※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 今日からお弁当習慣を復活させるグレン×グレンでっす!

 とりあえず前日の内に作り置きして冷凍して頑張ります。まぁ毎日にはしないことで心にゆとりを作りつつ行きますけどね。

 では本編!!


第二十九話 蛇龍の意地

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況は動いている。おそらくそろそろ勝負所だ。

 

 なら俺がするべきことは何か。シンプルだ。

 

 俺でなければ倒せない、神祖の打倒。こればっかりは他の奴らじゃ荷が重すぎる。

 

 ゆえに、一切の遠慮はしない。

 

「聞きたいことは多いが、そんな余裕はないから殺す気でいく……っ!」

 

 神祖を打倒すれば、その神祖から不死を分けてもらっている使徒達は不死性や強化を失う。必然、高野創氏達戦奏教団は大きく弱体化する。

 

 そしてそれをできるとするなら、現実的に考えて俺しかいない。なのでこれはもう確定的な事実だ。

 

 問題は、使徒がごろごろいるというその一点。

 

 もとより神祖相手に長期戦をする愚は犯せない。だがそんな簡単に倒せるほど世の中甘くない。あっさり倒せるほど甘くはないだろう。

 

 だからこそ、だ。

 

「……俺が高野創氏()を倒すまで、しのげるか……皆」

 

 マジで厳しい。真剣に厳しい。そこがどうしても懸念点だ。

 

 不死特性によるごり押しに強化された星辰光。更に神器持ちの可能性が大。

 

 シュテルン・フランメはシュテルン・フランメで面倒な脅威だ。そこに有象無象も多数とくれば……危険度は高い。

 

 命がけの戦いをしている以上、平穏に生きるより早死にするリスクは大きい。分かったうえで桃山警護事務所のメンバーをやっているとはいえ、それでもな。

 

 だからこそ、出てしまった弱音に―

 

「「「こら」」」

 

 ―後頭部狙いの微弱な魔力弾が答えとして返ってきた。

 

 高野を警戒しながら振り返ると、信子さんも海砂さんも流花さんも、困りながらも笑顔だった。

 

「年下にそこまで心配されるのは……当然かもだけれど。全部を背負わせる気は私達の誰もないわよ」

 

 信子さんが肩をすくめれば、海砂さんと流花さんも同意見のようだ。

 

「こっちもちょっと因縁があるし、何とかしてみるわよ」

 

「肝心なところは誠二にしか無理なんだし、頑張って」

 

 ……ああ、そうだな。

 

 肩を貸すと決めている。どうしても無理なら、終わらせることも決めている。

 

 だけど、それは前を進める可能性と幸せになる権利があると思っているからだ。

 

 大丈夫。少なくとも、三人ともそう簡単には折れないぐらい……強い。

 

「腰を据えてしっかり片付ける。それまで……そっちは任せる!!」

 

「「「もちろん!」」」

 

 その返事に、俺は腹をくくって一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

《Other》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい感じに気合が入ってるわね。……ちょっと羨ましいかも」

 

 小さく、御崎海音は苦笑した。

 

 そんな彼女に視線を向けて、塩谷は苦笑いを浮かべてため息をつく。

 

「自分のダルいところは自覚できたみたいでよかったよ」

 

「あ~……結構ダサいことしてたからね。うん、その辺りは反省してる」

 

 そう笑い、そして海音は星と感応しつつ神器を具現化する。

 

「だから私は雑魚散らし。さ、行って」

 

「そうする。ま、お互いやれるだけやろうか」

 

 言葉はそこまでいらない。お互いに、もはやそういった関係でしかない。

 

 だがそのうえで、海音は自分なりのけじめをつける。

 

 目の前の彼らは、自分がなるかもしれなかったなれの果てだ。

 

 高野創氏のクラスメイトだった二人は、当然だが創氏の手練手管の対象ともいえた。

 

 海音は引っかかった。塩谷は染まることなく、高校を去ると共に告発を置き土産に残した。そして海音はある意味で自業自得の大打撃を受け、しかし主と出会うことができた。

 

 その果てがどうなるのかは分からない。だが、サリアローズ達の目指す大望は、世界を新たな地表に導くだろう。

 

 その一助となる。その栄誉を受けるに足りたいと、心から願う。

 

 ゆえに、海音は襲い掛かろうとする創氏の傀儡達を前に、あえて好戦的な笑顔をもって相対する。

 

「じゃぁ、ここから先が本番よ。……ロイヤルピースが一角―」

 

 その瞬間、背中から生える一対の白い龍の腕を合わせて、四丁の具現化された銃が構えられる。

 

 敵の数は圧倒的。だが、それは狼狽するような状況ではない。

 

 何故ならば、彼女はそれこそが真骨頂。

 

()()()()、アクス・ピースが兵士(ポーン)。御崎海音……参る」

 

 最大級の脅威に率いられる軍勢。その殲滅こそを本領とする女傑。それこそが今の御崎海音なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時に繰り広げられる戦いは、しかし創氏一派が優勢だった。

 

 そもそも根源的な問題として、殺されても死なないというのは間違いなく脅威だ。

 

 むろん、ただ死なないだけならサンドバッグだろう。だが向精神薬が体内で化合されることで恐怖心を鈍らせ痛覚が消えている存在が、更に強者ならばそれは異常なまでの脅威足りえる。

 

 そして何より、第三勢力といえるシュテルン・フランメ。この男は明確な脅威だった。

 

 不死こそないが、かつての戦いを超える性能を発揮して襲撃を敢行。その多角的攻撃力により、信子と花美を同時に相手取り、圧倒的に優勢だった。

 

「こんなもんかい? 人造惑星の敵じゃぁねえなぁ?」

 

 得意げにあざ笑うシュテルン・フランメに対し、内心で歯ぎしりすらしながら信子は戦闘を続けていく。

 

 高出力のプラズマ火球を、より多角的に、より高出力で、より大量に投射するというシンプルに進化した星辰光。更に打撃に付随させ、ブレードとして運用することもできる正統進化系の星。

 

 かつての素体、波柴の星とは何もかもが比べ物にならない。

 

 加え、骨格単位で増強されているのか動きも早い。亜音速の域に迫る高速走行は、こちらの狙いを定めさせていなかった。

 

 そんな中、戦いが成立しているのはひとえに二対一であること。そしてもう一つ、落野花美が強いことだった。

 

「よくもやってくれたわね、波柴矢城……っ!!」

 

 その瞬間、いくつものプラズマが青い雷撃によって薙ぎ払われる。

 

 それを纏う花美は、拳を握り締めてシュテルン・フランメに突貫。迎撃で振るわれる灼熱のブレードを真っ向から迎撃する。

 

 衝撃で互いに弾け飛ぶ中、弾き飛ばされた花美は、その身に鱗が混じっている。

 

 そのまま青い雷撃の投射で反撃する花美に、回避しつつのシュテルン・フランメは顎に手をやった。

 

蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)みてえなことになってんな。先祖返りって変わり方でもねえし、肉体を変性させる類の星辰光、か?」

 

「無駄に洞察力が高いわね……っ!!」

 

 舌打ちはもはや答えだ。

 

 花美が振るう星は、肉体編成能力・蒼雷龍型。肉体を蒼雷龍へと編成させることで、強大な力を振るう星辰光。

 

 それに対し、シュテルン・フランメは悪意を込めた嘲笑をもって答えることを決める。

 

 星辰奏者風情がご苦労様。褒美に圧倒的格上を見せてやる。

 

 そしてその悪意を悟り、花美は怒りに燃えて星の本領を開放する。

 

「創生せよ、天に描いた星辰を―――我らはきらめく流れ星!!」

 

 その起動詠唱(ランゲージ)と共に、花美は猛攻を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に見る影もない……もはや成れの果てね、旗本流花!!」

 

「犯罪組織に堕ちておいて言うかな!?」

 

 近距離での攻防を繰り広げながら、流花は敵主に反論する。

 

 人のことは断じて言えないが、しかしそのザマで偉そうに言われるのは流石に不本意。

 

 だが同時に、ある意味では正論だとも理解している。

 

 彼女が言っているのは武技の冴えなのだろう。

 

 自覚はしている。鏡夜にも指摘されていた。

 

 自分の武技は、見る影もなくさび付いている。今までそこから目を背けてきていた。

 

 かつては神童とすらもてはやされ、早いうちに免許皆伝もされるだろうとまで称された。当代の旗本流でも指折りであり、女子としてはおろか女としては最強と言われるほどの武技の冴えを持っているとされていた。

 

 だからこそ、一定の冴えを持つ者から見れば自分はもう成れの果てだ。それがよく分かる。

 

 敵と自分との戦いにおいて、技の冴えが勝敗を左右する最大の要素となれば、そこから目を逸らせるわけもない。

 

 体格。共に女としては背が高く、体重もほぼ同等。

 

 武装。共に星辰光によって作り上げており、自分が星との感応による虚像であり、相手は星辰体感応合金(アダマンタイト)を瞬時に再形成している。強度的にはほぼ同等であり、同時に複数用意することが可能な自分のほうが有利といえる。

 

 治癒能力。神器により複雑骨折すらすぐに回復できる自分に対し、相手は全身が破裂しても瞬時に再生する。ただし拘束に成功すればそこまで変わる状態でない以上勝算はある。

 

 身体性能。星辰奏者であり疑似的なレヴィアタンである自分の方が有利。魔力の存在も踏まえれば明確なアドバンテージだ。

 

 だからこそ、技量の差が大きく勝敗を左右してしまう。

 

 だからこそ、相手も怒りを向けているのだろう。

 

「当代においては勿論、歴代にいた女武芸者の誰もを超えると称された女が……不甲斐ないにもほどがある!!」

 

 激情の籠った蹴りをいなそうとするが、衝撃を殺しきれず空に打ち上げられる。

 

 受け身を取る余裕はあったが、鎖鎌が襲い掛かりその迎撃にリソースを取られる。

 

 捌いたうえで手裏剣で牽制しつつ着地して態勢を整えるが、それより先に槍が突き出された。

 

 咄嗟に脇差で捌き、素早くすり抜けるようにして鉞で薙ぎ払おうとするも、素早く鎖分銅に切り替えて衝撃を殺すように受け止められる。

 

 互いに一瞬だけ離れて、打刀によるつばぜり合いに移ったところを蹴りの応酬で競り合うが、こちらが先に一撃を受けて崩される。

 

 素早く複数の薙刀を作って迎撃するも、体重の乗った鍬によって、肉が削れた。

 

 旗本流は独自の研鑽を積んだ、十八の武芸の総称。そしてその中には、独自の積み重ねによって特徴的な武芸も存在する。

 

 合計十八。

 

 剣術

 

 抜刀術

 

 槍術

 

 薙刀術

 

 弓術

 

 砲術

 

 棒術

 

 鎖鎌術

 

 分銅鎖

 

 小具足

 

 手裏剣

 

 柔術

 

 馬術

 

 水術

 

 忍術

 

 ここまでは武芸十八般に組み込まれることも多く、残りの三つはそうないだろう物が存在する。

 

 林業で使われることが多く、一撃の重さなら相応の者である鉞を使うことを前提とした斧術。

 

 腕の骨折やほかの武芸との併用を想定して、蹴りや跳躍を重点とする脚術。

 

 更に近代軍事でもよくある、武器としての想定がされてないその場の者を利用した近接戦闘。農村での乱戦時や落ち武者狩りに回った農民を想定した農具術。

 

 これら合計十八の武術を、お互いに全力で運用しての戦闘。しかし先ほどから、攻撃を食らっているのは自分だけ。

 

 明確に、武芸者としての格で劣っている。その事実を突き付けられる。そして同時に、かつてなら勝てていたと、その確信が生まれていた。

 

 鏡夜や彼女が、旗本流を本質として戦っているのが大きい。だからこそ、かつて旗本流の免許皆伝すら見えるほど磨き上げていた己の技量との比較ができる。ゆえに、これまでになく痛感してしまう。

 

 自分の武技は見る影もなく衰えている。レヴィアタンへと変貌したことによる能力上昇で、それに気づかなかったのだと。

 

 それでも手練れだ。その上で、いまだ磨き上げ続けている者達との間に差が生まれている。

 

 それを痛感すると共に、敵が踏み込みをもってこちらに更なる傷を負わせていく。

 

「なんだこの無様な姿は……見る影もない武は!! 歴代最強の女にすらなれるだろう少女の成れの果てが、こんなものだと!?」

 

 攻撃には、明らかに私情が混ざっている。

 

 憤りがある。失望がある。それらが混ざり合い、殺意となって襲い掛かる。

 

「貴様如きに振り回されて、旗本流は落ちぶれたというのか……っ」

 

 ぐうの音も出ない。反論ができない。

 

 旗本流は今失墜している。そのきっかけは勿論、自分の堕落だ。

 

 そこに至る過程はどうあれ、当代女子最強が無謀なことをして、くだらないチンピラ共の情婦同然の存在へと成り下がった。結果として、本家嫡男である鏡夜まで失踪したのだ。

 

 例えるなら、関ケ原の合戦で本田忠勝が淀君にそそのかされて家康を後ろから襲うような裏切りをするレベルだろう。その後どうやって乗り切ろうが、派閥の趨勢がひっくり返るだけの醜聞といえる。

 

 だからこそ衰退した。当主は失意のあまり姿を消し、多くの者が去って行った。

 

 思うところはあるだろう。しかもその果てにこの無様とくれば、憤りを覚えてしまうのは当然だ。

 

 自分自身、つい最近まで気づきもしなかったのだから尚更だ。

 

 曲がりなりにも鍛えてはいた。だが、技の冴えが明確に欠けてしまっているのは否定の余地がない。

 

 だから、こそ。

 

「ここで……これ以上の無様はさらせない!!」

 

 故に踏み込む。拳を握る。

 

 あのどん底から今に至るまで、引き上げられて命じられて宣言されて歩めた道。

 

 そこに背を向けることだけは、流花は己に許しはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 振るわれる猛攻に対し、海砂は苦戦を強いられていた。

 

 そもそも海砂は、桃山警護事務所では弱い部類に入る。

 

 武芸者一族の出身で神童とも称された流花。極めて計算された悪意ある環境下を面従腹背で逆手に取った誠二。そんな悪辣の研鑽を生かした英才教育を受けてきた秀華。この三人のように、戦闘を前提とする教育を受けてきたわけではない。

 

 そういう意味では美子も比較的英才教育を受けてきた立場だろう。逆に麗夜のように、戦闘方面を急速に吸収するセンスを持っているのは例外だ。

 

 それもあり、桃山警護事務所の初期メンバーでは自分が武門で一番弱い。後発組はオカ研を含めたとしても、戦闘技術やセンスでは劣っている側だろう。

 

 だからこそ、星辰光を前提として面のカバーを担当する方向に回っている。幸か不幸か水泳部の経験やアイドルの練習で、基礎体力はさほど引き離されてなかったことも大きい。

 

 戦闘訓練だって怠けてはいなかった。少なくとも、体を壊さない程度にはハードに鍛えている自覚はある。

 

 結論として、海砂は自分が戦士に向いてないのだと痛感してしまう。

 

「どうしたん? 数ならそっちが有利やんか?」

 

 相対する使徒にそう言われるほどに、海砂は明確に追い込まれている。

 

 目の前の相手は、一応顔見知りになるだろう。

 

 波柴一族の一斉摘発でもろとも捕まった、大規模な枕営業を行っている腐敗した芸能事務所の一つ。そのアイドルグループのメンバーで、自分が直接顔を見た時には重役の情婦であることを誇りにすら思っているほど墜ちていた。

 

 あの時は、ああはなりたくないと思った。気づいたら、同じようになり果てていた。今は、なってしまったからこその同情や憐憫が浮かんでいく。

 

 そしてその果てが、神祖のいいように操られる戦力。その事実に、嘆きすら覚えてしまうのは自分の弱さか優しさか。

 

 否、戦闘が不利であることを考えれば甘さとしか言いようがない。

 

 相手の星辰光は分かりやすい。分身を創り出しての波状攻撃。

 

 数で言うならこちらの方が十分上。それで不利になっていることこそ、自分が劣っていることの証明だ。

 

 だが、その上で海砂は魔剣を構え迎撃の体勢を崩さない。

 

 歯を食いしばり、血を滲ませ、それでもここで倒れる道理はないのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 そう、猛攻と激戦が続く中、それでも三人の女は追い込まれても食い下がる。

 

 死にたいと、我に返ってから何度も思う。今のなんだかんだで楽しき日常に、後ろめたさを感じる時もある。

 

 だが、光に連れ出してくれた主に命じられた。幸せになることを。

 

 そして、愛する少年に宣言されたのだ。どうにもならない時に終わらせると。

 

 闇に染まり汚泥にまみれた心を光を示された。それでも拭えぬ恐れもまた、背負ったうえで引っ張り上げてくれた少年を想っている。

 

 だから、こそ―

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「……そう、まだだ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―海砂も、流花も、信子もだ

 

 こんなところで、終わりはしない。

 




 そろそろ後半戦ですね~。

 とりあえず、あと少しすれば戦闘は終わるところまで書き溜めは進みました。なのでまぁ、この章は大丈夫かと。

 では次回をお楽しみください!
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