シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
この調子で久々に毎日投稿と行くぜー!!
では本編!!
《Other》
『……ふふふ。人間がここまでやるだなんて、星辰体の力っていうべきかしら?』
ズタボロになりながら、ニュクスはどこか楽しげだった。
自分の目の前には、ボロボロだが自分よりはましな悪魔祓い達が数人。
特に、先頭に立つロザリーという少女は、十全の戦闘を可能とする状態だった。
仮にも原初の神を相手に、僅か数人の人間が打倒しようとしている。これが驚愕しないわけがない。
そしてロザリーがそれを成せるわけを悟っているニュクスは、一周回って感動すら覚えている。
『聖書の神が遺した神器とは言え、下位のそれでよくもまぁ。……本当に怖い代物ね』
「素晴らしいでしょう? 神を自称するのをやめて帰依でもしたら?」
そう鼻を鳴らして返すロザリーに、ニュクスは正真正銘戦慄を覚えている。
皮肉があまりにも聞いた強さともいえるが、だからこその強大さだ。
更に、玩具として持ち込んだマシーナリーゴッドも撃破された。ちょっかいをかけた勢いでここまでの大やけどを負うのは笑うしかないことだろう。
失敗した理由があるとすれば、敵を甘く見積もっていたことだろう。
情勢を把握して、これ幸いとちょっかいをかけることを試みた。現四大魔王や四大天使はおろか、最上級悪魔の上位格すらいない。その状況下でなら、マシーナリーゴッドと自分が同時に暴れて対応できるはずがない。本命となるだろう戦力が出てくるまでは遊べると踏んでいた。
その結果がこれだ。想像以上に、どの勢力も新しい世代が育っている。
ハーデス辺りが自分達の行動を知れば、憤慨する事は間違いないだろう。
『さて、どうした物かしらね。このまま倒されるってのも芸がないような気がするし―』
そう言いながら頭を回転させた時だった。
「いいえ。神にはもっと笑えないオチがお似合いよ」
そんな声と共に、背中を深く切り捨てられる。
鮮血が飛び散る視界の中、呆気に取られつつも警戒するロザリー達の姿が見える。
それを見て、ニュクスはやりすぎたと痛感した。
―ここまで怒るとは思わなかったわね……―
その苦笑交じりの嘆息を最後に、ニュクスの意識は闇に堕ちた。
「どういうつもりかしら?」
「身内の不始末を裁いただけよ。一応、ハーデス様にも連絡はしているわ」
ロザリー達は警戒しながら、目の前の女に警戒心を向ける。
後ろからニュクスを切ったことはこの際置いておく。どうやらニュクスの行動は独断で、アイアンローズ上層部にとっても不本意な事態だったのだろう。
問題は、彼女がそれを当然のように行ったということ。
違和感のようなものが付き纏うが、しかしそれが具体的な形を成していない。
「待ちなさい……え?」
そんな彼女と戦っていたのだろう。メイド服の少女が姿を現す。
確か、コガネ・レイクメイデン。元々教会で聖女とまで称されていたが、紆余曲折あって波柴秀華に仕えていると聞いている。
だが目にした光景に面食らっていると、アイアンローズの女は肩をすくめる。
「まぁいいわ。今日のところは撤退した方がいいでしょうしね」
そういうなり、女は転移の魔方陣を浮かび上がらせる。
「……ああ、ついでだしそちらの神様達に伝言ぐらいは伝えてもらおうかしらね」
そう、何となく思いついたようなノリで、その女は告げる。
「私は
その言葉にもまた違和感を覚える。
だが、その答えに今辿り着くことは到底なかった。
《樹下誠二》
「……向こうはまだちょっと続いてるみたい。戦後処理はこっちでやっとくから、何人か増援に行っちゃってー」
創氏を片付けた後、大体の戦闘はこちら側では終了した。
なので戦後処理を踏まえて立ち回ろうとしているが、さてどうしたものか。
「とりあえず、トキコ・アガレス関係の家を総出で漁るしかないわね。親戚の子供がそこの閉じ込められてるかもしれないなら、こっちも無視なんてできないわ」
「怠い作業をさせちまって悪いな。知ってそうな奴が漏れなく動けないんじゃな」
海砂さんが吹本塩谷と話しているが、まぁ奇跡の子案件なら当然の対応だろう。
と思っていると、秀華がちょっと驚いている様子だった。
冥界の方はまだまだかかるのだろうかと思っていると、こっちに振り返って走ってくる。
「緊急報告ー! 塩谷君だっけ。君の息子さん、冥界の方で保護されてるってさー!」
その言葉に、吹本塩谷は目を見開いた。
「本当か!」
「ホントホント。トキコ・アガレス関係を垂れ込んでくれたナミネ・ルミナスって人がいるんだけどね? 彼女がどさくさ紛れに証拠集めしてたら見つけて保護してるって。今後方に駆け込んでるってさ」
そう答えながら、秀華は転移の魔方陣を操作する。
「緊急用に数人分貰ってるから、誠二と海砂がフォローする形で先に行っといて。戦後処理は私がやっとくから、
それがいいみたいだな。
というより、イッセー達がいて手古摺ってるとなると向こうも大事になってるな。
友達の窮地だし、まぁ手伝ってやるとするか。
《Other》
崩れ落ちそうになるエレボスを見据え、血まみれになっている雨宮充二は息を吐きながらも警戒を解かない。
「北欧の偽神オーディンは手を抜いていたようだな。神を僭称するだけのことはあったか」
「く……っ」
歯噛みするエレボスだが、戦える余力はほぼ残っていない。
雨宮充二の刃はエレボスに届くようになった。だが、届かせるには幾度となく与える必要がある状態だった。
その上で勝利した理由。それはあまりに単純明快で再現困難。
気合と根性で食らいついた。ただそれだけのことで、神に刃を届かせた事実に、エレボスは戦慄を覚えていた。
これが、教会で双璧を成す、現役悪魔祓い最強の片割れ。
また、充二が持っている発動体も脅威だ。
星辰体感応合金である
だが、それをもってしても神を単独打倒するなど、人間には異常と言ってもいい難行だ。
戦慄を覚えてしまう。それだけの、あり得ない高みに雨宮充二は立っている。
「……さて。共闘が成立している以上はお前を討っておくのもいいだろう。特にお前はアイアンローズであり、どうもその中でも好き勝手しているようだしな」
呼吸を整えながら、充二は剣を構える。
油断はない。相手は神であり、まだ戦おうと思えば相当のことをできるうえ、逃げに徹されれば取り逃がす可能性があると悟っているのだ。
そして、それを悟られていると悟っていることが、エレボスにとっても武器となる。
一瞬の駆け引きと判断が、この戦いの趨勢を分ける。その状態になっている。
そして、その決着は不意に訪れた。
「まだ生きてたのかよ。まぁいいか」
そう声が響き、そして足音が鳴る。
瞬間、エレボスは背中から深く切り裂かれた。
「……何のつもりだ?」
「身内が暴走した不始末をしてるだけだよ。ったく、これだから神様ってのは」
そうため息をつきながら、アイアンローズのトップエージェントでもある神無月巌は、警戒する雨宮充二に答えて背を向ける。
「そいつは好きにしろ。流石に上層部も見切りをつけるだろうし、殺したいならお好きにどうぞ」
そういい捨て、神無月はそこから立ち去っていく。
相手の出方が読めず、充二は警戒を続けていたが完全に去ったことを悟り首を傾げる。
「……妙な雰囲気だな。後で報告はしておくべきか……?」
その違和感を悟るのは、更に長い時が必要となる。
《木場祐斗》
「そん、な……創氏様……!?」
鮮血を飛び散らせ、血を吐きながらトキコ・アガレスは茫然としている。
だいぶ前から半死半生だったが、ある時を境に急に再生が無くなり本人も絶望して崩れ落ちていた。
朱乃さんの星辰光が効いていたのは間違いないけれど、それにしても急に弱って倒れたのは違和感がある。
ただ、それで終わりというわけにもいかない状況だ。
「こっち来たぞあの巨人!」
「サイラオーグ様と赤龍帝でも倒しきれないとは……っ!!」
「誰かー! 魔王様呼んできて!! 特にマリヤ様を!!」
アイアンローズが呼び出したと思われる巨人は健在。今イッセー君とサイラオーグさんが前衛になって戦っているけど、二人とも消耗していることもあってかなり手古摺っている。
それでも決定打になっていないのは―
「なぁめるなぁ!!」
―二人に注力した巨人の動きを、サリアローズ殿が妨害しているからだ。
あの巨人クラスでも、二人を同時に相手取って他に割く余力はあまりない。
それをついたサリアローズ殿は、巨人が二人に効果的な攻撃を与えられるタイミングを狙った一撃離脱で、ひざ裏や動作の反対部分を狙うことで妨害に徹している。
そうでなければ、消耗の激しい二人では更に追い込まれることもあるだろう。
だが、このままでは周囲の被害も大きくなる。
どうするかと思った時だ。
「そんな窮地に魔王血族登場!! 観よ、我が雄姿を!!」
あれはリジェミー様!?
空を舞うリジェミー様は、発動体と思われる剣を引き抜くと巨人に対して切りかかる。
巨人は抜き打ちで砲撃を放つけれど、リジェミー様はそれを両断した。
「出番がないまま終わるのは残念だったが、ここが大一番となれば戦力の集中投入は定石!! 美味しいところをもらうが……」
更に回転すると、そのまま柄頭を振りかぶり、巨人に叩きつける。
巨人は耐えようとするが、衝撃を殺しきれず反動でのけぞった。
「魔王血族は伊達ではないのだよ! さぁ、驚愕してこの私に瞠目するがいい!!」
何故かくるくる回転しながらそんなことを言うけれど、巨人はのけぞった体制のまま両腕の砲身を全てリジェミー様に向ける。
そしてそれが放たれようとした瞬間、巨人の周囲を無数の魔方陣が包み込んだ。
「させると思うか!」
瞬間、無数の砲撃が巨人を襲い釘付けにする。
先ほどの声は、オルレン・ベルゼブブ様か!
「オルレン! もうちょっと私の雄姿に見惚れる時間をくれてやってもいいのではないか!? 捌けたぞあれは!!」
「猪突猛進もほどほどにしろ。サリアローズ様が独断専行に呆れているぞ」
オルレン様がリジェミー様をたしなめるが、実際サリアローズ殿は呆れた視線を向けていた。
「若干アドリブが過ぎる気もするが、まぁいい。この数ならやられるような事態にはならんだろう」
とりあえず割り切ったようだけど、しかし表情は険しい。
「だが、現状ではマリヤなしだと撃破が厳しいな。一度鍛え方を見直すとして、現状はどうしたものか」
確かに、消耗が激しいとはいえ、イッセー君でも押し切れない。
これは中々に厄介だろう。どうしても相応の増援がいる。
その時だった。
『なら安心してください』
ソーナ会長の声が響く。
どこか安心しているようなその雰囲気は、間違いなく朗報だ。
『秀華達がやってくれました。人間界側にいた神祖を打倒し、ニュクスも純潔十字連盟に追い詰められたところをアイアンローズが粛清したそうです。そして増援が到着しました』
なるほど。向こうで樹下君達が大本の神祖を倒したのが影響したのか。
そして、この流れで増援とくれば。
「……待たせたな。開幕速攻反粒子……!」
やはり、樹下君。
高速で飛び掛かった樹下君は、その速度のまま反粒子を巨人に叩き込む。
反粒子に対する警戒はしていたのか、上半身を逸らして直撃だけは回避する巨人。だが胸部装甲が大きく削れた。
そして、彼はある意味で囮だった。
「イッセー君、打ち上げるから撃ちなさい!!」
真下に回り込んでいる存在が、蒼い雷撃を放ちながら高速で打ち上げる為に体当たりを敢行する。
この声からすると信子さんだろうか。でも強すぎるような……?
ただ、それに対して推進力で巨人は抵抗した。
空に打ち上げられると致命だになると判断したのだろう。街中では撃てない攻撃も、空の上ならほぼ無視できる程度の判断はできる。
だが、それはもう手遅れだった。
「させると思うか! 貴様は此処で、終わらせる!!」
「ふっ。名サポーターとしても活躍できる自分がまぶしすぎる!!」
瞬時にどうするのかを悟ったのか、サイラオーグさんとリジェミー様が共に真下に回り込んで、打撃を食われて打ち上げた。
更にその瞬間、無数の魔法が真下から叩き込んで更に空へと飛ばしていく。
「場は整えた……やれ、赤龍帝!!」
それを成したオルレン様に答えるように、打ち上げられた勢いで破壊された胸部をさらす巨人に、イッセー君がオーラを収束させる。
「任せてくれ皆。……この一撃、仲間達と愛するリアス達に―」
そして込められた砲撃は、これまでにない大出力。
「この街の子供達へ捧げるぜぇえええええええええっ!!!」
その砲撃を、装甲を失った巨人は防げない。
反粒子という一瞬の大札からくる即席の連携によって、巨人は紅の砲撃の中へと消えていった。
これでライオンハート編の戦闘は終わりです!
あとは二話ほど書いたら、ライオンハート編の本編は終わりとなります!!