シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
まぁそれはそれとしてこっちも頑張っていきたい。応援お願いします!
《宮本絶花》
今日はバイト先の桃山警護事務所に呼ばれて、こうして本社の一室に招かれている。
……美味しそうな料理がいっぱいだぁ。
「ごちそうがいっぱいっすね! 誰が作ったんですか!?」
「今日は全社員で頑張ったよー。一応こんな格好を正装にしているから、家事スキルは全員磨かせてまっす!」
シュベルトさんに所長さんがそういうけれど、全部美味しそうってことは全員料理ができるのだろうか。
いや、見かけだけは美味しいけど味はいまいちなこともあるのかも?
そんなことを思っていると、ぽんと小笠原さんが肩を叩いてくれた。
「ちなみにロシアンルーレットじみたトラップはないから大丈夫だよー。総監督担当がちゃんと確認してるから」
あ、杞憂だったみたいだ。
でも総監督担当って誰なんだろう?
そう思っていると、小笠原さんは雨宮さんの方を振り向いていた。
「ですよね麗奈お姉さまー!」
「ま、一応ねー。場末の飯屋や居酒屋レベルでなら十分評価されるレベルの味にはなってるから安心しなさい」
雨宮さんが料理の総監督だったのですか!?
「ちなみに、ジャンルの違いとかの差を踏まえて総合的に評価してもらったことがあるが、麗奈さんが総合一位だ。あと育ちがよすぎる秀華と美子で3トップ。まぁその下にアウトドア料理で稼いだ麗夜さんが続くわけだが」
「お菓子も踏まえると麗華もいい線行くけれど、彼女は結構な頻度で来ているゲストどまりだからこの場合は除外ね。麗夜やコナユキはサバイバル料理やお茶の用意とかだとある程度過去の教育が生きるけれど」
と、樹下さんとアルトリーネさんが続けてくれた。
……意外な人選だと思ったのは失礼だろう。
ただ、麗奈さんは雰囲気的に料理とかをあまりしない印象だった。なんというか、出先の料理とかで済ませるようなところがあったというか。
ただ少し食べてみると、凄く美味しかった。
この事務所の人、料理上手な人が多いんだろうか。
「……まぁ、大半のメンバーは料理経験があまりない方が多いわけだが。この事務所、もとの結成理由が理由だから高校も卒業できてない比率が多い分、家庭科の授業日数が足りてないことが多いからな」
樹下さんが遠い目だった。
一応、一通りの説明は聞いている。
四年ほど前に世間が色々と騒がしいことになった、様々な業界での大規模不正や腐敗といったものの一斉摘発。その不正や腐敗の元締めといえるような一族の次期当主となりながらも、一斉摘発を計画して成功させた、波柴秀華さん。半分監視も兼ねて所長として活動することになったのが、この桃山警護事務所だと。
初期のメンバーは一斉摘発に伴い政府の監視下に置かれたりした人達が大半で、その後も特務社員は多かれ少なかれそのあおりを食らった波柴の被害者。小笠原先輩はいわば後見人の親族に近いということだ。
凄い悪い人達がたくさんいたってことなんだろう。なんでもその事件の黒幕側は、何人も既に死刑が執行されているもニュースで見た。
それでも、こうして頑張っているんだ。
みんな強い人達なんだろう。
単純な戦闘なら、勝てる人は多そうだ。だけど、私はニュースで見ただけのような人生を送っても立ち直れる自信がない。
……ここのバイト、少し不安だったけど続けてもいいかもしれない。
そう思った時だ。
「……所長。本日のメインが到着したそうです」
専務の楽さんがそういうと、何人かが静まり返った。
「あの人ですか、所長」
「そうだよ美子ちゃん。新入りにして、たぶん現状のメンバーで最も問題児になるだろう人。現代日本のドクターウェスト*1とでもいうべき存在」
「……毛色が違う気がするが、ある意味似たような領域かもしれないのが酷いね」
なんだろう。小笠原さんに所長さん、それに空本さんがもれなく頭痛を堪えている。
というより、樹下さん達を含めて結構な人達が額に当てたりしている。
「初期メンバー全員がこの調子。……いざとなったら私達でぶちのめして気絶せるわよ」
「もちろんよ。ウォーミングアップは終わらせているわ」
雨宮さんとアルトリーネさんが構えている?
え、どういうこと?
その時、ドアがノックされた。
「どうぞー新入りさーん」
微妙にタックルを入れる準備をしながら、所長さんが返事をする。
そして勢いよくドアが開かれた。
「お初にお目にかかる者も多いだろうな先輩方!! 新入社員にして技術顧問!! 朝月・フォン・ツェッペリンだ!!」
元気よく、メイド服に白衣を羽織った赤毛の女性が入ってきた。
そして興味深そうに私達を見回した。
「何でも作れるとは言わないが、欲しいものがあったらできる範囲で開発するので行ってくれ! 例えばオーダーメイドの専用バイッバァァッ!?」
「言わせないぞ?」
あ、何か言いかけてる間に蹴られた。
そして蹴りを入れた人を中心に、メイド服を着た人達が入ってくる。
「私達って着なくてよかったんですか、所長!」
「流石にバイトの子にまでそこまでノリにつき合わせるのもねー。あ、でも着たいのなら止めないから。美子ちゃんも最初はそうだったし」
「執事女子とかもオッケーだよ! 今度エルターちゃ……君も連れて来ていいから!」
アヴィ部長に所長と小笠原さんがそういうけど、反応的にエルターちゃ……君が実は女の子だってことに気付いているのかもしれない。
諜報面での心得がある人もいるとは聞いていたけれど、すごい組織だ。
と、朝月さんが正座をさせられて所長に説教されている中、蹴り倒した人がこっちを見て屈みこんだ。
背が高くして凛とした雰囲気の人だ。年齢は……二十代前半ぐらいだろうか?
「同期入社の朝月博士がごめんなさい。私は朝月博士のお目付け奴としてスカウトされた、嘉承真那月。こっちの子は、前職で私とペアを組んでいたのでタッグでお目付け役に任命された、安城伊緒だ」
「よろしくね。朝月博士は……エキセントリックな人だから、私達がカバーできない時は近づかない方がいいよ?」
なんというか、穏やかな人達だ。
ただ同時に、相当鍛えている人たちでもある。動きが雨宮さんやゼノヴィア先輩を思わせる辺り、同じところで学んだのだろうか?
そう思っていると、リルベットが少し辺りを見回していた。
「……確か、新入社員は四人おられると聞きました。残りの一人はどちらに?」
あ、そういえば。
新入社員の歓迎会を、バイトの私達も含めて行うという話だ。それで人数も、バイトの私達と同じで四人ずつってことになっていたはず。
そう思った時、ちょっと扉の向こうがどたばたと―
「そして最後の真打登場!! トリを飾るはトレードで来ました……ナミネ・ルミナスでっす!!」
―元気一杯な吹本さんが入ってきました!?
《空本麗夜》
話には聞いていたけど本当に来たんだ。
それが素直な感想だった。
ナミネ・ルミナス。少し前の一斉摘発に絡む大騒ぎで、ある意味でMVPな人だ。
神祖の配下だったトキコ・アガレスの情報をこっそり集めてタレコミ。ことが起きてからは純潔十字連盟が参戦した理由である奇跡の子を保護。何ならそのまま守り切り、ついでに敵も結構ぶちのめしたとか。
元々はトキコ・アガレスの親戚筋である上級悪魔の眷属であり、星辰奏者かつ神器持ちだったことで、ゲームデビューから数年で上級昇格試験受講資格を獲得した傑物だったりする。
ただその後、親戚の初期眷属に頼れる眷属をいう善意で未使用の駒とトレードされたのが運の尽き。その頃には神祖である高野創氏によって心身ともに凋落されており、トキコは眷属を隠れ蓑にして創氏為だけに生きていた。
ただ勘づいたうえで、あえて即座に動かず少しずつの立ち回りで準備を整え、好機を逃さず所長達に垂れ込んだ。おかげで色々大活躍だ。
ただまぁ、主がシャレにならないレベルの不正をしていたこともあって、出世の未来は閉ざされた。うかつに踏み込んで口封じされるリスクを警戒していたこともあって、結果的に悪魔の駒やその素材にフェニックスの涙といった貴重品の横流しを結構な間黙認しているわけで、受講資格は取り消しだ。
ただ、不正貴族一帯の巻き込まれたタイプの転生悪魔に対し、所長や麗華が臣下にスカウトという形でフォローを敢行。そこに目を付けたのか、プレゼン資料を自分で作るレベルで売り込んできた。
こっちとしても、悪魔社会に結構慣れている彼女の存在は相応に基調と判断。冥界方面の先任軍曹的なポジションを意識する形で、こうして正規社員としてのスカウトになったわけだ。
「というわけで、前々主様からお土産もらってきましたー! 中学生いるからお酒がぶがぶって展開は厳しいってことで、そういうのに配慮したオレンジサワー風味を24リットルタンク二つ分!」
「お、いいねいいねー! ……でも、お酒の味に興味覚えるとついつい飲みたくなるっていうし、念の為中等部組は控えてねー?」
と、ナミネさんが持ってきた樽を見ながら、所長が釘を刺す。
ただ、中等部のバイト組だけってのはちょっと引っかかるところもあるだろう。
中等部側が不満を見せるより早く、真那月さんが質問の体制だった。
「高等部組は例外なのには理由があるのですか?」
その質問に対し、所長と誠二さんはそっと視線を逸らした。
「……羽柴一族は悪の組織だから、未成年飲酒どんと来いなんで。むしろ「酔った勢いで持ち帰る側が持ち帰られてはいけません」って理由で呑みならされてるから手遅れだったり」
「教育機関でも一族のフォローをする為に、質の悪いウォッカをそこそこ煽った状態での戦闘訓練とか色々させられたんで、今更っていうか」
「英国出身だか、ら……そこの成績だけは上位」
何故かコナユキが親指を立てている。
ちょっとよく分からないでいると、リルベットちゃんとシュベルトちゃんがうんうんと頷いていた。
「英国は飲酒に対して非常に寛容な国ですからね。家呑みならば家族がついていれば幼子でも飲めます*2」
「欧州は水の質が悪かったんで、昔は飲み水っていうとビールとかになってるんすよ。まぁ英国は現代でもその辺りが緩すぎなところがあるっすけど」
ところ変われば品変わるっていうのはこういうコトなのか。
一周回って感心している間に、俺も含めてある程度のメンツがオレンジサワーもどきを手に持った状態になる。
「まぁそういうわけで! バイトメンバーにもフ〇ンタ回して私達みんなでかんぱ~い!!」
と、その勢いでみんなで一気に飲みまくった。
………これが致命的に良くなかったとだけ、言っておく。
《樹下誠二》
「大丈夫ですか、樹下さん」
「迂闊だった。何年も飲んでないんだから、慣れも薄れているに決まって……それ以前の地雷だったか……うぉぇ……っ」
流石にラブホテルに住まわせるのはまずいとして、事務所の一室に居を変えてさせたリルベットに気遣われつつ、俺はため息をついた。
あの後、阿鼻叫喚とは言わないがちょっと大騒ぎになった。
ふと我に返ると、俺を含めて明らかに場酔いってレベルじゃない事態になっており、俺自身テンションが妙だった。
慌ててナミネさんから提供元の連絡先を聞き出して確認を取れば、とんでもないことが発覚。
ナミネさんが「オレンジサワー風味のアルコール風ドリンク」と認識して受け取ったそれはむしろその逆。
開発者が「あまりぐびぐび飲みづらい環境用に、大きめのコップ一杯で星辰奏者でも結構酔えるアルコール高濃度サワー」だったのだ。
材料は還元必須の濃縮オレンジジュースに酒はなんとスピリタス*3で直接炭酸を入れたという、割って飲んでるのにストレートでウォッカをあおるのに等しい劇物。
それをオレンジサワー感覚でジョッキで飲んでしまったものだからさぁ大変。酔いが回る前にお代わりをしていたので、誰もが思いっきり酔ってしまった。
平均的に一リットル近く飲んでいたな。おかげで俺も二日酔い気味だ。
「星辰奏者は肝臓も強化されるからザルになる……アルコールに強くなるってわけなんだが、元の素質が強化されてるだけだから限界はある。大人組は普通にあればっかり飲んでたから、ほぼ全員二日酔い状態だな」
ウォッカリットル飲みは星辰奏者でも普通に二日酔いコースだ。
おかげで、日課である朝の体操もできてない。
と、そこで朝食としてお茶漬けと漬物が出てきた。
「今日のところは軽めにしておくといい。あと、二日酔いのメンバーはこちらで面倒を見るから放課後もゆっくりしておいてくれ」
「助かるよ真那月さん。……秀華と美子は?」
あまり飲んでなかった真那月さんが無事なのはよかった。
ただ、俺も結構来てたから秀華達の情勢が分かってないんだが。
「日本国内において、元政府機関で現国際機関の未成年ががっつり飲酒したわけだからな。最低限の筋は通すべきとして、それぞれ方々に謝って回っている。今日は頭痛と吐き気とふらつきがあるので念の為に休む……ということにするそうだ」
あ、確かに。
「こんなことなら、酒をうっかり飲みかねない時用に秀華が確保してた、英国拠点に転移してするんだった」
俺がそうぼやくと、リルベットも真那月さんもちょっと驚いている。
「そんなものまで持っているのですか、この事務所は」
「というより、所長と話した限りではその手のものは残してないとばかり思ってたわ」
まぁ、そういうわけにもいかないというか。
「羽柴一族の一斉摘発後、残された合法側資産の数割は秀華の持ち物になってるんだ。本人は全部うっぱらうことも考えたが、それは日本政府側から「ある程度は持っておくべき」と説得されててな。……それで飲酒を考慮した英国別荘を残すあたりが秀華らしいけどな」
次からはちゃんと使うよう進言しとこう。
あと、イッセー達には前もって事情を説明しておいた方がいいよな、うん。
《兵藤一誠》
「というわけで、今日のところは秀華と美子はお休みってことで」
「中々面白いことになってるわね」
樹下の説明に、リアスがちょっと楽しそうにしてた。
ま、遠くから見てるとちょっと面白いかもな。
でもまぁ、二日酔いって大変らしいからな。しかも酒飲んでるって思ってなかったみたいだし、災難だよなぁ。
「……スケベなことにならなかったんですか?」
小猫ちゃんがそんなことを聞いてくるけど、樹下は肩をすくめていた。
「その辺りはぎりぎり一線を守れた感じだな。まぁ、俺含めて特務社員の貞操観念は壊れてるが、壊れてる自覚はあるから当人なりに気を使ってるんだぞ……秀華ですらあれでも自覚的なライン越えは避けてる」
「それはラインの設定が間違っているのではありませんか?」
ロスヴァイセさんの言い分が正しいと思ってるのか、樹下も途中から視線を逸らしてた。
まぁシャレにならないほどエロいからな、あの人。
駒王学園で制服着て記念動画取りながらエロいことしたいけど、絶対バレるからって理由で我慢したし。ただ我慢の仕方が「利権使ってほしい上役の要請にこたえる形で、エロいことする専用にレーティングゲーム技術を流用した疑似駒王学園高等部を作って発散」って方向なのはどうかって思うけど。大概だよな、あの人。
ま、ここ最近はちょっと事務所側とは距離を取ってたから、ある意味で都合はいいのかもな。
それとなく匂わして気遣ってもらう方向で進んでるといっても、今俺の家にはオーフィスがいるわけだし。なんなら黒歌とルフェイもいるし。
なんか黒歌が小猫ちゃんの発情期問題を解決してくれたけど、樹下達は結構暗部よりだから警戒心高目だしな。直接関わらせると、レヴィアタンを巻き込んだって形でややこしくなりそうだし。
とはいえ大事な部活の仲間だしな。もうちょっと気安く話せたらいいんだけど。
そう思ってると、樹下はため息をついてからなんかスマホを確認してた。
「あ~そうそう。それとちょっとご迷惑かけることがあるんですが、いいですかね部長」
「どうしたの? 急な仕事でも入ったのかしら?」
と、樹下がリアスに何か伝えたいことがあるようだ。
なんだろうと思ってると。
「そっちの昇格試験、ちょっと強引ですけどうちのメンバーも参加したんで。あと当日、秀華がサーゼクス様とすり合わせするようなんで、その辺りは根回ししておいた方がそっちも気が楽だなって」
………。
俺達は全員で顔を見合わせた。
あ、これ強引にでも入ってくる気だ。バレてる。
朝月、真那月、伊緒の三人はそもそも登場段階から桃山警護事務所入りを想定して設計していたメンバーです。ナミネは結構即興で設計していたのですが、まぁ設計段階でこっちも事務所入り前提です。
あと秀華の持ち資産は割とたっぷりある感じです。羽柴一族が世界的に見て十分強国である日本の転覆を狙える組織なので、表の活動拠点なども十分もってた感じですね。不労所得で所員全員養えるレベル。ここにレヴィアタン要素が絡むからもう利権がっぽがっぽ。