シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
いやぁ、曹操は無双させやすい。個人的にはヴァーリより好みです。半端にふらふらポジション移動するより、決着つくまでちゃんと敵だったほうがケジメ付けさせやすいしね!
では本編!
《空本麗夜》
空いた日ができたので、駒王学園中等部の学園祭にやってきてみたよ。
中等部は高等部と違って、どうも学園祭には力を入れてないみたいだ。まぁそれでも普通の中学校の学園祭レベルは十分あるけど。
「なんか知らないけど、生徒会の方針で部活一辺倒らしいわね。武闘派が多いそうよ」
と、警備活動の一環で多少は調べている麗奈がそう談じている。
部活動に力を入れている方針かぁ。まぁそれはそれとしても、生徒会に力があるみたいだね。
本来、生徒会はそこまで権力があるわけじゃない。基本的には教師達の下だ。
この辺りは、高等部とあまり変わらない……いや、生徒会そのものがそれなりの立場なのかな?
まぁ、今日は休みだしね。あまり深いことは考えない方がいいか。
「で、何を見に行くんだい?」
「それが、ちょっと縁ができた中等部の部活が、演劇をするみたいなのよ……おっぱいドラゴンを基にした」
と、麗奈がちょっと深刻な様子で言った。
ただ、かなり分かる。
「……ここ、一応人間側の学園なんだけど?」
「部員の半分がガチの異形側なのよ。で、仮入部が最近要監視対象で、最後の一人なんて神滅具一歩手前で緘口令出されるレベルの神器を持ってるぐらいで」
ああ、例の絶花ちゃんか。
ゼノヴィアちゃんと渡り合うレベルの剣豪女子中学生か。ただ、戦闘とかから離れたいみたいだし、その辺もあって気に掛けてるとは言ってたね。
「なんかイッセーに似てるというか、ボケるところはあっても基本的に振り回されるタイプっぽいからね。ちょっとその辺りを見てみようかと思って……顧問がベネムネ先生だし」
そう言われると、もう心配で仕方ないね。
アザゼル先生と同系統のタイプとのことだし、何をしでかすか分かったものではない。
……つい先日、イッセー君がアザゼル先生によってUFOでエロを消した訳の分からない存在にされるという事件があった。
更にだいぶ前だけれど、不意打ちでドッペルゲンガー実験に使われた所為で、イッセー君擬き300人が女子高生を裸にして回るという事件も起きた。
こっちがいつでも張り倒せる状態にしておかないと、何をしでかすか分かったものではない。星斗さんは真剣に「有事におけるアザゼル総督の物理鎮圧権限」をもらえないか、ミカエル様を経由してシェムハザ副総督に要求していると聞く。
これは真剣に、真剣に考えないといけない案件だろう。
そしてそれは十分後的中した。
《樹下誠二》
「では、これより査問会を開きます」
麗奈さんが既にBLEADを引き抜いた状態でそう宣言した。
「裏側とは言え大司教として、告解は受け取ろう。ただしことがことである為、この場でしてもらうが」
「なお、発言の精査を確かめる為、誤解を超えるだろう著しい矛盾が判明した時点でおっぱいドラゴンの乳語翻訳で精査します。……黒だった場合は洋服崩壊までなら許すと、日本国内閣祓魔省長官からの言質も取っているので誠実に発言するように」
そこに雨宮先生がアルトリーネさんを引き連れている。ガチの事態だった。
まぁ、色々大変だが。
「では、このご時世の日本国のかつ女子中学生に対し、反論を封殺したうえで襦袢もつけずに下着無しで和服をつけるという勘違い日本文化をごり押しして、成人男性が見に来る可能性も十分にあるところで真面目な立ち合いをさせた件についてだが」
とりあえず、雨宮先生達にあっちは任せておこう。
それはそれとして俺はフォローに回るべきだろう。
「大丈夫か、宮本? 訴訟を起こすなら手を貸そう。上司が不動産案件でコネのある弁護士が複数人いるし、あそこの
「ごめんね、気づくのに遅れて。後でアドレスを渡すから、似たようなことでまずいと思ったらすぐ連絡して? 鎮圧するから」
「あ、ありがとうございます。……なんていうか、誰も人の話を聞いてくれなくて……」
俺と麗夜さんが気遣うと、宮本はちょっと安心したようだった。
……俺が麗奈さんの連絡を受け、雨宮先生と共に中等部に向かってから聞いた話を纏めよう。
宮本が下着を着けずに剣技の戦いをする羽目になり、結果として色々大変なことになった。
中学生が相手なので、その辺りはぼかすが……訴訟したら勝てるだろコレ。
まぁ、どうも後半は宮本もノっていたところもあるので多少は緩くいくが。多少止まりだからな馬鹿どもめ。
なんというか、こういう手合いはしっかり絞めておかないと問題だ。今後はもっと定期的に見回りを入れるとしよう。
「相手の意見をきちんと聞き、配慮するということはとても重要だぞ。未熟な中学生のじゃれ合いである以上は多少大目に見るべきだが、こういうのは何より被害者がどう思っているかが重要視されやすいのだ。部長であるなら部員の尊厳をまず重視しなければなるまい」*1
「というか、シュベルトライテだったかしら? ……貴方もしかしてオーディン様の娘か何かかしら? その、主神なだけか御父上かはともかく、ああいうところは見習わない方がいいわよ?」*2
「そういうわけで首魁の顧問擬き。今宵のBLEADが血に飢えていることを理解したうえで言葉を選んで発言するように」*3
説教組は勢いに乗っているようで何よりだ。
まったく。異形のノリなら普通にあり得ることではあるが、宮本はその辺りについては初心者だというのに。
「今後はもうちょっと、押しを強くしたりはっきり言ってもいいからね? 異形ってどうしてもノリがただの人間とはずれているから、表の人間基準だとトラブルメーカーとかが多いんだよ」
「あ、参考に……します。というよりその、おっぱいドラゴンって大丈夫なんでしょうか?」
「あれが子供向け番組として大人気で、海外進出ができるのが異形のノリなんだよ。異形と今後も付き合うなら、そこは割り切った方がいいね」
麗夜さんが柔らかくそう伝えるけど、宮本としては大変だろう。
ただ、チラチラと説教側に視線が向いているが。
「あまり弁護はしない方がいいぞ? たまにはしっかりお灸をすえないと、被害を受けるのが宮本以外に波及する可能性もある」
「いえ、正直そこではなくて……雨宮……麗奈さんの方の剣なんですが」
と、宮本は俺に答えながら、麗奈さんが脅し目的でちらちら降っているBLEADに視線を向けている。
ふむ。
剣士というからにはちょっと興味があるのかもしれないな。
「麗奈さんのお兄さんの雨宮星斗先生は、本職はバチカンから派遣されてきた教皇猊下の名代として、この街の異形方面における信徒代表を務めている方だ。前職は技術畑で、名誉職という形で大司教になっているほどの人物で……彼が作った聖剣だ」
「そうでしたか。ゼノヴィア先輩のエクス・デュランダルにそっくりなのに、幼い感じなので気になってました」
……よく見てるな。
パワーファイターよりのゼノヴィアとは違い、麗奈さんは技巧重視なこともあって大剣としての扱いは好んでない。擬態の性質を生かして様々な形状の剣を切り替えることが多い。
今は脅し目的で、わざと刃が波打っている幅広の曲刀にしている。
それを一発で見抜くとは、流石に眼力だ。
「……幼い感じ?」
と、麗夜さんが困惑している。
まぁ当然ではあるな。その辺りは言ってなかった。
「一種の共感覚なのかもしれないが、宮本は剣の声を聴くことができるそうだ。数合打ち合っただけのエクス・デュランダルの実態をそれで大体把握してたぞ」
「……凄いねそれ。こっち側の知識が豊富でないと、エクス・デュランダルを初見で把握するなんて無理筋だよ?」
簡単に説明するだけで、麗夜さんは真剣に驚く。
宮本も自分の特異性はある程度把握できているからか、少し首を傾げていた。
「本来の姿が二刀なのは分かるんです。ただ、片方の剣はなんというか……いくつもの声が聞こえる形でして」
本当に、よく分かってるよなぁ。
「それで正解。エクス・デュランダルは聖剣デュランダルとエクスカリバーを錬金術で合一させた聖剣でな。加えてエクスカリバーは七つの能力を持ち、長い年月の間に七つに砕けて七本の聖剣だった時代も長いからな」
声の性質もかなり分かる感じだな。
しかしどういったものなのか。付喪神とかそういうわけでもないだろうし……乳語翻訳の亜種みたいなイメージでいいのだろうか?
「で、麗奈のBLEADは星斗さん……教師の方の雨宮さんが作った概念実証用の武器の一つなんだ。デュランダルの方は使い手を本当に選ぶから、麗奈はそういう意味だと凄いスペシャルなんだよ」
麗夜さんが少し自慢げに言うのは、家族同然の中だから当然だろう。
実際、かなり希少なレアスキルだしな。確か、純潔十字連盟を含めても教会関係者で五人ぐらいしか適合者がいないって話だ。
神代晃星以降の聖剣適正者の倍増に、人工聖剣使い技術の確立。この二つをもってしてもデュランダルを扱えるほどの聖剣使いはごく僅か。
間違いなく最強レベルの才能だ。惜しむらくは、それに気づいたのが自家中毒のように淀んだ負の感情を爆発させた後の話だってことだ。
……そういう意味だと、色々言った方がいいかもしれない。
「宮本。人生の先達として一つ言っておく」
「……なんですか?」
きょとんとして聞き返されるが、まぁそこまで複雑なことでもない。
「人間生きていれば嫌なことも出来ないことも耐えられないこともある。我慢しなくちゃいけない時も、諦めなきゃいけない時も、逃げるしかない時もある。頑張って乗り越えることやそこに留まっているべきことばかりじゃなく、諦めたり見切りをつけて別の場所や道を探す方がいいことだって幾つもある」
俺はそれをよく分かっている。
人間には限界があり、超えることなんて普通はできず、普通の奴が越えようものならその代償は大きい。秀華や光吉、雨宮充二のような限界を意志力で越えて更なる成長を成し遂げられる奴は、基本的に希少種だ。
ただ、それが通用しない時もある。
「……だが、死んでもそれをしちゃ
というより、うちの事務所はそんなのが殆どだ。
特務社員でそうじゃない奴なんて、美子ぐらいだろう。俺だって、ガキの頃にできるわけがないが、それでももっと上手くこなすべきだったと思うことがいくつもある。それを、一生引きずるだろう。
分かっているからミスをしないとは言わない。ただ、分かったうえでミスをしないように努力することはでき、その結果なら少しはましに受け止めることも出来るだろう。
「宮本は、強くなることや戦うことそのものが目的じゃないから、強さが余計な物を連れてきて辟易しているとは思う。……だが、力を得てしまえば選択肢が生まれ、そこにはどうしても責任がついて回る」
理不尽な話だとは思う。
だが、世の中は時として理不尽が勝手に襲い掛かってくることもある。
そういう時に逃げると……本当に、心のどこかが致命的に汚れてしまう。
そしてそういうのは、運命と言えばいいのかもしれない。自分自身で思う都合のいいタイミング出来たりはしないのだ。
俺はそんな運命に愛された、においとでもいうべきものを宮本に僅かに感じた。
懸念事項もある。英雄派関係者と思われる、リルベット・D・リュネールの件もある。
「難しいことを言って悪いな。ただ、心にはとどめておいてくれ」
「樹下先輩……」
俺が真剣に言っているのを察したのだろう。宮本は困惑しながらも流したりはしなかった。
そして麗夜さんが屈み込んで宮本に目線を合わせる。
「誠二の言う通りだ。俺は汚泥が染みついた側だから、尚更そこは断言できる」
真剣に、麗夜さんは宮本に告げる。
「そういう時ほど、情けない選択を……流されるような選択を取ってしまう時がある。そして、それが間違いだった時にできる傷は……多分、数年ではかさぶたにもならないんだ」
自分が背負った業を、誰かが背負っていいものとは思わない。
そういう気質だからこそ、更に傷を負うことを分かったうえで自首したんだろう。それができるのは十分すぎるほど凄いと思う。
そんな彼だからこそ、俺よりよっぽど深手を負っているからこそ、言えることもある。
「中学生には厳しいことだと思う。ただ、君は戦闘関連になった時、選択肢ができてしまう子だ。望まないとはいえ持ってしまった以上、これは心にとめておいた方がいいよ」
「……似たようなことを、ゼノヴィア先輩にも言われました」
宮本がそう呟くと、説教を先生達に任せたのか麗奈さんが肩をすくめた。
「ま、中学生には厳しい話だと思うわ。そもそも、子供にそんな選択肢を考えさせないように、しかるべき立場についた大人が動くのが立派な社会だしね」
スタンスそのものを変える気はないし、そこはおおむね同意だ。
麗奈さんはしかし、俺がこんなことを言った理由も分かっている。
例の劇で、宮本は恥ずかしい大立ち回りをしたらしい。それも、リルベットを助ける為に。
彼女がほぼ確実に英雄派である以上、ある意味で裏切りに合うともいえる。
……そうなった時、彼女は自覚の有無に関わらず選択肢を強いられてしまう。
だからこそ、スタンスを変えない上で麗奈さんは宮本の肩を叩く。
「ただまぁ、そうも言ってられない時もある。……そういう時、助けを呼ぶ暇があるなら私達をちゃんと呼びなさい。……それが私達の仕事なんだから、してくれないとむしろ困るわ」
……できれば、そんなことにならない方がいいんだがな。
まったく。世の中はままならないことだらけだ。それでも、腐ってはいられないんだがな。
これだけ乗っけて、書き溜め180kb。スーパー曹操タイムがノリに乗っております。
大体折り返し地点となっており、こっから自体は急展開です!!