シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
今後を考えると羽柴一族案件で誕生した割れた子供たち系組織を作ってもいいような気がするが、絶対えぐみオーバーフローだから抑えたほうがいいとも思う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
それはそれとして、適応障害の方も進展……というか、大きな方針転換ができそうな状況となっております。うまくいったらいいなぁと思いつつ、まぁ日々頑張っていきます。
では本編!!
《樹下誠二》
……急なプラン変更もあり、少し時間ができたので生まれ故郷に寄っていた。
少しだけだが、寄ってみたいとは思っていた。
青蘭としても相応に長く過ごしていたわけだし、俺にとっては生まれ故郷だ。
信子さんにとってもそうだが、矢城のクソ野郎の件もあって家族と会いづらくて気後れするだろうしな。
俺は昔住んでいたアパートがあった場所から、さほど離れていない喫茶店で一息ついている。
ちょっとこういった喫茶店で一服することに対する憧れはあった。あと素直にここのケーキが美味しそうだった。
レアチーズケーキとベイクドチーズケーキを頼んだうえで、エスプレッソと共にいただく。とても美味しい。
自前で作っているからだろう。食べてみると全く異なるの方向性のようであり、しかしその奥底には源流を同じくする根幹的な規格の繋がりを感じる。
相反する道を進んでるように見て、アプローチが異なるだけで根本的に見据えている物は同じ。そんなまるで物語のライバルを思わせる味の対比。同じ喫茶店のチーズケーキだからこそ味わえる、一対のミルキーウェイとでも形容するべき味わいだ。
「素晴らしすぎる。……もっと早く食べたかった……っ!」
内心でガッツポーズを取っていると、そっとエスプレッソが新しく置かれた。
「あれ? お代わりはまだ頼んでませんけど?」
「サービスです。当店自慢のチーズケーキを、ここまで美味しく食べてくれる人はあまりいませんから」
笑顔を向けてくれる店長さんに、俺は感謝の気持ちで頷きながらエスプレッソを受け取った。
と、喫茶店のカウンターの裏から事務担当と思われる店員さんが顔を覗かせる
「麦さーん。豆の所からメール届きましたんで、後で確認お願いします」
「分かりました。開いたままにしておいてください」
ほほう。コーヒー豆にも拘りがあるのだろう。色々とコネとか接待とかもしているかもしれない。
俺としても、今後も機会があれば来てみたいからな。是非とも無事でいてほしい……待て。
今麦って言わなかったか……言わなかったか……!?
どうする? 聞いた方がいいのか? 尋ねた方がいいのか?
そう思った時だ。喫茶店のドアが開かれた。
「ご主人様との合流時間まではこちらで待とう。知り合いが経営していて、ご主人様が大絶賛しそうなチーズケーキもあるからついでにお土産にすればいい」
って、朝月博士達を連れた青蘭!?
合流時間まで別行動していたが、出くわした!?
あとそうなるとやっぱり麦って!?
「マスター!? 貴方、麦吉子さんのお知り合いで!? っていうか青蘭どうした!?」
ちょっと驚いたので、あえてその驚きのまま確認する。
これは半分ぐらい勢いで突破した方がいい感覚だ!?
「え、吉子ちゃんの知り合いかい!? 後青蘭ちゃん、ご主人様って!?」
マスターももの凄く動揺している。
よかった。今ちょうどお客さんがいなくてよかった。
「しまった不意打ちで!? 待ってくれ麦小父さん、後々了承してもらったとは言え、私が押しかけて下僕にしてもらった形なので、ご主人様に責はないのでそこは分かってもらえると!?」
青蘭も不意打ちだったのでかなり混乱している。
いかん、ややこしいことになるぞコレは。
どうしたものかと思っていると、真那月さんがゴホンと咳払いをした。
「……店長。申し訳ありませんが積もる話もありますので、一時間ほど貸し切りにさせてもらえないでしょうか? 代金は言い値で払います」
見かねた真那月さんに心から感謝!?
とりあえずニ十分後、最低限の説明をある程度暈して伝えることはできた。やばい情報の類は後日別件で伝えるという形で納めることでのごり押しだが。
なんでもこのお店、麦吉子の小父さんが経営している喫茶店だったようだ。
「お恥ずかしながら、親が医者一族だったので強制されていただけでその気があまりなかったこともありまして。医大生の時に出会った妻の誘いを受けて、入り婿になる形で家を出たんですよ」
「麦家も医療従事者を多く輩出していますけど、そうでない分野を選ぶことにも柔軟でしたからね。……でなければ、お二人の時代に女性の方が十歳年上の結婚は厳しい所もあったでしょう」
マスターと青蘭がそう世間話に近いことをしているが、中々凄いな。
と、そんなことを言っている間にマスターはアルバムを持ってきていた。
「吉子は昔から引っ込み思案というか、誰かの下につきたがるところがありまして。そういう意味でも青蘭ちゃんのような引っ張ってくれる子との相性はよかったんです。……ただ、妻と血縁があるからか……ちょっと困ったこともあったりするんですけどね」
ほほう。そんなことが。
……まぁ、今でも年齢的に明確に年下な菊花のオプションパーツ化しているところはあるしな。納得ではある。
「そこまで困ったことが?」
「ああ、ちょうど青蘭ちゃんは里帰りしてて知らなかったかな? 八年ちょっと前に不良に絡まれたんだけど、小学生の男の子が警察に通報したうえで一芝居売って助けてくれたことがあったんだよ」
ふぅん。
そういえば、その辺りの時期はガラの悪い奴が多くなってたな。最近はもうそんなこともないみたいだけど。
俺も何度か通報した経験があるな。ちょっと急を要しそうな時は、わざとらしく警察に連れてきたように装ってみたりとかもしたな。
「そんなことが。私は一度も聞いてませんが」
「……実はその時、その子に惚れちゃったみたいでね。本人も気にしてたのか、一緒に写真を撮ったみたいだけど家には置きづらかったみたいで妻が預かる形になってたんだよ。……そういえば、あの頃から頼りたい人をもっと求めるようになっている節があったような気がするなぁ……」
困惑する青蘭に、マスターは困り顔になって遠い目すら浮かべている。
写真かぁ。そういえば俺も、一度だけ撮ったりしたことがあるな。
「治安がよさそうな街ですけど、そんなこともあったんですね」
と、話を少し逸らそうと伊緒さんがそう首をわざとらしく傾げて見せる。
するとマスターも、苦笑しながら視線をちらりと離れたところに向ける。
「あっちの方にゲームセンターがあったんだけど、店員達が不良達をあえて客層として狙っていたのか色々とやっていたみたいでね。そうと知らなかった吉子がたまたま通りがかった時に起きたんだ。……結構まずいこともしてたみたいで、七年ぐらい前に警察に逮捕されたりとかで潰れたんだよ」
あああそこか。そういえば通報したのもそこだったな。母さんが死ぬ前に危険だって伝えてきたので、それ以来一度も寄り付かなかったけ……ど……。
「どうしたのだ、誠二。顔色が悪いぞ?」
「冷や汗も出てないか? 体調が崩れたか?」
朝月博士と真那月さんが心配してくれているけど、今はそこは置いておこう。
俺は今、もの凄くもの凄くもの凄く嫌な予感を覚えていた。
一回深呼吸。……よし、一つ確認できる手段を思いついた。
「マスター。写真を預かってるということは、見たこともありますね?」
「え? まぁ、何度か見たことはあるね」
よし。それならいける。
俺は速攻でスマホを取り出すと、素早く電話をかける。
すぐに繋がったのは本当にありがたい。
『やあ誠二君。どうしたんだ―』
「すいません松森さん!! 大至急お願いしたいことがあります!! メール添付でも現物でもいいので、すぐにでも用意したいものが!?」
松森家にすぐ繋がったので、俺は素早くそういうと用意してもらいたいものを告げる。
『―それならあるし、喫茶店の場所も分かるからアルバムを持ってくるよ』
「頼んます! 奢るのでついでに色々どうぞ!! ……あと朝月博士、大至急用意してもらいたいプログラムがある!!」
やばいやばいやばい。
色々な意味でややこしいことになってきたかもしれない!?
十分後、嫌な予感が大的中したことが判明した。
オイオイオイオイ。マジか、俺………ッ!?
《英雄派拠点》
「やあ、木曽義仲。例のテスト、試してくれるみたいで嬉しいよ」
「ジークフリートは別働かな? ま、このテストは俺が動くのが一番いいからね。……とりあえず目標としては、アモン領に進行している奴にしようと思うよ」
「へえ。大帝の配下がご令嬢にちょっかいをかけたみたいだけど、それかい?」
「リルベットのことが気になるしね。
「手厳しい。で? そんな所に彼女を気遣うような君が何でいるんだい?」
「都合がいいからだよ。それに、薄々気づいてるだろうけれど、
「……へぇ?」
「君達のように曹操に特に心酔している人達は、多かれ少なかれ神器に人生を振り回されてもいる。だけど、木曽戦団はその逆だ」
「振り回されてないのかい?」
「ああ。不慮の事故に神器があったから生き残れたりとかね。神器と関係ない悲劇で人生の道から突き落とされ、神器という武器があったから首の皮一枚繋がった。ま、俺は虚弱体質の原因が神器との不適合だから、君達よりだけどね」
「まったくだよ。上位神器の中では雑魚に近い神器、
「といってもねぇ?。俺は元々気質が文系だから、一族の技術をろくに振るえないことはともかく、武芸者になりたいかと言われるとそうでもないしね。どちらかというと、体が弱いという致命的に相性の悪い奴を、本家嫡男だからって強引に跡継ぎにしようとする一族の方が呪いだよ。一時期本当に辟易してたぐらいさ」
「……武門で名を馳せ、それだけのセンスを持ちながら?」
「俺にとって武の才覚は手段で武器だ。ただ翻弄されるだけで終わらない、世界に大波を起こす人生を成す為のね」
「つまり、君の目的は異形に挑むことでもなく―」
「異形でも人間でもいいけど、ちっぽけなモブで終わりたくないんだよ。俺と巴御前はその為にこの世界に踏み込んだ」
「―そうかい」
「そういうコト。だからそっちも頑張りなよ。英雄派があるうちは英雄派で活動するしね。……人間の神器保有者にとって、最ものし上がれるのはこういうところだろうからさ?」
少しずついろんなものを動かしながら、話を進めていってまいります。