※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

236 / 249
はいどうもー! 給料が入ったのでまぁ懐が温かい分、ちょっと豪遊して気晴らししているグレン×グレンでっす!

……まぁ、数か月は傷病手当が収入代わりなのでそろそろ財布のひもも締めなおしますが。今後もいろいろ不安だけど、とりあえず明日は心療内科なのでいろいろ相談したいところです。

では本編!


第二話 不穏のアモン家

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はまだ本調子でなかったこともあり、動こうと思ったが別件の命令が下された。

 

 まぁ命令といっても火急の要件ではない。

 

 アヴィ嬢の見舞いだ。

 

 こっちが色々と忙しい事態に巻き込まれている時にあっちはあっちで英雄派の分派の方に絡まれて、アヴィ嬢が負傷した。

 

 相応に博打じみた方法で、こっちに悟られないような形でアヴィ嬢を結界の外に誘き寄せたらしい。下手人はミケランジェロの末裔を名乗っており、宮本の天聖と同様に、神滅具になり損なった神器を持っているとか。

 

 致命傷ではないが深手であり、今はまだ意識が戻ってないとのことだ。ただ宮本やエルターは一緒にいたこともあって責任を感じているそうだ。

 

 ……ま、病み上がりのリハビリには十分な仕事か。

 

 で、そこで来たのはいいのだが。

 

「……娘のお見舞いに来てくださってありがとうございます」

 

「いえ。こちらこそ雇用主側として、娘さんを負傷させてしまい申し訳ありません」

 

 出会い頭に、アモン夫人のシエスト様と遭遇してしまった。

 

「……駒王町の結界外で、私的な用事の時の責まで問うことはしません。向こうにとっても当てが外れた形ですし、二度も来ることはないでしょう」

 

「痛み入ります。……しかし、彼女が狙われた件についてはやはり深入りせざるを得ません」

 

 必要な情報を交換しつつ、こちらも一応踏み込んでおく。

 

 まぁ、この状況下でアホなことをしている場合ではない。ある程度の調べられているしな。

 

「アヴィ嬢の亡き実母がアガリアプレト家の出身だという件については、こちらも既に把握済みです。で、エルプルスの名目でサタナキア家が食い込もうとしているところまでは」

 

「この状況下ではそれも難しいでしょうがね。……レヴィアタン様とルシファー様は、今回の件については?」

 

 ま、お互い分かっている前提にはなっているな。

 

「当所の波柴と雲川でしたら、サタナキア家に対する牽制球込みで動くつもりです。足並みさえ揃えてくださるのなら、最悪でも少し蜜を吸える程度であの家も矛を収めるかと」

 

 秀華と麗華さんの二人を追加で敵に回す愚は、流石にサタナキア家もとるまい。

 

 どこぞの禪院〇ばりの男尊女卑一族であり、それが家柄の特性に由来するサタナキア家とはいえだ。他家に対してそれを押し付け、あろうことかレヴィアタンとルシファーの末裔にまで喧嘩を売るほど馬鹿ではないだろう。最悪の場合、現ルシファーと次期グレモリーまで敵に回りかねないならなおさらだ。

 

 既に牽制球を入れる準備はできているし、そうなればサタナキア家も手を引くだろう。変な暴走を避ける為にも、下がるのなら多少の蜜を吸わせてやるぐらいの備えもしているしな。

 

 ……変な雌奴隷志願軍団の存在がなければ、もう数段締め上げてもいい気がするが。逆切れかまして押しかけて雌奴隷軍団の力を借りながら独立戦争でも仕掛けられるとこっちが困る。絞めるのもほどほどにしておかないとな。

 

 まったく。世界各地から雌奴隷になる為にご主人様になる男を探す訳の分からん集団が集まってくるなんて事態がなければ、もう少しこっちの問題は楽に解決しただろうに。

 

 しかも同時タイミングでシャルバがやらかしやがって。イッセーのMIAや英雄派による人造ウロボロス作戦も重なって、情勢が動きすぎてややこしいことになっている。どう動けってんだ糞ったれ。

 

「ところで、アモン家はどう動くご予定でしょうか? 今後の情勢が読めない以上、娘さんの安全管理も含めて立ち回る必要性が多いもので……」

 

「私達は領内の防衛に徹します。そして、対抗術式と戦術が確立次第討伐に転じる方向です」

 

 やはりそれか。

 

 こちらとしても非常事態。これ以上はあまり時間を割けないか。

 

 それを踏まえたうえで、だ。

 

 少し危うい雰囲気を感じるのは気のせいだろうか?

 

「……くれぐれも、娘のことをお願いします」

 

「既に無様をさらした身ですが、連続で繰り返すような愚行を働く気はありません。微力ながら力を尽くさせていただきます」

 

 この状況だと仕方がないが、あまり無謀なことはしないでもらいたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー城で一旦の休息をするつもりで到着すれば、こちらも大概慌ただしい情勢になっていた。

 

 超獣鬼の一体はグレモリー領で暴れている。どうも嫌がらせに特化しているのか、直接要地に仕掛けるのではなく、周りから少しずつ削っていく形で進行をしており、更地があまり増えている状態だ。

 

 その為避難民の誘導や避難場所の選定などで忙しいが、そこはリアス嬢がある程度動いていることで今のところは何とかなっている。

 

 ……だが、そう簡単な話でもない。

 

「リアスちゃんはどんな感じですか?」

 

「芳しくありません。今日も一時間ほど書類整理などをしてくださいましたが、幻覚や幻聴、心因性の頭痛が見られることもあります」

 

 所長がグレモリー家の使用人に確認を取っているが、相当に追い詰められている。

 

 無理もない。彼女はまだ十代で、困難はあったが世界の後ろ暗い残酷な部分になれてないところもまだあるのだ。

 

 所長の経験値が多すぎるだけで、リアス嬢はむしろ頑張っているし揉まれてもいる方だろう。少しずつ傷ついて成長していくことになるだろうが、それでも乗り越えていく余地はある。

 

 だけど、最初の傷が深すぎる。再起不能になってもおかしくないほどの衝撃だ。釘を刺した俺が言うコトでもないけれど、これはいくら何でも衝撃が大きすぎるだろう。

 

 ……他のメンバーは殆ど動けてないのがその証拠だ。イッセー君の影響力があまりに大きすぎる。

 

「今はサイラオーグ様が見舞いに来られていますが、他の方々も含めて憔悴なされており……若様が亡くなられたのがあまりに大きすぎます」

 

 涙を浮かべる使用人さんに同情しながら、俺達もリアス嬢のもとに向かう。

 

「よりにもよってイッセーがMIA。それも、サマエルのオーラが検出された挙句、駒だけが呼び出しに応じて転移する。……役満ですよね」

 

 麗奈がそうため息をつくけど、同意見だ。

 

 転移で駒だけが呼び出されるケースとは、主を想う眷属の想いに呼応したことで行われる奇跡という。サマエルのオーラは必然的に龍にとっての猛毒で、イッセー君が直撃して耐えられる可能性は低い。そして、イッセー君がこの状況下で動かないとはほぼおかしい。

 

 ほぼ確実に死ぬだろうレベルだ。もし生きているとしても、ただで済んでいるわけもない。

 

「本当に最悪だよね。一番真っ先に死んだのが一番死んだらまずいイッセー君だなんて」

 

 所長がため息をついたその時だ。

 

「……まったく。リアスもそうだったが、レヴィアタンの末裔たる貴女までもが何を馬鹿馬鹿しいことを言うのか」

 

 そんな、心から呆れたような声が響いた。

 

 視線を向ければ、そこには歩いてきているサイラオーグ殿がいた。

 

「……話、届いてる?」

 

「もちろん。大王派には話を通さないようにしているが、兵藤一誠はシャルバ・ベルゼブブからオーフィスを助ける為に単独で次元の狭間に残っていると。そしていまだ未帰還であり、サマエルのオーラが僅かに検出される悪魔の駒だけが戻ってきたとは。……で、それがどうしたと?」

 

 呆れまくっている所長の言葉に、これまた呆れまくっている返答が送られてきた。

 

 え、えっと……本気?

 

「あの、逆に聞くけどさ? その数え役満の要素を前にして、君は何の根拠があってイッセー君が確実に生存してるって確信してるの?」

 

 所長が軽く引いている。気持ちはとっても分かる。

 

 ただ、サイラオーグ殿は平然としていた。

 

「改めて問い返すが、その程度のことで奴が死ぬと本気で思っておられるのか? 兵藤一誠との付き合いはそちらの方が圧倒的に長いうえ、深い付き合いもしているだろうに」

 

 正真正銘、サイラオーグ殿は一切の疑いなくイッセー君が生きていると思っている。

 

 死んでいる可能性をひとかけらも考えていない。生きているということを大前提としており、周りが死んでいる前提で動いていることが理解できないレベルだ。

 

 そこに不安など一切ない。

 

 そして、そのたたずまいを見て所長は納得したようにうなづいた。

 

「あ~なるほど。確かに、サイラオーグ君はそういうタイプだよね。そりゃ仕方ないか……ただ、一つだけ忠告しとくよ?」

 

 ため息をついてから、所長は本気を放つ。

 

 一瞬だが、サイラオーグ殿は肩を震わせた。

 

 殺意ではない。敵意ではない。そういったものは一切ない。

 

 ただ、心の底から本気であることを示している。ただそれだけで、所長はかのサイラオーグ・バアルを一瞬だけだが震えさせた。

 

「そういうのをさ、他の人に求めるのだけはやめようね? それは、絶対に基準とは基本においていい性質じゃないから」

 

 悪いとは言わない。間違っているとも言わない。

 

 だけど、基準にしてはいけないと、言い切った。

 

「特に桃山警護事務所(うち)の所員に求めないように。……それができないからいるような子達ばっかりなんでね。……そして、程度はともかく殆どの人はそ(・)う(・)だから」

 

 お前のその信頼は、決して大衆に求めるべきではないのだと。波柴秀華は断言する。

 

「外れ値は外れ値でしかない。たとえイッセー君が本当に生きて生還したとしても、それは当たり前の大前提にしちゃいけない。特例は特例で例外は例外。イッセー君も君自身も、いい意味だろうけど普通じゃないから。魔王の地位を狙ってるなら、圧倒的大多数の特例以外に配慮しないとだめだよ?」

 

「……真剣な忠告は痛み入る。だが、お前達がいれば話は変わるのでは?」

 

 サイラオーグ殿はそう言い返すが、所長はためらいなく首を横に振った。

 

「どれだけ支えがあろうが、人の心ってのはもろい時は徹底的にもろいんだよ。肉体も精神も限界と個人差がある。そしてそれは、外野が支えるにも限界がある。君が世界や国という広い範囲に干渉する気なら、そこはちゃんと配慮しないとろくなことにならないから、そこは弁えるように」

 

 そう返したうえで、所長は肩をすくめた。

 

「まぁイッセー君が別の意味で色々特例枠なのは事実だけど。ただ理論的や物質的な根拠がないことを大前提にするのは、戦略的にもしない方がいいことだからね?」

 

「……正論ではあるか。ご忠告は痛み入る、気を付けておこう」

 

「ほんとにねー。今の魔王様もそうだけど、もうちょっと大衆の愚かさとかも配慮した方がいいよ?」

 

 まぁ、そうなるよね。

 

 ……特に桃山警護事務所のメンバーは、頑張り続けらなかった負け犬が所員になっているところがあるからね。

 

「……とはいえ、本当になんか戻ってきそうな気がしてきましたけどね。……アザゼル総督が提唱する乳力そのものになって顕現しそうっていうか―」

 

「マジでやめて。そうなると最終的に剣に吸われて女子中学生と一体化しそうだから」

 

 空気を和ませるつもり半分で言いかけたセリフに、なんかガチトーンで麗奈が遮ってきた。

 

 ……具体的すぎるんだけど、もしかして絶花ちゃん案件かな!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで宮本。そっちは大丈夫か?」

 

 アモン夫人が帰られた後、俺は宮本に確認する。

 

「大丈夫、ではありません。……ただ、今の状況は大変なんですよね? その、おっぱいドラゴンさんが亡くなられたという話ですけど」

 

 宮本もその辺は掴んでいるか。夫人に届いた通信案件と考えるべきだな。

 

「厳密に死亡が確認されたわけではないがな。ただ生きているなら丸ごと呼び出せるはずだった転移で、本来それだけで戻ってくるはずがない物質だけが転送された。これは例外なくその保有者が死亡している時に起こる事態で、加えて付随していたオーラが龍にとっての天敵……あいつより強い存在すら一蹴されるような代物でな。少なくとも、生きている前提で動くべきじゃないのは確かだ」

 

 俺はため息をついてある程度説明する。

 

 ワンチャン、何かしらのイレギュラーで別の意味でとんでもないことになっている可能性がないでもない。だが、それを大前提にする考え方は危険だ。

 

 こういうのは外れた時が酷いしな。少なくとも、明確な根拠もないのに期待するべきじゃない。ギャンブルで人生を持ち崩すようなものだ。

 

「それはともかくどうしたものか。このままやられるつもりはないが、うかつに動くわけにもいかないしな」

 

「……そうですね。ですが、皆さんなら乗り越えられると思いますが」

 

 宮本はそう言ってくれるが、そういうわけにもいかない。

 

「やる前からできるかどうか考えるのは大事だぞ? 若いうちだからこそできる勢いってのがあるのは分かるし失敗を糧にするのも大事だが、失敗しない努力は必要だし、失敗が続くと色々リソースの消耗が増大していくからな」

 

 経験上、その点ははっきり言った方がいいだろう。

 

「夢がないことを言うが、頑張って成功させたところでそれに費やしたリソースを補えないし満足感も大してなかった……なんてことは往々にしてあるからな。成功者の裏側には失敗者も数多く、無念のままに人生を終えた者達だってたくさんいるんだ」

 

 本当に、それが事実だ。

 

 歴史は勝者が作るというし、勝者の正義が世の基本形となるのは残酷だが現実だ。加えて、人々も成功者の言葉を参考にしたがるからな。

 

 勝つことより負けないことが大事。失敗することで失うものを痛感すればするほどその視点が重視していくものでもある。まぁ、掴み取ることを選ばなくなった負け犬根性といわれるとそれまでだが。

 

 中学生に言うことでもないが、その辺はちゃんと伝えた方がいいことだ。

 

「……困難は乗り越えられるとは思っています。ただ、努力だけで補えないものがあるのは、分かってます」

 

「……思った以上に素直に受け取ってきたな」

 

 片隅に留めておいてくれればそれでいい程度だったんだが。

 

 ただ、宮本は少し自分の手を見つめていた。

 

「自分に才能がないとは思ってませんから。ゼノヴィア先輩も樹下先輩も、剣の声を聴いたことはないですよね?」

 

「それもそうか。そういう感覚、意外と大事だから覚えておくといいぞ?」

 

 才能の差という物は確かにある。基本性能や物量の差は、戦いという土俵において大きな要素となる。

 

 それを補うことはできる。だが生半可なことではないし、相手だって突かれないようにすることだってできる。

 

 自分が努力していれば必ず望んだ結果が手に入る。それは、自分以外の存在をゲームのNPCのように考える行為ともいえる。はっきり言って、自分以外の存在を舐めているといっていい。

 

 波柴一族の連中は、見下しているし悪意も向けるがそういう手合いは少なかった。だからこそ、国家転覆なんて真似を成立一歩手前まで持って行けたんだ。その警戒心が難敵だったといっていい。

 

 次期当主の秀華が、そもそも波柴一族を打倒することを考えている獅子身中の虫だったこと。俺が成績と面従腹背の態度もあって、秀華の付き人に選ばれたこと。理由はどうあれ、光吉が協力してくれたこと。それらの様々なイレギュラーや幸運があって、何とか壊滅に持って行けれた。それほどまでに、波柴一族は盤石な体制を取っていた。

 

 あれを個人の努力だけでどうにかできたなんて、俺は思わない。

 

「ま、分かったうえで挑戦するのはお前の自由だ。無理のない範囲でやるのなら、こっちもバイトに手を貸すぐらいはしてやるさ」

 

 俺はそういうと立ち上がる。

 

「……エルターについては監視体制を取っておいてくれ。流石のサタナキア家もこのタイミングでやらかすほど愚かじゃないと思いたいが、愚かだとするとやらかさせようとするからな。俺もそろそろ冥界側に移動することになるだろう」

 

 ため息をつくほかないが、それが現実だ。

 

「余力が捻出できたのなら、アモン領側にも秀華は手を回すだろう。アヴィ嬢が起きたら伝えてくれると助かる」

 

「……はい!」

 

 その言葉が聞けて安心だ。

 

 さて、そろそろこっちも動くべきだな。

 




 まぁ時系列的に当然なのですが、ウロボロスと同様にヒーローズ編もアモン編が同時進行となる感じです。

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。