シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
人生いろいろあるということで一つ!!
では、ウロボロス編本編!!
第一話 イメージビデオは普通に抜ける
《樹下誠二》
桃山警護事務所の道場で、少女と女性が向き合っている。
手に持っているのは鍛錬用の竹刀。内側に金属の心棒が入っており、本来の日本刀に近い重量配分となっている。
挑む態勢に入っているのは、宮本絶花。事務所のバイトという名目で、保護観察をしている少女。神滅具になりそこなった神器「
受ける体制に入っているのは、旗本流花。我が事務所の初期メンバーであり、武芸者一族旗本流で歴代女性最強を狙えるとすら称された女傑。
数度の打ち合いの後、二人は構えを取って睨み合う。
俺から見ても互いに隙が無い。また武士と侍の系譜ゆえに、おそらくある程度手札が読めるのだろう。次の動いた時に相手がどうするかを悟っている、一種の緊張状態だ。
見ているこっちも息をのむな。一流の武芸者同士の戦いは緊張感がある。
「「……………っ!!」」
そして次の瞬間、共に斬撃が振るわれる。
だがその流れは、宮本が有利。
勘を取り戻したはいいが回復が早すぎたのか、流花さんの動きが若干だが遅れた。
これは一撃先に入るかと思った瞬間、
「これ、は……っ!?」
打ち上げられたのは宮本。そしてそれは、ただの蹴りじゃない。
竹刀を持っている右手と、添えていたのに離した左手による白羽取り。しかも勢いを殺さず倒れながら乗せた流花さんは、その勢いと木刀を支えにしたサマーソルトキックで打ち上げた。
更に受け止めていた腕が引っ張られると同時に、流花さん自身が腕を引く。
結果、その勢いで上下を逆転させた流花さんは、落下速度を生かしたまま木刀を逆手持ちにしてのど元に突きつけながら床に落ちる。
一瞬の攻防だが、旋律すら覚えたぞ。
「……参りました。お見事です、流花さん」
「旗本流複合技、白羽昇り。相手が簡単に剣を離さない一流の使い手じゃないと効果が今一つな技だよ」
白羽取りは現実にはリスクが多すぎるなんて聞いていたが、超一流が使うとあんなことができるのか。勉強になる。
「お、お……おぉおおおおおおおっ!! なんかもう凄すぎる!!」
「超一流の武者同士の戦い。お見事……っ」
アヴィ嬢とリルベットが思わず歓声を上げるが、本当に凄まじい。
超一流の武芸者同士でないとできない戦いだった。やはり技だけだと敵わないな。
というより、高等技術過ぎてあまり参考にならない。できる奴って天賦の才持つ手合いのそのまた上澄みレベルだろう。実戦でできるか。
とはいえ、色々あったことで、オカルト剣究部をバイトという形で面倒を見ているわけだが、そうなるとやはり流花さんがある種の最適解にはなっている。
なにせ武芸者一族の、それも歴代女性最強を狙えるなどという天賦の才を持った女傑だ。武人肌の少女までいるのなら、そりゃもう重要度が高いだろう。
まぁ、貞操観念破綻している特務社員の一人なので、それとなくお目付け役は置いておくべき案件だが。
……特務社員の俺がお目付け役になっていることが問題な気がしないでもない。
「じゃ、今日も中等部の方をそれとなく見ててね? あ、容器はちゃんと持ってきて洗ってる?」
「大丈夫です! ちゃんと全部洗ったのは部長の私が確認済み!!」
流花さんにアヴィ嬢が答えながら小瓶の集まりを渡す。
それを受け取り、流花さんは目を伏せた。
「
静かに、流花さんは禁手に至る。
流花さんは、回復系神器の中でも強力な
流花さんは俺が知っている範囲内では、聖母の微笑の使い手としては弱い部類だ。回復出力ではアーシアに圧倒的に劣るし、範囲回復では英雄派木曽分隊の巴御前が大きく上回っている。
反面、応用技術という点で差別化されている。こと治癒の力を生命力の活性化ととらえ、そこに特化した技法である
そしてその彼女が至ったのは、回復の霊薬を創り出す禁手。厳密に言えば、聖母の微笑が持つ回復の力を一定時間保存可能な液体の形に加工する禁手だ。
フェニックスの涙張りの治癒の力は、液体として生成してから約二十四時間で圧倒的に劣化する為、その辺りが限界。だが生成量はそこそこあり、至っている間に溜め込むような形で精製される為、まぁ毎日瓶の中身を交換する水筒スタイルで何とかなる。
実際、のどを痛めて喋れなくなったイッセーがすぐ回復したし、ダメージの多かった宮本もすぐに戦えるようになったからな。
今後を考えるのなら、その辺りも含めて色々と戦術に組み込めるようにもしないといけないな。
「……はい。いざという時はちゃんと使って傷を治してね」
「いつもありがとうございます。その、こういった力は凄く貴重だと聞きましたので」
と、宮本が若干気遅れ気味に受け取っている。
まぁ、治癒の力は基本貴重だからな。この街、最高峰レベルの持ち主が二人もいるんだが。
「うんうん。特にアタシ達悪魔にとってはもっと貴重なんだよね。本当にありがとうございます!!」
「そこは大丈夫。一日しかもたない代わりに割とたくさん用意できるから、バイト含めて所員全体の福利厚生に回すぐらいはね」
アヴィ嬢にそう返しつつ、流花さんはそこで少し表情を曇らせる。
「最も、禍の団にも治癒の力持ちはいるしね。しかも……英雄派にいるからこれぐらいはむしろ必要最低限だよ」
ま、そうなるわな。
俺が知っている限り、聖母の微笑という破格の回復系神器持ちは三人確認されている。
一人は流花さん。一人はアーシア。そして最後は、英雄派の構成員である、巴御前。
未だに詳細が不明なんだよな。どうも整形して顔を変えているのではないかという話で、色々とややこしいところがある。
「……巴御前のことでしょうか?」
と、面識があったのかリルベットがそう尋ねてきた。
ま、隠すことでもないか。
「そうだな。問題は、その巴御前が率いている木曽分隊の……木曽義仲が流花さんと親しかったことが問題なんだ」
「やはりそうでしたか。太刀筋が似ていた……というより、同じ一門の武術とは思っていました」
やはりそれなりに知っていたか。
ま、相手は英雄派の独立部隊だ。それなりに目立つだろうから、まぁリルベットも知っているだろう。
「どうにも英雄派は仁義に欠けているところがあり、また正規の構成員から私の覚えは悪かったことが多い。ただ木曽分隊は私のことも気に掛けてくれており、比較的仁義がある者達でした」
そう語るリルベットは、ちょっとほっこりしていたようだ。
それなりに心休まる時間だったのかもしれない。
「特に義仲殿にはよくしていただきました。どうも私のような浮き気味な者達をスカウトする気だったようで、木曽分隊は」
……地味に面倒なことになっているな。
こっちと因縁のあるやつがいる木曽分隊が、規模そのものが向上しているのならかなり厄介だ。
変なことにならないことを心から祈るぞ、マジで。
《Other》
「曹操。リルベット・D・リュネールが抜けたってのは本当かい?」
「義仲か。ああ、分派よりの連中が駒王町に一当てしたみたいでね。彼女はそこでの工作担当だったみたいなんだけどね」
「……つくづく向いてない人選だろうに。最も、彼女は誇り高すぎて
「結構気に掛けていたみたいだね」
「まぁね。英雄に夢を見過ぎというか、現実を俯瞰して開き直っているこことは相性が悪いとは思っていたよ。彼女は悪党の素質が無さすぎる」
「手厳しいね。人間が異形に勝つには、手段なんて選んでられないとは思うけどね」
「そもそも殺し合いってのがそういうものだしね。……ただ、毛色を変えればそういうのもたくさんいるとは思うけどね」
「……まぁ、人員を一気に増やしすぎたとは思ってるよ。最も、コハヤは責任を感じているのか上手くまとめる体制を作っているみたいだけどね。シャルルマーニュがあれだ」
「彼女は気質が正反対だしね。大真面目に世界全体の未来を憂いている禍の団幹部なんて、彼女ぐらいじゃないかい?」
「それは確かに。ま、そろそろ大きな手柄を立てた方がいい状況なのは事実だ」
「英雄派で洗脳されてない正規構成員は、この短期間で加速度的に増えている。洗脳したのも加えると下手な小国の軍隊すら超える数だけれど、意思統一が追いついてないのは間違いない」
「優秀な英雄が多いのはいいけれど、それを纏めるのに苦労しているところだよ」
「器の大きいカリスマにも悪い点があるってことだね。たくさん一気に集まってきた所為で、本当の意味でついていけたり折り合いをつけられる者達以外の、不穏分子まで集まってしまっている……いや、比率的にはそっちのが多い」
「俺だけならまだマシだったろうけど、コハヤが来てから一気に増えたからね。まぁ金や資材も集めてくれるからこそサブリーダーだし、その責任は果たしてくれてるけれど」
「日本国を支配することが真面目にできそうだった犯罪一族の本家筋だってのは伊達じゃないか。カリスマと象徴を
「世界各国でコンラや俺達みたいなのが集まりそうなところを、裏社会だからこそ分かる視点で探し出して集めたみたいだしね。何なら以前から似たようなことはしてたみたいだよ。彼女直属の私兵集団って、世界各国のストリートチルドレンや難民孤児で、頑張って成長すればするほど優遇される体制を作っていたらしい」
「一族壊滅前からそういうことを推し進めて、壊滅のタイミングで火事場泥棒してそっちの増強に充てたってわけだ。そのネットワークに君という神輿……というか旗艦がついたことで、大拡張に成功したわけか」
「そういうことさ。更にそのネットワークを利用した金策もあって、彼女は見事英雄派のサブリーダーさ。独自に動いているところはあるようだけれど、最高幹部の多くを集めている俺達と敵対して組織を割るような奴なら、とっくの昔に動いているだろうさ」
「……危険視しているのに気づいていたのかい? まぁいいや、それで
「そろそろのつもりだよ。今ヴァーリチームと一緒にいる方は、十中八九美猴が変化した餌だろう。そしてそこまでしてまで連れ出したのなら、最有力候補は一か所に絞られる」
「赤龍帝に興味を持っていたって話だしね」
「ああ。コハヤが色々と取り入りを画策していたみたいで、その辺りの情報は掴んでたよ」
「例のグラビア写真集? 男女双方を狙って、変化できるのをいいことにオーフィスを変身させまくってたとか」
「ちなみに異形社会でわざと流通させて小金を稼ごうとしていたのは流石に止めたよ。
「あれはもはやイメージビデオの域だよ。コハヤはオーフィスに殺されても文句は言えないと思う」
「ま、その辺の解決にもなるだろうさ。そろそろ大活躍しておかないと、折角ここまで大きくなった英雄派が自己崩壊しかねないしね」
《兵藤一誠》
どうしようか迷ったけど、やっぱり相談するしかない。
「樹下、秀華さん、美子ちゃん。……マジで相談があるんだ」
「「「……具体的には?」」」
三人を呼び出して相談すると、もの凄く神妙な顔になった。
ま、うすうす何かしてるってのは気づいてるだろうし仕方ないな。
……今、俺達グレモリー眷属はオーフィスの面倒を見ている。そしてそれは、秀華さん達桃山警護事務所にも伝えてない。
アザゼル先生がヴァーリと手を組んで、この街の監視網を掻い潜って連れてきたんだ。ちなみに護衛なのかフェンリルを連れて、ルフェイと黒歌が付いて来ている。
なんでもオーフィスは俺が真女王に進化したことに興味があったらしい。どうもヴァーリがそこから俺のところに連れてくることを考えていたみたいで、アザゼル先生に話を通して情報提供と引き換えに協力することになったとか。
リアスもガチギレしてたけど、それだけの価値があるみたいだ。アザゼル先生もマジで命がけで動いているみたいだし、俺達も誰にも言わない形で動いている。
だけど、流石にちょっと……エロに明るい人達に相談したいことがあるんだ。
「実はヴァーリからある
それとなくぼかす。本当はオーフィスという者だけど、一緒についてくる形になった物にする形でだ。
そして俺は、それをそっと出す。
それを見た三人が……思わず目をこすって二度見した。
ですよね。ですよね! そうですよね!!
だって、だって―
「……無限発情象徴……?」
―そんな阿保みたいな題名のついた、マイクロビキニを着たオーフィスの写真が表紙になっている写真集だからね!?
「どこから突っ込んだらいいのか分からないんだが、これをヴァーリが……?」
樹下がありえないものを見た感じで言ってくる。
「まぁ、そんな感じでお願いします」
ヴァーリには悪いけど、当分はそういうことで押し通したい。
実際はちょっと違うんだ。どうもオーフィスは俺がスケベなのも聞いていたみたいで、それでこの写真集を手土産に持ってきてたんだ。
「あの先輩、これ第三弾になってるんですけど?」
美子ちゃんですらマジ顔だ。でしょうね!?
「もう五弾まで出てるみたいなんだ。とりあえず、読んでみてまだ誤魔化せそうなのを持ってきた」
何冊も出てきてるみたいだ。
「ちなみに詳しく聞いてみたけど、コハヤ・リバーが禍の団の広報誌でオーフィスのグラビア写真を載せるってことをしてたみたいで、没写真を含めたのをまとめた物らしい。外の売り付けて収入源にする話もあったって」
「トチ狂いすぎてない藤花!?」
秀華さんが絶叫するけどまぁそうだよね!?
実の妹がこんなアホな写真集で小銭稼いでるとか、そりゃ混乱もするだろうさ。
ま、そこは本題じゃないんだ。
「ただ読んでみると分かるけど、色々やってるみたいなんだ」
そう言いながら、俺は写真集のページを広げる。
そこには全体的に俺達が知っているオーフィスの面影を持つ、老若男女の写真が写っていた。
オーフィスは姿を自由に変えられるみたいで、それを利用した写真集らしい。
服装も色々で、ポーズや小物も色々。ただイメージビデオよりの構図が多い。
そして、ここからが問題だ。
「……なんなら、オーフィスは
「「「……え~……」」」
ところてん。食品じゃなくてエロい隠喩。
前立腺マッサージ的な感じで男を出させるあれの例えだ。
もう三人揃ってドンビキだ。当然だけど。
「……コレどうしたらいいんだろう。っていうか、禍の団って何考えてるんだ……?」
もうマジで訳分かんない。意味不明すぎて思わず呟いちゃったよ。
「誰か止めなよマジで……」
思わず秀華さんが天を仰いでいる。
いやホント、本当にね?
何考えてるのかなコハヤ・リバー!?
今回、ウロボロス編もだいぶ長くなると思います。
そして圧倒的武芸者対決、絶花VS流花。剣術限定なら絶花が数段上ですが、実戦経験の差や総合的な武芸のポテンシャルで競り勝てるレベルといったところですね。