シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
この調子で少しずつ進めていきたいぜー!!
《空本麗夜》
とりあえず本作戦の司令部までには辿り着けた。
流石に数千人とかそういう規模で隠し戦力がいたわけではないみたいで、おかげで何とかしのげた感じだ。
といっても勘弁してほしいけどね。いや本当に勘弁してほしい。
既に市内では十数か所で戦闘が発生しているようだ。色々と騒がしいことになっている。
「マリヤ、大丈夫!?」
「もちろん、リンカ」
マリヤ様と凛花さんが抱き合うけど、そっちに意識を割いている余裕もないのがまずい。
「……っと今は時間がないんだった。冥界側でも純潔十字連盟とアイアンローズが潜り込んでおり、既に乱戦になっているみたい。こっちにも確認されているわ」
「最悪だー……」
凛華さんの説明で、所長が思わず天を仰いだ。
いや勘弁してほしい。本当に勘弁してほしい。
え、この流れで乱戦かぁ。頭が痛くなる展開だよねこれ。
「作戦指揮班の援護するから、麗夜は現場担当よろしく! お互い気合入れていくよ!」
「承知しました所長! 即座に行ってきます!」
すぐさま承知し、俺は飛び出す。
日本はこういう所での対応が遅れている。
危機意識が欠如しているというか、「問題が起きた備え」より「問題を起こさない」という方向に行きやすい点があるんだろう。四年前の波柴一斉摘発案件で危機意識は高まっているけれど、それでもシェルターの数はまだまだ少ないのが実情だ。
小規模な戦闘に抑えなければ、被害が甚大化してしまう。
急いで何とかしないとね!!
《兵藤一誠》
「うぉおおおおおっ!!」
「ぐわぁああああっ!!」
地方都市での戦いは激しくなってるな。
というか、ドラゴンが暴れたり重力波が出たりと、サイラオーグさんの眷属も大概やばい!
後乱戦になってて、俺も一人とばっかり戦ってられないってのが大きいかも!?
「挟み撃つ!」
「もらった!」
「甘いって!」
俺は左右から切りかかる敵を、躱しながら殴り飛ばす。
乱戦ってのはこういう時に厳しいけど、やってやれないことはない!
「はぁあああっ!!」
「重い拳だ、だが躱せるんだよ!!」
そしてあのボクサー聖剣使い、サイラオーグさんと真っ向から渡り合ってやがる。
サイラオーグさんの当たれば終わるような拳を器用に躱しながら、カウンターを何度も叩き込んでいる。
だけどサイラオーグさんはそれを受けながらも、鋭い反撃で相手の肝を冷やしている。
あの戦いが一番レベルが違うだろ。
いや、その間に敵を吹っ飛ばして援護するだけだ。気合入れないとな!
『しかし、まさか相棒の乳技を無効化する女がいるとはな。例の極晃聖奏者とかいう連中の介入か……?』
ドライグが警戒しているけど、そこは結構大変だな。
まさか、俺の乳技が集団でどうにかしてくるとか。流石に驚いたぜ。
だけど、それなら真っ向からぶっ飛ばせばいいだけだ。そう簡単にはやられないぜ!
そしてその間に、サイラオーグさんとボクサー聖剣使いが一旦距離を取る……というかサイラオーグさんが弾き飛ばした形だ。
それに対してボクサーは銃を引き抜いて牽制しながら体勢を立て直そうとするけれど、サイラオーグさんは飛び上がりながら接近して回避。
そのまま拳を振りかぶり―
「隙ありよ!」
―その上に悪魔祓いの女が一人!?
「ぬぅっ!」
サイラオーグさんは振り返りざまに裏拳を放つけど、女は泳ぐように滑らかに躱すと、サイラオーグさんに組み付いた。
っそいてその足元に小さな光の足場が何枚も現れると―
「ぬるい!」
―そいつを足場に地面に飛び跳ね、サイラオーグさんが地面に叩きつけられる!?
「サイラオーグ様!?」
眷属の人が驚愕するけど、なんて流れるようなプロレス技なんだ!?
「……甘い!」
「おっと!」
サイラオーグさんはすぐに反撃して弾き飛ばすけど、相手の女は流れるように飛んで回避。
器用に二回転ぐらいして着地するんだけど、その間に光の銃で牽制まで入れやがった。
や、やばいのが更に出てきたぞ!?
「第七愛欲騎士団のメアリー・レッスルか? 元格闘家志望として、一度会ってみたかった」
「お互い様ね。双聖剣士隊の戦士アダムスさん? ま、話は後にした方がいいでしょう」
ボクサー聖剣使いはアダムスっていうのか。で、さっきサイラオーグさんを叩きつけたのはメアリーってわけね。
かなり強いな。あのサイラオーグさん相手に、格闘戦で一撃かませるってただ者じゃねえだろ。
このレベルが何人も来てるってなると、ロザリオ側も本気ってことか。やばいじゃねえか。
「……思った以上に手練れが多いようだ。それだけの価値がこの街にあるのか?」
サイラオーグさんが体の調子を確かめながら、そんなことをあいつらに聞く。
確かに、この街ってそこまで大きな観光名所もない地方都市だよな?
こんな精鋭を何人も送るだけの意義が、純潔十字連盟側にあるのか?
「……その反応だと、本命の目的は外れ……いや、そもそもそちらが知らない可能性が大きいからまだ分からねえな」
アダムスはそういうと、拳を握り直して構え直す。
「ま、どっちにしても俺達は作戦中に悪魔達が妨害しないよう戦闘を仕掛けるのが任務だしな。……覚悟しな」
「悪魔相手に容赦すると思われるのは心外よね。……来なさい」
これだけのレベルの連中がこんなところに出てくるなんて、よほどの事態だってことか?
この街にどれだけの事態があるんだよ、おい!!
《樹下誠二》
……やけにしぶとい敵だったな。
というより、回復力が異常だ。戦闘不能になってないとおかしい負傷を折った直後から即座に動ける立ち回りは異常だろう。
感覚的には神祖や使徒のそれに近いが、それにしては再生速度が遅すぎる。
そこまで考え、俺は仮説を立てる。
もしかすると、応用技術で大量に死に難い程度の連中を用意できるのだろうか。
それはそれとして、三人揃って同型の神器と思われる異能を振るい、似たような星辰光と思われる異能も振るっていた。
……嫌な予感がするというか、これは完璧に異常事態だろう。
「長官、ご無事ですか!?」
と、祓魔省の星辰奏者や神器保有者が何人も駆けつけてきた。
「ご苦労。非常時ですので、こちらの方々と協力して対応します。……社長さん。略式ですが、民間人の避難誘導や安全確保の協力を依頼します」
「……よろしいのですか? 内部にまだいる可能性がありますが」
「今のタイミングから逆算して、内部にいるのはあの三人からさほどかけ離れた数ではないでしょう。……事態の動きから見て、背に腹は代えられません。民間人の避難誘導と安全確保に徹する分には私が責任を負います」
素早く長官が対応し、そして俺の方を向いた。
「貴方方は秀華さんの指示に従ってください。……思った以上に玉突き事故になっているようです」
俺はその指示にすぐ頷く。
今の俺達の立場だと、長官も顎で使うわけにはいかないからな。ここにいる方が足を引っ張るだろう。
「承知しました。……落野さん、すいませんが信子さんとの話し合いはまた後程……っ!?」
そう振り返ったその瞬間、俺は背中に寒気を感じて咄嗟に魔剣を構える。
「おや気づかれた? 厄介だね」
「……誰だ!?」
社長が驚愕しているのは、明らかに私服で立っている男
そこには、二十歳前後と思われる男が一人。
そしてその両手には、汎用機関銃サイズの銃火器が握られている。
判断は一瞬、後ろに大量の魔剣を展開して流れ弾対策を取りながら、躊躇なく黒刃で蹴りこむ。
だが相手はそれを回避し、対応して魔剣を投擲するのと相手が銃口をこちらに向けるのはほぼ同時。
そして引き金が引かれる瞬間には俺の投擲した魔剣は相手の頬を切り裂いており―
「痛いじゃないか……まぁそれは無駄なんだけど!」
―その直後、結晶化して無傷へと戻ったことで確信した。
「この一件……やっぱり神祖がらみか!?」
その瞬間、大量の弾丸が俺に襲い掛かった。
……しょっぱなから神祖の存在を示していたにもかかわらず、本編で登場したのこれが最初だなぁとは思っております。
ある事情があり、メタ的な視点はもちろんストーリーの流れとして神祖の本格介入は後半戦になってからにする予定だったのです。ただ、あまり出さなさすぎるのもあれだし今回は毛色も違うので、ちょっと変化球で信組を出すことを決定した感じです。