シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
この調子で少しずつ書いていきたいですねーとは常々思っております。
では本編!
《樹下誠二》
面倒極まりないことになってやがる。
曹操の禁手は、簡潔にまとめればデュランダルがエクス・デュランダルになったのに近い。シンプルかつ強力な武器に、特殊能力を七つ会得している。
問題はそれぞれがオールレンジ攻撃じみたことができるってわけだが、裏を返せばどれかを抑え込めばどれかを封じれるともいえる。
俺達全員を一人で相手するなんて言うだけのことはある。ただのビッグマウスじゃなくて、それが十分狙えるから言ってのけたわけだ。
しかも秀華が引き離されたうえで足止めされた。この状態では俺達が覚醒を可能とするのは難しい。
……まぁいい。どっちにしても悩んでいる時間はない。
「袋叩きで始末して、お前の頭蓋骨でMVP用の祝杯を作ってやる!」
物騒なことを言って注意を惹きつつ、俺は禁手に至って攻撃を開始。
主戦術である物量攻撃は不可能だ。転移能力を使われたりしたら、投擲し終わった後なので制御ができない。
最も投射系の攻撃を転移させるのは困難だろう。ならイッセーの砲撃は有効だか。
そう思いつつ真正面から切り結び、同時に文字を刻印した魔剣を後ろに投げてメッセージ。
内容は15秒後に伏せるからゼノヴィアに攻撃を指示したものだ。
分かってくれるかは賭けだが、これで一気に火力で押せればやりようはある。
カウント残り3秒…2…1…今!
俺は瞬時に伏せ、エクス・デュランダルのオーラが横なぎに振るわれるのを背中で感じた。
その瞬間、声が響く。
「
その瞬間、甲高い音が鳴り響く。
同時にオーラが消え、曹操は安心した余裕を感じさせる蹴りで俺から距離を取る。
捌きながら後退すれば、俺の視界に砕け散った聖剣の残骸が映った。
「エクス・デュランダルが……っ」
唖然となるゼノヴィアの視線の先には、鞘となるエクスカリバー部分が砕かれ、さらに罅も入っているデュランダルがあった。
「武器破壊能力だ。一定以上の強者なら捌ける程度の代物だけど、君程度ならどうとでもできるというわけだね。……実際既に一撃をもらっているし」
そう語る曹操の言葉を証明するように、ゼノヴィアは腹から血を流して倒れている。
武器を壊すついでに、攻撃も入れていたのか。見れば宝玉は槍の穂先を飛び出させている。
「アーシア、回復を早く!!」
「っ!? ぜ、ゼノヴィアさん!!」
リアス部長の叱責で我に返り、アーシアが血相を変えて治療する。
本気を出していなかったのか宝玉そのもの出力限界か、聖なる一撃を受けてもゼノヴィアは即死はしていない。
だがこの一撃、治ったとしても出血量を踏まえれば戦線復帰は無理か!
「て、めぇええええええええっ!!!」
「許さないよ!!」
イッセーと木場が激高して切りかかる。
そしてそのタイミングに咄嗟に合わせ、海砂さんが魔剣の人形達で包囲させる。
それに対し、曹操はアスカロンを弾いて聖魔剣を砕き、更に宝玉を操作して人形達を迎撃。加えて槍の戦士達を具現化する。
それに対して木場は判断を切り替え、拡張型人工神器を用いて龍騎士団を追加。海砂さんも禁手を発動させ、聖魔剣の人形をいくつか用意する。
圧倒的な多重攻撃。だが俺達の援護すら加わっても、曹操はそれを戦士達と宝玉と自分の技量で捌いていく。
「正直な話、俺としては聖魔剣君が手札の種類もあって一番警戒していた。次点としてはそれに踏まえて複数の禁手を切り替えられる吹本海砂だ……が!」
そして大ぶりの一閃を的確に組み込み、龍騎士と人形をまとめて薙ぎ払う。
こいつ、物量をものともしないな……っ!
「俺の
チッ。これでも無理か。
だが、手は既に打たれている。
「今ですわ!」
レイヴェルが声を上げ、そして同時にオーラの奔流が湧き上がる。
物量の乱戦を隠れ蓑に、四方を四人が囲んでいる。
消滅の魔力を振るい、最上級悪魔の片鱗に届きかけているリアス・グレモリー。
堕天使最高幹部の血を引き継ぎ、上級悪魔すら圧倒する雷光を振るう姫島朱乃。
二つの同型の神器により、龍王に迫る雷撃を放てる松森信子。
かのヴァーリ・ルシファーすら刮目させる、凍結能力を持つコナユキ・フロージア。
女傑四人による四方からの異能による圧殺。武技だけで防げるわけがない。
例え凌げても隙が生まれる。そしてその瞬間を逃さないよう、俺とイッセー、更にコガネさんと流花さんが構えて仕掛ける態勢もとった二段構え。
そして一気に仕掛け―
「
―その言葉と共に宝玉から放たれる光が、異能をかき消した。
二段構えの状態が一瞬で掻き消え、俺達は戦士達の迎撃で機先を制される。俺に至っては念を入れられたのか、右腕に一撃をもらって腱が断たれた。
「輪宝と同じで実力者なら防げるけれど、この宝玉は女性の異能を一定時間封じる。まだまだだということだね」
最悪だ。女性率の圧倒的に多い俺達だと、一瞬で趨勢がひっくり返される。
最悪アーシアと流花さんが封じられたら、回復手段がなくなって詰み一歩手前だ。既に流花さんがこれで封じられた。
だが、運がよかった。
「異能の発動を封じる程度みたいだな?」
俺は治した右手に握った闇之尾羽張で宝玉の一つを叩き落した。
流花さんの禁手は、丸一日ほど持つ治癒の異能を持つ液体を創り出すこと。それもあって小瓶にきちんと入れて所員は携行しており、当然俺も即座の判断用に備えていた。
こっちで治せたということは、既に異能として具現化している奴は何とかなる。これは好都合!
「おっと。どっちかの禁手かな? その辺りは情報不足だったか」
そう言いながらも、曹操の余裕は崩れない。
俺とイッセーの攻撃を華麗に捌きながら、更なる追撃を狙い―
「「甘い」」
―咄嗟に、振るわれる打撃と短刀を回避した。
それを振るった流花さんとコガネさんを見て、曹操は流石に緊張感を増したようだ。
「恐れ入ったよ、断罪の聖女。貴女はまごうことなく超一流ということか。……そして旗本流花もここまで脅威だとはね……!」
流花さんの最大の強みは、治癒の異能でもその応用でもなく、本人の武芸そのもの。自分を見つめ直して才能の錆を取り続けている今の彼女は、戦技に限定すれば事務所ぶっちぎりトップだ。
コガネさんは何年もの間、教会の英雄聖女として扱われた生粋の凶手。その武技は失敗が許されない入念な準備の下振るわれる刃であり、異能武芸の組み合わさった完成度は筋金入りだ。
異能が封印されてなお脅威足りえる名刀に、実用性重視で作られた完成された名剣。それは曹操にとっても脅威耐える女傑の証明。
だがまずい。そのレベルでどうにかできる奴では断じてない。
そう思った時、絶大なオーラの奔流が追加される。
「なら当たらないうちにぶっぱするにゃん♪」
そう告げるのは黒歌。
……以前イッセーにびくともしなかったことを気にしてたのか。めっちゃ出力が上がっているぞ。
「怖い怖い。君レベルの術者だと、女宝も凌がれかねない……が」
そして放たれる砲撃は、しかし宝玉が作り出した渦の中に呑まれて消える。
「
チッ! 放射系の攻撃対策も万全か!
そして問題は、さっきの攻撃がどこに飛ぶか。
この期に及んでアーシアに女宝を使っていない辺り、曹操はまだ試しの段階。つまり、一気に俺達を詰ませようとは考えてない。
ならおそらくは主力狙い。もっとも分かっていれば防御体制は十分とれる。
俺の推測はほぼ当たっている。奴はアーシアを狙うつもりはまだない。
だが、当てる為にアーシアを利用するという可能性に思い至るのが遅れたのが痛手だった。
気づいた時、アーシアのすぐ後ろに渦が見えた。
距離から言って、俺は間に合わないような位置取りに器用においていた。
「……アーシアぁああああ!?」
「させません!!」
対応できたのは二人。
三叉成駒の騎士で加速するイッセーに、転移を行うコガネさん。
三叉成駒状態の騎士は装甲が薄いが、そこにコガネさんが間に合って霧を纏う。
相乗効果なら深手は防げる。俺はそれを確信し、素早く曹操の攻撃に移る。
同じように判断した流花さんと同時に蹴りを放つ。そして曹操は槍を使って飛び上がり、蹴りで迎撃する。
その迎撃した蹴りを見て、俺達は面食らって攻撃を弾かれる。
馬鹿な。あれは、まさか!?
赤い龍のオーラを纏う、両足を包む靴。
俺達はその感覚をよく知っている。そして、星辰光が
だが、曹操が再現するのは煌天雷獄のはず。なのになんで―
「「
―赤龍帝の籠手を、靴の形で亜種発現している!?
そしてそれは、譲渡を使う選択肢があるということ。
当然の結論として、攻撃に譲渡して倍化させることができるわけで―
「「……っは……っ!?」」
―コガネさんとイッセーが崩れ落ち、形勢は一気に曹操に傾いた。
《兵藤一誠》
ヤバイ。これまずい。
ほんとに曹操一人で俺達を全滅させれるだろ。
戦士たちを出して乱戦の形にしてるけど、それを抜きにしても曹操がヤバイ。
このままだと各個で全滅させられる……っ!
「……イッセー、さん……!」
その時、液体がかけられた。
これは、流花さんが用意できる治癒の霊薬。
「……貴方の体で、威力は減ってます……こちらは、動けませんが、死にはしませ、ん……っ!!」
コガネさん……っ!
「ありがとうございます! ヴァーリ、そろそろ本気で手を貸しやがれ!!」
「出来れば一対一で倒したいところだが、そうもいかないか……っ!」
俺とヴァーリは同時に星辰光を発動して、一気に曹操に攻撃を仕掛ける。
その瞬間、曹操の周りに竜巻が巻き起こった。
煌天雷極の天候操作!? やっぱりこっちも使えるのかよ!?
樹下や秀華さんみたいな、二種類の星辰光使い!? 神祖にもいたみたいだけど、意外と多いのか!?
「あっははは!! 二天龍の連携攻撃とは、歴史に英雄多しと言えど、人間で仕掛けられるのは俺が初めてだろう!! 光栄だよ、二天龍!!」
めっちゃ喜びながら、曹操は俺達の波状攻撃も躱していく。
くそったれ! 俺の星辰光は聖光装着だから、曹操相手だと決定打にならない!
「いいだろう。なら今回の禁手は、聖光特化型の半減だ!」
ヴァーリはそう言いながら、分身を禁手に至らせる。
その瞬間、曹操はこっちに攻撃を集中させた。
「選択ミスだ! この乱戦では赤龍帝にも影響が出る!!」
そっちに集中してるってのに、弱体化してる気がしな……あ、赤龍帝の籠手を再現してるからか!?
『気をつけろ相棒! あの男、倍化のリソースを窮めて精密に固定することで出力をカバーしている! ここまでの繊細な譲渡、歴代の使い手でもそうはいないぞ!!』
マジかよドライグ! こいつ本当に天才だな!?
そう思った瞬間、俺は何かに躓いた。
なんだ、分厚くゴムにぶつかったような感覚が、なにもない筈の空間に……あ。
「空気を!?」
「厳密には空気抵抗さ!!」
気づいた俺に補足してくる曹操は、雷撃の纏った裏拳で俺の鎧を砕く。
畜生……龍剛の戦車だと動きについていけないから、使ってないのが裏目に出た?
真女王を使う余裕がない。ダメージが大きすぎてたぶん維持できない……速攻でまず準備するべきだった……っ!
というか空気抵抗なんてものに譲渡だって!? 歴代の中には譲渡で契約した精霊を……ってのがいたらしいけど、そんなレベルじゃねえ!?
あ、ヴァーリが曹操が壁にした残骸を壊そうとして、半端に残って躓きかけた!? 一部分だけ譲渡して強化したのか!!
やばすぎる。俺、赤龍帝としての自信がこんな時に無くなっていくぞ……あ、血が流れ過ぎてちょっと別の意味でやばい。
アザゼル先生も入って仕掛けてるのに、誰一人として曹操に一撃だって入れられてない。
「く、私も……」
「ダメよイリナさん! うかつに入れば殺されるわ!」
困惑しながらも戦おうとしたイリナを、リアスが押し留める。
「手札が多すぎる上に強大で判別もしづらい。下手に入って女宝を使われれば、足手まといでは済まないわ。……あのメンバーだからまともに戦えているのよ」
確かに、女で前衛をしているのは旗本さんだけだ。あの人凄いな。
雨宮さんや雲川さんも、美子ちゃんやリーナちゃんを抑えて警戒に回っている。
下手に回り込もうとしたらそこで絡めとられると分かっているんだ。
でもそうは言ってられねえ。
俺は立ち上がって攻撃を入れようとしたその瞬間。全身に凄い衝撃を受けた。
「
畜生カウンターをもろに喰らった!?
思いっきり吹っ飛んで、俺はろっ骨が砕けた状態でレストラン部分まで吹っ飛ばされる。
ぬ、抜き打ちだったからこの程度で済んだ。龍星の騎士状態だけど、肋骨が一本砕けた程度で済んだよ。
でもこれきつい。このままだとまずい……っ!!
「なるほどな。神滅具とはここまでの進化を遂げるということか」
なんか、好奇心旺盛な見学者みたいな感じの声が聞こえてきたぞ?
起き上がると、そこにはメイド服の上に白衣を着た女の人。
「あ、朝月さん……?」
「おお、赤龍帝! 大丈夫か?」
以前、日本政府の依頼で出会った朝月さん。今は桃山警護事務所の技術顧問をやっている。
なんかすっごい呑気なんだけど。
「ちょうどいい、曹操に一発かましたいなら手伝おう」
……今なんかすっごいこと言ったような?
俺が唖然としながら起き上がると、朝月さんはテーブルから身を乗り出して俺に二つの物を押し付ける。
一つは旗本さんの使う治癒の霊薬。そしてもう一つは、小さな機械。
「実は使ってもらおうと思って作っていた奴でな。何、信子先輩に頼んでテストは終わっているから問題ない。……これで曹操の虚を突いてやろうじゃないか」
な、なんかすっごい頼もしいぞ!?
スーパー曹操タイム、まだ続きます。
本人のポテンシャルがもともと高いうえに、さらなる強化とちょっとした反則があって原作をはるかに超える戦力差でありながら渡り合っております……むしろ圧倒?