シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
いやぁ、十回しか付けれないってのはちょっと面倒だったので、これでもうちょっと気兼ねなくつけれるしつけてもらえるのではと思ってテンションが上がってます!
さて本編!
《Other》
激戦は、更に激しくなる。
激化する戦いを乗り越えんとする者達は、しかしそれぞれが絡み合うがゆえに翻弄される。
だがそれでも、戦う覚悟を持って前に進み続けるしかないのだ。
四方八方から襲い掛かるアイアンローズのエージェント達を相手に、富士野アルトリーネは素早く対応していた。
本来の目的である不正貴族の捕縛を手伝いつつ、遊撃として近くで押されている者がいれば援護に向かう。これもその一つだ。
万象迎撃の星辰光を持つアルトリーネは、迎撃という動作さえ挟めればあらゆる異能や現象を攻撃力で無効化する余地を持つ。その圧倒的万能対応力こそ、彼女が面従腹背でアイアンローズのトップエージェントとなった要因の一つだ。
どんな現象も殴ることで壊す余地がある。これがあまりに強力な武器たりえるのは言うまでもない。
そしてそれだけの女でもない。アルトリーネは面従腹背であるがゆえに、強くなる為に己を鍛え上げてきた。その練度は同年代の上澄みであり、だからこそ簡単に倒れるような無様なさらさない。
そこに追加される人工神器。雲川麗華の提唱した、神器保有者に同型の神器を上乗せすることをコンセプトとした「増設型人工神器」により、本来宿していた神器の力を二つも持った彼女のは、その防御性能が大幅に向上している。
そこに、更なるとどめとなる上乗せが絡み合う。
「手柄が多いのは助かるわね。
「こいつ、転生悪魔にぃいいいいいいいっ!?」
流れるように地面に叩きつけられた男が、絶叫と共に気絶する。
そしてそれに呼応するように、アルトリーネの背中から悪魔の翼が生える。
波柴・秀華・レヴィアタン。彼女は己の星辰光で疑似的に悪魔を増やせる存在だ。
だがそれはそれで色々と厄ネタになりえる為、三大勢力を中心とする各勢力預かりとして桃山警護事務所が再編されると共に、悪魔の駒が渡されている。同時に特権として、星辰光による眷属には昇格資格が与えられた。
そう。アルトリーネは波柴・秀華・レヴィアタンの悪魔の駒としての眷属悪魔。正規社員としての一歩を既に踏み出している。
その猛撃をもって敵を薙ぎ払い続ける彼女と、それを襲うアイアンローズ達に銃撃が襲い掛かる。
それぞれが対応する中、現れるのは銃を構えた死に難き存在。
「何だこいつら!? 致命傷なのに動けるだと!?」
「あのけがで動けるわけが……ぐあぁっ!?」
臓器を打ち抜かれようと平然と反撃を試みる第三勢力に、アイアンローズは混乱し虚を突かれる。
それを隙とみなして囲いから抜け、アルトリーネは彼らを挟む形で立ち回る。
だが、そう簡単にいくほど世の中は甘くない。
「逃がすと思うかぁ!!」
「流石に少しは気づくわね」
振るわれる獣人の打撃を、アルトリーネは裁いて距離を取る。
そこから更に襲い掛かる魔力攻撃を魔力で迎撃しつつ、アルトリーネは舌打ちした。
「転生悪魔?」
「その通り! アイアンローズと共に未来を切り開くものだ!!」
即答してくる男の攻撃を回避しつつ、アルトリーネは内心で歯噛みする。
おそらくはぐれ悪魔だろう。アイアンローズは主の扱いに耐えかねた類のはぐれ悪魔を保護しており、神器の摘出なども行っていた。
アイアンローズは現魔王政権と手を取り合い、大王派すら敵として妥当する前提の戦略思想だった。その皮算用を本気にしていたため、相当数のはぐれ悪魔を保護し、その旨も伝えていた。
だからこそ、裏切られた気になるのは仕方ないだろうが―
「流石に逆恨みよね」
―アイアンローズの妄言を鵜呑みにして怒られても、納得などできないだろう。
もう少しアイアンローズに分別があれば、まだ話は変わっていたかもしれない。
だがそれをうのみにして勝手に裏切られた気になっても、なるのは分からないでもないが面倒であるというほかないのだから。
乱戦において、匙元士郎は大きく動いていた。
ソーナ・シトリー眷属において最強戦力と化した匙だが、本領発揮は簡単ではない。
神の子を見張る者が持っていたすべてのヴリトラ系神器を移植した匙は、ヴリトラの魂すら目覚めさせて力を振るうことができる。だが、明確に荷が重いと言っていいレベルの上乗せゆえに、暴走のリスクが付きまとう。
なしでも頑張ればある程度はできる。そのうえで、それを適切についた者の意見で開発された専用装備もある。
「神器を一から再現するのではなく、神器を宿した者の力を拡張させることに特化する」というコンセプトで作られた「拡張型人工神器」により、匙元士郎はより安定した力を振るうことができる。
潜在的には龍王クラスに近づいているだろう。
……裏を返すと、龍王クラスでも手古摺るような敵が相手では苦戦を強いられるということである。
そして悲しいことに、匙元士郎はまだ悪魔として日が浅い。経験値が足りないからこそ、その辺りの正確な判断が困難だった。
乱戦でマッチメイクが切り替わる戦いにおいて、匙はあまりに目立ちすぎたのだ。
「貴殿がヴリトラを復活させたものか。……ならば、私クラスが出なければならないだろうな!!」
「な、なんだあいつ!?」
匙が驚愕する中、目の前の騎士は大量に聖なる光で構成される獣達を作り出しての面制圧を仕掛けてくる。
駿馬、獅子、猟犬、大鷲、更には海豚に鼠の群れ。圧倒的な数の暴力が襲い掛かる。
匙もまた、遠慮なく反撃はしている。
ラインで奪い、黒炎で焼き、結界で防ぎつつ魔法力を奪う。その猛攻で敵の猛攻を迎撃する。
だが敵の数も多い乱戦であり、更に聖なる光の獣達を従えた騎士が襲い掛かる……が。
「……アーメン! 聞き分けの悪い信徒達には天使がお仕置きしちゃうわよ!!」
舞い降りたイリナが素早く迎撃する。
「紫藤さん! こいつらもしかして、第七愛欲騎士団か?」
「そうよ! 問題は、大物が来ちゃってるところね!!」
互いをカバーしながら戦いつつ、イリナは匙に警告を発する。
「第七愛欲騎士団の団長、
団長。その名に警戒心は跳ね上がる。
そして、団長が出てきているというのが大きい。
「団長に続けぇええええ!」
「第七愛欲騎士団の意地を見せろぉ!!」
第七愛欲騎士団の者達が士気を上げていき、その攻撃の密度は大きく上昇していく。
激戦は更に続く。
激しい猛攻の中、コガネ・レイクメイデンは適切に斬撃を叩き込んでいた。
暗殺を主要とする断罪の聖女としての経験は、しかし戦闘においても長けている。
暗殺は基本的に、戦闘という形に持ち込ませず殺せるのが理想だ。しかしそれが必ずできるほど甘くはない。
暗殺は入念な準備を行ったうえで行うことだが、それが必ずしも成功するとは限らない。しかし一度暗殺が失敗すれば、それこそ大きな混乱を生みかねない手合いが対象だからこその断罪の聖女である。
必然として、コガネの戦闘能力は正真正銘上位側に位置する。単身で護衛がいる船に侵入し、場合によっては皆殺しすら選択肢となりえる人生は、彼女を下手な上級悪魔を一蹴する戦士にも育て上げた。ディオドラ・アスタロト眷属でも指折りの実力者へと彼女を導いた。
その力量は、桃山警護事務所の正規社員―波柴・秀華・レヴィアタンの駒を用いた眷属―となってもまた優秀。まごうことなくコガネ・レイクメイデンは卓越した実力者である。
必然、行動も迅速かつ的確。
正面戦闘はある程度避けて一歩離れた視点で立ち回り、味方の窮地や避難民への被害を察知して素早く援護。絶霧を再現する星辰光でカバーしつつ、神器
だが同時に、その状況が一向に良くならないと悟っていた。
「……事実上の四つ巴による乱戦。いえ、五つ巴と言っても過言ではないのがまずいですね」
本部による情報収集もあり、現在、この街で戦う者達は五つの勢力に分かれる。
日本政府と連携を取っている自分達。これは問題ない。
アイアンローズ。純潔十字連盟。この二つも、民間人への被害は好き好んで出さないようにする立ち回りが多いので、比較的まし。
不正悪魔達。彼らは厄介だが、入念な準備が功を奏している為、捕縛及び討伐は十分可能となるだろう。
問題は最後。トキコ・アガレス及び彼女と共に活動している者達。
どうやら何かしらの神器の恩恵を受けているらしい。総人数は数百人で、この街に住まう様々な立場の者たちが突如として動いている。更に、その中でも分類分けがされている。
一つはただ神器の力を振るっている者。これは訓練も未熟な民兵止まりであり、火力は厄介だがそこまでではない。
二つ目は、多少の戦闘訓練を積んでいるだろう者達。彼らは星辰光のような光の刃を用いる異能を追加で持ち、更に臓器破裂や脳挫傷レベルの致命傷では当たり前のように戦闘を続行してくる。戦闘訓練を受けている者でも、この死にづらさは警戒必須だろう。
そして最大の懸念点は三つ目と四つ目。今誠二達と戦っている高野創氏という神祖、そしてその使徒達。
誠二から聞いている通りの驚異的な不死を持ち、他にパターンの完全上位互換といえる戦闘能力を振るっている。
乱戦故の膠着状態もあるが、そろそろ援護に向かった方がいいかもしれない。
そう思い、誠二達の居場所から遠く離れた河川敷に着地したその瞬間、川の水がまるで太いケーブルのように、混ざり合う三つの水流として立ち上る。
「……そろそろ民間人も避難が進んでいるが、タイミングが悪い!」
「転生悪魔……っ!?」
ドンピシャでアイアンローズと激突したことを悟り、コガネは舌打ちする。
これは確実に強敵。しかも、アイアンローズの性格からいってこちらを見逃すとも思えない。
「ちょうどいい、アイアンローズの手を振り切った腐敗した悪魔共……まずは貴様らからだ!!」
「サーゼクス様達を腐敗貴族呼ばわりとは、これだからアイアンローズは……」
一瞬だけ天を仰ぎたくなるが、そうも言ってられないので意識を切り替える。
ここからが、厄介な戦いになるのだろう。
サイラオーグ・バアルは激しい戦いを繰り広げながら、内心で歯噛みしていた。
サイラオーグは間違いなく強者だ。その自負がある。
いうなれば主力だ。必然的に、多くの敵を薙ぎ払うことが求められる。
だが最悪なことに、今サイラオーグは苦戦を強いられていた。
「あなたが一対一で手古摺るなんてね。そこまでとは」
「助かった。サイラオーグ・バアル、思った以上に強者だ」
二対一の形になり、サイラオーグは攻め手を失う。
更に攻撃を回避する為に飛び上がるが、それがよくなかった。
「……隙だらけね。そこは私の土俵よ」
そんな女性の声が聞こえた瞬間、サイラオーグは捕まれる。
次の瞬間、サイラオーグは自分が地面に叩きつけられていることを自覚した。
面倒なのが二人。それも、どちらも体術に長けておりこちらの土俵で苦戦を強いられている。
男の方はボクシング。アウトレンジの避けて当てるタイプで、こちらの攻撃が一発のかすらない。さらに聖剣使いであり、攻撃の起点となる。
女の方はレスリング。それもプロレスの流れを汲んでおり、寄りにもよって空中戦で仮にも悪魔の自分をほぼ翻弄し、空に逃がすことなく地面へと叩きつけてくる。
この二人を同時に相手取っていることで、サイラオーグは苦戦を強いられていた。
どちらも体術、それも技量によって自分に牙を打ち立ててくる。卓越した武芸者であることの証明だ。
しかし、そこでサイラオーグに負けるという選択肢などありえない。
「いいだろう。貴様達の目的は知らんが、冥界を荒らすというのなら容赦する理由もない」
呼吸を整え、闘気を改めて纏う。
拳を握り締め、戦闘態勢を取っている二人を睨みつける。
「死ぬ覚悟はしてもらう……冥界の脅威は排除する!!」
今回はちょっとした箸休めともいえる感じでしたね。
いろんなところで戦いは続いてるぜーって感じです!