※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

225 / 232
はいどうもー! AIイラストの新しいLoRAとして、別のモデルに手を出しているグレン×グレンでっす!

とりあえず秀華で作り、エロ含めてイラストをいくつか作ってもらいました。PIXIVに乗せておくのでお楽しみに!

では本編!!


第八話 龍喰の余興(その3)

《木場祐斗》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況は、圧倒的にあっちが有利だ。

 

 女性の異能、それもリアス部長や朱乃さんレベルすら封印する女宝という宝玉をちらつかせることで、女性達の多くが動けない。

 

 更にイッセー君すら大打撃を受け吹き飛ばされ、アザゼル先生やヴァーリすら手玉に取られている。

 

 それもこれも、二つの星辰光の同時運用。煌天雷獄と赤龍帝の籠手を再現する、別々の星辰光が大きい。

 

 樹下君や秀華さんも二つ持っているし、なんならあの一斉摘発で神祖が二種類の同時使用をしていたことも知っている。

 

 だが、それを英雄派の長である曹操が扱えるなど、事態は最悪に近い。

 

「さて、じゃぁそろそろもうちょっと刺激を与えようか……!」

 

 そういうなり、曹操は聖なるオーラを槍に凝縮させ、それを放出させる。

 

 僕達はそれを回避しようとし―目の前に現れた渦巻に戦慄する。

 

 あれは攻撃をよそに逸らす宝玉! 自分の攻撃に対して利用したのか!?

 

 まずい、それができるのならここで抑え込むことに意義がない。

 

 そして問題は、どこに―

 

「……まずい下がれ、小猫!!」

 

 ―青蘭さんの声に、僕達は気づいた。

 

 小猫ちゃんの死角。そこに渦巻が発生する。

 

 あの距離だと、僕達では間に合わない!?

 

「……あ」

 

 小猫ちゃんは気づいた。だけど動きが遅れる。

 

 直撃すれば確実に死ぬ。それだけの強大なオーラがあふれていた。

 

 だからこそ、小猫ちゃんは一歩が遅れる。回避が間に合わない。

 

 その一瞬はあまりに致命的。

 

「誰かカバーだ!!」

 

 樹下君が声を上げるが、この距離では彼は間に合わず―

 

「承知した!」

 

「この馬鹿!」

 

 ―割って入れたのは、たった二人。

 

「……申し訳ない、ご主人様……私は、ここまでです……っ」

 

 真っ先に崩れ落ちたのは、青蘭さん。

 

 獅子王の戦斧を再現する星辰光を使っているとはいえ、聖なるオーラの直撃だ。吸血鬼の因子を先祖返りさせている彼女には十分特攻になる。

 

 そして、彼女もすべては防ぎきれない。それでも小猫ちゃんに傷一つなかったのはもう一人の動きだった。

 

「……ったく。ボサっとしてんじゃないわよ……」

 

 そして、それを成した黒歌もまた崩れ落ちる。

 

 小猫ちゃんを庇った。いやそれは今はいい。

 

 これでさらに戦力が減った。それこそが厄介な状況を加速させている。

 

「……やってくれたな、曹操!」

 

 ヴァーリの攻撃密度が増すが、しかし同時に粗が目立ち始める。

 

 曹操相手にそれは悪手だ。逆に彼の動きに余裕が増していく。

 

「今代の二天龍は仲間意識が強いようだね。だけど、それで隙ができたら世話がない!!」

 

 聖槍の攻撃こそヴァーリは確実に躱すが、分身を含めて体術と煌天雷獄のそれを防げなくなっている。

 

 まずい。最強戦力の彼がやられれば、それだけで形成が一気に傾く。

 

 そう思った時だ。

 

「今よ全員後退!!」

 

 そう、雨宮さんが大声を張り上げる。

 

 咄嗟に僕達は後退した次の瞬間だ。曹操の周囲が一斉に爆発していく。

 

 爆発に巻き込まれ、曹操の姿が見えなくなった次の瞬間。樹下君が魔剣を振りかぶる。

 

「ここで畳み掛ける。ヴァーリ、大技をかませ!!」

 

「いいだろう。二天龍の火力という物を教えてやる」

 

 反粒子を纏った魔剣を投擲する樹下君に、オーラを最大限に高めて放射するヴァーリ。

 

 その二つが曹操の至辺りを包み込んだ瞬間、更に無数の光の槍が叩き込まれる。

 

「一撃勝負は避けとけ。もっとも、今ので反応し切れる可能性は薄いがな」

 

 光の槍を叩き込んだアザゼル先生を含め、誰もが警戒していた。

 

 攻撃が受け流されてないということは、曹操は受け流しの宝玉を使わなかった。もしくは使えなかった。

 

 だが、そう簡単に倒れるとは思えない。

 

「……やってくれたけど、まだまだ甘いよ」

 

 その声は、明後日の方向から聞こえた。

 

 更に天井が破壊され、誰かが地面に叩きつけられる。

 

「……ぐぅっ!?」

 

「確か、ナミネ・ルミナスだっけ? 数年で上級悪魔にまで昇格した転生悪魔なんて珍しいから、それなりに覚えてたよ」

 

 そう呟きながら、曹操は少し経ってから舞い降りる。

 

 その瞬間、神速といって過言でない速度でリーナちゃんが背後から迫った。

 

 能力を封印される可能性がある以上、女性陣は異能を封印されてもなお戦える流花さんやコガネさんレベルの実力者でないと前衛になれない。更に聖槍は最強の神殺しでもある。その為、リーナちゃんは前衛で戦いようがなかった。

 

 だが、宝玉を発動させないで攻撃を当てれるのなら話は別。彼女はそれができるタイミングを計っていた。

 

 それに対して曹操は槍を突き出すが、リーナちゃんの動きが早かったこともあって届かず―

 

「天敵ってのはいいねぇ。こういう時に誘導もできる」

 

 ―それを囮とした蹴りが、リーナちゃんの鳩尾に叩き込まれる。

 

「ぁ……っ!」

 

 内臓を損傷したのか血反吐を吐き、リーナちゃんは蹴り飛ばされて床を転がる。

 

 くっ! この程度では不意打ちにもならないのか……!

 

 歯噛みした瞬間、今度は離れたところで爆発音が轟く。

 

「っく……そ……!」

 

 転がり飛ばされたのは雨宮さん。態勢を整えるが、重い一撃をもらっている。

 

 という言うか何時の間に!? 確かあそこで警戒を……って消えている!? 夢幻の聖剣による幻覚か!?

 

「……回り込んで奇襲を狙ってましたよ、曹操。本来総出でかかるべきところを一人ですると仰ったのですから、もう少し頑張ってもらいたいです」

 

「おっと、悪いね。これはちょっと、急ぎで巻いた方がいいのかな……っと」

 

 ため息をついている女は、聖剣使いのようだ。

 

 そして問題は、その途端に曹操の動きが数段跳ねあがった。

 

 この男……やはりまだ余力を残していた!?

 

「ならさっさと巻いていこう……禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

 ……は?

 

 一瞬困惑した。

 

 既に彼は至っている。なのに、更に至るなんて意味が解らない。

 

 だがその瞬間、僕の龍騎士達が地面に叩きつけられる。

 

 その揺らぎをついて、曹操は槍を突き出す。

 

 即座に二刀の聖魔剣で流すことを選ぶが、その瞬間にそれぞれの制御ができなくなった。

 

 振り上げる右手の聖魔剣は急に飛び上がるように跳ね上げられ、振り下ろす態勢の左手の聖魔剣は、まるで引っ張られるように下に押し付けられる。

 

 それでも強引に振るうことで受け止めるが、受け止めることが限界。

 

 流すことができず崩れた僕の肋骨を、曹操は蹴り砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 木場までやられた……!

 

 曹操が強敵なのは分かっていたが、ここまでとは想定外だ。

 

 特に神滅具を再現するタイプの二種類の星辰光を同時に振るっているのがヤバイ。なんなんだアイツは!?

 

 ただでさえ女宝の所為で、流花さん以外が戦力として頼れない。コガネさんも対応できたが、ダメージで消耗が激しくて戦闘不能だ。

 

 いまだにオーフィスを包み込むサマエルもどうにかできてないし、このままだと……まずい!

 

 せめて、もう一手があれば―

 

「まだだぜ、曹操!!」

 

 ―その瞬間、紅の拳が叩き込まれた。

 

 曹操はそれを蹴りでいなすが、明確に表情が引き締まった。

 

 宝玉が回り込むように襲い掛かるが、イッセーはそれを回避したり弾き飛ばしたりを繰り広げる。

 

 その光景を見て、曹操は更に表情が引き締まる。

 

「俺の七宝を……見切っている……っ!?」

 

 マジか。イッセーが、それを見切っているだと……?

 

「樹下! あの宝玉は()()が何とかする!! 樹下は曹操本体を狙ってくれ!!」

 

「……分かった。そっちは任せる!」

 

 イッセーがそういう方向で動けるとは思わなかったが、そんなことを言ってる場合じゃない

 

 種明かしは奴がいないところでだ。この好機は逃せない。

 

「後先を考えたいがそんな余裕もない。……あいつを瀕死にして交渉に持ち込むぞ!!」

 

「本当にお前怖いな!?」

 

 イッセーに若干引かれるが、このチャンスは逃せない。

 

 いつまでもオーフィスがもつと考えるべきじゃない。狙うは短期決戦で曹操を潰し、死なない程度で確保しての交渉だ。

 

 人質作戦は体制側として問題だが、この状況下では手段をあまり選べない。最悪俺が牢獄に入れば、非常時ということもあって秀華やリアス部長に対する責任追及は軽くなるだろう。

 

 そしてこの流れの変化は好機。一切の猶予がないと考えるべきだ。

 

「このままだと俺達が終わる! 責任は可能な限り王から頼む!!」

 

「ああもう……分かったよ!!」

 

 イッセーの納得を得られたことで、俺は一気に迫る。

 

 闇之尾羽張を振るい、更に呼吸を切り替える。

 

 正面戦闘用ではなく、あえて隠密活動用。波柴一族が編み出した呼吸を基点とする呪術……波柴流呪術殺法。

 

 イッセーが派手に動いていることを利用し、搔い潜る形で戦法を切り替える。曹操はイッセーが七宝に対応していることでそちらに意識を多く割かざるを得ないから、その点をついての好きを狙う方針に切り替えた。

 

「やってくれる……だが、兵藤一誠がこれをするからには種があるはずだ!!」

 

「かといってそれをつける余裕が残っているか?」

 

「実際そうだけど酷いなお前ら!?」

 

 曹操も俺も同意見で、イッセーもそこは同意している。

 

 イッセーが七宝の判別を成しているのは、おそらく別の誰かの支援だろう。だがそんなことはどうでもいい。

 

 だが曹操にとっては非常に厄介なところだ。

 

 この動揺に対して遠慮なく攻撃を敢行。更に一気に抑え込む。

 

 そして、この攻撃で一気に奴のリソースを減ったこの瞬間を逃す理由はない。

 

「ヴァーリ! 覇龍で強引に叩き潰せ!! 殺さなければそれでいい!!」

 

「……仕方ないか。できれば一対一で戦う時に使いたかったが……いいものを見せてやろう」

 

 攻撃しながら振ってみたが、ヴァーリは若干不満気だが同時に得意げな様子を見せる。

 

 どうやら新技でも作ったようだ。いい機会だからしっかり観察もしたい。

 

 そしてヴァーリのオーラが一気に高ぶる。

 

「我、目覚めるは……」

 

 そして俺とイッセーは抑え込みに掛かり―

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが曹操、サマエルの方が限界だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―その声と共に、ヴァーリがおぞましいオーラに一瞬だけ包まれた。

 

 それは本当に一瞬。だが、その一瞬で十分すぎた。

 

「が……っ」

 

 ヴァーリは血反吐を吐いて崩れ落ちる。

 

 ……まさか、ヴァーリが一瞬でとはな。

 

 しかも横やりが入ったということは、おそらく状況が動いたということ。

 

龍喰者(ドラゴン・イーター)でも龍神を相手にすると限度はあるか。ヴァーリも新しい手札を持っているようだし、是非体験してみたかったね」

 

 曹操は残念そうにしながらも、ため息をついて肩の力を抜く。

 

 どうやら目的は達成したようだ

 

 だが、甘くないか?

 

「どこ見てやがる?」

 

「こっちが引くと?」

 

「終わると思うの?」

 

 アザゼル先生に、俺と流花さんが動きの止まった曹操に攻撃を仕掛ける。

 

 間違いなく一瞬だが気が抜けている。おそらくオーフィスがどうにかなってしまったのだろう。

 

 だが、それゆえに隙がどうしても生まれてしまったのだろう。反応が一瞬だが遅れている。

 

 このチャンスは、逃すわけには―

 

「悪いけどそうはいかないわね」

 

「そういうことだよ」

 

 ―瞬間、戦意が俺達にぶつけられるとほぼ同時の攻撃が迫る。

 

 判断は一瞬。そして最強の手札。

 

 咄嗟の反粒子は、大正解だ。

 

 激突されるは闇の波動。それは間違いなく、反粒子。

 

「……菊花……ぐっ!?」

 

「油断してたのはそっちも同じね。私は別に、英雄派じゃないから指示に従う理由もないし」

 

 伏せていたのか……!?

 

 まずい、反粒子の直撃は避けたが、斬撃を食らった……!?

 

「曹操、油断が大きいよ。勝って兜の尾を締めろって日本では言うんだけどね」

 

「それは悪いね。若さゆえの過ちっていうのはこういうコトかな?」

 

 そして援護に入ったのは菊花だけでなく、旗本鏡夜も。

 

 体力が温存されていたこともあり、曹操と同時の対応は完璧だった。

 

「……くっ!」

 

 流花さんは弾き飛ばされ、態勢は整えているが警戒を向けられていることから動けない。

 

 そして曹操の聖槍は、アザゼル先生の脇腹を貫いてそのまま吹き飛ばしていた。

 

「……マジか、おい……!?」

 

「全身鎧型の禁手は、オーラで先読みができるんですよ。最適化がまだ完璧でなかったのが致命傷でしたね、総督殿?」

 

 それができるのがどれだけいるって話だろうがな。

 

 まずいぞこれは。状況が致命的になっている。

 

 イッセーも危険度が分かっているのか、攻めあぐねている状態になっている。

 

 間違いなく状況は詰みに近い。

 

 戦力の多くが打倒されており、そこに来て敵が戦力を多く投入してきている。

 

 状況は不利なんていう者じゃない。勝ち筋が見えない……っ!

 

「さて、ゲオルグ。どれぐらい獲れたかな?」

 

「四分の三、といったところだろう。これ以上はサマエルがもたない」

 

 ゲオルグにそう答えられ、曹操は満足げだった。

 

「十分だ。それだけあればシヴァにすら通用するし、残りは搾りかすだろう」

 

 理解が追いつかない事態が起きているが、そんな中、オーフィスが姿を現す。

 

 きょとんと首を傾げるオーフィスは、しかしその気配が大きく変わっている。

 

 なんというか、弱体化……!?

 

「我の力、奪った?」

 

「そういうことか!?」

 

 オーフィスが尋ねるのと、俺が悟るのは、()()ほぼ同時。

 

 寒気を覚えた。脅威を感じた。圧倒的な力を感じた。

 

 それは俺達から遠く離れたところ。そしてそれが迫るのは、後方で待機していたコハヤ達。

 

 曹操すら反応に一瞬遅れる……否、怯むほどの気配。

 

 それが、今動き出す。

 

()()()()()!!」

 

 響き渡るは秀華の声。

 

 俺達が射線に入らない軌道。それを直進し、大量の魔力を纏って秀華が一期に突貫する。

 

 受け流しを警戒して放出は行わず、しかしある程度後半に纏うことで転移に対する警戒も欠かさない。そして、その圧倒的な力は女の異能を封じる宝玉すら寄せ付けない。

 

 溜めに溜めたその一撃。それは間違いなく秀華の全力……()()()()

 

 今まで耐えていたのだ。決定的な隙を見せるか、限界を越えに越えた一撃を放てるまでの溜めが終わるのを。それを同時に達成したことで、秀華は間違いなく溜めないなく覚醒を遂げた。

 

 仕掛けられていた結界を問答無用で壊し、そのロスを踏まえてもなお強大。

 

 あまりの覚醒に、体が追いついていないのか自分の体が魔力に耐え切れず一部消滅している。

 

 自壊で血を流しながら、秀華は曹操達を巻き込む位置で最大火力の攻撃を叩き込む。

 

 だが、それを嗤う女が一人。

 

「予想通りのタイミングだね、お姉ちゃん♪」

 

 コハヤ・リバーが、波柴藤花が明らかに悪意をもってそれを嗤う。

 

 予想通り。それはつまり、対策すら取っていることの証明。

 

 その瞬間、秀華に全方位からオーラの矢が突き刺さる。

 

 同時、俺達に向かってより強大なオーラの矢が投射。それも逃げ道を塞いでから本命を狙う打ち方だった。

 

 それは俺達も迎撃が間に合うが、一瞬だが確実に動きが縫い留められる。

 

 そしてほんの一瞬、それを縫い留めるように強大な矢がいくつも放たれる。

 

 それは俺達も秀華も狙っていない。当然だが、曹操達も狙っていない。

 

 狙っているのは、負傷で動けなくなっている仲間達。

 

 対応が間に合わない。それが一瞬で悟れた時だ。

 

「まだ……だぁっ!!」

 

 それを対応したのは、秀華だった。

 

 襲い掛かる矢の迎撃するのではなく強引に喰らいながら動く形で、ギリギリで矢を迎撃。

 

 だが、そこまでだった。

 

「将軍宝」

 

 曹操の宝玉が秀華に直撃。そのまま秀華は地面に叩きつけられる。

 

 吐いた血の量と色から見て、気管や消化器系が共に大きく傷つけられている。骨もかなり砕けており、四肢もいくつか折れている。

 

 更に次の瞬間、縫い留めるように魔の投槍が放たれた。

 

 咄嗟に撃ち落すが、一部があらぬ方向に当たると共に結界を形成。秀華の動きを封じる。

 

「秀華!?」

 

「ぐぁ……まだ……だ……っ」

 

 思わず声が出るが、少なくとも抵抗はできている。

 

 だがそれだけ。動きは完全に封じられた。

 

「お姉ちゃんでもここまでやれば当分は無理でしょ。精神力で無理やり体を動かして限界を越えれるにしたって、三次元下なら無理はあるだろうしねぇ?」

 

 藤花は勝ち誇っているような言い方だが、同時に目つきが警戒を解いていない。

 

 一瞬でも突破しそうになった瞬間に、ごり押しで叩き潰す準備は終えているんだろう。

 

「光吉からのアドバイス通りだ。本質的に障害の破壊に特化している為、自分以外を守らせる形に持ち込ませるのが最も効果的というのはね」

 

 曹操もそう言いながら、俺達に対しても僅かに警戒を入れている。

 

 また藤花も、こっちに対する警戒心を見せていた。

 

「やることやったしそろそろ後始末に移った方がよくない? 新しくウロボロスを作るにしたって弱体化はするんだし、面倒な敵は片付けた方がいいと思うけどね?」

 

 そうぼやく藤花の言い分に引っかかる。だが同時に、裏付けも取れた。

 

 新しいウロボロス。

 

 そして思い出すのはさっきの言葉。

 

 四分の三が取れたという話。

 

 やはりそういうコトか……っ。

 

「そういうことか……! お前ら、自分達に都合のいい最強戦力を、創り出す為に材料が欲しかったのか!?」

 

 とんでもない発想だ。

 

 無限の龍神たるウロボロスは、間違いなく世界最高戦力の一角だ。それは象徴として、禍の団を纏める為に必要な存在だ。

 

 だが、同時にオーフィスという無限の龍神は個人としての自我を持つ。また目的はグレートレッドの撃破して次元の狭間を掌握することであり、その意に沿わない協力は本来得づらい。言いくるめていいように扱うにも限度があるだろう。

 

 だから逆転の発想に至った。自分たちが好きに動く分なら問題のない存在を……都合のいいウロボロスを新しく用意すればいいのだと。

 

「人間らしい発想だよ。不都合な天然の最強より、ちょっと弱くても都合のいい人造で賄おうってのはな」

 

 思わず苦笑いを浮かべてしまうが、曹操はむしろ自慢げだった。

 

「当然だろう? 俺はこれでも、人間なんでね」

 

 そう答える曹操は、俺達を見回してから肩をすくめる。

 

「個人的にはもっと成長を見たいんだけど、君達の言い分を無視するのもあれだし……ハーデスとの交渉もある。親衛隊はゲオルグ含めて数名を除いて連れて帰るから、あの神様に美味しいところをくれてやってくれ。ま、変なことをするようなら君達がもろともって感じでもいいだろうけどね」

 

「一旦仕切り直しってわけ? ……ま、戦力集めていいならやらせてもらうけどね」

 

 藤花は不満げだが、ここで内輪もめをするつもりもないようだ。

 

 他のメンバーも一旦下がる体制に入っている。

 

 ……もの凄く不満だが、これはある意味で都合がいい。

 

 とりあえずは仕切り直せる。今のままだと確実に全滅だと考えれば、不幸中の幸いといえるだろう。

 

 俺は内心の激情を飲み込み、呼吸を整える。

 

「てめえ……見逃す気か……?」

 

「期待してると言ってくれ。仲間に無理強いする気はないが、俺としては君の信じられないような成長はもっと見ていたいんだ」

 

 イッセーに睨まれながらも、曹操はあえて槍で肩ではなく脚に展開された赤い靴を叩く。

 

「俺の成長にも繋がりそうだしね。……ぜひ生き残ってリベンジマッチを期待してるよ?」

 

 そりゃどうも。

 

 内心でそうぼやきながら、これは呼吸を整えながら決意する。

 

 この野郎には必ず一発かましてやる。

 

 覚えてやがれ、糞ったれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 思った以上に状況が、まずい……っ!

 

 曹操達は一旦引いたけれど、この結果異空間内に俺達が取り残されたことに変わりはない。

 

 しかもハーデス達がここからくることを考えれば、すぐにでも安全を確保しなければいけない。

 

「く……っ! とにもかくにもまずは秀華を!!」

 

「アーシアは他の人達をお願い! 私は所長を助けてからそっちに集中するから!!」

 

 リアス嬢が気を取り直して指示を飛ばしつつ、流花が所長の方に走る。

 

 所長はかなり念入りに攻撃を食らっている以上、急がないとまずい。

 

 こっちがダメージが大きく対応しきれないのを利用して、所長に攻撃を与える為の餌にするとはね。

 

 ……後で必ず一発かましてやる……っ!

 

 とにもかくにも、所長に関しては誠二とイッセー君も動いているからすぐにはやられないだろう。

 

 問題は、敵襲が来ることを前提にした備えがいるってことだ。

 

「隠れるのは流石に無理か。どちらかというと籠城になるけど、最適な場所を探さないと」

 

「……そこについては大丈夫だ」

 

 俺が意識を切り替える為にわざと口に出すと、返事が返ってきた。

 

 と、そこには今まで姿を見せなかった朝月博士が。

 

「安心しろ! 長丁場になる可能性もあったので色々と動いている!! セーフハウスにできそうな強度の区画は確保済みだ! 伊緒と真那月に陣地設営を頼んでいるぞ!!」

 

 ぬ、抜け目がない!?

 

「あざっす朝月さん! あと曹操の七宝を観測するの、マジで助かりました!!」

 

「ならよかった。複数視点での観測データから疑似的に算出したものだが、的中率が高くて何よりなにより」

 

 イッセー君がお礼を言っているけど、急に七宝を見抜けるようになったのはそういうことか。

 

 ある程度の偽装工作は多分してたんだろうけど、多分偽装工作を破って解析するんじゃないからすり抜けたんだろう。おそらく複数視点で映像として把握し、それぞれが何かをした証拠映像から逆算する形でそれぞれの七宝がどれかを判別させるタイプだったということか。

 

 それなら一度使った後の七宝は、ほぼ確実に見抜けると。

 

「デジタルも舐めたもんじゃないわね。……となると脳内電気信号を操作して遠くからなら……?」

 

「麗奈、無理しない方がいいと思う」

 

 麗奈は麗奈で参考にして対策を立て始めているけれど、脳が変なことになりそうだから釘は刺しておこう。

 

「……あの野郎覚えとけよ……。お前ら、最低限回復したらすぐに朝月が用意したセーフハウスに向かうぞ! とにかく一旦仕切り直さないと、すぐにでも死神共が襲ってくると考えろ!!」

 

 アザゼル総督が声を上げるが、その通りだ。

 

 比較的動ける組が殿を務めながら、俺達はこの場を一旦離れる。

 

 ……舐めてくれたものだよ、曹操も。

 

 後で一発かましてやる。覚えてろよ……っ!

 




原作では完勝しましたが、本作ではタイムアップによる逃げ切り勝ち。めちゃくちゃ強化されたけど、こっちも増員されてるのですよ。

そして曹操が振るう赤龍帝の禁手。神滅具再現系の神器は出力面でオリジナルを超えるのは不可能に近いので、禁手にする意義が薄いのですが……一点特化の亜種形態にする形でアプローチをした感じです。仮面ライダーでいうなら上位フォームではなく派生フォームといった感じです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。