※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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はいどうもー! ちょっと今日はあんまり書くことがないグレン×グレンでっす!

とはいえ、サムライガール編もクライマックス。仕立て直しなどをしていたりでちょっと話の数は予定と変わっていますが、間章として考えれば長いほうです。

今後を踏まえた設定の下手直しも行いつつ、本編です!


第六話 転校生に試練です

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思ったより手古摺ったが、それでも苦労はしなかったな。

 

 それなりの手札は持っているようだが、この街の精鋭を倒すには到底足りない。

 

 英雄派だけでなく旧魔王派も動いている割には弱いな。

 

 ……曹操が動いているにしては、なんというかいやらしさがない。藤花が動いているにしても、悪辣さが感じられない。旧魔王派が主導ってわけでもなさそうだしな。

 

 となると、今回の動きは分派の類か? 断言はできないが、警戒はした方がよさそうだ。

 

「思った以上に早く終わったな。この調子なら絶花の方も大丈夫だろう」

 

「油断しないの。本命用に質を集中させてる可能性があるわよ」

 

 ゼノヴィアと麗奈さんも、方向性は違うが歯応えの無さを感じているようだ。

 

 まぁいい。余力を残した状態で警戒ができるのならいいだろう。

 

「……皆、所長から連絡が来たわ。純潔十字連盟側の動きも微妙みたい。どうも陽動を感じさせるといっているわ」

 

 アルトリーネさんが通信を繋げていたが、外も妙らしいな。

 

 まさか、純潔十字連盟と禍の団が繋がっている?

 

 少数の諜報員同士ならまだ分かるが、このレベルの大ごと起こすのならもっと色々と動いた方がいい案件のはずだ。

 

 さて、どう警戒したらいいものか。

 

 とにかくまずは、宮本と合流だな。あっちに主力が集っているとかは勘弁してほしい。

 

 速足で向かえば、そこでは倒れ伏す敵達にへたり込み気味のアヴィ嬢とシュベルトライテがいる。

 

「あ、先輩!! こっちの敵は何とか倒しましたー!!」

 

「宮本さんは教会内部に向かってますね。なんか妙な気配がしてるんですけど大丈夫っすかね」

 

 なるほど。敵を惹きつけて宮本を送り込んだと。

 

「ふっ。私と真っ向から打ち合える剣豪がそう後れを取るわけがない。エクス・デュランダルも貸しているしな」

 

 ゼノヴィアが太鼓判を押すが、まぁ確かに。

 

 宮本の戦闘能力はかなり高い。剣術に限定すれば俺すら後れを取るだろう。

 

 真っ向から剣の技で立ち合えるとするなら、流花さんぐらいか。剣術で免許皆伝しているレベルの女傑を相手に、中学生でよくもまぁ渡り合えるもんだ。

 

 そして、向こうも大体終わったようだ。

 

 オーラの奔流は留まり、特に邪悪な気配が消えていく。リアス部長の消滅のオーラのようなものを感じたが、流石にあの人はまだ出てないと思うんだが。

 

 とはいえ油断はできない。さっさと合流して安全を確保しないとな。

 

 ……そう思った時、事態は動いた。

 

「……え、なにあれ!?」

 

 気づいたアヴィ嬢が面食らって、空を指刺す。

 

 空にはオーロラのような輝きが浮かび上がり、まるで天変地異を思わせるような状態になっている。

 

 そして問題は、その光の正体そのものだ。

 

「嘘でしょ? あれ、星辰体!?」

 

「は? いやいや、星辰体って、星辰奏者でも視認なんてできる事態あまりないっすよね!? 僕達にも見えてるッスよ!?」

 

 面食らった麗奈さんの驚愕に、別の形でシュベルトライテが驚愕する。

 

 当然だ。星辰体は確かに存在する粒子だが、神代晃星でもなければ、視認できる事態なんてそう簡単には起こらない。

 

 それが、ただの人間でも分かるぐらいに空一面に光っている。これが異常事態なのは間違いない。

 

 なんでこのタイミングで? 本命がこれだとでもいうのか!?

 

「くそ! とにかく宮本と合流するぞ! 麗奈さんとゼノヴィアはそれぞれ秀華とリアス部長に緊急連絡!!」

 

「オフェンスとディフェンスで直行するわ! アヴィ嬢とシュベルトライテは絶花とリルベットの回収担当として付いて来て!!」

 

 素早く俺とアルトリーネさんが走り出す。

 

 だが同時に、俺達の目の前に翠星晶鋼の結晶がそそり立つ。

 

 おい冗談だろ。神祖でも来たってのか!?

 

 警戒レベルを大きく跳ね上げた時、結晶が砕けて人型の化け物が姿を現す。

 

 金属製の体と思われるそれは、科学的なそれ。

 

 そしてその存在は、俺達を通さないように構えを取る。

 

『これより、この場は宮本絶花の試練の時。友を守れる存在になる為の、挑戦を阻害することをは断じて許さん』

 

 ターゲットは宮本か。

 

 一体何が、起きたっていうんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《Other》

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついに()()使()が動いたか。だがまさか、駒王町に顕現するとは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駒王町に星天使とはね。あそこは色々あって退屈しなさそうだ……♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《宮本絶花》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リルベットを助けることはできた。

 

 だけど、それで安心したその瞬間にそれは現れた。

 

「なん……だ……!?」

 

 消耗しているリルベットが、警戒心を高めるほどに危険だ。

 

 鋼の肉体を持つ存在。問題はそこではない。

 

 人形といえばいいけど。問題はその性能。

 

 色々あった中には、星辰奏者に絡まれたこともある。だから、方向性としてはそれに近いのは分かる。

 

 人工的に星辰光を振るう人間サイズの人型兵器。そういうコトなのだろうけれど、問題はその性能。

 

 見ただけで分かる。目の前の存在は星辰奏者とかいうレベルじゃ断じてない。

 

 存在のグレードが二つぐらい違う。

 

 例えるなら、ガトリングガンがいいのだろうか。最初に完成された手回し式が星辰奏者なら、あれはその後開発されたミニガンというのを超え、戦闘機や軍艦に搭載されるバルカンやアヴェンジャーという領域だ。

 

 正面から比べ合うコトなんておこがましい。そういうレベルの差だ。最新型のライフル銃に旧式のクロスボウで挑むような圧倒的な差を感じさせる。

 

 そして何より怖いのが、その敵意の向き方。

 

 あの存在は、私を敵としたうえで殺す相手としてリルベットを狙っている。

 

『友を守る力を求める者よ。その意思をもって乗り越えられる力で、貴殿の友を屠りに向かう』

 

 信じられないことに、その機械が放つ声は敬意のようなものを感じさせた。

 

 そして、それを尊重する為にリルベットを……私の友達を殺そうとすると言い切った。

 

 私が乗り越えられるレベルの力で、友を守ろうとする私に対する敬意で、友であるリルベットを殺そうとしている。

 

 ………色々と恐怖すら浮かぶけど、なら答えは一つだ。

 

「天聖!!」

 

『いいだろう。だが腹をくくれ絶花。おそらく奴は、全力でいけば全力の我らとも渡り合えるぞ!!』

 

 分かってる。

 

 それだけの存在だ。少なくとも、今の私が全力を出しても勝てるかどうかが怪しい敵だ。

 

 天聖が本当の意味で神滅具の力を振るえるのなら、話は変わるだろう。だけどそうでない今だと、消耗しきってる今じゃなくても勝ち目が薄い。

 

 理由は分からないけれど、私が頑張れば勝てるラインでしか挑まないという。

 

 ……今私は怒っている。

 

 要は、私が頑張れば勝てるレベルまで手加減すると言い切っている。そのうえで、私が情けなければリルベットを殺すという。

 

 ふざけるな。心からそう思った。

 

 消耗は激しい。だけど、怒りがそれを上回る。

 

 最初の激突は一瞬。瞬く間に数十の打ち合いになる。

 

 信じられないことに、人形の動きは鋭かった。

 

 例えるなら、熟練の秀才。光り輝く才能といえるものはないが、しかし確実に積み上げられた武術の域に達している。

 

 判断は正確。かつある程度の柔軟性もある。

 

 徹底的に合理が突き付けられたその在り方は、心持つ存在のそれとは思えない。

 

 見ての通りの機械なんだろう。だからこそ、熱といえるものがない。

 

『絡繰り細工に負けるなど名折れだが、しかしこれは……っ!』

 

 天聖が警戒するのも当然だ。

 

 この動きは、完成された武芸のそれ。そこに高性能な体が用意され、冷徹なまでに正確無比な演算で動かされている。

 

 才能や信念の介在する余地がない、冷徹な武術という道具。

 

 寒気がするほどの秀才の極致を、人工物が成し遂げている。

 

 この天才すら凌駕する力が、文字通りただの工業品として具現化している。

 

 ……下手な武術家なら、一生拭うことのできないトラウマを負うだろう。

 

 だけど……私は怒りが勝る!!

 

「こんな……こんな事務的なもので、試練……?」

 

 私は、リルベットを―友達を助けに来た。

 

 そしてこいつは、それを試練として押し付けてくる。

 

 どこまでもただの機械的に、私の願いを曲解して。

 

 ……ここまで馬鹿にされて、黙ってられるわけがない。

 

 ただ問題があるのは、私が消耗しているところだ。

 

 この良くも悪くもスキがない敵をどうにかするには、どうしても体力も集中力も足りな過ぎる。

 

 そう思った、時だった。

 

「よく粘った、宮本」

 

 その声が響くと共に、鋼に剣が突き立った。

 

 更にその勢いに便乗したかのように、目の前の敵が動きを悪くさせる。

 

「星辰体運用人型兵器といったところだな。戦闘性能は神滅具に真正面から戦闘可能なようだが……そこまでだ」

 

 そこに滑り込んだのは、癖毛気味の先輩。

 

 樹下、誠二先輩!?

 

 割って入った樹下先輩に、絡繰り細工は踏み込んで打撃を放つ。

 

 だけど割って入ったアルトリーネさんが拳で弾き飛ばし、更に左右からゼノヴィア先輩と雨宮さんが切りかかる。

 

 一瞬で、絡繰り細工は追い詰められていた。

 

「無事だな宮本。リルベット・D・リュネールも生きているみたいだし、十分合格点だ」

 

 樹下さんはそう言いながら、目の前の敵に対して警戒心を消していない。

 

「攻防の感覚的に、神祖に近いようで遠い感覚だな。流石に油断はできないが……どこから入ってきた?」

 

 倒す分には問題ないが、伏せ札もありそうだから警戒を解けない。そんな感じの態度だ。

 

「絶花ちゃん!! 大丈夫だった怪我してない!?」

 

「なんかやばいことになってるっスね! 無事ですか宮本さんにリュネールさん」

 

 アヴィ部長とシュベルトさんも駆けつけてくれたけど、確かに危なかった。

 

 乗り越えられるかギリギリ。その瀬戸際を攻められたのは間違いない。

 

 だけど情勢は変わった。樹下さん達は優勢に戦いを進めていて、この調子なら確実に勝てるだろう。

 

 むしろ、速攻で倒せる手段があるけれどそれを温存している。そんな雰囲気をひしひしを感じてしまう。

 

 ……だから、私が動く必要はない、けれど……っ

 

「……一応、これを渡しておくわ」

 

 と、こちらを守ってくれているアルトリーネさんが、小瓶を私達に渡してくれる。

 

「これは?」

 

「仲間の禁手で作られた産物よ。念の為一人数本持ってきてるけれど、それでそのぐらいの怪我ならすぐ直るわ」

 

 質問に答えてくれるけれど、これも異能の力ということなんだろうか。

 

「……例の聖母の微笑持ちっすか。自分がいなくても怪我を直せるようにするって、もう反則ッスよぉ」

 

 シュベルトさんが凄く感心しているけれど、状況がよく分かっていない。

 

 ただ、これで怪我を治せるのなら。

 

 答えは一つだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘性能は高い様だが、これなら何とかなるか。

 

 どうも違和感があるが、倒せない敵ではない。そういった塩梅だ。

 

 間違いなく強い。それは断じて間違いない。

 

 だからこその違和感があるが、しかしこの調子ならいけるだろう。

 

 いきなり星辰体がおかしいほどに反応したりで正直不安だったが、とりあえず目の前の敵は何とかなりそうだ。

 

 そう思った時、構える音が聞こえた。

 

「ありがとうございます、皆さん。……あとはやらせてください」

 

 宮本が、宮本絶花が戦う構えを取って俺達を追い抜こうとする。

 

「一応言っておくが、お前が戦う必要は断じてないぞ。むしろ俺達の立場からすれば、これ以上は戦わせない方が正しい判断だ」

 

 本来、しかるべき立場についている年長者がついていない年少者を戦わせるなんて、問題行動だ。

 

 宮本はイッセーに近いところがあるので、止めて強引に暴れられる可能性もあったからこそある程度容認した。

 

 だがその目的である、リルベットの救出は成功している。これ以上は宮本が戦う理由もない。

 

 余計なエキシビジョンマッチは、保護者側が介入するべき案件だ。むしろこういうイレギュラーな事態に介入させることで、何か余計なことが起きかねない。

 

 それは宮本もある程度は分かっているのだろう。頷いてはいる。

 

 だが同時に、引く気もなかった。

 

「あれは、()()()()()を馬鹿にしました」

 

 その声は真剣で真摯だった。

 

「私は、二天一流として……あれに対して何もしないなんてできません。リルベットの友達として、私達の友情を何かのおまけのように使う奴が許せません」

 

 ……なるほどな。

 

「やばくなるようなら割って入るからな。そこは譲らん」

 

「大丈夫です。少し休めましたし傷も治してもらえたので」

 

 そう。ある意味で自然体の一歩を宮本は踏み出した。

 

『試練の時は再開される。さぁ、友情を求める者よ。友を守り通すといい』

 

「……」

 

 機械人形に対して、宮本はもはや何も言わない。

 

 というより、だ。

 

 相当キている。こっちが寒気を感じるぐらいだ。

 

 そして何より、動きがあまりに鋭く無駄がない。

 

 これが二天一流か。中学生でこれとか、寒気を覚えるほどの高みに立っているだろう。

 

 それを理解していない人形は、流れるように無駄のない効率的な打撃を放つ。

 

 ―だが次の瞬間、宮本の刃が一瞬で人形を断ち切った。

 

 見事なまでの斬撃だ。この剣の冴えに限れば、少なくとも俺より上だ。

 

 寒気を感じるほどの技。これだけの技、天賦の才があったとしてもあの年で習得できるとは思い難い。

 

 才能と努力、そして環境の全てが最高水準でまとまっているからこその一閃。これが中学生の到達できる領域か……!?

 

 俺達全員が目を見張っている。だが、そこで動く存在がいた。

 

『試練は乗り越えられた。願いは此処に叶えられる』

 

 切り裂かれた人形の崩れ落ちていくからだが、煌く結晶体の砂となって絶花に纏わりつく。

 

「なに、これ……!?」

 

「翠星晶鋼!? 宮本、大丈夫か!!」

 

 驚愕する宮本も、それを悟れる俺も反応が遅れた。

 

 感情を持たない機械だからこそできるだろう、感慨皆無の不意打ちじみた動きだ。あまりのすさまじい宮本の剣技で反応が遅れた。

 

 だが不幸中の幸いか、宮本に害をもたらすものではないらしい。

 

 宮本に触れていく翠星晶鋼は、宮本に恩恵をもたらすだけだ。

 

 それが分かるのは簡単だ。俺は、それに近いものを二つも見ている。

 

 ……これは、秀華の星を掛け合わせたようなものだ。

 

 翠星晶鋼によって、宮本に体が加工されていく。

 

 そしてそのまま散っていった人形と共に、空のオーロラも消え失せる。

 

「マジか。本当に宮本に試練を与えて、攻略の報酬を与えて終わりやがった……」

 

 俺は思わず茫然と呟いた。

 

 おい。世界は更に面倒なことになってってるぞコレ!?




 次回はエピローグで、ちょっと短めとなっております!
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