※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

202 / 232
 はいどうもー! 最近書き溜めがどんどんたまっているグレン×グレンでっす!

 とりあえずライオンハート編は書き終えました! 次は間章としてサムライガール書きます! そろそろ四巻でるのも楽しみです!!

 では本編!


第三十一話 蛇龍眷属たちの覚醒

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんぬぅうううううううう~~~~~っ!!!」

 

「麗華お姉様その掛け声は色々と……おぉっとぉ!?」

 

 今、巨人を前に総力を挙げての戦闘が繰り広げられている。

 

 二十メートルを超える巨体を前に、麗華と美子ちゃんが神器を使っての組み付きを選択。

 

 ただ、二人の神器は十五メートル前後。二十メートルを超える相手だと大人と子供の体格差だ。嫌がらせとしては効果的だけどその程度ともいえる。

 

 だが四方八方から攻撃を敢行する俺達の援護としては有効だ。好き勝手に動きづらいだけで、狙いをつけさせる余裕をなくせるからだ。

 

 ただし、向こうもそれを逆手に取っている。

 

「待て待て待てこっち来るなぁあああああっっとぉ!?」

 

「叫んでないで軌道からそれて!!」

 

 悲鳴を上げてそのまま後退しようとする味方を拡張型人工神器で創造したアンカーガンで強引に横にそらす。と同時に反作用で近づいた俺自身は上体をそらす。

 

 直後、美子ちゃんの神滅具分ごつくなっている腕による薙ぎ払いが素通りした。

 

 図体のでかさを生かした強引な移動による引き潰し。それが敵の選択した解決策。

 

 そのまま適当に移動しているけれど、これは実にヤバイ。

 

「お姉様! あれやばくないですか!?」

 

「どこの誰が作ったのやら。……ふざけんじゃないわよ、化け物兵器じゃない……!」

 

 ちょっとパニックになり掛けているリーナちゃんに、麗奈も舌打ちが出てきている。

 

 間違いなくやばい化け物だ。このままだと、冗談抜きで押し切られる。

 

 気分は怪獣映画に出てくる防衛軍だ。こっちが一生懸命攻撃しているのに、びくともしない。

 

 出力だけならロキに近いだろう。こちらも相応の札がないと倒しきれない。

 

 問題は、この乱戦でその余裕があるかどうかで―

 

『……こちら司令部。全員拝聴せよ』

 

 ―その時、全員に対して通信が響いた。

 

『巨大兵器の進行方向上で戦闘している地点に、桃山警護事務所特務社員を集めろ。それ以外の人員は気取られないように牽制。……秀華・レヴィアタン様が動かれる』

 

 ……っ。

 

 所長が動く。まさか、そういうことか?

 

『はーい。所員達聞こえるかなー? 覚悟決めてくれるかなー?』

 

 そう、間延びしながらの所長の声が俺達に届く。

 

『腹くくってもらうよ。こっちも、なりふり構ってられないからね』

 

 ……ははっ。

 

 所長にここまで言わしめるとか、本当に厄介な事態だよ。

 

 だけど、所長の声には期待がにじんでいる。

 

『背中をしっかり押すよ。だから……持ってる子達は駆け抜けちゃって♪』

 

 ふふっ。そうまで言われたら、断る道理なんてありゃしない。

 

 気合を入れよう。そして、ここからが本番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《Other》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 川野永礼は、思わず走っていた。

 

 避難誘導は大体終わり、だからこそ抑えが効かなくなっていた。

 

 落野花美。愛する恋人。

 

 かつての彼女は、父親や兄と離れて暮らしており、それを理由に心無いクラスメイトと揉めることも多かった。

 

 自分は強く止めれない性分だったが、同時に気を使う気質もあったことがあり、相応に仲が良かったと思う。

 

 彼女は片親だったが親族との仲が良く、だからこそそれに対して引け目を感じていなかったと思っていた。

 

 そもそもそれ以前の問題だと知ったのは、何年もあとに再会してからだ。

 

 高校生の時に、仲の良かった女子である竹林凛音の紹介で出会った松森信子と恋人になり、共に大学に進学。

 

 ……そして二年後になる四年前、二人が失踪したのちに再会し、全力で謝罪を受けたのがさっきだ。

 

 同じサークルに所属していた先輩達が、女子達をかどわかし売春を行って大学内での地位を確立していたこと。そして信子と凛音も毒牙に掛かっていたと知ったこと。更に先輩の一人が花美の兄だと、色々なことを知った。

 

 悲しかったし、衝撃を受けた。今でも一切引きずってないなんて断じて言えない。

 

 だけど、それ以上に自分の罪のように悔やんでいる花美のことが心配になってしまった。

 

 その後の四年間で、彼女と結婚すら考えるほどの絆を結べたことは間違いなく良いことだ。この会社に勤めていることにも否はない。

 

 ただどうしても、傷の舐めあいとも言える関係に若干の後ろめたさはある。

 

 何より気にしているのが、それ以来どこにいるのかも分からない信子と凛音だ。

 

 自分が気づかないうちに、変わり果てたかのようになってしまったのだろう。いわゆる調教系の鬼畜ゲームで攻略が終わったかのようになってしまったのだろう。

 

 ただ、それを一切なかったことにできる性分ではなかった。

 

 そして、その上で花美のことを愛していると断言出来た。

 

 だからだろう。そこにいると悟り、明らかに激戦が起きているだろう場所に向かって走ってしまったのは。

 

 企業の性質上、護身術の心得はあるしそれなりに体力もつけさせられている。

 

 だが、永礼は星辰奏者の資質もない。花美を支える為に奏鋼調律師(ハーモナイザー)の資格を取ろうとこっそり練習しているが、異能も宿していないし心得もない。

 

 それでも心配になり、駆けてしまう。

 

 そして戦闘音が響き、蒼雷が放たれる戦場を見える位置にたどり着いて、視界に広がる物を見た。

 

「……え?」

 

 誰も自分に気づいていない。それは分かっている。

 

 ただそこにいたのは、花美と互いを庇い合いながら謎の鋼の怪人と向き合っていたのは―

 

「はぁ……はぁ……まだ……まだ……」

 

「……信子?」

 

 ―かつての恋人だった。

 

「なんだかんだでしぶといけどよぉ? 残念なことに格が違うんだよなぁ」

 

「……波柴先輩?」

 

 そして鋼の怪人からは聞き覚えのある声が響く。

 

 波柴矢城。自分が知らない間に信子を篭絡した男。

 

 状況がさっぱり分からない。困惑が増している。

 

 ただそんな中、矢城だった怪人は明らかに嘲りだとわかる声色で二人を見下している。

 

「女風情がぎゃぁぎゃぁしつこいんだよ。股にうまいの突っ込んでやりゃぁすぐいうことを聞く雌の分際でなぁ?」

 

「本っ当に屑ね。あいつと仲が良いだけあるわ……」

 

 徹底的に悪党としか言いようがない言い草の矢城らしく存在に、花美が毒づいた。

 

 そして信子もまた、呆れが混ざった表情を浮かべている。

 

「本家の次期当主は秀華所長……女でしょうに」

 

 秀華。つい先ほどあったメイド服を着た女の子だ。異能に関係している事務所の所長だと聞いている。

 

 そして信子の格好も執事のそれ。となると、呼び出された所員とは信子だったのだろうか。

 

 呼び出したのはおそらく花美だろう。きっと気を使ってあえて教えなかったのかもしれない。

 

 そんなことを思っていると、矢城らしい怪人は鼻で笑う。

 

「レヴィアタン様の先祖返りってのが理由らしいなぁ? 傀儡にすりゃいいのに嫡男無視して実権まで与えっから滅ぼされんだよ。ま、この俺を下っ端扱いしてくる奴らにゃ未来はなかったってことだろ」

 

 その言い草に、信子は心底から呆れた表情を浮かべている。

 

 そして戦闘中であるにも関わらず、思わず天を仰いでいた。

 

「ここまで……ちゃちな悪党とは思わなかったわ。こんなのに支配されてたことに死にたくなる……っ」

 

 その言葉に、矢城の肩がピクリと震える。

 

 ここにいる自分が寒気を感じるほどのそれは、間違いなく怒気と殺気だ。

 

 だが、信子は頭痛まで覚えているのか、意にも介さず額に手を当てた。

 

「本っ当に最悪。ここまで小さい悪党にいいようにされたというより、どうしたら四年間も捕まらなかったのかが分からなくなるぐらい」

 

「それが俺の凄さって思えねえのか、雌の分際で……!」

 

 涙までこぼしかけている信子の言い草に、矢城の怒りはさらに上がっていく。

 

「女風情がほざくなよ……っ! 大体今更、ご立派な人生送れるとでも思ってんのか、ああ?」

 

「まさか。ご立派な人生なんて送ってないわよ」

 

 殺意が籠った言い草に対する返答は、想定外だった。

 

 思わず矢城すらきょとんとする中、信子は肩をすくめる。

 

「私は今でも、悶えるほどの快楽を与えられないと生きてけないわ。というか所長の方針は基本的に、「乗りこなされるのではなく乗りこなす」だもの。一族が壊滅して落ちぶれたアンタの金稼ぎに犯された人数なんて、所長と一緒に楽しんだ人数がとっくの昔に追い越してるもの」

 

 今さらりと色々と聞きたいことが一気に増えた。

 

「そういう意味でも所長の足元にも及んでないって気づいたら? 知力胆力精力魅力の全てであの人はアンタのはるか上をいってる。相手が女であることだけを理由に自分のほうが優れているとでも思ってるのなら……恨む気もなくなるぐらい哀れになるんだけど」

 

「……え? いや、ちょっと待って? どういう生活送ってるの!?」

 

 花美が困惑しているほどの発言だった。

 

 矢城は矢城で唖然となっていたが、やがて気を取り直したらしい。

 

「なんだ! 結局ただの雌犬ってかぁ? だったら俺のところに戻っても別にいいんじゃねえの?」

 

「あるわけないでしょう。福利厚生社会保障各種権利の全てにおいて、今の生活の方が上だもの」

 

 侮辱をさらりと流し、信子はしかし若干苦笑いを浮かべている。

 

「まぁ、自分でも時々どうかと思うけれどね」

 

 自虐の表情は、乾いた笑みだけでなく遠い目も重なってある意味で虚ろだ。

 

「ひと月に数回は乱交パーティ開きたがるし、学園内でAV取って売りさばきたいけど目立つ所長が苦肉の策で、レーティングゲームのフィールドを応用した強請られてくる強権として作った疑似駒王学園での淫行映像に参加しているあたり、むしろその方向は明らかにやばいことになっているし。あと所員全体の学歴で私が上から二番目っていうのも時々不安になるし、それはそれとして戦力としては私は最底辺を今のところキープしているし、七歳も年下の男の子に本気で恋しているのも真面目に犯罪集がするし、そんな二人で当たり前のように別の乱交パーティに行ってどんな相手とのSEXがよかったかとか話せるのって明らかに何かが壊れてるしあの一族本当に滅びろっていうか誠二と所長がほぼ滅ぼしてたわね……あ、いろんな意味で死にたくなった」

 

 半日ぐらいかけて色々と話を聞くべきかと思うレベルの闇が噴き出ていた。

 

 隣で聞かされている花美に同情するというか、もはや白目をむきかけているのが見える。なんなら矢城も呆気にとられている。

 

「そもそもあの時点でお祖母ちゃんに何の顔向けもできないが最悪よね。ずっとずっと、お祖母ちゃんに死んでからも孝行したいと思って頑張ってたのに、それを忘れた挙句あの無様っぷり。草葉の陰で泣いてるでしょうし、今でも時々死んで詫びたくなる時があるわ」

 

 そんな風に、信子は更に悲し気に想いを漏らす。

 

 永礼は、信子の祖母についてはよく知らない。

 

 祖母が大好きで、しかしだいぶ前に亡くなっていることぐらいしか知らない。

 

 だけど本当に大好きだということは、少しだけ話になった時に伝わっていた。そんな祖母に顔向けできなくなっていることに、気づいた彼女が本当につらいのだと悟れるぐらいには知っている。

 

 ただ、ため息を一つ入れた信子は強い意志を見せた笑みを浮かべる。

 

「でも死んでやらないわ。もちろん、アンタ達みたいな奴らに殺されてもやらないし飼われてもやらない」

 

 若干の自虐はある。今でも後ろめたいところがあるのが分かる。

 

 だけど、信子は胸を張る。

 

「快楽を乗りこなせるように教えてもらいながら、私は所長に命じられたわ……幸せになることを、それを諦めないことを。それだけの価値があるのだと、リアス様達からも教えられた」

 

 そして同時に、そっと自分の胸に手を当てる。

 

「そしてどうしてもできない時、終わらせてくれるとあの子は言ってくれた」

 

 大切な思い出を、信子は自慢げに語る。

 

「あの小さな男の子が、お母さんを亡くしてから、アンタがかすむような悪意に翻弄されながらも、私を解き放ってくれたうえで言ってくれたの。嘘でも気休めでもなく、心の底から……私の幸せを願ってくれたうえで、その責任を果たすのだと……強く、立派で、愛しい()になって、私にそう言ってくれた。雌犬に成り下がった私を、背負ってくれた」

 

 若干の自虐と、それを圧倒するだけの愛おしさをもって、信子はそう宣言する。

 

 それが誰なのかは知らない。おそらく秀華という少女が運営する事務所の関係者なのだろうとしか、知る材料がない。

 

 ただ、少しの敗北感と多くの安堵が胸に生まれる。

 

 自分は信子の支えになり切れなかったけど、支えてくれる人がもういるのだ。

 

 少しだけ寂しく悲しいが、同時に、涙が出てくるほど心残りが解けた。

 

 そして、信子はその上で真っ直ぐに矢城を睨みつける。

 

「だからもう、アンタなんかに支配されてやらない。私はもう、お祖母ちゃんとの約束を忘れない」

 

 剣を握り、傷の痛みを乗り越え、戦闘態勢を取る。

 

「今更だろうと何だろうと、これ以上恥の上塗りなんてしない。手遅れだって分かってるけど、もうお祖母ちゃんに顔向けできない無様はさらさない。……所長の命令と、誠二の宣言と一緒に、私は約束をもう一度守り通す」

 

 そして一つ分かったことがある。

 

「それができないなら死んでいいし死んで見せる。もう二度と、お祖母ちゃんに顔向けできない人生なんて送らない!!」

 

 彼女はもう、大丈夫だ。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその時、光が満ち溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ!?

 

 禁手? いや、これは微妙に違う!

 

 信子さんを包みだす輝きは強い力を秘めたオーラだが、同時にとても安定している。

 

 まるで、厳重に包装していたものを穏やかにほどいていくかのようなオーラが、信子さんを温かく包み込んでいる。

 

(ほど)いて、いる?」

 

 俺は心で思ったその言葉を、思わず口に出していた。

 

 そうだ。信子さんは神器を持っている。だが、何かによって封じられているという話だった。

 

 その封印が、ほどかれているのか。

 

 力押しによる突破ではない。経年劣化による崩壊でもない。当然だが、外部から誰かが解除したわけでもない。

 

 その封印は、条件を満たすことで自動的にほどかれる仕組みになっていた。

 

「……え……?」

 

 信子さんが、自分の目の前に視線を向ける。

 

 そこにはうっすらと誰かが見えていた。

 

 老年の女性。その幻影がうっすらと見えている。

 

 信子さんにどことなく似ている。そんな女性の幻が、信子さんに微笑んだ。

 

―もう大丈夫だね。頑張りなさい、信子―

 

 そう、聞こえた気がした。

 

「……お祖母ちゃん……」

 

 そう、信子さんが涙を浮かべながら言う。

 

 あれが信子さんの祖母。櫛橋家の出と思われている女性。

 

 そして少しずつ信子さんから出てくる、()()()()()()を見てすべてを悟った。

 

 信子さんとおばあさんは、()()()()を持っていたのだろう。

 

 異形や異能を知り、五大宗家の暗さを知っていただろうおばあさんは、信子さんが神器に翻弄されることを恐れた。

 

 だから至ったのだ。信子さんが神器に振り回されない為の禁手に。

 

 そしてそれは、ただ神器を使えないようにするものではなかった。封印だけが目的ではなかった。

 

 見守っていたんだ。木場が至る時に使った因子に宿っていた、同志達のように。

 

 ずっと、封印の中でおばあさんの遺志は信子さんを、見守っていた。

 

 それが解き放たれた。その意味を俺は悟る。

 

 今は戦闘中だ。流石に隙だらけになるわけにはいかない。そういう躊躇が生まれるほどに、俺は成したいことができ―

 

「……ご主人様、ご命令を」

 

 ―隣に、秀華と一緒にいたはずの青蘭が着地する。

 

「ありがとう。二分抑えてくれ」

 

「喜んで」

 

 小さく感謝と命令を伝え、俺は一旦離れる。

 

 そして、何時の間にか秀華も着地していた。

 

 視線は一瞬合わせればいい。時間をあまりかけられない。

 

 俺はその遺志に、深くお辞儀をする。

 

「絶対の断言は不可能です。……ですが、あの宣言は命に懸けて断行します」

 

 俺が言うことはこれでいい。

 

 信子さんを引き上げることを選んだ。本人が、できるビジョンなど見えないのに引き上げることを選んだ。闇の深さと浸食が、どれだけ酷いかを身をもって知っている上で行った。

 

 だからこそ、あの宣言は絶対に曲げない。このおばあさんは宣言を知っているはずだから、それで十分だ。

 

 信子さんが邪悪に沈むことだけはない。例え誰の力を借りてでも、信子さんを俺の手で殺すことになったとしても。

 

 そして隣で、秀華もまた深く頭を下げる。

 

「娘さんは、私達が責任をもってお預かりします。……そして、一族の者が信子さんに成した悪逆非道、当主として心よりお詫び申し上げます」

 

 秀華もまた、強い責任をもってそれを宣言する。

 

 信子さんがこうなったことに対して、俺達にも責任があるといえる。

 

 波柴一族を一網打尽にすることを踏まえ、秀華はぎりぎりまで引き付ける形だった。俺という腹心を得たことでそれはかなりの割合でできたが、だからこそ何年もあえて泳がせる形になってしまった。一網打尽を狙わなければ、もっと早く動く余地はあったのだ。

 

 だからこそのケジメだ。誰に言われるまでもなく背負い成す為に生きるつもりの秀華も。彼女と共にあることを決めている俺も、けじめはしっかりとつける。

 

 そして、幻影は俺達を見て深くお辞儀をした。

 

―孫を……よろしくお願いします―

 

「「はい!」」

 

 その言葉に、俺達は力強く答える。

 

 そして涙をほろほろとこぼす信子さんは、その幻影に力強く頷いた。

 

「大丈夫。二人とも、本当に信頼できるから……私はまた、頑張れるから……だから―」

 

 そして微笑んで、涙を流しながらも力強く宣言する。

 

「―本当に、ありがとう」

 

 その言葉に満足げに微笑みながら、幻影は消える。

 

 そして、状況は大きく動く。

 

「所長ー! どうしますかー!!」

 

 美子の声が響き、巨大な人型兵器がこっちに接近する。

 

 組み付いている二回り小さい人型―美子の神滅具と麗華さんの準神滅具―がシュールだが、その脅威度はシュールでは済まない。

 

 だからこそ、秀華は銀の星を起動して姿を変えながら声を張り上げる。

 

「さあ、我が特務社員たち気合入れるよー!」

 

 秀華が通信でつなげてきたプランは、俺たち特務社員だからこそできる最終手段といえる。

 

 禁手。英雄派がメソッドを確立させた、神器の究極系。だからこそ、禁手の方向性とタイミングを意図的に用意できる点がある。

 

 だが同時に、確立させたとは言え日が浅すぎる。専門家であるアザゼル先生達は、手法として信頼を置いていない。

 

 だが、普通の到達方法は確実性が薄い。またある種の偶発性があるからこそ、その能力にはランダム性が生まれる。

 

 だからこそ、秀華が狙うのはハイブリット。

 

 秀華によって疑似的に秀華と同じレベルで光を極め覚醒する精神性を会得する銀の星。それを利用し、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 メソッドを利用した補佐を入れつつ、世界の均衡を崩す想いで至る。ぶっつけ本番で確実性も薄いが、俺達でしかできない、禁手の一斉到達。

 

「……そう来るか、そういうことか! ダルいな」

 

「何を言ってるんだ?」

 

 ため息を吐いた吹本塩谷に、高野創氏が怪訝な表情を浮かべる。

 

 我に返ってくる者達の中で、塩谷は苦笑いを浮かべていた。

 

「一時共闘しているだけの敵勢力が、ここから一斉に化けるんだぞ? ダルくならなきゃダメだろ、なぁ?」

 

 雨宮充二と縁があるんだろう。悟ったようだ。

 

 ならまぁ、せめてものお詫びに―

 

「手の内を悟る時間ぐらいはくれてやる」

 

 見せてやろうか、俺達を……桃山警護事務所の特務社員って奴を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう―」

 

 

 

 

 

 

 

 秀華が微笑と共に意志力を漲らせ、右手を掲げる。

 

 それを振り下ろすタイミングに合わせ、俺達特務社員は秀華の声と思いに合わせる。

 

 目の前には魔星に神祖に新兵器。

 

 撤退や敗北が起きてもおかしくない窮地。

 

 それを理解したうえで、成すべきことはただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「―まだだっ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 今ここで覚醒し、禁手に至るただ一択だ!!

 




 信子の神器方面は、ようやく出せた感じですね。

 同系統の神器や亜種にできる禁手を踏まえて、こういうこともできるだろうと思って設定に組み込みましたが、ここまで時間がかかるとは思ってなかったです。やっと出せたぜぇ。

 そして、特務社員の一斉禁手作戦。いろいろ考えてましたが、秀華の星辰光や光狂いの意志力を考えればこれはいけるだろうと踏んでました。

 ここから一気に派手に行きます。ですが書き溜めは140kb以上あるので、まだまだ続くぜぇ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。