シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
そろそろ自炊の可能性も大きくなってきているので、少しずつ痩せる方向でいきたい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
それはそれとして本編!
《木場祐斗》
なんだ、あれは!?
突如として現れた、あの巨人。明らかに強大すぎるオーラを秘めている。
乱戦状態の一角を吹き飛ばし、その巨体は腕をこちらに向ける。
次の瞬間、絶大なオーラの奔流が放たれる。
咄嗟に僕達は全員が回避するけれど、巻き込まれた者達が悲鳴を上げる。
更に狙いはそれぞれがずれているけれど、アイアンローズに流れ弾が来ないようにある程度の気を使っている撃ち方だった。
「あれは、試作兵器のマシーナリーゴッド? 技術試験用モデルとはいえ、誰が持ち出した……っと!」
アイアンローズのエージェントの一人がそう呟きながら、慌てて不意を打とうとした者達を薙ぎ払う。
アイアンローズの試験兵器? だが、魔王クラスのオーラを感じさせるだけのものを開発したというのか!?
だが問題はそこではない。
それだけの兵器を、このタイミングで投入する? 試験用とは言え?
戦略的な優位性があまり感じられない。大規模になっているが、地方都市での戦いだぞ? 大局的に見れば小競り合いであり、もっと大きな意味のある戦線で投入するべき兵器だろうに。
アイアンローズ側も困惑しているあたり、これはある種のイレギュラーと見るべきか。
ならば、僕達のやることは決まっている。
「なんなの、あの大きいのは―」
「―その隙は逃さないわ!」
動揺しているトキコ・アガレスに、リアス部長の消滅の魔力が突き刺さる。
周囲の敵を巻き添えにした大火力は、あの巨人によって誰もが動揺して動きがおろそかだからこそ打てる。予想外の味方の動きに同士討ちをするリスクがないからこその砲撃だ。
トキコ・アガレス達は明確に動揺している。この隙を付かない道理はない。
既に純潔十字連盟とこちら側は、互いに手出しを避ける動きを取っている。優先順位を分けて考えるだけの余裕があるからこそ、こうして戦う余地もある。
だがそれだけとも思えない。
あの巨人だけでも厄介だし、それ以外の敵がいないなんて考える方が油断だろう。
ここから先、どう事態が動くかが、懸念過ぎる……っ!!
《空本麗夜》
は、なにあれ?
なんか巨大人型ロボットが出現して、暴れ出してる。
ここ日本だよ!? 誰、あんなの堂々とぶちかます馬鹿は!?
「麗華でも控えてるのに何やらかしてんの!? そっちの仕業!?」
麗奈が鋭く問い質すけど、ロザリーはむしろ心外そうだった。
「そんなわけないでしょ!? そこまで馬鹿なのはそっちじゃないの!?」
そして勢いよく指さされるのは麗華だった。
ちなみに麗華は黙っているけど……あ、目をキラキラさせてる。
「巨大人型ロボット兵器~~~~~~……いかんいかん落ち着け私!」
我に返ってくれているところ悪いけれど、よだれが垂れてます。
もう麗華は本当に! いつもいつもロマンに振り回されすぎだよ。
避難がだいぶ進んでいるからって、なんであんなものを堂々とこんなところで出すんだか。
流石にアイアンローズは、人間社会側の影響を無視しないだろうから違うだろう。となると例の神祖か?
ただ、問題がそこじゃないことも痛感してしまった。
強く感じる、あのロボットよりやばい気配。ロキを思わせる絶大な質のオーラ。
『どうかしら? 私も手を貸しているから、驚いてくれると嬉しいのだけれどね』
そんな声が投げかけられ、その主を見る。
悠然と空に浮かぶは、少女にも思える存在。
だがその気配は、間違いなく神クラス。
『アイアンローズに手を貸している、原初の神のニュクスよ。そしてあれは、アイアンローズが試験中の星辰体運用兵器、マシーナリーゴッドの技術試験型』
さらりとそう名乗るニュクスだが、信じられない。
人間界、それも結界なんて張り切れてないこの状況下であんなデカブツ。下手をしなくてもネットに流れる。
流れたら流れたで対処の余地はあるけれど、それでも出さない方がいいのはすぐに分かるだろう。
何を考えている!?
「正気かアンタは。こんなところであんなものを……っ!」
思わずうめくけど、それをニュクスは耳ざとく聞きつけていたようだ。
『あら、これぐらいの玩具がないとちょっかいのかけがいもないでしょ? それなりの物は用意しないとねぇ』
玩具? ちょっかい?
信じられないような言葉が出てきたけど、麗奈はそこでため息を吐いていた。
「つまり、アンタがアイアンローズについているのはイデオロギーとかじゃなくて、遊び感覚ってことでいいのかしら? ……そんなだからオリュンポスは聖書の教えに信仰取られるのよ」
かなりキレッキレの罵倒だったけど、ニュクスは平然と笑顔だった。
『まぁ、ゼウスの浮気癖とか大概だものね。でもね、お嬢ちゃん。私達神クラスとなると、そのちょっかいをかけるのにも相応の相手がいるの』
その態度はそのまま。機嫌を悪くした様子もない。
むしろ楽しそうに、ニュクスは絶大なオーラを見せている。
これが神。ロキ神とも単独で渡り合えるだろう、圧倒的なオーラがあふれている。
というより、これはアイアンローズも被害者だね。
この流れ、状況次第じゃ表の世界から攻撃する材料にもできる。ハーデス神やアイアンローズは組む相手を間違えたのではないだろうか。
ただ問題は、間違いなく強大な敵だという事実。
あのデカブツとニュクス神。同時に相手取るのはさすがに厳しいってのに―
「……分担しましょう。どうせ、連携で戦えるわけでもないんだし」
―そう思った時、ロザリーが一歩を踏み出した。
「この女神はとりあえず私が相手をする。そっちは目立つデカブツを先に潰しなさい」
「正気か? 単独で勝てるほど甘くは無かろうに」
麗華がたしなめるように言うけれど、ロザリーは肩をすくめていた。
「味方に増援要請ぐらいはするわよ。会議する時間はないでしょう、行きなさい」
そういうが早いか、こちらの返答を待たずに即座にロザリーは突撃する。
ニュクスは楽しそうにそれを受け止めて迎え撃ち、ロザリーの攻撃を楽しむようにあえて押されていく。
……確かに言う通りだ。それに、さっきまで命を狙われていたんだし容赦する必要はないか。
「ま、連携する方が難しいし、言うとおりね」
「同感。今はまず、あのデカブツを何とかしないとね」
麗奈と頷き、意識を切り替える。
ニュクス神の存在は厄介だけれど、あまり時間をかけている余裕もない。
とにかく、まずは目立ちすぎるあのデカブツだ!
《兵藤一誠》
な、なんだありゃ!?
「この反応、三大勢力は絡んでいないのか。……となると、アイアンローズが最有力候補だな」
俺が唖然としてると、充二は俺の反応を見ながら考え込み気味になる。
ってことは純潔十字連盟の兵器でもないのか。人型ロボットとか用意してたし、一瞬こいつらかと思っちまった。
まさか不正貴族にあんな金のかかりそうなものが用意できるとも思えないし、たぶんアイアンローズであってるんだろうなぁ。
でも、それにしたってやりすぎじゃねえか?
「ふふふ。驚いてもらえて光栄だよ」
と、そんな声が強すぎるオーラと一緒に聞こえてくる。
俺達がそっちに視線を向けると、そこにはロキにもケンカ売れるようなオーラを持っている男がいた。
「初めまして。私はエレボス、原初の神だ」
まさかと思ったけどやっぱり神様かよ!?
俺が思わず拳を握ると、充二も警戒心を強くして剣を構える。
伊緒さんと真那月さんも戦闘態勢を取るけれど、明らかに気圧されている。
それだけの奴だってのは分かってるけど、流石に警戒心が湧いちまうぜ……っ
「アイアンローズの後援を表明した神の一角か!」
「その通り。だがあまりに動きが僅かで退屈でね。いい機会なので暇潰しをさせてくれ」
充二の剣を突きつけられたエレボスはそう言うけど、暇潰しでこんなことしてるってか!?
ふざけやがって。許せねえ!
「こっちは色々と大変だってのに、子供達まで怖がらせるような真似をしやがって……神だろうがぶっ飛ばすぞ!!」
「前代未聞の成長を遂げた赤龍帝か。ロキを一度は退けたこともあり興味深いが……君の相手は別に用意しているのでね」
そんなことを言いやがるが、エレボスは本当に俺に殺気を向けてない。
最大火力をぶち当てれば少しは効く自信があるんだけどな。本当に別の相手を用意してるってのか?
そう思ったとき、エレボスの隣に謎の人影が着地する。
赤い装甲に身を包んだ……というより、赤い装甲と一体化した、人型の存在だ。
奴が俺の相手ってことか。
「ああ、ちなみに」
そうエレボスが言った瞬間だった。
目の前に、奴がいた。
「彼は
その瞬間、俺は思いっきりぶっ飛ばされていた。
《樹下誠二》
誰だ、人間界の地方都市ど真ん中で、あんなデカブツを投入するなんて考えている阿呆は。
「いやぁ……なんか凄いことになってるね。これはどうしたものかな?」
「おいおい。半分ぐらい物見遊山で来たってのに、なんつーもん出てきてんだよ。大将辺りが喜びそうじゃねえか」
高野創氏とシュテルン・フランメが呆れている辺り、戦奏教団と禍の団は除外していいだろう。
そして塩谷が面食らっている以上、これも違う。
となると技術力も考慮して、消去法でアイアンローズ。しかしあいつらがそれをするか?
あいつらは人間界において多大な影響力を持ち、それをカードとして三大勢力や常任理事国を相手にやりあってきた。
それなのに兵器を表に知られる形で、解釈こそ変えているが九条そのものは廃止しているわけではない日本で運用する。趨勢が一気に変わり、表の社会で正しく第三次世界大戦が勃発しかねない。普通に考えれば悪手も悪手だ。人間側の国家による第三次世界大戦なんてものが起これば、こちらも堂々としかけることができるからだ。
そのレベルのバカは手綱を握らないとダメだろうに。どのバカがやりやがった……っ
いや、そんなことを言っている暇はない。
こっちはこっちで神祖が敵で、使徒も複数確認されている。必然、現実的な殺害を可能とする俺が動かないわけにはいかない。
そしてもう一つ。今回に限り純潔十字連盟とは一時休戦となっている。
となると、答えは一つ。
「吹本塩谷、多少の誤射は受け入れるから援護を頼む。
神祖だけは俺が出張らざるを得ない。そもそもその辺りを危険視したからこその俺の配備だ。
まずやるべきことはしっかりとやる。あのデカブツはそれまで仲間に任せるしかない。できればさっさと片付けてくれるとありがたいぐらいだがな。
「……仕方ねえな。海砂さん、そっちはいいのか?」
「問題ないわ。正直助かる、御崎さんは?」
「こっちも複雑だけど大丈夫。雑魚は足止めして見せるわ」
どうやら納得してくれているようで何より。
でだ。
「勝負に出てくれるってか? なら返り討ちでストレス発散ってなぁ!!」
シュテルン・フランメがこの状況下だと地味に厄介なんだがな。
ただ、その前に信子さんが聖剣を構えて割って入る。
「これ以上、お前みたいなやつの好きにはさせない……こいつは抑えるから、今のうちにお願い!!」
信子さんが気合十分だし、視界の隅では落野さんもやる気のようだ。
あと最後の懸念点は、アイアンローズの女だ。
「あれってまさか……? ま、それはともかく敵を潰すのがお仕事ね」
こっちはこっちで、この状況下でなおやりあう気概があるようだ。
が、斬撃が届いた。
咄嗟に下がるアイアンローズの目の前に舞い降りたのは、修道服を着た一人の女性。
「では、彼女の相手は私がしましょう」
って、確か助祭枢機卿のガラシア殿!?
「助祭枢機卿ガラシア……
「アイアンローズトップエージェントの夕月折鶴ですね? 手練れが必要な相手ですし、是非お手合わせしてもらいましょうか」
なんかとんでもない増援が来ているけど……待て。
この人確か、教皇猊下のおつきじゃなかったか?
……まさか!?
《アザゼル》
司令部での通信で、俺は面食らっていた。
「まさかあんたがいるとはな。……いや、なんで日本にいるんだよ。確か今は
呆れるほかないんだが、相手は映像越しに朗らかに笑っていた。
『いえ、ちょっと気分転換に遊覧飛行をしたのですが、気づいたらあんな所にいまして』
「ローマ教皇がうっかりで不法入国すんな!! つーか領空侵犯にも引っかからねえか!?」
フォースロウの奴、道を迷って別の国にまで移動してやがった。
正直戦慄を覚えているが、おかげである意味助かった。
色々とツッコミたいが、それは一旦置いとくとするか。
はっきり言って、今の情勢下においてこのおっさんの存在は力になりすぎる。
『……ゴホン。えー、この放送を聞いている全信徒の皆様。フォースロウです、教皇です』
と、のんきな口調で教皇は通信を仕掛ける。
『大体の事情は把握しております。様々な事情で袂を分かったとはいえ、同じ主を奉じ奇跡の子をいつくしむ者として、今この場だけでいいのです。私のお願いを聞いてください』
そう、穏やかな口調で奴は言い切った。
『今だけは諍いを忘れ、奇跡の子を救い誘拐した者達と立ちはだかる者達にのみ刃を振るってください。どうか……お願いします』
放送越しで奴は、丁寧に頭を下げた。
聖書の教えを信仰する者にとって、ローマ教皇は大物中の大物。
そんな奴が、丁寧に頭を下げてまでの願い。
その結果は単純だ。
ここからが、反撃の勝鬨ってやつさ。
本作が二年生の時期に全部終わらせる方向なので、減らせるときに減らしたい三年生編の敵キャラクター。
ちなみにニュクスとエレボスの行動はほぼほぼ独断です。これが原因ではーですたちからすると迷惑がやってくる形となります。
そしてその揺らいだ趨勢をひっくり返す、教皇猊下の無自覚不正入国……バチカンから正式に抗議分が来ないことを若干マジで祈ろうかな?