シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
それはそれとして、弁当用に冷凍作り置きでオムライス作りました。電子書籍で買った本に「スティックオムライス」なるものがあったので。あとケチャップをつけるのは冷凍保存込みだとあれなので、ククサブレなる東欧のハーブ入りオムレツを参考に、ハーブの薄焼き卵でトマトライスを包み込んで作った感じですね。
そして本編!!
《樹下誠二》
紆余曲折あり、今日は中級昇格の試験当日だ。
「悪いがアヴィ嬢。俺達は冥界に行くんで、今日のところはバイトは休みという形になる」
「そうなんですか? えっと、もしかし
アヴィ嬢に心配されるが、そことはちょっと方向性が違う。
「いや、悪いが別件だ。ちょっと事情があって、イッセー達の昇格試験にごり押しで便乗させていてな」
具体的には、新参側の特務社員の昇格試験をねじ込んだ形だ。
既にイッセー達がオーフィスを押し付けられているところは確定している。その辺りは秀華がサーゼクス様経由でほぼ確定した。
で、口止め料代わりにねじ込んだ形だ。まぁ、特務社員は特例なので昇格試験を受けるのも一苦労ってことではある。
今回試験を受けるのは、信子さんにコナユキ、麗奈さんに美子の四人。特務社員としての入社が同時期の後発組は、先発組である俺らと同じタイミングでの中級昇格試験を受けてなかったからな。
まぁ合格は問題ないだろう。筆記に関しては俺達もアドバイスしたし、実技に関しては……いうまでもなさすぎる。
不安なのはイッセーだ。あいつは
まぁ、アヴィ嬢をそのままにするのも不安ではあるがな。
サタナキア家の関与が濃厚な今回のお家問題。事情問題に関してはグレイフィアさん達も警戒しているし、この街周辺にいる分には下手なごり押しはできないだろうが、そもそもねじ込んできた時点で警戒は必須だがな。
その辺りは直属の上役である、現アスモデウス様とも協調体制を取る形だ。その為先行して秀華はサーゼクス様のところに話を聞きに行っている。
ま、そこまで致命的な問題ではないだろうが……懸念がないとも言い難い。
「それとこれは別件だが、どうも禍の団内部でもめ事が起きている可能性がある」
「そうなんですか!?」
驚くのも無理はない。最も、これはあくまで俺達の推測だが。
禍の団にとって大敵ともいえるイッセーのところに、オーフィスを連れていく許可が出るというのもそもそもおかしい話だ。
しかも連れて行くのがヴァーリチームというのもあれだ。あいつら、禍の団でも好き勝手かつ自由奔放に振舞っているという話だからな。俺が禍の団なら、オーフィスを敵勢力へと一時的にでも連れていくのが公式な作戦なら絶対に奴らには任せない。本命はちゃんとつける。
だからこそ、禍の団の動きは警戒するべきだろう。俺が禍の団なら、いい加減ヴァーリチームを切ることを考える。というより好き勝手しすぎだし重篤なペナルティが確定だし、正直禍の団に若干同情するぞ。
ま、もしそうなると更に騒がしいことにもなるだろう。
「ま、そっちはそっちで大変だろうから、あまり深く気にはするな。昇格が確定したらパーティをする予定だから……まぁそっちも頑張って乗り越えるんだな」
「分かってます! あ、パーティの時は、エルターも連れてきていいですか?」
と、アヴィ嬢はそう尋ねる。
……ふむ。
「秀華には俺から言っておく。まぁ、たぶん大丈夫だろう」
サタナキア家の手のものである可能性を考慮すると、警戒は途切れはしない。
ただ、サタナキア家だと確定した場合は彼女の取り込みは確定だしな。上手くかわされるにしても、多少は餌をくれてやった方がサタナキア家の隙を狙えるか。
秀華もその辺りは考えるだろう。だからまぁ、それぐらいなら問題はないかもしれないな。
最も、その辺りを煮詰める為にも頑張らないと……な。
《空本麗夜》
さて、そろそろ麗奈や美子ちゃん達が試験を受ける頃だろうね。
そこはまぁ気になるけれど、まずは所長の護衛に集中集中。
誠二にするという案もあったけれど、他のメンバーも慣れた方がいいという形だ。あと誠二は試験会場の方に後で向かい、いざという時の謝罪回りを準備するらしい。
イッセー君がやらかすことを考慮しているのが怖いというか、付き合いの長さが光ってるというか。
とはいえ、俺は今秀華所長の護衛として、サーゼクス様と向かい合っている。
「……とまぁ、今日の一通りの会談はこれでいいだろう。さて、何か話はないかね?」
向こうも気づいておられるのだろう。カマかけはしっかりと入れてきたね。
「ではまぁ聞きますけど……アザゼル総督は締め上げます?」
所長がそれを聞くと、サーゼクス様は苦笑で返した。
やはり、そろそろ話しは通っていると思ったよ。
「アザゼルには悪いが、タイミングが微妙に悪いところはあるね。君達も既に気づいているだろうが、サタナキア家が色々と動いているので忙しいところはある」
「そちらに関しては何か分かりましたか? こっちもバイトの人生がらみですし頑張りますけど」
そこはそこで重要な案件だしね。大事な話だ。
そしてサーゼクス様も中々に困り顔だ。
「ファルビウムから情報提供があったよ。……アヴィ・アモンがアモン家当主の妻ではなくメイドの娘だとは知っているだろうが、正しくはメイドとして匿っていたアガリアプレト家の生き残りだということが、サタナキア家に知られたらしい」
その言葉に、所長はもちろん俺も警戒度合いを上げる。
アガリアプレト家。そこまで詳しいわけではないけど、グレイフィアさんのルキフグスや件のサタナキアと同じ、ルシファー直下の名門上級悪魔だ。
断絶しているという話だったが、生き残りがいてアヴィ嬢がその血を引いているとは。
「当時の情勢もあって、彼女が独り立ちするまでは本人にも隠すという判断だそうだ。その為に相当念入りに物証を処理していたのだが、サタナキア家はどこからかその確証を得てしまった。……エルター・エルプルスという眷属候補を送り込んできたのも、その一環だろう」
……びっくりするほど仕掛けてきてるよね。
寄りにもよって、
タダのあほなのか自信が過信に代わっているタイプなのか、それとも本当に札があるのか。どちらにしてもこっちにとっても敵といっていいだろうね。
「今は英雄派案件で忙しいところにこの二つも出てきている。まぁ正直、私達としてもこれを好機として彼らに対する締め付けを強くしたい。最も、同時進行になるであろう英雄派によって禁手になれるだろう神器を持つ転生悪魔の立ち回りも重要だろうが」
そう考えると問題だらけだ。
英雄派が人工的な禁手の到達方をあえて流したことによる、各地での暴発の懸念。サタナキア家がアヴィ嬢の秘密を嗅ぎ付けたたことによる、タイミングの悪い暗闘。そこにアザゼル先生が独断で持ち込んできた、オーフィスの来訪。
中々に大イベントが多すぎる。軽く頭痛がしてきそうだよ。
「既に雨宮司教からも話は聞いている。ミカエルにも通信越しでだが会談に参加してもらう予定だ。アザゼルの独断専行からくる事後承諾とは言え、この好機は逃せない」
「禍の団からオーフィスが抜ければ、そのまま空中分解が期待できますしね」
サーゼクス様も所長も同意見といったところだろう。
禍の団はあまりにもバラバラな組織が、オーフィスという最強格の象徴を軸として結成された組織といっていい。オーフィスの存在がいなくなるだけで、おそらくまとまりはなくなるだろう。
そういう意味では好機だ。ただ、懸念もある。
「……どう考えても、ヴァーリチームの独断ってところが気になりますね。禍の団側がこのままって可能性もちょっと考えづらいですし」
所長の言う通りの懸念だ。
はっきり言って、ヴァーリチームはいくら何でも自由過ぎる。組織人の観点から言うと多大に問題があり、禍の団が寄り合い所帯とは言え国際活動レベルであることを踏まえれば色々と迷惑な側だろう。
組織の象徴を敵対勢力に送り出す護衛部隊だなんて、そんな扱いがされるとは思えない。独断で勝手にやらかしたっていう方が納得できるし、その辺りも匂わされていた。
実際問題、サーゼクス様も同意見なのだろう。しっかりと頷いている。
「おそらくだが、禍の団そのものがオーフィスに対して何かを目論んでいるのだろう。それを察知したヴァーリが、事前に安全圏に逃がしつつ、それらを釣り上げて一戦交えたい……というのが、アザゼルの推測だ」
なるほどね。
まぁ、オーフィスの目的そのものは禍の団全体にとっても不利益ではある。何かできるのならしたいと思うところはあるだろう。
さて、相手はこれからどう出るか。
「私達は現状、オーフィスを受け入れる極秘会談の準備は最終チェックが必要になり、流石に直接向かうことはできない。済まないが、そろそろイッセー君達の試験も終わる頃だろうから合流をしておいてもらえるかね?」
「そこは勿論大丈夫です。……敵からしても、仕掛けるならその辺りが好機なのが懸念ですけどね」
所長がため息をつくけれど、これはもう仕方ない。
はっきり言って、オーフィスが正式にトップと会談をしてしまうというのは阻止したいことだろう。逆説的に、介入して動くのならその直前がぎりぎりのタイミングだ。
ヴァーリチームもその辺りの対策は取っているだろうし、アザゼル先生達だってわざわざ敵が仕掛けやすい所にいるわけもないだろう。
だからまぁ、万が一止まりではあるだろうけどね。
……こういうタイミング、ここ最近だと高確率で仕掛けられるんだよなぁ……。
《兵藤一誠》
……………え?
俺は今、中級昇格の実技試験で……困惑してる。
何なら前からちょっと困惑していた。
皆が皆、俺が筆記に自信がないから実技に備えたいっていうのに「必要ない」って気楽に受け止めてるのが最初から気にはなってた。一緒に試験を受ける朱乃さんや木場も、実技に気負うところがまったくなかったし。
そして土壇場で雨宮さん達も試験を受けることになったけど、これまた実技の時が雰囲気が軽かった。
で、実技試験直前。俺の方を見てた雨宮さんから絶対に守るようにというアドバイスをもらった。
『禁手になってからは、
なんていう念の入れ具合だった。
だから至ってからはジャブしか使ってない。そしてまだ一分しか経ってない。
経ってないのに―
「も、もう無理……降、参……です」
―なんかもう、相手がへたり込んでる。
おかしいな。この人だって、中級昇格試験を受けれる人だってのに。神器も持ってるし、まだまだ本気を見せてないっぽいのに。
なんかびっくりするぐらいジャブが当たるし、攻撃も簡単にしのげるし、かなり派手に喰らってる。
……え、これってお互いに様子見の段階じゃないの、か……?
俺はめっちゃ困惑して係員を見るけど、係員の人も首を横に振っている。
「試合終了! 兵藤一誠さんの勝利です!!」
……え?
「あれが、音に聞こえしおっぱいドラゴン……」
「相手が悪すぎる。流石に同情するぜ」
「既に下手な上級悪魔を超えてますね。むしろよく戦った方でしょう」
外野の人達も、俺を恐れてたり相手の人に同情したり褒めてたりしている。
………あれぇ~?
ある意味生殺しな気がするから悪いことをしたのかもしれぬ。