。ロザリオ聖教国に下った信徒の一人である星辰奏者。

 

 星騎士の一人である以上敵なんだけど、なんか俺に馴れ馴れしいんだよなぁ。

 

「それに美人さんが一緒にいるってのがいい! それも王族二人だなんて、世の男が見たら嫉妬で殺しに来るんじゃね? そっちの兄ちゃんもグッとこね?」

 

「いえ別に。彼女いますし」

 

 即答で返す川野さんも凄いな。

 

 いやそこはともかく。

 

「……それで、堂々とこの数の差でいるということは投降の申し出かしら? ならとてもありがたいし、悔い改めた信徒を許すとなれば賞賛もされてサリアローズ様の理になりそうだけど」

 

 マリヤ様がそう問い質すけど、綺羅星雄は両手を広げて首を横に振る。

 

「いや、これも作戦の一環でな。もっとも、そっちは狙いじゃねえ……つーかそっちにとっても敵だろうさ」

 

「……この地の悪魔がどっちにとっても敵になるってことでいいかな?」

 

 所長が問い質すと、綺羅星雄は頷いて一枚の写真を出す。

 

 そこに映っているのは、明らかに怪しい連中に抱きかかえられている小さい子供の姿だった。

 

 年齢は二歳になるかどうかってところだろうね。相当小さいけれど、どういうことだ?

 

「……俺達の同僚がロザリオに亡命する前、安全の為に孤児院に素性を偽って預けた()()()()だ。誘拐されたこの子を捜索して救助することが俺達の任務だな」

 

「「「は!?」」」

 

 思わず三人揃って大声を上げるけど、これはそれだけの事態だ。

 

「奇跡の子って、天使と人間の間にできるあの奇跡の子!? 堕天使として生まれてないってことは、天使も人間も性欲ではなく純粋な愛だけをもって行為をしないといけないから奇跡だっていうのに!?」

 

「……よく分かりますけど、その、ありがとうございます?」

 

 あ、俺の説明台詞の意図に川野さんが気づいちゃった。

 

 下手に説明したり話の腰を折るよりはましだと思ったけど、ちょっと恥ずかしい。

 

「そーそーその奇跡の子。めっちゃ奇跡っていうか難易度高いの。天使ってちょっと性欲持っただけで堕天使になっちゃうから、子作りする時に性欲無しでやるっていう超難易度なの。俺じゃあ絶対無理、ムリムリ」

 

 はっはっはと笑いながら綺羅星雄はそう補足説明をしつつ、俺の肩にそっと手を置いてくれた。

 

 そして所長も手を置いているし、マリヤ様もクッキーを一つそっと差し出してくれた。

 

 気遣いが、気遣いが染みるなぁ。

 

 ……じゃなくて!!

 

「割と本気でやばいじゃないかそれ!?」

 

「やばいんだよ。元を質すと人さらい系の異形組織だったんだが、巡り巡ってこの地の悪魔と取引したってところまでは掴んだんだよ」

 

 即座に俺にそう返すと、綺羅星雄はため息をついた。

 

「ま、間違いなく現政権が主導じゃねえのは分かってる。不正しているような連中が独自に暗躍する的なアレだと判断して、こうして探りを入れることをまず第一に動いてるってわけだ。……場合によってはプルガトリオ機関のチャーリー部隊が派手に動くらしいからヤバいんだがな」

 

 ため息をつくだけのことはあるよ。

 

 プルガトリオ機関。教会が保有する「教義的にグレーゾーンの者達」に対する受け皿として機能する暗部組織。

 

 俺もある程度は知っているけれど、チャーリー部隊はカバーストーリー担当であり、人間界で派手に動く必要がある時に、人間界側に対する言い訳として架空のテロ組織として活動して破壊工作を働くガチ目の暗部だ。

 

 一応表の人間に死傷者を出さないように気を使い、負傷者すら隊員で構成されるという念の入れようだけどね。

 

 あそこからも離反者が出てるのは知っていたけれど、面倒なことになっているよ。

 

「とにかくそういうわけでね。……こっちも日本国とロザリオでガチの戦争とか避けたいんで、独断で情報提供を求めたいんだよねぇ?」

 

 そう、困り顔で綺羅星雄が笑った次の瞬間だった。

 

「そうですか。では殺さないといけませんね」

 

 急にそんな声が投げかけられた。

 

 警戒心を燃やして臨戦態勢を取ったその瞬間、視界に移るのは銃を構えている店員。

 

 その瞬間、引き金が引き抜かれた。

 




 クソなれなれしい男、綺羅星雄再登場。そしてここから一気に事態が急変していきます。
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