※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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はいどうもー! お盆休みは寝てばっかりなグレン×グレンでっす!

びっくりするほど寝てしまう。昼前まで寝てたのに少ししたら夕方までさらに寝てしまう日があるレベルで寝てしまう。…………疲れてるのだろうか………?

それはそれとして本編!


第六話 龍喰の余興(その1)

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 思った以上に、敵の動きが早かった。

 

 というより、瞬時に周囲を確認する限りは……完璧に俺達をピンポイントで狙っている。

 

 更にオーフィスまでセット。これはつまり、相手がアホだったってことなんだろう。

 

「黒歌! 仙術で敵の位置分かる!? いや、私達以外の位置!!」

 

「……建物の中に七人ぐらいで、その更に向こうに数百人いるわね。大体方向はあっち」

 

 所長が即座に黒歌に確認を取り、そして一瞬だけ目を伏せる。

 

「全責任は私がとる。誠二、反粒子投擲!! 多分少数の中に曹操がいる!!」

 

「開幕速攻で首脳陣潰せと……同意見だ!!」

 

 即座に誠二は納得し、反粒子を纏える魔剣で即座に指示された方向に投擲を敢行。

 

 反粒子の力であっさりと構造物を滅ぼしながら、魔剣は投擲され……その瞬間、壁を突き破って炎が放たれる。

 

 狙いはつけてないだろうが、この射線上だとイリナちゃんとアーシアちゃんに直撃する―

 

「……ん」

 

 ―そう思った時、オーフィスが無造作にオーラを放って弾き飛ばした。

 

 その動作に、誰もが一瞬呆気にとられる。

 

 えっと、二人を……助けた?

 

 いや、そこは一旦置いておこう。

 

 とりあえず、オーフィス側に敵意がないということでいいだろう。

 

 そして、問題にするべきは前方だ。

 

 このタイミングで、俺達まで巻き込んでオーフィス潰しとはね。

 

「……中々切れ味の鋭い攻撃だね。この間の意趣返しをするつもりが、また先手を取られてしまったよ」

 

 そして反粒子も捌いたってことか。

 

 のんきなぐらいの曹操の声に、俺達は臨戦態勢を取る。

 

 そのうえで、相手から仕掛ける様子がないので少しずつ前進。

 

 すると、ホテルのロビーにあるソファーに、四人ほど座っていた。

 

 四人掛けのソファーに座るは、曹操を中心にコハヤ・リバーとゲオルグ。一人掛けのソファーには巴御前。

 

 そして、巴御前の後ろには見慣れない三人の男女が立っている。

 

 三人揃って、こっち側に強い興味を持っている視線を向けてきているのが不安だね。一人は間違いなく俺に向けられてるし。

 

 ただ、今ここで攻撃をする予定はなさそうだ。

 

「どういうつもりだ曹操。……こっちは中級昇格試験が終わった打ち上げだったってのに!」

 

 イッセー君がそういうと、曹操は興味深そうに肩眉を上げる。

 

「お、やっとかい? 実力だけなら君達全員、上級悪魔クラスは余裕であるからね。いい加減中級昇格試験ぐらいは受けさせる方がいいだろうにと、冥界政府には思ってたんだよ」

 

 それぐらいには評価しているようで何よりというべきだろうか。

 

 いや、むしろ警戒されているというべきでもあるか。

 

「まぁ、筆記はともかく実技は問題ないだろうさ。試験を受けるような悪魔の九割九分九厘は、そのほとんどが中級の中未満。上澄みレベルで中の上から上の下ぐらいだ。赤龍帝クラスを相手にするには、はっきり言って全く足らない」

 

「正当な評価どうもありがとう。……で? お前達の目的はオーフィスが本命……でいいのか?」

 

 誠二がさらりと鎌をかけると、曹操達は動揺することなく頷いた。

 

 隠すつもりもないと。また堂々と動いたものだよ。

 

 ましてオーフィスだけでも総力を挙げるべき案件だろうに、俺達を連れてきて妨害させるのもかまわないと。大概やばいねこいつらも。

 

 最も、肝心のオーフィスはのんきな様子で首を傾げていたけれど。

 

「……曹操、我を倒す? でも無理」

 

 倒されない自信という次元じゃない。

 

 1+1は2という、そんな単純極まりない計算レベルの常識的な指摘。そういうレベルの反応だった。

 

「だろうね。しかし、俺達にとって必要なのは無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)であり、オーフィス個人は必要ないというのが全体の結論だ。ジャーク団の光吉や、うちのコハヤはしぶしぶな感じだけどさ?」

 

 そう苦笑する曹操に対し、コハヤは盛大にため息をついていた。

 

「当然でしょぉ? 面倒なことは多いけど、懐柔できるならその方が圧倒的に使い勝手いいのにぃ。さっさと会談に速攻投入するとか、やりようはあったと思うんだけどなぁ?」

 

 物騒なことを言っている。

 

 まぁ確かに、それができれば圧倒的に有利に動けてはいただろうね。

 

 もちろん、それだと他の勢力の危険視がやばいことにもなるだろう。コハヤ自身もそれは分かっている感じの、あくまで可能性レベルの意見だったけれど。

 

「……あなたが曹操ね。私の下僕達を褒めてくれるのは光栄というべきかしら」

 

 リアス嬢がそう告げると、曹操はとても興味深そうな視線を向けていた。

 

「やぁ、初めましてってことにした方がいいかな、リアス・グレモリー? いやぁ、疑似京都での出会いは鮮烈かつ一瞬すぎて、あれを初対面にするのは難しいしね」

 

「言わないで頂戴……っ!」

 

 リアス嬢が顔を真っ赤にしているけど、さもありなん。

 

 着替え中に何故か転移して乳首つつかれたしね。あれがファーストコンタクトとか、一瞬だけど曹操に同情したくなるレベルだね。

 

 ま、それはともかく置いといて。

 

「ルフェイから話は聞いている。オーフィスを狙っているのはお前達なのは確定でいいが、ヴァーリ達をもう片付けたのか?」

 

 誠二がそう尋ねるけど、確かにね。

 

 ヴァーリチームが好き勝手出来ている理由には、間違いなく個人個人の戦力がシャレにならない高さだということが大きい。

 

 それを簡単に倒せるとは思えないんだけどね。

 

 と、曹操も肩をすくめている。

 

「あっちが釣りなのはこっちも気づいてたんでね。うかつに戦うとこっちも被害が大きくなりそうだし、フェニックスの涙を横流ししてもらっている連中などを経由する形で大王派にあいつらの位置をリークして観察したんだ。流石に気づかれて後詰が来ていて、ヘラクレスやジャンヌが相手をする羽目になってるけど」

 

 サリアローズ殿達がいいように利用される形になったか。

 

 ま、この件は大王派にまで流れてはいないだろうし仕方ないか。諜報戦なんて出し抜き合いだから当然のことでもある。

 

 そして、問題はそこじゃない。

 

「……で、オーフィスを倒す算段があるから此処にきていると」

 

 俺が小さく呟くと、曹操は聞こえていたのか頷いた。

 

 まぁ当然だ。

 

 英雄は敵を研究して対抗策ぐらい考える手合いだ。無策で無限の龍神を倒そうとするわけがない。

 

 おそらく、疑似京都で言っていた龍喰者(ドラゴン・イーター)。グレートレッドに通用するか試すと言ってたそうだし、それを使うのだろう。

 

 そう思った時、フェンリルが光に包まれる。

 

 何かと思えば、フェンリルが交換されるようにヴァーリが姿を現した。

 

「やぁ曹操。中々面白い趣向で俺達を出し抜いてくれたね」

 

「ヴァーリか。そういう保険をかけていたとは思ってなかったよ。……まぁ、アレを使うのならちょうどいいのかもね?」

 

 静かにヴァーリと曹操が睨み合うが、曹操の余裕は気になる。

 

 そこまで例の切り札に自信がある。そういうことだろうか。

 

「ヴァーリから聞いた龍喰者ってやつか? 大方、高位神器の龍特化型禁手か、新種の神滅具ってところだろうがな」

 

「個人的には毛色の違う対龍特化禁手を組み合わせる、神器保有者部隊って線だと思ってますけど。それぐらいないと龍神は……ねぇ?」

 

 アザゼル総督と秀華所長が警戒しながらそう言うと、曹操は首を横に振った。

 

「違うんだ。そうじゃないんだ。龍喰者は遥か昔から存在するものにつけられたコードネーム。遥か昔、聖書の神によってそうなった存在に名付けられたコードネームだ」

 

「……やっぱ使うわけね。じゃ、当分は様子見ってことで」

 

 巴御前が肩をすくめる中、曹操に頷いたゲオルグが魔法陣を展開する。

 

 形式としては転移系。……ただ、明らかに寒気がやばい。

 

 一体、なんだあれは……!?

 

「……ま……さか……っ!?」

 

 この寒気に心当たりがあるのか、総督は顔を真っ青にさせていた。

 

「ハーデスの野郎、そこまで俺達が嫌いか!?」

 

「ま、こっちとしても最終手段ではありますがね。絶対にあの骸骨神は、これを適当に難癖付けて俺達ごと潰しに来るでしょうから。……まぁ、それだけの価値がある一手ということで一つ」

 

 苦笑する曹操の後ろで、それが具現化する。

 

 ラミアを思わせる、下半身が蛇になった人間……いや、堕天使。

 

 あらゆるところが意図的に苦しめるように貼り付けにされたそれは、血を流し続けている。

 

 ……なんだこれは。

 

「ダーリン……あれ、やばい」

 

 美子ちゃんが、顔を真っ青にして震えながら俺の服を掴んでいた。

 

 美子ちゃんがここまで反応する代物。それだけで危険度を上方修正するに値する。

 

「大丈夫、美子ちゃん。すぐにこっちに何かするって類じゃない」

 

 対オーフィス用の切り札なら、速攻で俺達に使うとは思えない。

 

 そういう冷静な判断だったけど、美子ちゃんは首を横に振る。

 

 やばいの方向性が違う。それは分かった。

 

「あれ、呪いを受け続けて変質したタイプの呪物だよ、ダーリン。……でも、向けられる負の念が、やばすぎる……っ」

 

 その震える言葉に、曹操は笑顔で頷いた。

 

「良い勘してるね、小笠原美子。こいつに向けられる負の念は特別製なんだ。なんたって……あの聖書の神が怒りと憎しみをここまで向けるなんて、異常事態レベルだ」

 

 聖書の神が、憎しみを向ける?

 

 その説明が、その存在がやばいことを物語っている。

 

 神の子の処刑に使われ、その血に触れた聖遺物は神滅具の元となった。

 

 裏を返せば、原点といえる聖書の神はその上をいくだろう。それも、怒りと憎しみなんてものを一身に浴び続けた。それはもう、負の聖遺物……その頂点といえる。

 

「ではご紹介しよう。……これが俺達に龍喰者と呼称される、龍神殺しをなせる鬼札(ジョーカー)……サマエルだ」

 

 曹操は、そう言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なになになになに、どういうコト!?

 

「すいません、サマエルって何ですか!? 天使の誰か!?」

 

 名前の感じ的にそんな雰囲気だけど、めっちゃ禍々しい。

 

 アザゼル先生達堕天使だって、あんなもんじゃねえよ。レベルが違いすぎるよ!?

 

「アダムとイブについてぐらいは流石に聞いたことない? 楽園で知恵の実を食べたことで、主から楽園を追放された一組の男女であり人間の祖」

 

 雨宮さんが、歯噛みしながら俺に教えてくれる。

 

「それをそそのかした蛇にして龍、そして天使の名前よ。確か厳重に冥府で封印されてるって聞いたけど、よくやるわよハーデス神も」

 

 え、つまりあのアイアンローズ側が色々やったってこと!?

 

 ……嘘だろ。神器は邪悪で被害がたくさん出ても滅ぼすべしな連中が、神器宿した俺達で異形に挑戦だなんてノリの英雄派と手を組んだってのか!?

 

 何が何だか追いついてない俺だけど、アザゼル先生もマジだった。

 

「あの一件は聖書の神もマジギレ中のマジギレだ。あそこまで怒りを向けたことも、まして憎しみに感情を他者に向けたこともそれぐらいしかないってレベル。それだけの負の念を浴びりゃぁ、そりゃ当然やばいわけだが……まずいっ!?」

 

 説明してくれる先生が何かに気づくけど、遅かった。

 

 サマエルの舌が信じられないぐらい伸びたかと思うと、オーフィスを包み込んだ。

 

「チィッ!!」

 

「させるか!!」

 

「このっ!!」

 

 樹下と木場とゼノヴィアが、それぞれ黒刃と聖魔剣とエクス・デュランダルで切りかかる。

 

 でも黒刃と聖魔剣はまるで溶けるように触れた部分が消え、エクス・デュランダルも弾かれた。

 

「凄いだろう、聖書の神の呪いは。その呪いの対象である自分が蛇である龍だったことで、サマエルは蛇と龍に対する究極の呪いとなった。こいつの前じゃぁアスカロンやグラムもつまようじさ」

 

 そのレベルですか!? そんなやばいの!?

 

 いや、そんなやばいのにオーフィスが捕まってるのがやばい!?

 

「龍殺しのアスカロンなら龍には効くだろ!!」

 

「こうなりゃ最悪反粒子を!!」

 

 俺も樹下も、これはやばいと思いつく限りで最大の手段を使おうとする。

 

 その時、アザゼル先生が慌てて割って入った。

 

「マジでやめろ!? 特にアスカロンはどんな反応が起こるか想像もできん!! 反粒子でサマエルをどうにかできても、この状況だとどんな余波が出るか分かったもんじゃない!!」

 

「だからってこのままってわけにはいかないでしょ!!」

 

 俺も流石に言い返した。

 

 絶対にろくでもないことをしてるのだけは分かる。流石に止めないとまずい!!

 

「なら術者のゲオルグだ!! 奴をどうにかすりゃサマエルを制御してどうにかすることぐらいはできる!!」

 

「そうはいかない。あの骸骨からは一回だけってことになっているし、した後絶対何かしてくるって会議で結論も出ているからね」

 

 先生の邪魔をするように、曹操がそこに割って入った。

 

 更にその曹操とゲオルグの間に、巴御前達やコハヤ・リバーも割って入る。

 

「派手な余興にしようじゃないか。まずは……禁手の俺を突破する。それができなければ話にならないという余興さ」

 

 ……俺達全員を、一人で相手するってか?

 

「舐めやがって……っ!」

 

「いや、ありがたい話だ」

 

 俺は苛立つけど、肩に手を置きながら樹下は笑っている。

 

「相手が調子ブッコいてくれているんだ。速攻で袋叩きにして人質にするか生首でも掲げれば、英雄派も作戦大失敗の相乗効果で空中分解してくれるだろうさ」

 

 隣で秀華さんもにっこりしてる。

 

「首から下はどんな風がいい? ピエロ風の死に装束で股に生首挟んであげよっか?」

 

「冷凍……半分だけっていいか、な?」

 

 さらりとコナユキがとんでもない提案してる。

 

 怖い怖い怖い怖い怖い!? 提案がマジで怖い!?

 

「羽柴一族に絡んでんのにアイディア甘くない? やるんだったら腸をカラフルに染めて装飾するぐらい言ったら……あ、流石にえげつなさ過ぎてお姉ちゃんの責任だけじゃ無理か」

 

 コハヤも平然ととんでもない指摘して自分でツッコミ入れてる!?

 

 波柴一族怖い!? 提案が怖すぎて想像しただけで吐きそうだよ!?

 

 ほらぁ、敵も味方も顔色蒼くして一歩引いてるし!? ヴァーリすらちょっと口元が引きつってるぞ!?

 

「コハヤの……波柴藤花の一族絡みなだけあるねぇ、君達。容赦のなさだけで降参する奴もたくさんいるんじゃないのかな?」

 

 曹操も流石に気圧されてるよ。

 

 まぁ当然だよね。お前にする仮定で話してるもんね。流石にちょっと同情するよ。

 

「悪い悪い。十歳の頃には裏切り者の処刑やらされた上で、実験動物用の餌にする為チタタプされてるもんでな」

 

「それを見ながらハンバーグぐらい食べれないと一族の主流扱いされないっていうか、無様すぎてどんな扱いされるか分かったもんじゃないからねー」

 

 樹下と秀華さんが遠い目してる。本当に揉まれてんな。

 

「大丈夫大丈夫。食べてるとこ、ろを見るより大丈……夫」

 

 そしてコナユキがめっちゃ煤けている!?

 

「美味しいご飯はストレス解消にもなるし、栄養補給は大事だよ? どんな時でも食べれるぐらいじゃないといけないし、スプラッターって娯楽じゃん」

 

 コハヤが特に怖い。他三人と違って極悪非道が素だからか!?

 

 俺達が揃って引いた、その時だった。

 

「……うぉっと!?」

 

 急に曹操が伏せると、その上を魔力の砲撃が素通りする。

 

 え、味方!?

 

 俺たちがびっくりしてると、秀華さんが肩を落とした。

 

「抜け目ないなぁ。割と余裕ありで躱したよね、今」

 

 残念そうにいう秀華さんをよく見ると、魔力で出来た蛇をカーペットの下を潜らせる形で結構伸ばしている。

 

 い、何時の間に!?

 

 そして俺達がそれにびっくりした時、気づくと樹下とコナユキが消えて―

 

「隠密モード入ってるよ、気を付けてね曹操」

 

「本当に、容赦がない!!」

 

「「……チッ」」

 

 コハヤに言われて、曹操が素早く攻撃を放って死角に回っていた樹下とコナユキを迎撃する。

 

 二人揃って舌打ちするけど、勢いよく畳み掛けたな―

 

「こっちもか!」

 

 ―ぉと思ったら、曹操が槍を振るって何かを弾いた。

 

 えっと……手裏剣?

 

「……惜しい。アドリブだと無理だったかな」

 

 旗本さんまで動いておられる!?

 

「……本当に怖いね。旗本流にも奇襲暗殺偵察を視野に入れた忍術があるのは知っていたけど、波柴の暗部はこっちの度肝を抜きすぎだ」

 

 結構流れてる冷や汗をぬぐいながら、曹操は肩をすくめてちょっと引きつった笑みを浮かべてる。

 

 流石に荒れはやばかったみたいだ。なら、俺達全員で畳み掛ければ行けるか。

 

「ま、言い出しっぺなんだから頑張ってね曹操。私はちょっとだけサポートしてあげるから」

 

 そしてコハヤはコハヤで、呑気にどこから取り出したのか焼き鳥をぱくついてやがる。

 

 あのグロい例えがあってよく食えるな。巴御前達はちょっと引いてるぞ。

 

 そして曹操も、調子を取り戻したのか槍で肩をポンポンと叩いている。

 

「ああ、そこは勿論だ。……じゃ、こっちも奥の手を切るとしようか」

 

 そういった瞬間、空気が冷え込んだ。

 

禁手化(バランス・ブレイク)

 

 そういった曹操の後ろに、後光が刺さって七つの球体が浮かぶ。

 

「……チッ! そいつは真冥白夜の聖槍(トゥルー・ロンギヌス・ゲッターデメルング)じゃねえ……やはり亜種か!」

 

 舌打ちする先生に、曹操は自慢だったのか胸を張ってやがる。

 

「その通りですよ、総督殿。これが俺の研鑽の果てに編み出した禁手……極夜なる(ポーラーナイト・)天輪聖王の輝廻槍(ロンギヌス・チャクラヴァルテイン)。転輪聖王から取りつつ、()()の転ではなく()()の天にしているところがポイントです」

 

「じゃぁ使う前に死ね」

 

 そして樹下が後ろから……と見せかけて右下に滑り込んでから反粒子の蹴りを放つ。

 

 曹操は信じられないことに、反応もしないで棒立ち……と思ったら玉の一つが光った……うぉ!?

 

 樹下が消えて寒気を感じて、振り向いたら足をぎりぎりで止めてくれた樹下がいた。

 

「「な……っ」」

 

 俺と樹下が同時に呆気にとられているけど、マジで危なかった。

 

 樹下が止めてくれなかったら、俺の頭は反粒子で吹っ飛んでたぞ!?

 

「……やはりな。七つすべてが別の能力を持っているのか」

 

 ヴァーリがそう納得している。

 

「奴の禁手とは一度打ち合ったことがあるが、決着がつかなかった。あの禁手はそれぞれ別の能力を持つ宝玉を具現化して操るというものだ。……残念なことに、俺も三つまでしか出せなくてね」

 

「じゃあ今すぐ三つの内容言って! あんまり時間をかけるわけにもいかないから!!」

 

 ヴァーリにそう怒鳴りながら、秀華さんは準神滅具の砲台を射出する。

 

 砲台に対して、曹操は五つの宝玉を動かして迎撃する。

 

 見事に宝玉は砲台に当たり、力押しで吹っ飛ばそうとするけど―

 

「まだだ! お前に容赦は必要ない!!」

 

 ―それが、気合と根性でひっくり返され―

 

「いや、その程度ならいくらでも絡めとれる」

 

 その瞬間、真横から現れた槍を持つ連中が弾き飛ばす!

 

 更に次の瞬間、踏み込んだ曹操は槍からオーラを秀華さんの足元に放つ。

 

 秀華さんはそれを飛び上がって躱そうとして……なんか天井を突き破っていった!?

 

 って、なんか宝玉があってそのまま飛んで行って。

 

「まだ……だぁああああああっ!?」

 

 なんか声が遠ざかって行ったぞ!?

 

「ちなみに。この三つがヴァーリ相手に使ったやつだよ。槍の軍勢を創り出し、空を飛ばす加護を与え、強大な一撃を叩き込む。比較的に詰め切ってない未完成のが多いんだけど、これだけでもヴァーリに覇龍を使わせれたのは光栄に思うべきかな?」

 

 嘘だろ。三つだけでこれで、ヴァーリ相手に覇まで使わせたって?

 

「……あの波柴秀華を瞬く間に場外に飛ばすとはな。それほどまでに警戒心があるのか?」

 

「光吉との模擬戦からくる教訓だよ。いわゆる光狂いと彼自身が名乗っているあの資質を正面から倒すなら、ハメ殺しの環境を整えたうえで圧倒的物量による押し潰しが必須だ。一度突っ走ると周囲の被害を意に介せなくなるところもあるから、乱戦が見込めるなら足止めは必須でね」

 

 そう答える曹操は、だけどニコリと微笑んだ。

 

「だがこれで当分は大丈夫。念の為に妨害用の結界装置を大量に並べた場所を用意して、見事飛ばせたからね。……一時間は持つだろうけど、半分もかけないぐらいで行こう」

 

 そこまでしっかり予測済みってか。こいつは本当にやばいな。

 

 誰もが、曹操に警戒心を向けてくる。

 

 そんな警戒心を楽しそうに浴びて、曹操は槍をくるりと回した。

 

「さぁ、ルシファーとレヴィアタンに連なる若手悪魔諸君に、堕天使総督。この英雄を乗り越えて見せるといい」

 

 ……こいつは、強敵だ。

 




《悲報》原作よりも強化された曹操による、原作を越えた高難易度ミッションが始まりました《ギリ及第点》
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