シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
そういうわけで、書き溜めも多いのでちょくちょく出していきます。
では本編!
《樹下誠二》
とりあえず大雑把なところを宮本から聞いて、話を戻すことに。
ただ途中からもの凄い愚痴になってはいたが。人に吐き出す機会がなかったのだろう。まぁたまには聞いてやった方がいいな。
というか、色々大変だな。
若干コミュ障気味な子だが、なまじ強くなった所為で一般人からは引かれて迷惑な連中に絡まれるようになった。中学生のメンタルには相当厳しいだろう。
「まぁあれだ。世の中、下には下がいる。本当にやばいのはこんなもんじゃないから、あまり自分を不幸不幸と下げて落ち込むだけってのは避けとけよ?」
「そうそう。さっきの英雄派に使われた人達なんて、洗脳されて普通に死ぬ人体実験させられて、生き残ってもテロに参加させられたりしてるんだから。日本で普通に暮らせている時点で割と上の方よ?」
俺と麗奈さんが絶花の身の上話をその辺りでまとめておくと、絶花も若干引いていた。
自分がガチでやばいことになりかけたことを漸く理解できたようだ。まぁ実際、死者が相応に出ているからな。
それはそれとして、神器に封印された存在とコミュニケーションができている割には基本知識が足りてないので、ある程度の情報は伝えている。
聖書の神が作った神器を含めた、魔法等の異能の存在。アヴィ嬢を含めた悪魔を代表格とする、異形の存在。そして日本政府もそれらを理解し、世界各国が異形の存在を知りつつも人間世界に広めていないことなどの、ある程度の基本知識は教えておいた。
英雄派の誘拐を乗り越えた以上、逆に曹操辺りが興味を引きそうだからな。事前知識をある程度教えておかないと不安になる。
後でその辺りの基礎知識系統を教える簡単なガイドブックでも譲っておくか。
ま、それはそれとしてだ。
「で、絶花ちゃんに宿っている神器が神滅具に
アルトリーネさんがそこをつつくと、ベネムネ先生もうんと頷いていた。
ゼノヴィア達も興味深そうにしている。
「イッセーさんと同じような神器を持っているのでしょうか? ゼノヴィアさんのエクス・デュランダルと打ち合えるなら、それも当然な気がしますけど」
「いい質問だアーシアちゃん。ただ、色々とややこしいことになる代物なんでね、他言無用で頼むよ?」
アーシアにそう返し、ベネムネ先生は俺達にも念押しする。
……ま、それぐらいならいいか。
「一応上には「ベネムネ殿から緘口令が敷かれた」とは伝えますけど、それでいいなら。まぁ、アザゼル先生辺りにまで黙っている理由はないと思いますけどね」
実際問題、ちょっと便利に使えるしな。
緘口令が敷かれたのなら、それを言い訳にして色々とこちらも動きやすい。
その本筋が身内対策なのがあれだけど。ちょっと悲しくなってきた。
「まぁそれならいいか。……といっても、そいつに関してはアザゼルより詳しいよ。元々刀剣系神器に関しては私の方が上だからね」
そう前置きしたうえで、ベネムネ先生は面白そうに絶花の胸……厳密にはそこに宿る神器に話しかける。
「しかし天聖か。どうやらかの宮本武蔵がつけたみたいだけど、当時じゃ詳しくなかったとはいえ君に天と名付けるなんてねぇ?」
『既に本来の名など魂と共に封じられているしな。どうでもいいことだ』
それなりに話した経験もあるのか、割と気安く話しているな。
そこでベネムネ先生はちらりとゼノヴィア達の方を向いた。
「とはいえ説明しよう。まず彼女の神器だが、本来は聖書の神によって魂ごと封印された、一組の男女が宿っていたが、片割れの女の方がいなくなっているんだ。そうでなければ神滅具として正式に認定しただろうね」
また相応にレアケースだな。
封印された存在を核とする神器はいくつも存在するが、複数封印されてしかも片割れが無くなっているなんてそうはないだろう。
「まぁ、そそのかしたあの蛇の扱いを考えれば、その程度で済ましてもらえるほどに聖書の神に愛された存在だ。そういえば、彼女は何て名づけられたんだい?」
『終聖だ。最も、長らく出会えていないがな』
「ふふふ。まぁ、それは置いといてここからが戒厳令の本題だ。……天聖だけでなく終聖を含めた状態の本来の姿は二刀一対。そしてその状態のままなら、正式に神滅具として登録されていただろう。なにせ一振りの状態ですら、見ての通りエクス・デュランダルと打ち合えるんだからね」
言われてみれば納得だ。
エクス・デュランダルは現状最高峰の聖剣。完全な状態なら一振りでも神滅具級の力を持つだろう、エクスカリバーとデュランダルの複合武装だ。
それと打ち合える状態が事実上半分だっていうのなら。本来の状態ならどんな代物だというのか。
英雄派がどこまで分かっていて探っていたのかは知らない。だが、絶花が宮本武蔵の子孫であることを考えれば、洗脳されてなくてよかっただろう。
「特性は切った相手から力を簒奪し、それを消耗することで己を強化する。見方によっては
そう説明したベネムネ先生は、感心して絶花を見る。
「しかしバアルの消滅を使うとはね。あの家から力を簒奪するとは驚いた」
『それが少し違ってな。あの紅髪の乳房には何もしていないし、奪い取ることもできていなかったんだ。にも関わらずあれだけの力を振るうとは……あの乳房は、一体何でできているというのか……』
もの凄く聞き覚えのあるフレーズなんだが、多分刺激しない方がいい。
別の意味でリアス部長には話せないぞ。スイッチ姫は一体どこに向かうというのか。
あと二刀乳剣豪とか阿保みたいなフレーズ押し付けるな。冥界で広まったら二号ライダーポジションでおっぱいドラゴンと肩を並べてしまう。
とまぁ軽く冷や汗をかきそうになるが、ベネムネ先生は話を進めてくれた。
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「ま、そういうわけで天聖は神滅具としては認定されてない。……アタシ流にいうなら、「
そう説明しながら、先生は指を一本立てる。
「とはいえ、その真の名前を知らないままってのもあれだろう。絶花の持つ神器の真の名前。二刀一対だった頃恐れと共に知られたその神器」
思わずごくりと息をのむ話の上手さだ。年季が違う。
「刀剣系神器の最高峰……その名は、
《空本麗夜》
「新しい仕事の一日目、終わらせることができてよかったよ」
「身内の所為で、初っ端からトラブったけどね」
「ベネムネ殿が済まぬ。アザゼル総督と同等のノリでなぁ」
麗奈が疲れていたみたいなので、たまにはいいかと外で飲みに誘ってみたら、結構愚痴が出てきたよ。
一部緘口令が敷かれているそうだけど、まぁそれなりにトラブったのは間違いない。
ただまぁ、それだけってわけにもいかないだろうけどね。
「そういえば、イッセー君達も中級昇格の話が出てるんだっけ?」
「そうなのか! 漸くと言えばいいのか、もうと言えばいいのかは分からぬなぁ」
俺が話を変えると、麗華が驚いた。
ま、驚くのも無理はないだろう。
悪魔の昇格は基本的に遅々たる速度だからね。それに、プロゲームにデビューする前の転生悪魔が昇格するなんて珍しい。
俺を含めた初期の特務社員は特例で昇格試験を受けたし、まぁ全員合格したけれど。これは桃山警護事務所としての活躍や主の秀華所長の来歴、そしてそれに伴う日本政府とのコネが絡み合ったことによるものだ。
でもまぁ、イッセー君達なら昇格資格はそろそろ受けてもおかしくないだろう。
なにせ戦績がヤバイ。魔王血族やら正真正銘の神様などとも戦っているんだ。年季があるのなら即昇格試験の話にはなるだろう。
「まぁ、筆記問題はともかく実技は問題ないでしょうね。……やりすぎて相手に判断材料を与えないってのは避けるべきだけど」
麗奈も酒を飲みながらそういうけれど……まぁそうなるね。
中級昇格試験っていうのは、つまり「中級に昇格できるかもしれない能力を持つ」から受けれるわけだ。
当然、できると踏んで送るにしても平均的な能力はよくて中の下ぐらいだろう。俺が試験を受けた時は、はっきり言って苦労するような手合いはいなかった。
下手をしなくても、合宿前のグレモリー眷属ですら実技だけなら合格できるだろう。中にはとんでもない振れ幅が出る可能性はあるだろうけれど、神や魔王にすら襲われて生き残った面子なら、実力だけなら保証されているんだ。
問題は人間界での活動が豊富であることに由来する、筆記試験だ。俺たちも異形全体方面での基礎知識はともかく、冥界悪魔領の細かい部分は不得手だった。
……というより、「魔法少女レヴィアタン」を問題に乗せるのはどうなんだろう。悪魔社会、広い範囲を求めすぎでは?
「だがまぁ、それなりにやっていけそうでよかったではないか。星斗さんもその辺りはいていただろうが、問題なくできるのなら大丈夫だろう?」
「ならいいけどね。ま、別の意味でちょっと見ておいた方がいいこともあるだろうし頑張るけどさ」
麗華に笑って答える麗奈を見て、俺もちょっとほっとする。
新しい仕事でちょっと苦労するかもと思ったけれど、案外乗り越えそうだ。
「同僚の可愛い後輩の為にも、人肌ぐらいは脱いであげるわよ。……というより、アモン家令嬢と個人的にコネができるのは、それはそれとして面白いでしょうしね」
「「……ちゃっかりしてるなぁ」」
半分冗談だろうけど、まぁ元七十二柱でグレモリー家とかシトリー家以外に、個人的な繋がりがあるのは人生設計で有利かもね。
話を聞く限り剣に拘りがあるみたいだし、麗奈はそういう意味でも高評価かも。
さて、今後はどうなるのか。ちょっと気になるし楽しみだね。
《樹下誠二》
「面倒なことになったな」
「ええ、厄介ごとね」
「……またオカ剣でトラブルが起きるのね……」
俺達三人は、顔を突っつき合わせてため息をついた。
「というか、誠二はそろそろ中間テストよね? こっちにリソース割いていいの?」
「安心してくれ麗奈さん。俺はそもそも小学生の時から、テスト前に勉強量を増やしたことはない」
一夜漬けの付け焼刃で点だけ増やして満足するようなタイプじゃないんでな。母さんからも学ぶなら身になることを望まれてたし、予習復習はいつも軽くやっている。
その為、俺は平均点より上を常時キープしているし、普通に成績上位組だ。無理して頑張ってまでテストの成績を上げようと思わない程度のレベルは維持している。
腐っても波柴の英才教育は伊達ではない。あれを全方位最高水準で潜り抜けた歴代総合トップクラスの俺は、今から国立大学の受験を受けても十分合格ラインを狙える。
……最も、その所為で普通の生活からだいぶ縁遠いからな。ま、卒業後はこのまま桃山警護事務所だから問題はないが。
「むしろ、優先するべきは金策関係だ。まぁ死んだ母さんが医者だったうえ、一斉摘発後にその辺りが返ってくるように小笠原長官が手回ししてくれたし、何なら賠償金として日本政府が波柴案件からこっちにもだいぶ回してくれたからな。そもそもうち給料は割と高い方なうえ、株の配当金だけで一生暮らせるけど」
「眷属作る前提だから、甲斐性はあった方がいいってわけね。ま、今回のトラブルを乗り越えればボーナスも狙えるでしょ」
そう納得したうえで、麗奈さんは資料を広げる。
そこに映っているのは、眼帯をつけた少女だった。
「名前はリルベット・D・リュネール。元々フランス出身の貴族で、三銃士で有名なダルタニャンとかいう英雄の末裔。……ただ、ドラゴンと思われる存在の襲撃で故郷が滅ぼされて以来消息が掴めなかったって、フランス政府の異能部門から報告が来ているわ。神器保有者って話もセットでね」
「とても英雄派に属してそうな少女ね。でも、結界をすり抜けて駒王学園に転校なんてできるの?」
麗奈さんにアルトリーネさんが説明するが、実に厄介なことだ。
英雄派構成員の可能性のある少女が、駒王学園中等部に転校してきた。しかも面倒なことに、宮本に告白まがいなことをしてきたらしい。
「ベネムネ先生は何て言ってたんだ?」
「様子見の監視をするって、中等部生徒会とか上からも連絡が来たわ。オカ研には「要監視対象が出たから、有事の際は助力を求めます」で通すそうよ」
俺の質問に麗奈さんが答えるけど、まぁそうだろう。
本当に英雄派なら、結界に引っかかる可能性は十分ある。
腐っても和平の地なだけあり、駒王町の結界はかなり強化されている。まぁアザゼル先生という国家元首級要人がいるから当然だが。
そう簡単には潜入できないし、潜入できても悪意ある異能者なら察知される。それぐらいには各勢力からリソースが回されている。
だから、彼女が本当に英雄派の場合……既に相当の人数が潜入している可能性がある。
まったく。なんで俺達はイベントごとのタイミングでトラブルまでやってくるのか。
「とりあえず、向こうは怪しまれずに潜入できていると思っているのかアホなことしてるしな。こっちからは刺激せず、遠回しに探る方向で行こう。……囮の可能性もあるしな」
「ああ、わざとずさんな手口の奴を見つけさせて、手練れの本命が動くって流れね」
「英雄派なら捨て駒にする前提でやるでしょうね。最悪の場合、彼女に自覚がない可能性もある……か」
俺も麗奈さんもアルトリーネさんも、その可能性を考えてため息を吐く。
もっとも、英雄派にも色々あるからな。その辺りはしっかり気を付けないと……な。
ということで、若干巻き気味ですがこの調子でいく予定です!