※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! まだ適応障害が残っているのか、気づいたら暴飲暴食してたグレン×グレンでっす!

 症状の一つと思われるのですが、適応障害と診断されるはるか前から出てたので長くかかるとは思ってたんですけど、まぁ一か月足らずではさすがに無理かという感じでしょう。ドカ食いしてしまいました……。

 まぁそれはそれとして本編!


第六話 魔王の御許へ

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「頭が痛い……っ」」

 

「大丈夫か? とりあえず、深呼吸をしながら気を静めよう」

 

「その、まだ時間が掛かりそうなら鎮痛剤を買ってくるけど?」

 

 俺と青蘭は頭痛を覚えており、真那月さんと伊緒さんが気遣ってくれる。

 

 とんでもない事実が発覚して、俺も青蘭もメンタルに大ダメージを負ったところだ。

 

 方向性はあれだが、イッセーMIAの次ぐらいにはメンタルにダメージが入っている。真面目に胃と頭が痛い……っ

 

「残念だが、既に合流のようだ」

 

 と、朝月博士が告げたタイミングで転移の光が浮かび上がる。

 

 そこから現れたのは、リアス部長達オカ研の残留組だ。

 

 ……もれなく顔色も雰囲気も最悪だな。比較的ましな木場ですら、休ませることを考えるレベルの消耗具合だ。

 

「……ごめんなさい。イッセーが……生きているとは、思えないけれど……っ」

 

 リアス部長は比較的気丈にふるまっているが、目がちょっと虚ろだ。

 

 麗夜さんが念の為に釘を刺していたようだが、それがぎりぎり動けるレベルに留めてくれている止まりだな。

 

 まぁ、こればっかりは仕方ないところもあるだろう。

 

 最愛の恋人の死別なんて。心身ともに厳しい訓練や危険な修羅場を積み重ねてなお、大きな精神的衝撃を受ける案件だ。

 

 まともな十代の学生にとって、それは長い時間をかけてゆっくり癒さなければならない案件だろう。下手をすれば何年も引きずるだろうことを考えれば、まだ頑張っている方だ。

 

 なまじ強い所為で、身内を戦いで失う経験に乏しいのがここで来たか。寄りにもよってピンポイントでイッセーなのがあまりに痛い。

 

「闘戦勝仏殿の意見については聞いています。まぁ、それでも絶望的ではありますけどね」

 

 俺はその辺が意見としか言いようがない。

 

 サイラオーグ殿の言い分は理解するが、世の中性格や気質だけでなんでもどうにかなるわけではない。メンタルは所詮メンタルでしかないのだ。

 

 確かにイッセーなら妙なことを起こして生存している可能性がないでもないが、明確な物的根拠もなく無条件で生きていると思い込むのは妄信の類だ。自重してほしい。

 

 ……さて、ワンチャンを引き当てることができるかどうか。当たれば大儲けの単勝万馬券ではあるがな。

 

 そう思いながら周囲を見るが、どうもこっちに対してスマホを向けてきている。

 

 日本であることを考えれば色々と失礼な真似だが、もの凄く警戒されているというかなんというか。

 

「……あいつら一体何なんだ……?」

 

「や、ヤバくね? なにあれ……チート主人公とかそういうレベルだろ……?」

 

 なんか、もの凄く畏怖の念を向けられているな。

 

「……ふむ。察するにスマホにインストールする形で運用できるスカウター的なアプリをテストしているといったところか?」

 

 朝月博士がそう推察するが、あまり動揺してないところを見るに秘匿事項でもない感じだな。

 

 そんなことを思っていると、アジュカ様からの使いなのか悪魔の人が歩み寄ってきた。

 

「申し訳ありません、皆様。このビルはアジュカ様が運営する「ゲーム」のロビーとしても機能しておりまして」

 

 申し訳なさそうに謝罪をしているようだが、ゲームねぇ?

 

 まぁいい。朝月博士は興味深そうだが、こっちの優先順位はそこではない。

 

 悪魔の方に連れられて、俺達はビルの屋上まで案内される。

 

 ビルそのものは偽装もあって割とぼろいところもあるが、流石に魔王様の拠点として使っている以上、屋上庭園は品がある。

 

 そしてそこで、アジュカ・ベルゼブブ様は少し楽しそうな表情でいくつかの情報を精査している。

 

「……ごきげんよう、リアス・グレモリー。そして波柴・秀華・レヴィアタンの腹心である樹下誠二君に、その仲間達も」

 

 そう微笑むアジュカ様は、しかし小さく首を横に振る。

 

「ただ少し待ってくれ。どうやら急なお客様のようだ」

 

 そう仰る彼の視線は、別方向に向けられる。

 

 まだ誰もいなかっただろうそこに、空間転移と思われる歪みが発生する。

 

 気づき少し経った後、そこにいたのは多数の悪魔を引き連れた人間が一人。

 

 英雄派最高幹部、魔装衆リーダーのジークフリート。

 

 おいおい。勘弁してくれよ。

 

 ……こっちの忍耐力だって、限度ってものはあるんだぞ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

《Other》

 

 

 

 

 

 

 英雄派魔装衆のジークフリートは、目の前の状況に苦笑を浮かべていた。

 

 混乱に乗じて動いてみたら、寄りにもよってグレモリー眷属に桃山警護事務所の者達が多数いるという始末。

 

 待ち構えていたというわけではないだろう。偶発的なエンカウントと考えるべきだ。

 

 だが、ジークフリートのすることは変わらない。

 

「初めまして、現魔王アジュカ・ベルゼブブ。僕は英雄派のジークです」

 

「英雄派の特殊部隊、神器や星辰光以外の魔剣や聖剣といった武装の適性者で構成される精鋭部隊のリーダーだったね。個人的には多少興味深い」

 

 そう笑みと共に応えるアジュカに、ジークフリートは目的を端的に告げる。

 

「単刀直入に言いましょう。……僕達の側につきませんか?」

 

 その言葉に、桃山警護事務所の者達が緊張感を高める。

 

 しかし、グレモリー眷属の者達からはあまりそういった者が見られない。

 

 聖魔剣の木場祐斗程度。それ以外は、誰もが覇気を感じない。

 

 ジークフリートは、少し前に挙げられた推測情報を思い出す。

 

 ―兵藤一誠は死亡している―

 

 シャルバ・ベルゼブブの動きは知れないが、こちらも死亡している可能性は高い。あの男の性格なら、堂々と犯行声明を出すだろうと考えられているからだ。

 

 だがそうなると兵藤一誠がどうなるか、までは読み切れなかった。シャルバ・ベルゼブブがサマエルの毒を持ち込んでいるという情報は掴んでいたが、それを受けているかどうかまでは探れない。シャルバが倒された可能性が高い以上、兵藤一誠が生き残っている可能性は十分ある。

 

 しかしそうだとするなら、この状況下で動きが見えないことに違和感がある。

 

 兵藤一誠は、社会秩序に対してある程度は配慮する人柄だが、龍を宿しているだけあってか自分が何かをすると決めればそれらを無視する気質であることは掴んでいる。必然、この事態に何もしないなどということはあり得ない。

 

 それを根拠とする推測だったが、リアス・グレモリーを筆頭に明らかに意気消沈が酷い点から見ても当たりのようだ。

 

 そして、それは後でいい。

 

「貴方は現魔王政権下でサーゼクス・ルシファーのそれと同等の派閥を持ち、同時に筆頭である彼の意向を無視することも多い対立派閥だ。そして技術者として、禍の団(我々)のこれまで積み上げてきた独自研究を対価として提供する用意もある。……表の勢力では到底できないような非人道実験も、テロ組織ならし放題」

 

 アジュカ・ベルゼブブは引き入れることができるかもしれない。

 

 その点を突き、こうして動いた。

 

 彼を味方にすることができれば、現魔王政権を割ることも出来る。旧魔王派と連携を取れば、それこそ今の悪魔を二分することも出来る。

 

「そういうわけで、旧魔王派とも交渉は終わっています。今の若い魔王血族達は揃ってシャルバを切り捨てることに好意的なもので」

 

 そう安全を保障しながら、ジークフリートは反応を探る。

 

「なるほど。俺みたいな相手を誘うにはいい餌だ。それに、俺はサーゼクスの言いつけを無視することも多い以上、誘う余地があると考えるのも当然だな」

 

 評価するように、アジュカは頷く。

 

 そしてその上で、微笑んだ。

 

「だが、その誘いを受けるつもりはない」

 

「……理由を聞いても?」

 

 思った以上にあっさりと断られて、ジークフリートは少しはしごを外された感覚を覚える。

 

 それに対し、アジュカ・ベルゼブブは悠然と座り直した。

 

 そこに何の躊躇いもない。断るという選択肢以外をありえないとするレベルの、心からの断言だった。

 

「俺が魔王の地位についているのは、サーゼクスが魔王となったからだ。シンプルに言うならば……友情という、ただそれだけの理由だよ」

 

「なるほど。理解はできないが、そういう理由で動く者がいることは知ってはいるよ」

 

 苦笑をもって返すほかない。

 

 できればこの好機に色々と動きを見せたい所だったが、これは本命の目的は達成できそうにない。

 

 ヘラクレスやジャンヌに色々と言われるだろう。そう思うと、若干辟易する。

 

「……まぁ仕方あるまい。若様達も「駄目かもしれない」とおっしゃっておられたからな」

 

「所詮はその程度か! 魔王の地位を簒奪しておきながら、趣味に走るだけの輩など……っ!」

 

 後ろの旧魔王派は反応が二分されている。

 

 今現在、旧魔王派は動きが大きく変わっていた。

 

 シャルバ及びカテレアとクルゼレイが掌握していた頃とは異なり、三人が戦死した状況で、若手の四人が一気に台頭し、組織の刷新が行われている。

 

 古き家柄であろうと実力が薄いのなら「家の名を汚す愚者」として閑職へと追い込まれ、能力があるのならば側室という形で古き家柄の縁者となる形で地位を与えられる。その刷新により、旧魔王派は急激に復興を遂げている。

 

 シャルバが暴走した理由の一つでもあるだろう。ただ家柄だけの存在が排斥され家柄を盛り立てる存在が優遇されている。そして更に盛り立てることができる存在を迎え入れるという、一種の流れが生まれ始めている。

 

 これに乗り、旧魔王派をより効率的に利用できないか。それが目的として行動を取っている。

 

 その一環であったが、アジュカはそれを知ってか知らずか苦笑している。

 

「分かりやすいのは旧魔王派(君達)の美徳だが、その考え方はあまりに単純でつまらない。最も面白いものを見せてくれないかね?」

 

「貴様ぁ……っ!」

 

 挑発のつもりもないだろうアジュカの言い草は、しかし旧魔王派の古い悪魔達を激昂させるのに十分すぎた。

 

 飛び上がり、そして魔力を大幅に増強させる。

 

 そして同時に起動させたネックレスが輝き、更にその出力が増大化した。

 

「……ほう。その装置は興味深いね」

 

 目を細めるアジュカは、明らかに興味を示している。

 

「連携で行くぞ!」

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

 筆頭足る悪魔の声に応じ、古い悪魔達は増幅された魔力を束ねて放つ。

 

 それに対し、アジュカは指を鳴らすと共に方陣を展開する。

 

 その方陣にぶつかった魔力は、少しずつ方陣を削っていく。

 

「……対策を取っていたようだ。いや、それにしても中々に強化されているな。君達程度に蛇を用意できる余裕があると……?」

 

「ほざけ! 今の我らの連携、その火力は魔王クラスすら超えると知れ!!」

 

 アジュカに吠える悪魔達の言葉に嘘はない。

 

 相応の歴史ある古い悪魔達は、今大幅に増強されている。

 

 更に連携に合わせた強化装備を併用したことで、統合されて高い出力を得ている。

 

 その火力は、ゲオルグでも防ぐのに難儀するレベル。単発火力に限定されるが、確かに魔王クラスと競り合えるだろう。

 

「それなりの手札は用意してきたようだ。……最も、悪魔のそれとは毛色の違う意匠のようだが……しかし」

 

 その見識で探るアジュカは、しかし更に指を慣らす。

 

 その瞬間、束ねられた魔力が六つに分かれ、そしてすべてがあらぬ方向に飛んでいく。

 

「覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)。俺には世界の全てを数式のようにとらえるに見る感覚があってね。それを探り、解析して介入すれば……こんなことまでできる」

 

 そして語る次の瞬間、あらぬ方向へと飛んでいった魔力が増幅収束されて襲い掛かる。

 

 反射的に迎撃する悪魔達だが、その全てをやすやすとぶち抜いて操られた魔力攻撃が悪魔達を討ち貫いて滅ぼしていく。

 

「……これが、アジュカ・ベルゼブブ……超越者の一角か……っ」

 

 共に立っていた悪魔の一人が、冷や汗を流しながら唸る。

 

 多くの異形達は、表立って殺し合った経験が近年ではない。

 

 異形達が人間社会から遠ざかっていたこともあり、アジュカやサーゼクス達の力は数百年前から発揮されたことはさほどない。

 

 だからこそ、その後に生まれた世代は知るべきだった。

 

 そして、アジュカ・ベルゼブブのそれは思い知らされて広められる。

 

 この一点をもって、四人にとっては好都合な展開となるのだろう。

 

「……さて、君達はどうするのかな?」

 

 アジュカの視線が自分達に向けられ、ジークフリートは肩をすくめる。

 

「とりあえず、一つ使ってみたいものがあるから撤退はその後にするよ」

 

「……例の業魔人(カオス・ドライブ)とかいう奴か」

 

 小さく、ジークフリートの言葉を拾った樹下誠二が呟いた。

 

 それに対して、ジークフリートは得意げに微笑む。

 

「聖書の神が作り出した神器に、対を成す魔王の力を与えればどうなるか……という研究テーマがあってね。幾多もの人体実験を木曽義仲の星辰光によって最小限の犠牲によってなしあげた成果だよ。まさか実戦で使用するのがシャルバで、それも神滅具に使うことになるとは思ってなかったけどね」

 

 そう告げ、そしてジークフリートは魔剣を構える。

 

「さて、僕自身が使うのはこれが初めてになるだろう。……勝敗に関わらず、超越者で試せるのは有意義なテストになるだろうね」

 

 勝算は非常に薄いだろう。

 

 だが、勝つ為の算段を整えるのはともかく、挑戦する機会を放棄するのも英雄派のスタンスから見て問題だろう。

 

 人間が、超常の存在に通用するか。その為の手段が存在するか。それを試すのが英雄派。

 

 この好機を逃す道理はない。

 

「興味深い。魔王の血によって増強された神器……というのは、とても味わってみたい。……だが」

 

 アジュカは、そう前置きをしたうえで視線を木場祐斗や樹下誠二に向ける。

 

「友情を理由に誘いを断った身としては、ここは友情に場を譲ってもいいと思っている。この場所は相応の戦いでも壊れないようにもなっている。……どうだろうか、その殺気をきちんとぶつけてみるというのは」

 

 その言葉に、木場祐斗は一歩を踏み出し樹下誠二もため息をついた。

 

「ありがとうございます、ベルゼブブ様。……リアス部長、先に行ってます」

 

「……若干勢い任せになりますが、願ってもない許可に感謝します」

 

 樹下誠二は肩をかましながら、木場祐斗と並ぶ。

 

 互いに瞬時に構えるは、聖魔剣と闇之尾羽張に至らせた魔剣創造。

 

「「……いい機会だ。ここで死んでもらう」」

 

「……良い殺気だ。この様子だと、兵藤一誠は本当に死んだようだ」

 

 小さく喜びながら、ジークフリートは禁手に至らせる。

 

「その情報と君達の首があれば、ヘラクレスやジャンヌにとやかく言われなくて済みそうだ。死んでもらうよ?」

 

 その宣言をもって、ジークフリートは一歩を踏み出した。

 




 さて、ヒーローズ編前半の山場に突入です!
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