シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
あとDMMTVとの抱き合わせでPIXIVもプレミアムにしました。CLIPSTUDIOとの連携もできるみたいなので、少しずつ慣らしていきたい。
ただやっぱりボールペンとは勝手が違うのでまだまだ大変です。キャライラストは無理でもメカイラストは作れるようになりたい……っ!!
それはそれとした本編!
《空本麗夜》
あるものでとりあえず食事を用意するのも大変だね。
ある程度は栄養を取っておかないと、ここから先の大騒ぎに対応できない。そもそも消耗も激しいし。
どれだけ気合を入れようと、そもそもの肉体が補給もなしにいつまでも動かせるわけもない。所長のような例外枠でも限度ってものはやはりあるし、俺達なら尚更だ。
休める時に休み、補給できる時に補給する。これができるかどうかで勝算が大きく変わるのが基本的な生物だ。外れ値を基準に設定していいことなんてないからね。
なのであるもので簡単に軽食を作っておいたけれど、やっぱり限度はあるか。
非常時を考慮して、異空間の魔法を利用して最低限の保存食などは用意はしている。だからまぁやりようはあるだろうけれど限度はある。
ただ、食べないと持たないところもあるしね。ここからが忙しいのなら尚更だ。
「……悪いわね、そういった手間を取らせてしまって」
と、リアス嬢がこっちに声をかけてくる。
「かまいませんよ。俺達は従者で下僕で眷属ですし、学生の子達より成人済みの方が責任を負うべきですから」
実際そうだから、俺としてはそう答えるほかない。
まぁ簡単な軽食だけれど、ただ栄養を口に入れるよりは気晴らしにもなるだろう。それぐらいにはできた。
実際、これが最後の晩餐になるかもしれないところはあるわけだしね。
外の様子は激戦が続いているようだ。こっちが籠城体制を整えられたことで、ただでさえ英雄派との連携で溜まっていたアイアンローズが限界を超えた形になったのだろう。
ただ、どっちかの決着がつけばこっちに矛先が向きかねない。英雄派……いや、禍の団からすれば都合のいいウロボロスを作る当てができた時点であとは余計だしね。
……その辺りを考慮しているのなら、いっそのこと全部任せるという選択肢もあるだろうに。
英雄派はある意味で戦闘狂の集まりだから、これもまた良しという考えなのだろうか。ただ、コハヤ・リバーがそれをするという点にどうも違和感がある。
詳しく知っているわけでも親しい関係でもない。ただ、秀華所長や矢城との経験がある俺からすると、どうも違和感を覚える。
とはいえ、そこを深く考えている余裕もないか。今はここを切り抜けないと無理だろうし、切り抜けて情報さえ届けば考える部署が考えてくれるだろう。
ただ問題は、だ。
「……一応、釘を刺しておきます」
これは指摘しないといけないだろう。
俺は姿勢を正してリアス嬢に向き直る。
リアス嬢も、俺の雰囲気を感じ取ったのか少し緊張感が増している。
ただまぁ、これはちゃんと言った方がいいことだろう。
「リアス嬢。流石に今回は、
「……っ」
息をのむリアス嬢だけど、やはりそこまで想定が追いついていないだろう。
頭では分かっているだろう。誰かが死ぬかもしれないと。
だが、リアス嬢は身内が死亡した経験を持っていないし、味方が目の前で死ぬような戦いの経験も悪いことに少な目だ。
だからこそ、無意識に認めてないことがある。
「貴女が死ぬかもしれないし、俺達が死ぬかもしれない。そして……イッセー君が死ぬかもしれない」
俺がそういうと、リアス嬢の肩が振るえたのが見える。
「確かに、それはあり得るかもしれないけれど……」
「ただ、本当の意味でそれを真剣に考えたことはないでしょう? イッセー君に対しては特に」
そこがどうしても懸念点になる。
殺し合いというのはそういう者だ。流れ弾一つで誰が死んでもおかしくない戦場では、そういうことが十分にあり得る。
ことイッセー君は、グレモリー眷属に対する基点だ。彼がいるだけでだいぶ変わると言ってもいい。そもそも彼の存在が転換期となっている節がある。
だからこそ、イッセー君は最大の急所でもある。
最強戦力であり、心情においても主柱とかしている。それはつまり、彼に何かあればその瞬間に瓦解しかねない。
……彼ならどうにかするかもしれない。だけど、それを大前提にしてはいけない。
だからこそ、俺はくぎだけは刺しておかねばならない。
「貴女はリアス・グレモリー眷属の主だ。だからこそ、戦場に出るということについて意識をそこに割かねばならない。……それができないというのなら、グレモリー次期当主としての継承権を放棄して隠匿すべきです。……十代の少女に言うことではないですが、今後を考えれば誰かが申し上げねばならないと愚考しました」
俺は頭を下げるが、リアス嬢は反応が遅れている。
よほど想定外であり、そして考えるだけで足元が崩れそうになるのだろう。
仕方ない。彼女にとってイッセー君とは、本当に心から大切な愛する男性だろうからね。
ただ、だからこそ一度指摘するべきだろう。
「敵は殺す気で本気の者もいて、手練れもいる。こちらが備えて鍛えていればどうにかなる……などという考えは甘えです。貴方はお立場上それを意識しなければならないものだ。学生の身には酷でしょうが、頭の片隅に留めておいた方がよろしいかと申しておきます」
厳しいことを言っているが、その領域を考えないといけない立場に彼女はなってしまっている。
……杞憂で終わればいいけどね。ただ、ハーデス神までもが動き出しかねない案件になっている以上は、必要な指摘だ。
本当に、杞憂に終わればいいんだけどね。
《木場祐斗》
面倒なことにはなっているね。
外の様子を見ているけれど、英雄派もアイアンローズもだいぶ落ち着いたようだ。
今は粛々と再選の準備を整えつつ、隙あらばこちらをまとめて葬ろうという動きを見せている。
「……軽食ができたわよ。本格的に動く前に食べておきなさい」
と、雨宮さんがそう言いながら軽食が乗った皿を置いてくれる。
カナッペ風のオープンサンドだ。サラミやチーズ、缶詰にしていたラタトゥイユなどが上手く盛られている。
「いただきます。……ただ、あとどれぐらいで動きますか?」
「転移の準備が整ってからになるわね。……そっちはどう?」
僕に答えた雨宮さんは、外の様子を見ている他のメンバーにも話を振っていく。
「配置がこちらに対して意識を常に向けていますわ。また結界装置に関しては、禍の団は守りを固めつつアイアンローズもあえて戦力を割いておりません。こちらが本来の目標であることをきちんと弁えてますわね」
レイヴェルさんが俯瞰する視点でそう言うけれど、そこを忘れないでいられるのは厄介だ。
こちらが動けば、最優先対象として最も注力するだろう。その冷静さをアイアンローズが取り戻したのは無視できない。
「……曹操が帰ったのは不幸中の幸いですわね。またあの武器を壊す宝玉を使われれば、こちらの戦力は更に下がりますもの」
レイヴェルさんが、そう言いながらちらりと雨宮さんを見る。
彼女が振るうBREADは、エクス・デュランダルの概念実証用レプリカ。つまりエクス・デュランダルより数段劣る聖剣だ。
空本さんの禁手と併用すれば、相応の性能は発揮できる聖魔剣となる。だけど、それをもってしてもオリジナルのエクス・デュランダルには一歩届かないだろう。
それでもだ。この戦況において彼女のBREADは優れた武装だ。
これを一撃で壊しうる能力がないのは、非常にありがたい。
「ま、余計な懸念がないのはいいことだけどね」
その割には、雨宮さんの言葉はどこかが軽い。
僕もレイヴェルさんも少し違和感を覚えるし、思わず視線を合わせてしまう。
それを見た雨宮さんは、苦笑いをしながら肩すくめる。
「……私はね。そういう、「自分は人より凄い」って気持ち、捨ててるから」
そういいながら、彼女は視線を下に移す。
「今の私が弱いとかそういう風に思ってるわけじゃないのは、さっきの試験でイッセーに口酸っぱく説教したから分かるとは思うけど。じゃぁ客観的な評価以上の……私はもっと凄いことができるはずっていう感じの希望とか展望っていうのを捨ててるのよ。それは、私には余計な重荷にしかならないから」
そういうと、雨宮さんは肩をすくめて立ち上がる。
「これ以上は長ったらしい自分語りになるから無し。ま、麗夜や麗華見たら分かるでしょ? ……私はあの二人みたいに、ずば抜けた天賦の才覚があるなんて思ってない……思わない……っ」
そう言いながら、雨宮さんは部屋を出る。
「……多少のことは聞いています。雨宮さんは確か、二人に対して犯罪行為を犯したとか」
「……厳密には、波柴矢城に提案して修正を入れられた形で、空本さんに雲川さんへの強制わいせつ行為の教唆を行ったそうだよ」
レイヴェルさんに捕捉しつつ、僕はそれを思い返す。
僕が復讐心に燃えていた時、コカビエルが戦争を再開させる為の行動をしていた時の話だ。
僕はあまり関与していなかったけれど、その時に雨宮さんと雲川さん、そして空本さんの過去がそれなりに話されたらしい。それが、ああいった内容だ。
のちに雨宮さんは、矢城にそれを提案した理由を二人に対する嫉妬だと言っていたはずだ。そして、それはなんとなく分かる。
空本さんの運動方面に対するセンスは高い。四年間で、ただフリーランニングやソロキャンプの経験が豊富だったところから、樹下君や旗本さんと並び立てる戦士になれたことがその証明だろう。あの二人の圧倒的な経験値からの成長を、四年間でついてくるのは誰にでもできるようなことではない。
雲川さんは言うまでもない。ルシファーの先祖返りなんてそうはいない。また、勉学に関してもかなりできると前から聞いている。
そういうずば抜けたセンスが、彼女にはない。少なくとも、彼女はそう思っている。
神器も生まれ持ったものではなく、放浪型。二人がそれを獲得する可能性は十分にある。聖剣適性はデュランダルを扱えるレベルだけれど、それでもゼノヴィアには明確に劣っているようだ。
おそらく、雨宮さんは自分に期待しないことで精神の安定を図っているのだろう。それほどまでに、二人に劣等感を覚えている。
二人から今でも好意を向けられていることも、彼女にとっては重荷なのかもしれない。
……才能が、自分の望む域に達していないという苦しみなのかもしれない。だからこそ、自分に見切りをつけることでそれを克服しようとしている。そう感じる。
「少し、気持ちは分かるかもしれない」
そう、僕は言うほかない。
「そうなのですか?」
「僕も聖剣使いになるべく集められ、その資質がないからと殺された身だからね。その憤りとは似て異なるのだろうけれど、異なっていても似ている感覚はあるよ」
欲しいと思っていた才能がないというのは、辛いだろう。
だから、彼女は心を病んだ。僕が復讐の為に周りが見えなくなりかけていたように、彼女も周りが見えなくなって憎しみすら抱いてしまった。
世の中、そう割り切らないとやっていけない人が多い。そういうコトなのだろうね。
《アザゼル》
さて、そろそろ反撃の時間ってことになりそうだな。
「……アザゼル。どう出るつもりだ?」
と、ヴァーリがこっちに来て問いかけてきた。
サマエルで相当にグロッキーだろうに、よくやるぜ。
「作戦はリアスが立てた奴を使う。……中々面白いぜ? よくイッセーを見てるからできるような作戦だ」
発想の勝利っていやぁいいんだろうな。これを上手く生かせば、先手で流れを一気にとれる。
こっちも大概不利だからな。この奇襲をぜひ成功させたいもんだぜ。
「興味深いね。まぁ、曹操がいないというのは若干気乗りがしないが」
「リベンジマッチをしたくてたまらないって感じだな。そんだけの隠し玉はあるか?」
「決まれば勝算が十分見込める札はある。もっとも、今の曹操相手では絶対とは言えないけどね」
世間話をしているが、曹操はそれだけの代物ってことか。
ま、当然だな。
二種類の星辰光、それも神滅具再現系統の同時使用。更に片方は禁手すら扱っている。
本来、星辰光で再現する神滅具の禁手ってのはあまり意味がない。星辰光の性能問題もあって、禁手にしても性能を出せるわけがないからだ。
ヴァーリは星辰光で疑似的に増やした禁手を切り替えることがままある。だがこれは、白龍皇の光翼の性質を利用した一種のループ構造を取っているからだ。そのまま完全にできるわけじゃねえ。
だが曹操は、新しいアプローチを取った。それは特化型の禁手に至ることだ。
リソースの殆どを本来とは異なる形に割く傾向の亜種禁手に至らせることで、基本性能は至る前に劣るが限定条件で強大な効果を発揮する。それが曹操が取ったアプローチで、実際に成功している。
「厄介な奴だ。最近の神滅具保有者は、常識というか固定観念を打ち破り過ぎて困る」
「……仕方あるまい。発想の転換は行き詰った研究における一種の打開策だからな」
と、麗華がんなことを言いながら水の入ったボトルを持って入ってきた。
ちなみに、他にも軽食の乗ったお盆も持ってるな。
「そろそろ動くことになるだろう。補給はしっかり整えておいた方が良いぞ?」
そう言いながら置いて来た麗華は、自分も水をコップに入れると、近くのソファーにどっかりと座った。
「発想の転換が時として、大きな発展をもたらすことがあるなんて枚挙にいとまがない。人工神器の研究が、私の思い付きで一気に発展したようにな」
「ま、そりゃそうなんだがな」
麗華の思わぬ提案は、神の子を見張る者の研究に大きな進歩をもたらしたからな。
人に宿る異能である神器の再現は困難だったが、それを一から開発するという大前提を転換させたこいつの意見はとても大きい。
元々神器を保有している者の、その神器の能力を拡張させる。もしくは同型の神器を組み込んだものを増設することで、更なる強化を果たす。共に0から作るのではなく、元からある神器を核とする形での開発だ。
これが結果的に数多くの意義あるデータを生みだし、人工神器の開発研究に飛躍的成長をもたらしたのは俺達としても本当にありがたい。そろそろ一から人工神器のテスト態勢に入るが、最初から禁手に相当する機能を組み込むことも出来るだろうしな。
それがもうすぐ日の目を見そうだってのに、こんなところで死んでたまるか。
「気合入れて脱出するぞ。曹操にもハーデスにも目にもの見せてやらねえとな」
「「同感だ」」
気合は十分で何よりだ。
派手にぶちかましてやるぜ……!
自発的に闇堕ちした経験を持つ麗奈がむしろまともよりな理由は、闇落ちした最大の理由である「自分が麗夜や麗華に勝てない」という事実を受け入れた諦観によるものが多いです。
期待したり希望があると手に入らないことに不満を感じるけど、あきらめて期待することを捨てればそこに不満を覚えないという感じです。いい方は悪いですが、それぞれ別の意味でやばい二人の先に行きたいというジレンマが彼女が道を踏み外した原因なのでそれができないという事実を受け入れて試みることをやめれば落ちる理由はなくなります。
凡人の処世術というかメンタルコントロールというか。麗奈は幼少期に二人を引っ張っているリーダーポジションだったのが完全に悪い方向に引っ張ってしまったというか、鬼滅のお労しい兄上に近い理由で道を踏み外した感じですね。
挙句の果てに完全に台無しになった後で二人にない才能を見つけたうえ、その希少な才能すら当代に限ればもっと優秀な人たちも多いので、桃山警護事務所メンバーでも特に自分に期待してない手合いでもあります。
また、良くも悪くも桃山警護事務所は銀の運命よりなので、負け犬属性が強いことから「失ってしまうこともある」という諦観があるというか弁えているところがあります。そういう意味では「いつだれが死んでもおかしくない」を痛感しているので、その点においてはオカルト研究部とは方向性が違う点がありますね。